オムニチャネルとは? メリットや、マルチチャネルとの違い

 2022.03.31  2023.05.18

マーケティング用語として頻繁に耳にするオムニチャネル。小売業にとって重要な施策であり、大企業はもちろん、中小企業でも本腰を入れて取り組む企業が増えています。なぜオムニチャネルが重視されるのかを解説した上で、オムニチャネルをスムーズに推進する際に注意するべきポイントや実際の導入事例などを詳しく紹介します。

デジタル時代にふさわしい 顧客へのアプローチとは ~多様化する顧客接点を活かして真の顧客体験の実現へ~

オムニチャネルとは?

オムニチャネルとは、実店舗やカタログ、ECサイト、モバイルアプリなど、企業とユーザーとの接点となるチャネルを統合して一貫した顧客体験を提供することで、販売機会を逃さないためのマーケティング手法のことです。
ひと昔前まで、企業が顧客にアプローチする手段としては新聞の折り込みチラシやテレビCMが主流でした。しかし現在ではスマホやタブレットなどのモバイル端末、TwitterやInstagram、YouTube、LINEなどのSNSが普及し、顧客が商品の存在を認知してから購入するまでのプロセスは複雑化しています。そこで顧客の購買意欲が高まったタイミングでスムーズに商品・サービスを購入できるよう、あらゆるチャネルからアプローチしようというのがオムニチャネルの考え方です。オムニチャネルではすべてのチャネルが統合されているため、顧客はどのチャネルにおいても等しくパーソナライズされた情報や商品・サービスの提供を受けることが可能になるのです。
オムニチャネルによって顧客の利便性を高めることで、満足度の向上およびリピート化、ひいては売上の拡大につなげていくことができます。

オムニチャネルの市場規模

野村総合研究所が公表した調査データによれば、オムニチャネル・コマース市場の市場規模は年々拡大傾向にあり、2020年度の時点では前年比1.7%増の56.7兆円で、2026年度には80.9兆円まで増加することが予測されています。なおこの数値は実店舗かインターネット経由かを問わず、商品・サービスを購入した一般消費者のうち、企業ホームページやSNS、クチコミサイトなどネット上での情報をもとに買い物をしている人のデータによるものです。
昨今の新型コロナウイルスの感染拡大を受け、実店舗では業種問わず売上の低迷が目立ちますが、以前より加速するデジタルシフトにWithコロナによる外出自粛の影響が加わって、ECや動画配信サービスなどデジタルでの消費ニーズは一層高まっています。オムニチャネル市場としての規模は今後も広がっていく見通しで、企業の購買戦略としても当たり前の世の中になりつつあります。
(出典:野村総合研究所|2026年度までのICT・メディア市場の規模とトレンドを展望p.7)

オムニチャネルが注目を集めるようになった理由

オムニチャネルが注目を集めるようになった理由としては、スマホやSNSの普及、情報テクノロジーの進化、AmazonをはじめとするEC企業の台頭などが大きいといえます。消費者はインターネットとスマホによって、いつでもどこからでも商品・サービスに関する情報の収集や注文ができるようになりました。実店舗で買い物するとしても、SNSでの評判やクチコミサイト、ランキングサイトなどを参考にし、複数の商品を比較しておおよその目星をつけてから店舗に足を運ぶという買い方も珍しくありません。
このようにさまざまなチャネルを横断する顧客の消費行動に合わせ、複数のチャネルを用意し、顧客がその時々でもっとも都合のよいチャネルを選んで利用できるようにすることが、企業にとって接点および販売機会の拡大につながると同時に顧客体験の改善にも寄与します。

ショールーミング対策としてのオムニチャネル

オムニチャネルの展開はショールーミング対策としても注目されています。ショールーミングとは、消費者が実店舗で商品の確認だけを行い、実際の購入はECサイトで行われる消費行動のことです。「商品を店舗から家まで持ち運ぶのが大変」「ECサイトで購入した方が安く購入できる」などの理由から、実際に店舗で実物を見てそのまま商品を購入するのではなく、ショールーミングする消費者が問題となっています。
ショールーミングの増加は、ECサイトでの売り上げ増加につながる一方、実店舗の売り上げを減少させます。ECサイトを運営する企業にはプラスになっても、実店舗を運営している企業にとっては売り上げが低下するマイナス要素になるため、対策が必要です。そこで有効となるのがオムニチャネル展開です。
たとえば、顧客が実店舗で気に入った商品を見つけたけれど、その店舗に欲しい色やサイズの在庫がない場合、これまでは他の店舗やECサイトで購入するなど、販売機会が失われていました。オムニチャネル化している企業の場合、店舗内に在庫がなくても同系列のECサイトにあれば、店舗で代金を受け取って後日ECサイトから商品を発送することが可能です。

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オムニチャネルとマルチチャネルなど他の戦略との違い

マーケティング戦略におけるチャネルとは、販売者と顧客との接点を指します。このチャネルに着目した戦略としてオムニチャネルのほかに、シングルチャネル、マルチチャネル、クロスチャネルがあります。また混同されやすい概念としてO2Oが挙げられるでしょう。ここでは、オムニチャネルと他の戦略との違いを解説します。

シングルチャネル

顧客との購入接点がひとつ(シングル)である販売戦略をシングルチャネルと呼びます。言い換えると、店舗のみ、ECサイトのみ、といった単一チャネルでの販売形態です。顧客にとって購入時の選択肢が限られるデメリットがあるものの、企業にとっては複数のチャネルを運営するよりも店舗管理が容易なことが特徴です。
AIDMAと呼ばれるように消費者の購買行動が比較的シンプルに理解できた時代には、販売はシングルチャネルで十分でした。もちろん今でもシングルチャネルは存在しますが、「地方の店舗で販売していて足を運ぶのは困難なので、ECサイト経由で購入したい」「友だちがSNSでシェアした商品をスマホですぐに購入したい」など、今の時代の消費者ニーズにはマッチしていない部分もあります。

マルチチャネル

実店舗を運営しながらECサイトを運営する、カタログ通販企業が電話やインターネット経由で申し込みできるようにする、など、顧客接点を複数(マルチ)持つ販売戦略をマルチチャネルと呼びます。顧客は自分のニーズに合わせてチャネルを選び、商品の購入が可能です。
一見オムニチャネルとよく似ていますが、チャネル同士の連携はなく、それぞれが独立している点が異なります。顧客接点が増える分、シングルチャネルよりも販売機会の拡大が期待できますが、運営コストや人員負担が増加します。

クロスチャネル

複数チャネルを持つ企業が、各チャネルを連携させ情報を共有する施策がマルチチャネルの発展形となるクロスチャネルです。
チャネルごとの情報を共有することで、在庫切れによる販売機会損失を防げます。CRMや商品管理システムなどのツールでデータを統合して運用されます。しかしオムニチャネルのように、チャネルの管理を一括で行っているわけではないため、対応が一貫していない問題もあります。

O2O

O2Oとは、Online to OfflineもしくはOffline to Onlineの頭字語です。オンラインでのプロモーションを通じてオフラインチャネルへ誘客する、またはオフラインでのプロモーションを通じてオンラインチャネルへ誘客する施策を指します。たとえば、Webメディアでキャンペーンの告知をして実店舗へ人を集めたり、フリーペーパーにクーポンを付けて人の興味を集めECサイトに誘導したりといった施策が挙げられるでしょう。
O2Oは短期的な新規顧客獲得が主目的です。一方オムニチャネルは、顧客満足度向上や顧客の囲い込みを目的としている点が異なります。

オムニチャネル化のメリット

オムニチャネル化は、顧客にとっても企業にとってもメリットがあります。顧客にとっては購入時の利便性が向上し、企業にとっては顧客満足度の向上や高度な顧客分析、機会損失の減少などが見込めるでしょう。ここでは企業側の視点でオムニチャネル化のメリットを詳しく解説します。

顧客満足度の向上

オムニチャネル化が実現すれば、顧客は好きなタイミングで好きなチャネルから買い物ができるため利便性が向上します。たとえば、顧客が気に入った洋服のサイズが店舗で在庫切れだった場合、ECサイトに在庫があれば直接顧客の自宅に配送することで、企業は販売機会の喪失を防げますし、顧客に再び店舗まで商品を取りに来てもらう手間をかけさせません。
さらに採寸や試着が必要な洋服を例にとると、一度店舗で計測した採寸データを顧客情報として登録してアプリ上で確認できるようにしておけば、二度目以降はわざわざ来店せずとも画面操作のみで体型に合った商品を購入でき、顧客体験が向上します。顧客満足度を向上させることで、ブランドへの信頼獲得や顧客の囲い込み、売上増加を期待できるでしょう。

顧客分析の高度化

さまざまなチャネルでの顧客データを同一IDによって一元管理することで、より高度な顧客分析が可能になることもメリットです。たとえば、実店舗での購入履歴に基づいて、顧客が興味を持ちそうな商品を紹介するメルマガ配信やアプリでのプッシュ通知、ECサイトでカートに入れたままになっている商品を印刷したDMハガキの郵送など、購入を促す施策を実施できます。一人ひとりにパーソナライズされた情報発信やおすすめ商品の提案をすることで、顧客にとってより満足度が高いアプローチが行えます。

機会損失の減少

オムニチャネル化による顧客データや販売情報の一元管理は、顧客ごとに適した対応を可能とし機会損失を減らせます。プリンターのトナーやハブラシなどの消耗品販売を例に挙げると、次の商品の購入が必要になるタイミングで顧客への通知を効果的に行えます。その際に魅力的なプロモーションを提示すれば、継続購入を促しつつ購入機会の損失を防げるでしょう。
実店舗で購入を検討した商品のサイズ違いや色違いが在庫切れだった場合、在庫情報を一元管理していればECサイトの在庫情報を確認して、待たせることなく顧客の自宅へ配送が可能です。オムニチャネル化により販売機会を増やすだけでなく、在庫や購入タイミングのミスマッチによる販売機会損失を低減します。

業務効率の向上

オムニチャネル化によって商品在庫や受発注、顧客データなどのデータを一元管理することで、各部門で必要な情報を効率的に取得できるため、確認作業や検索などの時間が削減され、業務効率の向上につながります。
商品の在庫が一元管理されている場合、店舗やECサイトで商品在庫がすぐに確認できます。コンタクトセンターに顧客から問い合わせがあった場合でも、すべてのチャネルの購買履歴をはじめとした顧客情報を一元管理している場合では、担当の部門に問い合わせをすることなく、すぐに顧客情報を確認することが可能です。また、オムニチャネルによる業務効率化によって従業員の残業時間削減や作業負担軽減が実現することで、人件費の削減も期待できます。

オムニチャネル化の注意点

オムニチャネルは顧客の囲い込みだけでなく、在庫一元管理による業務効率化、デジタル化によるDX推進などさまざまな効果が期待できます。企業がオムニチャネル化に取り組む際には、以下の2点を頭に入れておくことでスムーズに導入を進められます。

効果が出るまでに時間がかかる

オムニチャネル化を進めるためには、バラバラに管理していた在庫や顧客データを一元管理するなど企業内部の変革が必要です。さらにチャネルごとの連携を行い、時間や費用をかけて顧客満足度を向上していく必要があります。
O2Oのように短期的に効果が出るわけではないことに注意しましょう。

実店舗とWeb販売部門を連携する

オムニチャネル化に取り組む企業にありがちな失敗として、組織内の連携が不完全でうまくいかないことがあります。特に実店舗とECサイトの販売部門は売上がバッティングしやすく、連携は容易ではありません。売上以外の成果指標を導入する、チャネルを横断した売上は部門で実績を案分するなど、両部門の連携がスムーズになるルール作りが必要です。
オムニチャネル化を図る場合には、効果測定が行いやすく新しいことに取り組みやすいオンラインチャネルに注力しがちです。しかし実店舗や紙媒体などのオフラインメディアも重要なチャネルであり、おろそかにはできません。POS端末やIoTデバイス、スマホの活用により顧客の行動履歴や嗜好をオフラインチャネル経由でも取得し、オンラインチャネルとの連携をきちんと行ったうえで多角的な視点から顧客を理解することが重要です。

システム導入にコストがかかる

オムニチャネル化には、複数のチャネルを設置・運営して、各チャネルを連携させるシステムの導入が必要です。そのため、新しい販売チャネルの設置・運営にかかる費用、在庫管理・顧客管理などを一元管理するシステムの開発費用、データベースを管理する費用など、さまざまなコストがかかります。また、担当者がシステムの操作方法を身につけるための社員教育や新規雇用などの人件費にも考慮が必要です。
オムニチャネル化を検討する場合は、事前に予算を策定し、システム導入に回せる費用を準備しておかなければなりません。

オムニチャネルを成功させるポイント

オムニチャネルはただチャネルを増やせば販売機会が増えるというものではありません。異なるチャネルを連携させようとすれば、その分在庫や商品の管理は複雑になります。以下ではオムニチャネルを成功させるために企業がまず取り組むべきこととして、いくつかのポイントを紹介します。

ロードマップの策定

オムニチャネル化はすべての部門に影響する全社的な取り組みです。まずは将来的なゴールまで視野に入れたロードマップを策定し、全体の取り組みを可視化しましょう。
ロードマップとは、その名のとおり道路地図のことですが、ビジネスにおいてはゴールにたどり着くまでに行うことを時系列にまとめた計画表を指します。ロードマップを策定すると、組織内で目的やスケジュールを共有しやすくなり、具体的な計画を立案しやすくなります。またメンバーのモチベーション維持にも効果的です。いつ、誰が、何をするべきか、スケジュールが記載されたロードマップを策定したうえで、ゴールへ至るために必要な準備を明確にしつつ計画的に推進していくとスムーズです。
逆に経営層の「オムニチャネルに取り組みたい」という漠然としたイメージで走り出してしまうと、段階を踏むごとに目的やスケジュールがぶれてしまい、最終的には大幅な期限超過や最悪計画そのものの破綻を招く危険があります。オムニチャネル化を成功させるためには、ロードマップ策定は欠かせません。
計画策定前には競合が取り組むオムニチャネルの状況を調査することも重要です。計画策定後にはペルソナを設定し、カスタマージャーニーマップの作成にも取り組みましょう。そのなかで顧客の行動やタッチポイント、感情などを把握するのも効果的です。

社内体制の構築

オムニチャネルを実践するには初期投資に費用がかかり、すぐに成果が出るわけでもありません。店舗とECの在庫をリアルタイムで連携するためのシステム整備、店頭に在庫がない場合にECの在庫を手配したり、ECからの注文商品を店舗で受け取ったりといった商品管理のオペレーション構築など、組織全体で取り組む必要があります。
オムニチャネルを実践するにあたっては、これまでになかった業務が新たに追加されることも考えられるため、研修などを通じて従業員にオムニチャネルの必要性を理解してもらい、新しい業務フローに関する教育も行います。オムニチャネルでは複数のチャネルが相互に影響を及ぼし合って成果につながることから、チャネルごとの売上目標や評価制度の見直しも求められるでしょう。
実店舗やECサイト、物流など各担当部署が縦割りの構造になっている場合は、それらを横断的に連携させるための組織改変も不可欠です。企業によってはECサイトを運営する部門、実店舗を運営する部門、マーケティング部門など、チャネルや役割によって部門が分かれます。「ECサイトの売上が増えると実店舗の売上が減るから困る」と考えるようではオムニチャネルの推進は困難です。縦割り組織では、部門ごとに対抗意識を持っている場合もあるため、従業員の意識変革は成功のために欠かせないプロセスのひとつです。
なかにはオムニチャネル化をきっかけに、組織再編を行う企業やトップ直属でオムニチャネル推進部門を作りまとめ役を置く企業もあります。それだけ縦割り組織ではオムニチャネル推進が難しいということでもあります。

問い合わせ窓口の統合

オムニチャネルでは接点が増えても問い合わせ窓口は統合されていることが大前提です。電話、Webフォーム、チャット、アプリ、いずれのチャネルからの問い合わせであっても、顧客情報をCRMなどで共有し、一貫性のある顧客体験を提供することが満足度向上につながります。たとえば顧客が一度Webフォームから問い合わせたことについて、再度確認したいことがあってコールセンターに電話をかけた際、一から顧客情報を聞かれたり状況を説明させられたりすれば、顧客は企業に対してネガティブな印象を受ける恐れがあります。そのような事態を回避するためにも、顧客情報は一元化しておくことが重要です。

ブランドイメージの統一

実店舗やECサイトなどさまざまな販売チャネルを展開するオムニチャネルでは、すべてのチャネルのブランドイメージを統一することが重要です。ブランドイメージを統一することで、顧客はどのチャネルを利用してもそれぞれが同じブランドのチャネルであると認識されやすくなります。
すべてのチャネルでロゴやブランドカラー、デザインなどのブランドイメージが統一されていると、チャネルが異なってもユーザーにブランドの価値をアピールしやすいというメリットもあります。あえてチャネルごとに違うイメージを展開して成功している企業もありますが、そのような戦略はうまくいかないと顧客に混乱を与えるリスクがあります。

顧客層に合わせたチャネルの導入

ターゲットとなる顧客層に合わせて導入するチャネルを選ぶことが重要です。そのためにはまず、既存の顧客をターゲットとするのか、新規顧客の開拓を目指しているのか、といったチャネル導入の目的を明確にしなければなりません。
若い世代をターゲットとする場合にはチャットやSNSを活用し、高齢世代がターゲット層の場合にはコールセンターを拡充するなど、ターゲットに合わせたチャネルを導入することで効果的なチャネル展開が可能です。

継続的な効果検証

システムや顧客データを一元化した後は、PDCAを回しながら効果検証と改善を継続的に行うことがポイントです。たとえば実店舗とECサイトで在庫情報を共有したとしても、実運用フェーズでは、店舗スタッフがスムーズに在庫情報を確認できずに顧客を待たせてしまうということも起こりえます。このような課題が発生した際には、スマホで在庫確認ができるアプリの開発やタブレット端末の導入など、適切な改善策を実行して不備が起こらないよう配慮します。
実際に運用を始めてから見えてくる課題を社内で共有し、改善策を見つけ出すプロセスは、オムニチャネル成功のために欠かせません。カスタマージャーニーマップやロードマップと照合しつつ、適した方向へ軌道修正していきましょう。
以下の記事も導入に向けてぜひ参考にしてください。
コンタクトセンターにおけるチャネル最適化とオムニチャネルの必要性
オムニチャネルにおけるコンタクトセンターと他部門・店舗の連携

オムニチャネル化した企業の事例5つ

近年、オムニチャネル化を導入する企業は増加しています。スマートフォンやタブレットが普及してユーザーの購買方法が多様化している現在では、実店舗以外の販売チャネルを導入することで成功している事例が多くあります。以下にオムニチャネルを展開している企業の事例を紹介します。

1.無印良品

日本国内だけでなく、アメリカやフランスなど国外にも数多くの店舗を展開する「無印良品」ブランドで知られる良品計画では、「MUJI passport」アプリの導入により、世界的なオムニチャネル化に成功しています。
MUJI passportは、ネット注文や商品の店舗受け取りサービスなどが利用できるスマホアプリです。商品・店舗検索や店舗への入店でマイルが貯まる機能もあり、ユーザーが店舗に足を運びやすい仕様になっています。
企業側のメリットとしては、収集した顧客行動データを分析するBIツールを導入することで、これまでは把握できなかった顧客データを整理し、商圏の把握や顧客情報の推定を実現しました。MUJI passportを中心としたオムニチャネル化により、顧客とのコミュニケーションを増やして顧客に的確なアプローチができるシステムを構築したことで、全体の売り上げ向上や最高益の達成につながっています。

2.ユニクロ

売り上げが低迷しているアパレル業界において、ファーストリテイリングが展開する「ユニクロ」ブランドがオムニチャネル化に成功した事例を紹介します。ユニクロは、オムニチャネル化により海外での売上高が増加したことで、2022年8月期には過去最高益を達成しました。
EC比率拡大を続けているユニクロでは、AIを活用したチャットボット「UNIQLO IQ」を展開しています。オンラインストアやアプリのトップページから利用でき、商品選びや配送状況の確認、返品・交換方法など、さまざまな質問に対応します。商品選びに悩んでいる場合では、着用シーンや商品の特徴、キーワードなどからおすすめ商品のアドバイスが受けられます。コーディネート例をチェックして、商品購入の参考にすることも可能になりました。
また、オンラインストアでWeb限定商品を展開することで、Web会員の差別化を図りネット販売強化につなげています。実店舗数が多いことから、オンラインストアで購入した商品をユーザーがいつでも店舗で受け取れるサービスも行っています。この施策は実店舗の集客にもつながり、売り上げの向上が実現しました。
(参照元:https://www.fastretailing.com/jp/ir/direction/interview.html

3.ファンケル

化粧品やサプリメントを販売するファンケルは、オムニチャネル化により増収増益を実現しています。ECサイト「ファンケルオンライン」や、スマホアプリ「FANCLメンバーズ」を展開して、実店舗とECサイト、カタログ販売をシームレスに利用できるシステムに変化しました。
「FANCLメンバーズ」は、実店舗やECサイトで商品を購入した際に、どの店舗を利用した場合でもポイントが貯まるポイントカード機能、AIによるパーソナル肌分析、来店前のカウンセリング予約サービスなど、さまざまな機能を搭載しています。
アプリを介してのチャネルを超えた利用により、ユーザーの利便性を高めたことが成功につながっています。

4.イオン

大手小売業者のイオンでは、ECサイト「イオンドットコム」の運営やスマホアプリ「イオンお買い物」の展開などでオムニチャネル化を進めています。
ECサイトからイオンスクエアメンバーに登録することで、ECサイトと実店舗の買い物で獲得するWAONポイントが一元化されます。これにより、店舗だけでなくECサイトでもポイントを利用することが可能です。
「イオンお買い物」アプリでは、スタンプカード、実店舗でも使えるお得なクーポンの配布、お気に入り店舗のチラシ閲覧などの機能が使用可能です。実店舗に誘導するだけでなく、Web限定品やアプリ会員限定キャンペーンも用意することで、アプリ利用の向上も図っています。

5.ヨドバシカメラ

大手家電量販店のヨドバシカメラでは、実店舗とECサイトを統合した「ヨドバシ・ドット・コム」を運用しています。ヨドバシ・ドット・コムは、家電製品をはじめ日用品やスポーツ用品などさまざまな商品を展開する巨大なECサイトです。
オムニチャネル化により実店舗とECサイト間で在庫情報を一元化、販売価格を統一しているため、店舗による価格の違いを気にすることなく在庫状況を確認した上で商品が購入できます。ECサイトと実店舗でのポイントの共通化や、ECサイトからの注文を店舗で受け取れるサービスなど、注文から受け取りに至るまでチャネルを超えて利用できるサービスで、ユーザーの利便性を高めています。

ベルシステム24が提供するオムニチャネルソリューション

最後に、30年以上にわたってコールセンター業界を牽引してきたベルシステム24が提供するオムニチャネルソリューションをご紹介します。「チャットサポートソリューション」は、問い合わせ窓口としてチャットの導入を検討している企業に対してツールの選定から導入、運用、効果検証までをワンストップで提案するサービスです。また、「Web接客ソリューション」では、ECサイトにおいてチャットを通じて双方向かつリアルタイムでのコミュニケーションを実現し、リアル店舗との購買率の差を縮めることに貢献します。
顧客接点の拡大と顧客満足度の向上を図るうえではオムニチャネルの実践が大きな鍵を握っています。オムニチャネル戦略を検討中の方は、コールセンター業界において豊富なチャネル連携のノウハウを持つベルシステム24にお任せください。

まとめ

オムニチャネルとは、実店舗やECサイト、カタログ通販などチャネル間で情報や在庫を統合し、一貫性のある顧客体験を提供することで販売機会を拡大していこうとする販売戦略です。現在はスマホを起点として消費者の購買プロセスが多様化しています。顧客が好きな時に好きなチャネルから商品・サービスの購入や問い合わせができる体制を整備することで、顧客満足度を向上させ、リピート購入やブランドのファン化の促進につなげられます。

企業が顧客を囲い込む手段としてオムニチャネルは有用な戦略ですが、推進には時間や費用がかかるものです。また顧客向けのサービス整備に加えて、バックエンドの顧客データや在庫情報を一元管理するのは容易ではないため、全社的に取り組むことが重要です。顧客接点としてコンタクトセンターを拡充するのも効果的でしょう。

オムニチャネルの実践には、ぜひ本記事で紹介した成功のポイントや事例を参考にしてください。

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