コンタクトセンター検定試験(コン検)とは? 各コースの難易度や資格取得のメリットなど試験概要を徹底解説

   

この記事でわかること
  • コンタクトセンター検定試験(コン検)の全体像
    検定の目的、評価基準、CMBOKに基づく体系など、試験の基本構造と位置づけが理解できます。
  • 5つの資格コースの違いと難易度
    EN・OP・SV・OMP・CAPの特徴、対象者、出題範囲、合格基準などを比較しながら把握できます。
  • 効率的な学習方法とキャリアへの活かし方
    公式テキストの使い方、資格レベルごとの学習時間の目安、キャリア形成に役立つポイントがわかります。

コンタクトセンター検定試験(コン検)は、コンタクトセンター業界で必要とされる知識やスキルを体系的に評価する資格です。コンタクトセンターで働くオペレーターでも知らない方は少なくありません。

本記事では、このコン検の概要、受験するメリット、そして5つの資格コースのポイントをわかりやすく解説します。今後のキャリア形成にも役立つ内容ですので、参考にしてみてください。

コンタクトセンター検定試験とは

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コンタクトセンター検定試験とは

コンタクトセンター検定試験(コン検)は、コンタクトセンター業務に必要な知識とスキルを体系的に評価するために、2010年に業界を代表する17社の賛同を得て創設された業界標準の資格制度です。

試験はCMBOK(コンタクトセンターマネジメント知識スキル体系)を基盤としており、オペレーションからマネジメントまで幅広い役割に必要な専門知識を客観的に証明できます。

現在では企業の研修や人材育成プログラムにも採用され、業界内での認知度も高まっています。資格を取得することで、スキルの可視化やキャリアアップに役立つだけでなく、採用や内部評価において自身の専門性をアピールしやすくなります。

また、学習過程を通じて体系的な知識が身につくため、日々の業務をより効率的かつ高い品質で進めることが期待できます。

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スキルレベルに応じた5つのコース

コンタクトセンター検定試験は、「オペレーションレベル」と「プロフェッショナルレベル」の2階層で構成され、スキルレベルに応じて5つの資格が設けられています。

オペレーションレベルにはエントリー資格(EN)、オペレーター資格(OP)、スーパーバイザー資格(SV)の3つがあり、いずれもCBT形式で全国の会場で随時受験できます。試験終了後すぐに結果が表示され、合格認定証は通常4〜6週間程度で郵送されます。合格率はコースにより異なり、EN・SVは7〜8割、OPは6〜7割程度です。

一方、プロフェッショナルレベルにはオペレーションマネジメント資格(OMP)とコンタクトセンターアーキテクチャ資格(CAP)があり、年1回、特定の会場で実施されます。試験は選択式80問(120分)と記述式7問(120分)の二部構成で、選択式500点以上、記述式70〜78%程度を満たす必要があります。

さらに、合格後は実務経験の証明書類を提出し、協会の審査を通過して初めて資格が付与されるという厳格な認定プロセスが設けられています。すべての資格試験は、業界標準の知識体系であるCMBOK Ver3.0に基づいて出題されています。

資格名 レベル 主な対象者 出題範囲(主要領域) 試験形式 合格基準 受験料(一般/会員) 特徴
エントリー(EN) オペレーション 未経験者・学生・新社会人 基礎知識・マナー・非対面コミュニケーション CBT・50問 スコア500以上(200〜800) 一般:3,850円/会員:3,465円 業界入門に最適。基礎固めに効果的。
オペレーター(OP) オペレーション 実務1〜3年のオペレーター・新人指導者 戦略/CS/運営/構築/ベース CBT・80問 スコア500以上 一般:7,700円/会員:6,930円 管理者視点を含み難易度はEN・SVより高め。
スーパーバイザー(SV) オペレーション 実務3年以上の現場管理者・リーダー 戦略/CS/運営(比重大)/構築/ベース CBT・80問 スコア500以上 一般:8,800円/会員:7,920円 実務と試験内容の親和性が高く合格率も安定。
オペレーションマネジメント(OMP) プロフェッショナル センター長・運営部門管理者(経験5年以上) 戦略/CS/運営(65%)/構築/ベース 選択80問+記述7問 選択500以上+記述70〜78% 一般:16,500円/会員:14,850円 運営統括の専門性を問う難関資格。認定審査あり。
コンタクトセンターアーキテクチャ(CAP) プロフェッショナル 構築担当・技術者・PM(経験5年以上) 構築(60%)/戦略/CS/運営/ベース 選択80問+記述7問 選択500以上+記述70〜78% 一般:16,500円/会員:14,850円 センター構築の専門家を認定。技術領域に特化。

エントリー資格(EN)

エントリー資格(EN)は、コンタクトセンター業務の未経験者や学生など、これから業界を目指す方を主な対象とした入門レベルの資格です。

試験では、コンタクトセンターの基礎知識、ビジネスマナー、非対面コミュニケーションに必要な基本的な心構えやスキルが問われます。

全50問のCBT形式で実施され、IRTに基づく200〜800点のスコア評価において500点以上で合格となります。

全国のテストセンターで随時受験できるため、受験しやすい資格として位置づけられています。学習を通じて業界に必要な基礎知識が身につくため、今後コンタクトセンター業務に携わる際の土台作りにも有効です。

エントリー資格(EN)の場合、初めて受験する方も多いかと思いますが、その場合にはまず「OdysseyID」を登録しましょう。この「OdysseyID」とパスワードは試験当日にも必要になりますので、受験票と写真付き身分証明書とともに大事に保管しておかなければなりません。

なお、受験料は会員かどうかによって異なります。会員であれば一般価格より10%割引が受けられますので、登録しておくとよいでしょう。

<受験料>

  • 一般価格:3,850円(税込)
  • 会員価格:3,465円(税込)

オペレーター資格(OP)

オペレーター資格(OP)は、1〜3年程度の実務経験を持つオペレーターを対象とし、高度な顧客対応力と新人指導ができるレベルの知識・スキルを認定する資格です。

試験では、コンタクトセンターの戦略・監査、カスタマーサービス、運営、構築、ベースといった幅広い領域が問われます。

全80問をCBT形式で解答し、IRTに基づく200〜800点の評価で500点以上が合格基準です。

合格率はおおむね6〜7割で、エントリー資格やスーパーバイザー資格より低めです。これは、現場では触れにくい戦略や監査など、管理者視点の知識が問われるためで、OPは現場担当者からリーダーへ成長するための重要なステップとなる資格です。

<受験料>

  • 一般価格:7,700円(税込)
  • 会員価格:6,930円(税込)

スーパーバイザー資格(SV)

スーパーバイザー資格(SV)は、3年以上の実務経験を持つ現場管理者やリーダー層を対象とした資格で、オペレーション管理・人的資源管理・品質管理など、チーム運営に必要なマネジメント知識とスキルが問われます。

試験はコンタクトセンター戦略・監査、カスタマーサービス、運営、構築、ベースの領域から出題され、とくに運営分野の比重が高い点が特徴です。

全80問のCBT形式で実施され、IRTに基づく200〜800点評価で500点以上が合格基準となります。

合格率はおおむね7〜8割と高く、これは受験者がすでに管理業務を日常的に担っており、試験内容との親和性が高いことが理由とされています。SV資格は、現場管理を体系的に理解し、マネジメント力を強化するための重要なステップとなります。

<受験料>

  • 一般価格:8,800円(税込)
  • 会員価格:7,920円(税込)

オペレーションマネージメント資格(OMP)

オペレーションマネジメント資格(OMP)は、コンタクトセンター長や運営部門マネージャーなど、5年以上の実務経験を持つ上級管理職を対象としたプロフェッショナルレベルの資格です。

センター全体の戦略立案、財務知識、監査、人材マネジメントなど、経営視点から運営を統括するための高度な専門知識が問われます。

選択式試験は80問で、出題範囲はコンタクトセンター戦略・監査、カスタマーサービス、運営、構築、ベースの各領域で構成され、とくに運営分野が65%と大きな比率を占めています。

加えて、OMPでは記述式試験7問が課され、コンタクトセンター運営に関する実践的な課題に対して論理的な解決策を構築する能力が求められます。

合格には、選択式でスコア500点以上、記述式で70〜78%程度の正答率を満たす必要があります。

さらに、実務経験を証明する書類を提出し協会の認定審査を通過することで、初めて資格が付与されるという厳格な三層構造の認定プロセスとなっています。OMPはセンター運営の高度専門家としての力量を証明する難関資格です。

<出題範囲>

選択問題:

  • コンタクトセンター戦略・監査
  • カスタマーサービス
  • コンタクトセンター運営
  • コンタクトセンター構築
  • コンタクトセンターの職能スキル
  • PCスキルの基礎

記述問題:コンタクトセンター「運営」分野を中心に関連する各分野から出題

<受験料>

  • 一般価格:16,500円(税込)
  • 会員価格:14,850円(税込)

コンタクトセンターアーキテクチャ資格(CAP)

コンタクトセンターアーキテクチャ資格(CAP)は、コンタクトセンターの新規構築やシステム刷新に関わる設計担当者、技術者、プロジェクトマネージャーなどを対象としたプロフェッショナルレベルの資格です。

業務設計・ICTマネジメント・センターアーキテクチャといった技術的かつ構造的な専門知識が問われ、出題範囲の60%が「構築」分野に割かれている点が大きな特徴です。

試験は選択式80問と記述式7問で構成され、選択式では戦略・監査、カスタマーサービス、運営、構築、ベースの領域から出題されます。記述式では、コンタクトセンターの構築に関する実務的課題に対し、技術的視点から論理的に解決策を示す能力が求められます。

合格には、選択式でスコア500点以上、記述式で70〜78%程度の正答率を満たす必要があります。合格後は実務経験の証明書類を提出し、協会の審査を通過して資格が付与されます。

CAPは、現代のコンタクトセンターが高度なテクノロジーハブとして機能していることを象徴する資格であり、特にICT領域の専門家にとって、自身の専門性を証明する上で非常に価値の高い資格です。

<出題範囲>

選択問題:

  • コンタクトセンター戦略・監査
  • カスタマーサービス
  • コンタクトセンター運営
  • コンタクトセンター構築
  • コンタクトセンターの職能スキル
  • PCスキルの基礎

記述問題:コンタクトセンター「構築」分野を中心に関連する各分野から出題

<受験料>

  • 一般価格:16,500円(税込)
  • 会員価格:14,850円(税込)

まとめ

コンタクトセンターに関わる業務に従事している方であれば、職種にかかわらずコンタクトセンター検定試験はキャリア形成に役立つ資格です。公式テキストはCMBOKに基づいて体系的に構成されており、学習の中心となる重要な教材です。試験問題は公開されていませんが、テキストに掲載された例題を活用し、解答後に関連する内容を読み返すことで、効率的に理解を深められます。

必要な勉強時間は資格レベルや実務経験によって大きく異なり、オペレーションレベルでは10〜50時間程度、プロフェッショナルレベルではより多くの準備時間を要する場合もあります。自身の経験と出題範囲のギャップを把握し、重点的に学習を進めることが重要です。

特にエントリー資格(EN)は業務経験を必要としない入門コースであり、これからコンタクトセンター業界を目指す方が基礎知識を身につける第一歩として適しています。資格取得を通じて、日々の業務に必要な基礎スキルを体系的に学べる点も大きなメリットです。

 

この記事の推奨者

福田 哲哉
福田 哲哉
ベルシステム24に入社後はオペレーション部門に配属となり、インバウンド、アウトバウンドのオペレーションマネージメントを10年に渡り経験。その後2017年より、事業開発部門へ異動。CTCファーストコンタクト社へ出向し、課長職としてCTCFC社の成長に寄与。2020年、出向期間終了とともにソリューション開発部(現:ソリューション企画推進部)へ帰任。現在はコンサルタントとして、オペレーション部門出身という経験を活かしながら、コールセンターとWeb領域を結ぶソリューション導入・オペレーション運用支援を行っている。
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