パソコンやスマートフォンの普及に伴い、Webサイト上での取り引きも日常的になりました。しかし従来のシステムでは、実店舗のようにスタッフに直接相談することができないため、顧客が購入を諦めてしまう、ということも少なくありません。そうした顧客を引き留め、購入を促すために、実店舗に近い接客が可能なWeb接客ツールの需要が高まっています。
Web接客ツールとは
Web接客ツールは、実店舗での接客スタイルをWebサイト上で展開することで、より細やかでリアルタイムに顧客のニーズに応えることを実現するツールです。
たとえば、実店舗では顧客が商品購入の際に迷っていれば相談に乗ったり、疑問があれば速やかに対応したりします。このようなことも、Web接客ツールを導入することで、Webサイト上でも可能になります。
Web接客ツールの種類
Web接客ツールは大きく分けて2つの種類があります。「ポップアップ型」と「チャット型」です。
それぞれの特徴について解説します。
ポップアップ型は、営業やマーケティングを目的とした用途に適しています。
Webサイトを閲覧した人の性別や年齢、どのページに興味を持ったかなどのデータを収集し、訴求したい商品やサービス、お得な情報を最適なタイミングで表示します。顧客の購入意欲の促進、引き留めや新たな顧客の獲得につなげることができます。
チャット型は、顧客の問い合わせなどに対応するカスタマーサポートを目的とした用途に適しています。
サイトを訪問した顧客とチャット形式でやり取りをすることで、問題の速やかな解決が実現します。ユーザーの不安や疑問にその場で臨機応変に対応できる環境を整えることは、顧客の満足度につながり、サイトの離脱を阻止し、新たな購入実績へとつながります。チャットには、オペレーターが対応しているものと、チャットボットというシステムが対応しているものがあります。
Web接客ツールの必要性が増している背景
オンライン上で実店舗のような接客を実現するためのWeb接客ツールの需要が高まっています。その背景にはスマートフォンやパソコンが普及し、インターネットで商品を購入するEC(電子商取引)サイトを利用する人が増えたことがあげられます。オンラインで商品を購入する人だけでなく、商品を販売する企業も増加し、実店舗での販売と同様にいかにして顧客を獲得するかが、売る側にとっても重要となってきています。このことから、Web接客ツールを通して、ECサイトの利用に慣れていない顧客に対しては、少しでも実店舗と似た環境を提供し、また、ECサイトの利用に慣れている顧客に対しては、より快適でスピーディな利用環境を提供することで、リピートを促し販売を促進しようという狙いがあります。
さらに、一般にチャット形式のやりとりが広く普及したことも、大きな理由としてあげられます。チャット形式のコミュニケーションは、電話やメールといったやりとりよりも気軽で簡単という印象があります。チャットですぐに聞きたい本題に入れるという問い合わせ形式の導入は、顧客のストレスを軽減し心理的なハードルも低くします。ちょっとしたことでも聞けるという実店舗と似た気軽さが、その場で解決、購入へという結果につながります。
Web接客ツールの導入メリット
Webサイト上で実店舗に近い購入環境を提供して、販売を促進するためのWeb接客ツールですが、導入することで、実際にどのようなメリットがあるのか紹介します。
顧客満足度の向上
Web接客ツールを導入すると、顧客が興味を失わないうちにチャットで応接できるので、顧客の疑問や不安を解決し購入へと導くことができます。また興味を失った顧客がサイトから離脱したり、商品や対応に不満を感じた顧客が商品を解約したりするのを防ぐことも期待できます。さらに、問題がすぐに解決されることで顧客に安心感をあたえ、顧客満足度が向上しリピート率も上がります。
業務の効率化
チャットの利用で、業務の効率化がはかれるのも、Web接客ツールを導入して得られるメリットです。チャットはメールや電話に比べて一度のやり取りが短いので、問い合わせに対する対応時間を短くできます。また、チャットボットを取り入れて、想定される問い合わせへの回答を自動応答させることで、サポートスタッフの業務負担を軽減し、工数を削減できるので、さらなる効率化が期待できます。
コンバージョン率(成約率)の改善
サイトを訪れた人の何人が成約(購入)したかを示すコンバージョン率(CVR)は、利益を得るうえで重要な要素のひとつです。このことからも、Web接客ツールを活用し、コンバージョン率の改善が期待できることは、大きなメリットです。
Web接客ツールを導入すると、Webサイト上で購入を迷っている顧客に対し、ポップアップでクーポンを発行したり、チャットで疑問や不安に即座に対応したりすることで、購入を後押しでき、コンバージョン率を上げることができます。
Web接客ツールの選び方
顧客満足度の向上や業務の効率化、コンバージョン率の改善など、EC(電子商取引)において、Web接客ツールはメリットが大きいだけに、さまざまな企業が開発し提供しています。多くのWeb接客ツールから最適なものを選ぶためには、まず機能・予算・導入のしやすさの3点ををしっかり見極めることが大切です。
まずは、何のためにWeb接客ツールを導入したいのか、その目的をはっきりさせた上で必要な機能を備えたツールを選択することをおすすめします。たとえば、クーポンの発行など、顧客に合わせたサービスを訴求して顧客を獲得したい場合は、ポップアップ型が適しています。また、顧客からの問い合わせに速やかに対応することで、顧客の満足感を向上させコンバージョン率を上げたいというのであれば、チャット型が適しています。目的によって、導入すべきツールは異なります。
また、Web接客ツールを選ぶにあたって予算(費用)も重要な要素になります。多くの機能が提供されているツールは魅力的ですが、その分コストもかかります。必要以上に高機能なツールを導入しても、活かせなければもったいないだけです。利用する目的と予算をすり合わせ、無駄のない費用で最大の成果が得られるツールを選ぶことが大切です。予算を組む場合、ツールの価格だけでなく、運用にかかる経費や節約できる工数なども考慮して選択すると、途中解約といったトラブルを回避できます。
さらに、導入のしやすさも大切です。初めてWeb接客ツールを導入する場合は、できるだけシンプルで操作しやすいツールのほうが、導入もその後の運用もスムーズに進みます。また、導入や運用が多少複雑でも、手厚いサポートを特色として掲げているものもあります。このようにサポートの範囲や利用のしやすさなども考慮したうえで、導入や運用に負担の少ないものを選ぶと良いでしょう。
購買単価が2倍に増加も! Web接客ソリューション
ここでは、ベルシステム24のWeb接客ツールを紹介します。ベルシステム24は、顧客と企業がチャットでコミュニケーションを取れるツールを提供しています。AIチャットボットとオペレーターによる有人チャットの融合を特徴としていて、AIが回答できない問い合わせに対してだけ、オペレーターが対応するので、接客効率の向上や人件費の削減が可能だとしています。
また、これまで一般的だった、問い合わせに対して回答するという形だけではなく、顧客のサイト上でのアクションや対話の流れに応じてコミュニケーションを展開するという、新たな特徴も備えています。ライブ感のある接客で、顧客に特別感を演出し、自社ブランドを認識させるブランディングが行えます。
こうした特徴の成果として、実店舗と同様の20%という高いコンバージョン率を達成したり、リピート率がアップしたりといったメリットが生まれています。さらに、平均購買価格が2倍に増加するという驚くべき成果も残しています。
参考サイト:https://www.bell24.co.jp/ja/solutions/omni_oksky/index.html
まとめ
かつて対面が当たり前だったビジネスの世界は、スマホやパソコンの日常使いが普及するにつれて大きく変わりました。時代の流れに即応して更なる結果を生むために、Web接客ツールの導入は大きく期待されています。顧客と企業、これまで一方通行だった双方の流れがツールを利用することで、コミュニケーションの場へと変わりました。顧客のニーズに速やかに対応し、顧客にとって有益な情報を最適なタイミングで提供できることはもちろん、Web接客ツールの導入でコンバージョン率の向上や業務の効率化も実現できます。導入の際は、目的と予算を明確に定めて無理のない最適なツールを導入することが求められます。
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