コンタクトセンター・コールセンターの常識!
AHT、ACW、ATTとは?意味とその短縮について

  2023.11.20     2024.12.18

コンタクトセンターの指標として一般的に用いられるAHT・ACW・ATTとはどういったもので、これらを改善することによってどんなメリットがあるか解説しています。その上で、どうすれば短縮化が図れるか具体的な手法の紹介もしています。

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コンタクトセンターにおける「AHT」「ACW」「ATT」とは

「AHT」「ACW」「ATT」はコンタクトセンターで、業務の効率化をはかる際に注目したい指標です。コンタクトセンターでオペレーターの対応効率が低いと感じた場合は、これらの指標を正確にチェックすることによって業務改善の方向性を見出すことができるようになります。以下、それぞれの指標が具体的にどんな意味があるのかみていきましょう。

AHTの意味

「AHT」はAverage Handling Timeの略で、日本語では「平均処理時間」と訳します。AHTとは、1コールあたりにかかった総時間の平均のことです。電話をとって対応をし、その案件に関わる処理を行い次の電話の対応が可能になるまでにかかる時間の平均を指します。

ACWの意味

「ACW」はAfter Call Workの略で、日本語では「平均後処理時間」と訳します。コンタクトセンターにおいてオペレーターは、顧客との通話を終えたあとに、顧客の問い合わせ内容や意見の内容をまとめ応対記録を専用のシステムに入力したりする「後処理作業」を行います。

文字通り電話のあと(After Call)に、行うこれら後処理作業(Work)にかかった時間の平均がACWです。ACWはこの後に解説するATTと含めて、AHTを構成する要素の1つです。

ATTの意味

「ATT」とはAverage Talk Timeの略で、日本語では「平均通話時間」と訳します。後処理時間を表すACWに対して、ATTが意味するのは顧客との通話に限った平均時間です。

前述したとおり、ACW・ATTはいずれも最初に紹介したAHTの構成要素であり、これらの和がAHTとなります。たとえば顧客との通話にかかった平均時間(ATT)が10分で、そのあとの後処理にかかった平均時間(ACW)が5分であれば、AHT(平均処理時間)は「10分+5分=15分」となります。

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AHT、ACW、ATTの短縮が重要な理由

それでは、AHT・ACW・ATTはなぜ短縮する必要があるのでしょうか。1つずつ理由を考えていきましょう。

生産性の向上につながる

AHTが短縮され、オペレーターが1件の対応ごとに消費する時間が短くなれば、コンタクトセンターの生産性は向上します。たとえばオペレーターのAHTがそれまで15分だったところ10分に短縮されれば、オペレーター1人あたりが対応できる件数は「15分÷10分」で1.5倍に増えることになります。

コストの削減につながる

AHTの短縮に成功し、オペレーター一人あたりの生産性が向上すれば、コストの削減も実現できます。たとえばコンタクトセンターにかかってくる、1日あたりの平均入電数が600件だったとしましょう。その上で、これまで1人あたり1日平均20件ずつ対応できていたものが、オペレーター一人あたりの生産性が1.5倍に向上し1日平均30件ずつ対応できるようになったとします。

そうすると、コンタクトセンターに必要な人員数は単純計算で600÷20=30人必要だったところ、生産性の改善後は600÷30=20人にまで減らせるようになるわけです。結果、生産性があがった分だけ人件費も抑制できることになるため、コンタクトセンターの運営にかかるコストも削減できることになります。

生産性向上で減らせるコストは、人件費にとどまりません。たとえばATTが短くなれば電話代などの通信費も浮くことになります。「AHTがどのくらいであるか」は、コンタクトセンターのコスト管理をするにあたって重要な指標となるのです。

顧客満足度の改善につながる

サポートセンターやコールセンター等のコンタクトセンターに顧客が電話をかける際、最もストレスになるのはオペレーターにつながるまでの待ち時間が長くなることです。電話口でじっと待っている時間が長くなるほど、顧客のストレスが大きくなってしまうのは容易にイメージできるでしょう。オペレーターの対応に不備があり、説明が長引いてしまったり確認のための保留時間が長くなってしまったりしても、顧客のストレスは大きくなります。

その点、AHTが短くなれば顧客の待ち時間を減らせます。顧客がコンタクトセンターに電話してから、電話口で待たなければならなくなる時間も短くなるため、顧客のストレスが減り顧客満足度の向上につながります。

一方、コンタクトセンターの業務内容によってはAHTの短縮にのみ注力した施策を行うと、顧客の声が十分に収集できなくなり、コンタクトセンターとしての役割を果たせなくなる可能性もでてきます。短縮目標の設定には、生産性のみではなく顧客満足度の維持向上も考慮しバランスをとることが重要です。

AHT、ACW、ATTを短縮するには

AHT、ACW、ATTを短縮するには、どのようにすればいいのでしょうか。

簡単に短縮するといっても、オペレーターの努力だけで実現できるものばかりではありません。顧客の問い合わせ内容・要望によっては対応に時間がかかる場合もあるからです。顧客が話をしている最中にさえぎるなど、問い合わせを無理にクローズしようとすれば、今度は顧客の不満や不信を招く結果につながってしまいます。

とはいえ、コンタクトセンター側で何もできないわけではありません。ここでは、AHT、ACW、ATTを短縮するために抑えておきたい主なポイントを紹介します。

AHTはACWとATTに分けて考える

まずAHTを短縮するにあたって、ATT・ACWそれぞれで対策をうつことが必要です。ここを分けずにAHTだけに注目していると、個別の細かいポイントに気づけず問題の解決に至らない可能性があります。

ACWは処理内容の見直しなどで短縮を図る

顧客の問い合わせ内容によって短縮化が難しいATTと異なり、ACWはオペレーターの対応の仕方で主体的に短縮化が図れるという特徴があります。積極的に取り組んでいきましょう。

ACWを短縮するにあたり、重要なのは処理すべき内容の見直し・改修です。処理に時間がかかる原因を詳しく分析すると、手順が煩雑、上司確認のため報告文作成が別途必要、入力すべき項目が多過ぎるなどの原因が見えてくることが少なくありません。

オペレーターが顧客との対話内容を詳細に記録しても、入力した内容が社内で活用されていない、ということもあります。その場合は、オペレーターの工数が無駄になってしまいます。不要な項目はないか今一度見直して、あまり意味がないと考えられるものは思い切って廃止することも検討しましょう。オペレーターの入力システムを改修して、入力しやすくすることも、ACW短縮のためには有効です。

また後処理作業をスムーズに完了させるためには、オペレーターのスキル向上も目指しましょう。タイピングスピードの改善や、入力システムをより効率に使いこなせるようにするための研修の実施を検討するとよいです。簡潔に内容をまとめるための文章力向上のための研修も有効でしょう。

その他、コールセンターを効率化するためにチャットシステムを導入する事例もあります。チャットシステムが導入されれば顧客がより気軽に相談できるようになる上に、チャットで入力された内容をそのまま履歴にできるため、電話応対に比べ後処理の時間を短く運用できるという点もメリットです。

ATTは通話内容の分析などで短縮を図る

通話時間は、顧客の問い合わせ内容次第でどうしても長くなる場合もあります。この場合、無理に短く切り上げることはできません。一方で、オペレーターの説明が分かりづらかったり知識不足で保留が多くなってしまったりすることで、通話時間が必要以上に長くなってしまうケースも多いです。これらはコンタクトセンター全体で、改善していくべきポイントと言えるでしょう。

ATTを短縮化するためには、通話を録音しておき、あとから分析することが有効です。その際に、通話時間が長くなっている対応を選ぶと改善点が見つかりやすいでしょう。分析の方法もいろいろありますが、通話内容のテキスト化も一つの手です。音声では気付かなかった点が、文字にするとよく見えてくるということは多々あります。

たとえば的を射た説明ができていない、話がかみ合っておらず顧客が同じことを繰り返し聞いているなど、分析によって通話が長くなった原因が明確になってきます。その上で的確なスクリプトを用意し、ロールプレイング研修などで活かすとよいでしょう。

また逆に、お手本となるような対応例を探し出して、他のオペレーターに参考にしてもらうのも有効です。良い点を吸収して、対応の改善を促すマニュアルとするわけです。

まとめ

AHT・ACW・ATTは、コンタクトセンターの生産性向上やコスト削減を叶える重要な数値です。各数値の見直し・短縮を行うことで、顧客満足度の向上にもつながります。一度に改善させることは難しいかもしれませんが、できる事から一つずつ試してみてはいかがでしょうか。

この記事の推奨者

西川 由美
西川 由美
ベルシステム24入社後、13年間のオペレーション管理者を経験。通販、カスタマーサポート、金融システムヘルプデスク、自動車メーカーなど業界範囲は多岐に渡り、2011年には新規事業として在宅コールセンターの立ち上げを実施。業界でいち早く遠隔マネジメントの手法を確立した。ソリューション分野では、コンタクトセンター向けPBX、音声認識、自動化ソリューションなどOP経験を活かし幅広く課題や状況にあわせた提案営業を行っている。
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