コンタクトセンターとは?役割や機能、コールセンターとの違いを解説

 2022.05.19  2023.03.20

近年は、電話業務を行うコールセンターをさらに進化させたコンタクトセンターが注目されています。従来のコールセンターの機能に加え、メールやWEB、チャットなど幅広いツールを使用し、品質の向上業務効率化などを行うために作られました。

しかしまだまだ新しい取り組みのため、コンタクトセンターとコールセンターの違いについて、明確に理解しているという方は少ないかもしれません。この記事では、コンタクトセンターとはどのような取り組みなのかやコンタクトセンターが必要とされる理由、コールセンターとの違いや、必要とされるシステムなどについて解説します。

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コンタクトセンターとは

コンタクトセンターは、電話に加えて、Eメール、Web、ソーシャルメディア、チャット、FAX、ハガキなどの手段で、顧客や消費者の対応を行う拠点・窓口です。ツールを導入することで、24時間対応も可能となります。

また、消費者が購入の前後のプロセスや企業とのコミュニケーションなどの「体験価値」を重視する傾向もあることから、さまざまな通信手段を使って顧客の満足度をアップし、会社に新たな付加価値をつける役割を担える存在としてコンタクトセンターは位置づけられています。

顧客と会社との橋渡しを行うという点では、コールセンターと似た業務を行っているといえるでしょう。

コールセンターとは

電話を使用して顧客とのコミュニケーションを行う部門です。部門として独立していることがほとんどで、コールセンターを専門とする会社にアウトソーシングする場合もあります。

コールセンターの業務は、顧客の元へ電話をかけるアウトバウンドと、顧客からの問い合わせを受けるインバウンドの業務です。

アウトバウンド業務を行うスタッフはテレフォンアポインターと呼ばれることが多く、セールスや工事の時間の打ち合わせ、会社からの案内などを行います。またインバウンドを行うスタッフはテレフォンオペレーターと呼ばれることが多く、通販などの商品の受注やクレーム対応、質問の受付などを多く行っています。

コンタクトセンターとコールセンターの違い

コンタクトセンターとコールセンターは名前が似ていますが、業務の内容や概念が異なります。それぞれのコミュニケーションの手段や特徴の違いを次の表にまとめました。

 

コンタクトセンター

コールセンター

コミュニケーション手段

電話、Eメール、Web、ソーシャルメディア、チャット、FAX、ハガキ

電話

特徴

・さまざまなチャネルに対応

・ツールの導入で24時間対応可能

・オペレータが1対1で対応する

・オペレータの品質が顧客満足を左右する

それぞれの違いについて詳しく解説します。

対応するコミュニケーションチャネルの違い

コンタクトセンターは、電話やメールに加え、SNS、チャットなど幅広いコミュニケーションチャネルを利用して、顧客と会社をつなげています。

コンタクトセンターでは、顧客の満足度につなげるため、対応の迅速さと正確さをいかにして実現するのかということが課題となります。また、コンタクトセンターが獲得した大量の情報は、今後の企画開発やサービス向上のためのマーケティングとしても使用ができることから、得た情報を速やかにデータベース化できるシステムについても重要視されているといえるでしょう。

そこで、システムとしては電話番号と既に顧客管理システムのCRMに記録されている顧客情報を紐づけし、オペレーターの端末に表示する「CTI(Computer Telephony Integration)」などが導入されています。

CTIにより、オペレーターは潜在顧客や見込み客などのカスタマーステージや、過去の通信でのアクション履歴を把握しながら、迅速で最適なサービスを提供することができるのです。

カスタマーサポートプラットフォームと、コールセンターシステムとの連携も、迅速かつ正確な顧客管理の鍵であるといえるでしょう。カスタマーサービスプラットフォームは電話、メール、チャットなどの多様なコミュニケーションチャネルを一つに統合することも可能で、コールセンターシステムと連携して、顧客管理などを行うことができるのです。

コストセンターかプロフィットセンターか

顧客と直接会うことなく、通信手段を用いてコミュニケーションを実現するコンタクトセンターは、CRMを実装することで、戦略次第ではコストセンターではなく、プロフィットセンターと捉えることが可能です。

ちなみにコストセンターとは、収益が集計されない部門のことです。総務や経理などが該当する分類で、いかに経費を削減し効率のよい業務を行うかが求められます。

一方、業務が利益を生み出す部門はプロフィットセンターとなります。営業や販売などの部門がこれにあたります。

コールセンターは、長らくコストセンター的な立ち位置でした。しかし、コンタクトセンターへと進化していくなかで、有益な顧客情報の集積や、見込み客に購買を促し固定客を獲得することができるなど、プロフィットセンターとして位置付けることも可能であるといえるでしょう。

コンタクトセンター以外の呼び名

コールセンターとコンタクトセンターには上述のような違いがありますが、企業によっては電話業務のみでもコンタクトセンターと呼び、電話以外のチャネルを使用していてもコールセンターと呼ぶ場合もあります。

また、通信を使用して顧客窓口対応を専門に行う部署の名称としては、コンタクトセンターやコールセンター以外にもいくつかあります。例えば、サポートセンターやカスタマーセンター、お客様対応窓口などです。

企業によって呼び名や業務内容は異なりますが、いずれにしても顧客とのコミュニケーションを行う最前線の部署であることに変わりはありません。

コンタクトセンターが必要とされる理由

なぜ今コンタクトセンターが必要とされているのでしょうか。その理由を2つ紹介します。

  • 変化する顧客の価値観へ対応
  • 顧客とのコミュニケーション手段の多様化

変化する顧客の価値観へ対応

商品やサービスを購入する際に、顧客が満足する価値観が変化していることが1つ目の理由です。

従来は「製品・サービスそのものに価値を見いだし購入すること」に顧客は喜びを感じているとされてきました。しかし、現在ではそれに加えて、「企業とのコミュニケーション」「付随するサポート」といった購入プロセスや購入後の顧客体験も重視されるようになっています。

顧客の考え方の変化から一人ひとりへの万全なサポート体制が、顧客満足度を向上させる鍵となっています。そのため、「手軽に連絡できる」「スピーディーで丁寧な対応ができる」などの、コンタクトセンターの需要が高まっているのです。

顧客とのコミュニケーション手段の多様化

顧客とのコミュニケーションチャネルの多様化が、2つ目の理由です。

従来のコールセンターでは電話によるコミュニケーションが一般的でした。しかし、IT技術の進歩から電話の他に、チャットやメッセージアプリ、公式スマホサイト公式SNSなど、企業と顧客をつなぐコミュニケーション手段が多様化しています。

実際に、LINEや企業のアプリなどを使って問い合わせをしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

このような背景から、多様化するコミュニケーション手段を一元管理する必要性があり、コンタクトセンターの導入が注目されています。

コンタクトセンターの業務内容

コンタクトセンターの業務内容は多岐に渡ります。その中からコンタクトセンターの主な業務内容を5つ紹介します。

  • インバウンドセールス
  • アウトバウンドセールス
  • ​​カスタマーサポート
  • クレーム対応
  • フィールドサービス

インバウンドセールス

インターネット上に出稿した広告や、独自に運用するWebサイトを通じて問い合わせが来た見込み顧客に対し、製品やサービスを紹介したり、課題に応じたソリューションを提案する営業活動です。商品やサービスの問い合わせに対する受電対応も、インバウンドセールスの一つです。

アウトバウンドセールス

自社から能動的に見込み客へアクションし、商品やサービスを販売するための営業活動のことです。コンタクト担当者は企業担当者とコミュニケーションを重ね、話が進む場合は営業案件として営業部門に引き渡しています。

カスタマーサポート

カスタマーサポートとは、製品やサービスに関する問い合わせを受けたり、アフターサポートを提供するための顧客対応のことです。インターネットを通じてリモート操作で問題を解決するなど、製品やサービスに関する知識とスキルが必要です。

クレーム対応

顧客が持つ製品やサービスに対する不満や、発生したトラブルに対応するためのコンタクトセンターです。単なる御用聞きになるのではなくクレーム対応は顧客満足度行動のチャンスと考え、様々な提案をすることが利益を生み出すコンタクトセンターになるためのポイントです。

フィールドサービス

生産機械や設備などを製造販売するメーカー企業が、定期的なメンテナンスを実施したりトラブル解決といったサービスを提供するコンタクトセンターです。顧客からトラブルの連絡を受けた際は、非対面のコミュニケーションでも顧客が抱える悩みや疑問をしっかりと引き出し、初回対応でトラブルを解決するためのスキルが必要です。

関連資料:

VOC(Voice of Customer)の取得から分析までの方法とは?
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コンタクトセンターが担う役割

コンタクトセンターは、企業と顧客が直接コミュニケーションを取れる重要な窓口です。ここでは、コンタクトセンターが担う3つの役割について詳しく紹介します。

  • 顧客との良好な関係構築
  • 多様なチャネルでの高品質な対応
  • 顧客の声を社内に伝える

顧客との良好な関係構築

コンタクトセンターは、顧客との良好な関係を構築する役割を担っています。

顧客は、商品やサービスそのものに対してだけでなく、企業とのコミュニケーションや応対の質などで、企業を選ぶことが多くなりました。そのため、コンタクトセンターは、顧客と直接コミュニケーションを取る窓口として、顧客満足度を向上させることが重要です。

顧客満足を向上させるには「多様なチャネルへの対応」のような仕組み作りや、「スピーディーな問題解決」「的確な提案」などの対応の質を良くすることなどが挙げられます。

コンタクトセンターは、顧客との良好な関係を構築し企業イメージアップの役目として、今後さらに比重を増してくるでしょう。

多様なチャネルでの高品質な対応

コンタクトセンターでは、多様なチャネルごとに合わせた高品質な対応をすることが求められています。

例えば、電話で問い合わせを行う顧客とSNSで問い合わせを行う顧客とでは、顧客ごとの特性も異なり、内容の緊急度も異なるでしょう。そのため、どのチャネルでも同じような対応を行っていては、顧客に対してストレスを与えてしまう可能性があります。

コンタクトセンターではチャネルごとの顧客の特徴や心理を理解し、それぞれ臨機応変に対応していくことが求められます。

顧客の声を社内に伝える

顧客の声を社内に伝えることも、コンタクトセンターの重要な役割です。顧客の声を直接聞くことができるコンタクトセンターだからこそ、他部門へダイレクトに顧客からの声を共有できます。

コンタクトセンターには日々、製品やサービスに関する問い合わせや意見・感想などが寄せられます。それを開発部門やマーケティング部門に伝え、より顧客が満足できる製品・サービスを開発することで「顧客満足度向上」「企業のブランド力アップ」に繋げられます。

関連記事:顧客満足度とは?向上の必要性や施策を紹介!

コンタクトセンターに導入できるシステム

従来のコールセンターのように、オペレータが顧客と1対1で対応する場合、オペレータの品質によって案内や内容が異なる場合があります。場合によっては、顧客満足度を下げてしまうリスクもあります。

質の高い顧客対応を実現するために、コンタクトセンターへ導入できるシステムがあります。応対レベルを上げられるもの、効率化に繋がるものなど4つを紹介します。

  •  チャットボット
  • 通話録音記録装置
  • CRM
  • CTI

チャットボット

チャットボットは、「チャット」と「ロボット」を組み合わせた言葉で、顧客と対話できるロボットのことをいいます。

 チャットボットを導入することで、応対レベルの向上や業務効率化に繋げられます。

 チャットボットは、問い合わせ内容に応じて人による応対が必要なのか、ロボットによる対応で済むのか自動的に振り分けてくれます。簡単な問い合わせ内容や良くある内容については、プログラム化されておりチャットボットが正しく問題解決してくれます。

 また、チャットボットは24時間稼働できるため、人手不足を補うこともできます。

通話録音記録装置

通話録音記録装置は、顧客とオペレータの通話を録音できる機械のことをいいます。

 通話録音記録装置を導入することで、トラブル発生時の確認やサービスの改善・向上への取り組みができます。

 万が一、コンタクトセンターの案内で顧客とトラブルになった際でも、通話内容を確認し、顧客への適切な対応が可能になります。

 また、誤った案内があれば改善し良い応対は組織にナレッジすることで、コンタクトセンター全体の品質向上に繋げられます。

 CRM

CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、顧客管理システムのことをいいます。

 CRMを導入することで、顧客管理が容易になり品質の向上や業務効率化に繋げられます。

 CRMでは、顧客情報や購入履歴、お問い合わせ内容などの顧客データを保管しておくことが可能です。そのためオペレータが、顧客について正しく理解し、適切な対応ができます。

関連記事:コールセンターに必須のCRMとは?その目的と活用例

CTI

 CTIとは「Computer Telephony Integration」の略で、コンピュータと電話を連携させるシステムのことをいいます。

 CTIはCRMと連携しており、入電の際、瞬時にコンピュータに顧客情報を反映させることが可能です。

 オペレータは顧客情報を見ながら対応できるため、確認時間を省き顧客に合わせた対応ができます。そのため、結果的に品質向上に繋がります。

これからはコンタクトセンターをプロフィットセンターに

コンタクトセンターは、従来は顧客の問い合わせ対応が主でしたが、今後は利益を生み出すプロフィットセンターとして運用する企業も増えていくでしょう。プロフィットとは「利益」という意味で、利益を生み出す部門として「プロフィットセンター」という言葉が使われています。コンタクトセンターが利益を生み出す方法としては、以下のようなものがあります。

  • 応対スキルを上げ企業ファンを増やす
  • 購買に繋げるため能動的に顧客への提案
  • 顧客の声をマーケティングや商品開発に反映する
  • システム導入で業務効率化を図る

顧客獲得機能としての役割が強く求められるため、顧客の満足度に貢献し、企業のファンとなってもらう役目も果たすことが重要です。

また顧客のニーズを掴み、的確な提案ができれば満足度への貢献はもちろん、商品購入につながり直接的に売上を上げることも可能です。

コンタクトセンターで掬い上げた顧客の声は、積極的に社内に共有しましょう。顧客の声を生かした商品やサービスが提供できれば、さらなる企業のブランド力アップが目指せます。

また、多くのオペレーターがミスを犯しにくく、情報の取得や端末への入力ができるようなシステムの構築も必要です。CRMやCTIを導入することで、オペレータの負荷軽減にもなるため、費用を軽減できるでしょう。

まとめ

電話のみを使用してきたコールセンターに対し、メールやチャットなど多チャネルを統合して、顧客とのコミュニケーションを担うのがコンタクトセンターです。活用次第では利益を生むプロフィットセンターとして運用もできるため、さらなる顧客の獲得も望めるでしょう。

もっと読む:これからのコンタクトセンター変革の方向性とは

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