コンタクトセンターにおける呼減対策、あふれ呼・放棄呼の対処法

 2020.09.07  2023.05.17

呼減、あふれ呼吸、放棄呼など、似たような言葉ですが、どれもコンタクトセンターなど電話に関する業務につく際には、しっかり使い分けたい重要な語彙です。本記事ではそれぞれの言葉の説明からシステム導入、活用に生かせる呼減、あふれ呼、放棄呼対策でよく使われる手法までを紹介します。

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コンタクトセンターで利用される基本用語

ここでは、まず基本として、コンタクトセンターで使用される呼・呼量、あふれ呼、放棄呼のそれぞれの意味を解説していきます。

呼、呼量とは

「呼」とは電話のコールのことで、通話の有無にかかわらず、電話を発信または着信し電話を切るまでにおける、1回にかかる利用時間のことを指すものです。

一方「呼量」とは、呼の時間の合計を測定する対象時間で割った数値を表わすものです。呼量は「呼数× 平均利用時間÷ 対象時間」で算出できます。トラヒック密度とも呼ばれ、単位は「アーラン」です。

たとえば、測定したい1時間(3600秒)の間に60回の呼があって、その際の平均利用時間が6分間(360秒)であった場合、その呼量は「60回×360秒÷3600秒」になり、これを計算すると「6アーラン」になります。

あふれ呼とは

「あふれ呼」とは、「あふれた呼」のことを指します。ピーク時など顧客からの電話数が回線数を上回ることはよくありますが、そのときに発生する「オペレーターへつながらないコール」のことを呼んでいます。

また、回線数は十分に足りているものの、従業員が少なく応対できないコールのこともそういわれています。いつ電話をかけてもつながりにくい状態がつづくと、顧客満足度が下がる恐れがあるほか、それによって購買意欲や企業への信用度も低くなる可能性も考えられます。そのままでは何らかの機会損失が発生することも否定できません。

放棄呼とは

「放棄呼」はオペレーターにつながる前に電話が切られるか、システム側で切ってしまうコールのことで、多くの場合、あふれ呼の先にあるものです。電話のつながりやすさを分析する際の指標としても利用されています。

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呼び出し途中で切られる原因には、保留時間が長すぎて待ちきれなかったといったケースが挙げられます。このように、保留時間の長さは顧客に不満を抱かせることにつながりやすい原因の1つです。

コールセンター白書2018によると「利用したコールセンターのサービスに対する不満」の項目で、「待ち時間が長い」との回答が62.5%を占めています。また、コンタクトセンターが「最も重要視している品質指標は放棄呼率である」と回答した企業も56.9%と圧倒的多数となっていることが分かりました。このことからも、多くの企業で放棄呼率の改善対策に頭を悩ませているという現実が見えてくるでしょう。
(参考元:https://brightpattern.info/callcenter-hack/

あふれ呼をチャットツールで解決する

コンタクトセンターを運営するにあたり、重要視される指標のなかに応答率というものがあります。応答率は、どれだけ多くのコールに対応できたかを示すもので、放棄呼と対をなす言葉です。「応答率を1%改善するためには、オペレーター1名の追加や数百万円のコストが必要」といわれることもあるほど、応答率を改善するのは容易ではありません。期間限定のキャンペーンを打ち出した際には呼数が増えるものですが、その時期のためだけに人員増加をしても、コストのほうが大きくなってしまう可能性も考えられます。

人員増加をせずにあふれ呼を改善するためには、文字で会話ができるチャットツールの活用が効果的です。チャットツールを使用すれば、それまで電話しかなかった問い合わせ方法が増えるため、そちらに誘導することもできます。チャットツールを導入するにあたっては、メリットと注意点がそれぞれあるので、両方を理解した上で取り入れるようにしてください。

チャット活用のメリット

チャットを活用するメリットは、コストを抑えられる上、電話回線数を気にすることなく顧客とコミュニケーションが取れるため、オペレーターの業務を効率化できるということです。そのほかにもメリットはありますが、チャットが人によるものか、AIによるものかで変わります。

有人チャットの場合、1人で複数の顧客とやり取りできるようになるので、生産性の向上が期待できるでしょう。電話対応では懸念される待ち時間に関しても数分で回答が返ってくるため、顧客のストレスも溜まりません。また、電話が苦手という顧客にとってはチャネルが増えたという点で問い合わせがしやすくなるでしょう。

一方、AIを活用する場合は、24時間365日対応可能となります。同時に複数の顧客を相手にでき、自動で会話を行ってくれるため、あふれ呼の削減も可能です。また、顧客は時間を気にせず問い合わせができるだけでなく、瞬時に回答を得られます。あらかじめ、よくある質問に対する回答を用意することで、チャットボットの対応範囲は広がり、多くの顧客への対応が完結できるようになります。オペレーターは本当に人の手が必要な業務にだけ注力でき、業務の効率化を図れるでしょう。

チャット活用上の注意点

チャットの導入で気軽に問い合わせが可能になることで、それまでは待ち時間や問い合わせの手間が面倒で連絡していなかった人からのアクセスが増えることが考えられます。結果として応対コストが上昇する可能性は大きいでしょう。また、自動回答システムで回答しきれない問い合わせに対応するためにも、有人対応をなくすことはできません。オペレーターが2つの業務を兼任しなくてはならず、業務が複雑化してしまう懸念もあります。これらの問題を改善するためには、電話とチャットでオペレーターを分けたり、チャットシステムとCTIやCRMなどを連携させたりするなどの工夫が必要です。

放棄呼を自動音声で解決する

放棄呼の増加にはIVRを使った対応が効果的です。IVRとは自動音声応答システムのことで、顧客のコールに対して自動的に応答します。ただし、放棄呼は、オペレーターのパフォーマンスが入電数に追いついていない場合にも上がってしまいます。IVRのみに頼るのではなく、適宜、ATTやACWなどのKPIを指標として、業務を効率化させることが重要です。ほかにも、入電数予測を立てる、急激な入電数増加への対応など、放棄呼改善に向けて考えていきましょう。

自動音声のメリット

自動音声のメリットとしては、自動チャットツールと同様に、業務時間外でも対応可能となることで、いかなる時間帯でも放棄呼を生まず、機会損失を防げる点が挙げられます。電話回線数が十分であれば、ほぼ必ずかかってきた電話に応答できるので、放棄呼になりにくいです。営業時間内であれば、電話ガイダンスにより問い合わせの内容ごとに顧客を振り分けることで、業務の効率化にもつながります。

自動音声活用上の注意点

自動音声は、そもそも電話回線数が足りなければIVRの音声を聞いてもらうこともできません。導入する前に十分な回線数を確保することが必要です。また、IVRが長かったり、コールリーズンによる分岐点が多かったりすると顧客がストレスを感じ、放棄呼率を上げる結果にもなりかねません。多くの入電がIVRの途中で切られる場合は改善を検討する必要があるでしょう。

ほかにも、導入するにあたっては、社員への教育や慣れが必要です。特にオペレーターに辿りつくまでに、顧客はいくつかの分岐点で振り分けられています。その時点である程度は問い合わせ内容が決まっているので、顧客の求めに沿わない解決策などを提案しないことが肝心です。あらゆる可能性を考慮しながら、社員への教育を徹底していきましょう。

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まとめ

コンタクトセンターのあふれ呼や放棄呼の数を減少させることで顧客満足度の向上につなげることができます。その解決策にはさまざまありますが、コストをかけて対策をとる前に、まずはチャットサービスやチャットボット、自動音声案内を導入してみると良いでしょう。

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