問い合わせ管理システムの進化を知る|
一元管理のメリットと比較で選ぶ、最適な10選

 2022.06.07  2024.03.01

昨今、問い合わせ窓口は電話だけでなく、SNSやチャットなど幅広い複数のチャネルを用意する企業が増えています。この記事では、それらを統合して一元的な顧客対応が行える「問い合わせ管理システム」について、概要からおさらいします。また、導入するメリット、システムを選ぶ際のポイントについても詳しくご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

問い合わせ管理システムの概要や導入メリットについて徹底解説 1

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問い合わせ管理システムとは

「問い合わせ管理システム」とは、自社の商品やサービスに対する顧客からの問い合わせを一元的に管理することで、複数人との共有や対応を効率化するシステムです。

近年は企業のIT化が進み、顧客との接点となる販売チャネルとして実店舗だけではなく、オンラインショップなどを設ける企業が増えています。また、問い合わせ方法も電話以外にSNSやメール、チャットがよく見られるようになりました。こうした背景から、企業への問い合わせ件数は全体的に増加傾向にあります。そして、各チャネルで受け付けた顧客からの問い合わせを連携させ、一元管理する、いわゆる「オムニチャネル化」が求められるようになりました。

電話での対応に限られていたコールセンターの枠を越えた「コンタクトセンター」の設置も、オムニチャネル化の取り組みです。SNSやメール、チャットなど複数チャネルでの問い合わせを連携させることで、顧客により良い体験を提供するコンタクトセンターの設置を検討する場合は、問い合わせ管理システムの構築が欠かせません。

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問い合わせ管理システムの機能

問い合わせ管理システムの機能は、製品によって異なります。ただ、一般的には問い合わせの一元管理機能やステータス管理、自動振り分け、テンプレート、分析機能などが実装されています。

一元管理機能は、様々なチャネルから寄せられる問い合わせを一括で管理できる機能です。電話、メール、SNSなど、多様なチャネルからの問い合わせを管理できます。ステータス管理機能は、個々の問い合わせへの具体的な対応状況や担当者などを管理します。

製品によって実装されている機能は異なるため、システムを選ぶ際には自社が求める機能が備わっているかどうかを必ず確認しましょう。

従来のエクセル管理が抱える課題

問い合わせ件数がまだ少なく、少人数でも対応できる企業であれば、エクセルで問い合わせ管理表を作成し、管理することも物理的には可能です。また Microsoft Teams と連携させれば、効率的な業務体制も組めます。しかし、エクセルなどで管理する場合は、あらかじめリスクやデメリットも確認しておく必要があります。

セキュリティリスクがある

まず、エクセルファイルはUSBメモリやメールを介して外部へ持ち出せるため、セキュリティ上、問題視されやすいというデメリットがあります。パスワードの設定やアクセス権限の制限などの対策は可能ですが、万が一情報漏えいが起きた際、重要な顧客情報管理が十分ではないとして、社会からの信用を失いかねません。

更新や共有に手間がかかる

エクセルで管理する場合、個々の問い合わせについて手入力しなければならず、更新に手間がかかることも課題です。また、エクセルは複数人での同時編集に向いていません。リアルタイムに最新の情報を共有できないという点でも、業務効率性が良いとはいえません。

問い合わせ管理システム導入のメリット

一方で、問い合わせ管理システムを導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか。得られるメリットを知れば、導入する際の良い参考になります。

情報の一元管理が可能になる

冒頭でも触れたように、近年は複数チャネルを設け、各経路から大量の問い合わせを受け付けられる仕組みを導入する企業が増えました。問い合わせ管理システムは、各チャネルで受け付けた問い合わせ内容を連携させ一元管理できるため、チャネルの種類にかかわらず、スピーディーに手間なく対応できるようになります。

対応ノウハウの属人化防止に繋がる

問い合わせ窓口で対応するオペレーターのスキルは、経験値に大きく左右されます。しかし、問い合わせ管理システムを導入し活用すれば、どのチャネルでどのように応じたか、過去の対応方法を蓄積し、共有できるようになります。つまり、新人でもベテランと同様に優れた顧客対応が可能になるのです。オペレーターのスキル担保という面でも、問い合わせ管理システムを導入することで、ノウハウの属人化を防止できます。

管理およびオペレーター負担の軽減になる

顧客から複数回問い合わせがあった場合、システムが連携されていないとオペレーターは前回の内容を照会するのに非常に手間がかかってしまいます。その点、問い合わせ管理システムであれば、たとえ異なるチャネルであっても、顧客ごとに情報が一元管理されています。そのため、管理者はどのオペレーターや担当者に振り分ければよいかがすぐ分かり、スムーズにエスカレーションできるようになります。

また、返信作業を効率化できるテンプレートや、よくある質問をFAQとして共有していると、現場にいるオペレーターの負担軽減にもなります。ひいてはエンゲージメントが向上し、離職率の抑制にもつながります。

外部からのアクセスを防止できる

前述したように、大切な顧客情報を管理するのに、エクセルではセキュリティ面で不安感が残ります。一方、問い合わせ管理システムを導入すれば、IPアドレスの管理でアクセス制限が可能になります。顧客情報の入った問い合わせ内容は全てシステムサーバー上で一元管理されるため、厳格なセキュリティ対策が可能です。こうした対策強化は、取引先や顧客に対しても安心感を与え、企業イメージを向上させられます。

データを活用して業務やサービスを改善できる

問い合わせ管理システムを導入すれば、様々な顧客の声を収集できます。ひとつのプラットフォームで顧客の声を収集、一元管理できるため分析もしやすく、分析データをもとに業務やサービスの改善にもつながります。

自社では、適切な顧客対応ができていると考えていても、顧客側はそう感じていないかもしれません。不適切な顧客対応を続けていると、顧客満足度の低下も招きます。

システムで収集、分析したデータを活用すれば、顧客対応の品質向上が可能です。適切な顧客対応やサービスの改善がなされることで、顧客満足度が高まり、売上や利益の拡大につながります。

問い合わせ管理システムを選ぶ際のコツ

問い合わせ管理システムの導入を実際に検討する際、どのようにシステムを選べばよいのでしょうか。着目すべきポイントは以下の3つです。

顧客情報を管理しやすいか

問い合わせ対応において、過去の対応を含め、いかに顧客情報が社内で連携されているかどうかで顧客満足度は大きく変わります。たとえ異なるオペレーターであっても、必要なときに顧客情報や過去の対応履歴などを参照しやすいということは、大きなアドバンテージになります。

また、情報管理のしやすさに関連して、ベンダー側のセキュリティ対策についてあらかじめ確認することも重要です。例えば不正アクセス防止策やデータバックアップ体制など、安心して情報管理を任せられるかどうかを見極めるようにしましょう。

ナレッジを共有しやすいか

問い合わせ対応は個人プレーになりがちで、属人化してしまうと引き継ぎの際に手間がかかり、業務効率性が落ちてしまいます。そのため、問い合わせ管理システムを新たに導入する場合は、どのオペレーターや担当者にとっても分かりやすく、容易に社内共有できるかどうかを確認するようにしましょう。

例えば、よくある問い合わせの回答をテンプレート化できる機能はおすすめです。積極的に共有ができれば、オペレーターのスキルアップや平準化につながり、対応品質が格段に向上することで顧客からも良い評価を得られやすくなります。

必要な機能が搭載されているか

3つ目のポイントは、まず自社にとって必要な機能を洗い出し、それらが実現できるかどうかです。例えば、現在自社で扱っている、または将来扱おうとしている問い合わせチャネルに対応しているかどうかを確認しましょう。もし全てに対応していなければ、システムを導入してもうまく連携できず、限定的な活用にとどまってしまいます。

また、場所にとらわれず、いつでもどこでも情報管理を実現したい場合は、PCだけでなくスマートフォンやタブレットなど、様々なデバイスに対応しているかどうかもチェックしましょう。つまり、自社がなぜ問い合わせ管理システムを導入したいのか、最初に目的やビジョンを明確化し、それに合ったシステムを選ぶことが重要です。

問い合わせ管理システムのおすすめ10選比較

問い合わせ管理システムは、様々な企業から多くの製品がリリースされています。実装されている機能や特徴、費用などがそれぞれ異なるため、比較しつつ自社にマッチした製品を選びましょう。

MOBI AGENT(モビエージェント)

MOBI AGENT(モビエージェント)は、多様なチャネルからの問い合わせをひとつのプラットフォームに集約できるシステムです。ユーザーは慣れ親しんだチャネルを用いて、いつでも、どこからでも問い合わせができるため、顧客満足度向上にもつながります。

オペレーターの対応品質向上をサポートする、オペレーター支援機能をはじめ、オペレーターの対応状況をモニタリングできる機能が実装されているのも特徴です。また、CRMやチャットボットとも連携可能で、シームレスな対応を実現できます。

MOBI AGENT

メールディーラー

メールディーラーは、14年連続売上シェアNO.1を誇るメール共有管理システムです。規模を問わず様々な企業が導入しており、累計導入社数は8,000社を超えています。

チームにおけるメールの対応状況を可視化できるツールです。管理画面に、チーム全員のメール対応状況が表示されるため、返信漏れや二重返信などを防止できます。クラウド型のサービスなので、導入から運用開始までの期間を短縮できるのも特徴です。

メール業務を幅広くサポートする、様々な機能を実装しています。対応状況の見える化、業務効率化、対応ミス防止、強固なセキュリティなどを実現する便利な機能を利用でき、幅広い外部サービスとの連携も可能です。導入から運用、定着まで専任スタッフが丁寧にサポートしてくれるため、運用が初めての企業も安心です。

https://www.maildealer.jp/

yaritori(ヤリトリ)

yaritori(ヤリトリ)は、使いやすさに定評があるメール共有システムです。複数のメールを管理画面で一元管理でき、問い合わせ対応の効率化と対応漏れの防止を実現できます。

管理画面では、メールへの対応が完了しているのか、それともまだなのかステータスが表示されます。また、担当者も設定できるため、対応漏れだけでなく二重対応も回避できるのも魅力です。複数のテンプレートを登録できるため、迅速かつ効率的な対応が実現でき、対応の属人化も防げます。

コミュニケーションツールとして活用できる点も見逃せません。システム上において、チャットでやり取りできるため、対応に関する相談や情報共有を行えます。

https://yaritori.jp/

チャネルトーク

チャネルトークは、オンライン上で実店舗のような接客を行えるツールです。チャットを用いたやり取りのほか、CRMで管理している情報に基づく高品質な接客を行えます。

顧客対応の状況を一元管理できるのも魅力です。各SNSやメールなどから寄せられた問い合わせが分散せず、一箇所に集約できるため業務効率がアップします。顧客の様々な情報を一元管理できるCRMから自動対応を実現するチャットボットなど、高品質な接客を実現する豊富な機能を実装したシステムです。なお、無料プランでは社内チャットや接客チャットなどの機能を利用できます。

https://channel.io/ja

kintone(キントーン)

kintone(キントーン)は、社内に散在している様々な情報を、一箇所に集約して管理できるシステムです。クラウド型の業務改善プラットフォームであり、問い合わせ管理や顧客管理などに利用できるアプリをコーディングなしで作成できます。

使いやすさにも定評があります。ITやプログラミングの知識がなくても業務に役立つアプリを作成でき、運用も簡単です。また自由度が高く、自社の業務にマッチするようカスタマイズができます。散在する情報をまとめたい、メンバー全員が使いやすいツールでチームの仕事を見える化したいといった企業に適したシステムです。

料金プランは、1ユーザー月額780円のライトコースと、1,500円のスタンダードコースがあります。スタンダードコースは、30日間のトライアル期間もあるため、機能や操作性を確認したうえで導入が可能です。

https://kintone.cybozu.co.jp/

Freshdesk(フレッシュデスク)

Freshdesk(フレッシュデスク)は、50,000社以上が導入している実績豊富なカスタマーサポートシステムです。問い合わせ管理のほか、マルチチャネルヘルプデスクやレポート機能、メール共有、フィールドサービス管理などの機能が実装されています。

問い合わせ管理機能は、顧客への対応状況をリアルタイムで把握できるため、対応漏れの回避に有効です。また、問い合わせの内容をチームで共有でき、スピーディーな対応を行えます。問い合わせ対応業務を効率化し、なおかつ顧客の満足度向上も実現したい企業におすすめです。

FreeからEnterpriseまで、四つの料金プランが用意されています。Freeは月額0ドルで利用でき、Growthは15ドル、Proは49ドル、Enterpriseは79ドルで利用できます。

https://www.freshworks.com/jp/freshdesk/

WEBCAS mailcenter(ウェブキャス メールセンター)

Webサイトのフォームやメールでの問い合わせを管理できる、問い合わせメール共有システムです。寄せられる問い合わせを一元管理でき、対応漏れや二重対応のリスクを軽減し、メール対応業務の効率化を図れます。

対応漏れ防止ステータス自動管理や二重返信防止機能、経過時間色分け表示機能などを実装しています。業務効率化に有効なテンプレートや引き継ぎコメント機能など、充実した機能を備えているのも特徴です。今まで使っていた顧客データベースや外部システムと連携しやすいため、大規模なシステムを新たに構築することなく顧客管理システムを利用したい企業に適しています。

料金は、ASP型なら初期費用30,000円~、月額費用5,000円~、SaaS型は初期費用500,000円~、月額費用100,000円~です。

https://www.webcas.jp/mailcenter/

Zendesk(ゼンデスク)

Zendesk(ゼンデスク)は、質の高いカスタマーエクスペリエンスを実現できるシステムです。問い合わせの状況確認から優先順位付け、Webサイトやアプリへのメッセージ機能追加、FAQ構築など、高品質な顧客対応を実現できる多彩な機能を実装しています。

問い合わせ管理だけでなく、顧客対応業務の効率化や高品質化を目指す企業におすすめのシステムです。無料デモを利用できるため、事前に機能や操作性をチェックしたうえで導入できます。料金は、1人あたり月額49~199ドルです。

https://www.zendesk.co.jp/

Re:lation(リレーション)

Re:lation(リレーション)は、チームで問い合わせを一元管理できるシステムです。4,000社以上が導入しているシステムであり、メールや電話、LINEなど10種類のチャネルをまとめて管理できます。

未対応なのか保留なのか、対応完了なのか、状況がひと目で分かるため対応漏れや二重返信の防止に有効です。問い合わせチャネルが多く管理が大変、ツールを導入したものの使いこなせない、といった企業におすすめです。

無料で利用できるフリープランのほか、初期費用50,000円~、月額費用12,800円~の有償プランが用意されています。

https://ingage.jp/relation

エムアイ・メール

エムアイ・メールは、簡単に利用できる本格的なメール共有システムです。問い合わせへの対応状況を確認できる機能をはじめ、二重対応を防止する担当オペレーター機能などを実装しています。

高機能でありながら簡単に操作できるため、初めてメール共有システムを導入する企業にもおすすめです。また、テンプレート機能を使えば素早く返信メールを作成できるため、メール対応の工数を削減したい企業にも適しています。

料金は、SaaSプランであれば初期費用24,800円、月額費用9,800円~です。無料トライアルもあるので、まずは試用して機能を体験してみましょう。

https://www.mi-mail.net/

WaWaD-Be(ワワディービー)

WaWaD-Be(ワワディービー)は、様々な情報のデータベースを作成、管理できるシステムです。顧客管理や案件管理、問い合わせ・クレーム管理、機器導入履歴管理といった機能を実装しています。

データベースは知識不要で作成でき、用途にあわせてカスタマイズも可能です。できるだけコストを抑えて、業務効率化や問い合わせ管理の工数削減を実現したい企業に適しています。料金は基本料金2,500円に加え、1IDあたり月額300円です。

https://www.wawaoffice.jp/product/db/

まとめ

企業にとって問い合わせ管理システムは、様々な問い合わせチャネルを統合し、顧客対応を高度化するために不可欠な存在となりつつあります。顧客管理の一元化やナレッジ共有が可能になると、管理者や実際に顧客対応するオペレーターの負担軽減につながります。またリスクマネジメントとして、セキュリティ対策も強化できます。製品により機能や特徴は異なるため、自社の課題や目的にあわせて、メリットを活かせる問い合わせ管理システムの導入をぜひご検討ください。

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