AI

 2021.02.14  コンタクトセンターの森

AI(人工知能)とはartificial intelligenceの略称であり、コンピューターで人間のような知能を実現しようという試み、またはその基礎技術のことを指します。チャットでのカスタマーサポートや、コールセンターの電話応対業務での活用にも期待が集まっているテクノロジーです。

新人育成の手間や個人ごとのバランスを改善

これまでコールセンター業界では、業務に必要となる膨大な知識の習得や、経験不足からくる各オペレーターのスキルのアンバランスさが問題として挙げられていました。加えて、この問題をクリアするための教育コストや手間が懸念材料となるケースも少なくありません。AIは、こうした問題へのソリューションとして注目されています。

AIがコールセンターで担うのは、顧客対応に向かうオペレーターの業務サポートです。ファストペースで進む顧客対応の最中、顧客の
コールリーズンに対して最適な回答を用意するのは、ベテランのオペレーターでも難しいケースがあります。スキルに乏しいオペレーターであれば、求められている正確性や対応スピードを維持するのはさらに困難です。

正確な判断を迅速に下すAIが常にオペレーターに寄り添うことで、ベテランの対応はさらに確かなものに、新人オペレーターの対応はベテランと遜色ないレベルに達します。オペレーターの回答スピード、回答の正確性向上が実現されれば、顧客満足度の大幅な向上が期待できます。

また、AIのサポートによってFAQを捜し出す手間がなくなれば、オペレーターは対話そのものに集中することで、対応品質の向上に注力できます。特に、比較的経験の浅いオペレーターは、言葉遣いや謝辞、明るい受け答えなど、対応品質を意識して業務を行えるようになるには長い期間を要します。AIによるナレッジなどの支援があれば、経験の少ないオペレーターでもベテランオペレーターのような余裕のある対応が、比較的短い期間でできるようになります。

また、AIが対応をサポートすることによるオペレーターのストレス軽減効果も注目されています。オペレーターは業務上の対応負荷で大きなストレスを感じることも多く、
離職率(Attrition Rate)の高さが指摘されてきました。上述したような、センター内で要求される対応スピード、回答の正確性、顧客からのクレームなどがそうしたストレスの要因です。AIのサポートにより、業務上の精神的負荷が軽減されれば、コールセンターにおいて慢性的な課題となっていた離職率の改善が期待できます。

人員を適切に配置し、サービスを保証・向上

顧客満足度の向上やオペレーターの負担軽減以外にも、コールセンターにAIを導入するメリットはあります。

AHTの短縮や、WFMの最適化など、センター全体の生産性に与える影響も非常に大きなものです。

AIの導入によってもたらされる大きな恩恵のひとつが、対応スピードの短縮です。AIによって会話の内容を瞬時に汲み取り、最適なナレッジがオペレーターに提示されることから、対応時間は大きく短縮されます。センター全体で考えると、その効果は甚大です。ATTが短縮され、
ACWなどの事務処理も簡略化が図れるため、全体のAHTを大幅に削減することができます。また、AHTの短縮によりセンター全体で効率化を図れるため、サービスレベルや稼働率の向上にも期待が持てます。

多くのコールにも、これまで以上に少ないオペレーターで対応できるようになるため、人件費のカット効果もあります。予想コール数に対する適切な人員数把握がこれまで以上に容易になるため、WFMの精度向上にも貢献してくれます。

コール数の多いコールセンターほど、AIの導入による効果が大きいと考えられています。AIの導入後、大幅なコストカットや生産性の向上に成功したコールセンターの例は少なくありません。

音声認識との連携

コールセンターにおけるAIと親和性が高い技術と考えられているのが、
音声認識です。音声認識技術によって顧客の音声から特定のワードをピックアップしたAIは、コールリーズンを割り出し、関連するナレッジや
FAQを表示します。この自律的な支援によって、オペレーターの負担は大幅に軽減されます。

電話による対応を行いながら同時にキーボードを操作し、適切なナレッジを見つけるのが、これまでのコールセンターにおけるオペレーターの一般的な業務スタイルでした。顧客のコールリーズンを正確に汲み取りながらキーボード操作を行うためには、慣れと経験を要します。複雑なコールリーズンや温度感の高い顧客の対応を行うケースでは、キーボード操作が散漫になってしまうことも少なくありません。細かなミスによって意図しないナレッジを開いてしまえば、対応時間の超過や誤案内につながります。

音声認識機能を搭載したAIによるサポートがあれば、オペレーターはそうしたキーボード操作による負荷から解放されます。ベテランオペレーターでも、このサポートによる恩恵は大きなものです。また、オペレーターには最低限のキーボード操作スキルしか要求されないことから、採用条件を緩和できます。

AI自身に搭載された
学習機能の向上から、音声認識の技術は近年で飛躍的に進歩しました。現在は電話の音声認識の正確性も向上していることから、音声認識機能を搭載したAIを導入するコールセンターが目立っています。

現在は好条件下で80~90%の正確性にとどまっていますが、今後もAIの開発が進み、正確性が向上していけば、オペレーターによるマニュアルの端末操作が一切必要なくなる未来も予想できます。コールリーズンの割り出しや案内内容の決定はAIが担い、細かな言葉のチョイスや温かみのある感情表現など、人間でなければ困難な業務をオペレーターが担当するといったような、AIとオペレーターによる業務の棲み分けが起こる可能性もあります。

オペレーターからコンシェルジュへ

AIのサポートによるコールセンター業務の効率化、サービスの品質の向上に期待が集まっています。今後は、AIの力をさらに活用し、さらに高度なカスタマーサポートが提供されようとしています。

今後は音声認識だけにとどまらず、感情認識や顧客が口頭で述べる内容を要約する技術など、さらにコールセンターにとって役立つ機能がAIに付加されていく見通しです。AIの進歩が続けば、コールセンターの業務の幅自体が、より多角的になる未来が期待できます。オペレーターの業務範囲も広がっていくことが予想されます。

いくつかの企業は既に、AIとの連携を強めた未来のオペレーターを、より総合的な顧客対応を行う「コンシェルジュ」と位置づけ、カスタマーサポートの拡大に着手しています。AIの可能性を理解し、積極的にコールセンターの業務に取り入れていく姿勢が重要です。

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