生成AIの仕組みとは?
AIとの違いやディープラーニングについて紹介

 2024.05.28  2024.08.26

近年、社会では生成AIが急速に普及していますが、生成AIがどのような仕組みでなにができるのか、よく知らない方も多いのではないでしょうか。この記事では生成AIの概要や仕組み、AIとの違いなどについて、活用事例を交えながらわかりやすく解説します。

生成AIの仕組みとは? AIとの違いやディープラーニングについて紹介

生成AIがもたらす革新と可能性

生成AIとは?

生成AIとは、文章や画像、動画などさまざまなコンテンツを新たに生成する技術のことで、「ジェネレーティブAI」とも呼ばれます。生成AIは開発、学習過程で膨大なデータを読み込みます。そしてプロンプト(指示)に従ってそのデータから関連性があると思われるものを組み合わせ、新たなコンテンツやアイデアを生成します。生成AIはAIの中でも比較的新しいテクノロジーで、その「0から1を生み出す」性質からビジネスシーンや日常生活で幅広く活用され始めています。

生成AIの基本的な仕組み「ディープラーニング」の特徴

生成AIはまず与えられたプロンプト(指示)を解析し、次に入力されたデータを分析して特徴を学習し、それをもとに新たなコンテンツを生み出すのが基本的な仕組みです。このデータを分析し、共通する特徴を抽出する技術を「ディープラーニング(深層学習/Deep Learning)」と呼びます。ディープラーニングはAIの機械学習の一種ですが、機械学習よりも自ら学習を重ねて複雑な回答を導き出せるのが特徴です。

AIと生成AIの違い

AIと生成AIの違い

生成AIと混同されやすいのがAI(人工知能)です。大前提として生成AIはAIの一種です。つまり、AIという大きな分類のなかに、生成AIというカテゴリーが含まれています。

生成AIとAIの最大の違いは、「オリジナルコンテンツをつくれるかどうか」です。従来のAIは、学習したデータの中から適切な回答を提示するだけで、オリジナルコンテンツはつくれません。一方、生成AIは学習したデータからオリジナルコンテンツを生み出します。

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生成AIにも活用される機械学習の仕組み

生成AIの学習には機械学習が欠かせません。そもそも機械学習とは、コンピュータが与えられたデータをもとに反復して自動で練習する技術のことです。

生成AIに活用される機械学習の仕組みを、それぞれ解説します。

教師あり学習(Supervised Learning)

教師あり学習とは、教師となるデータ(正解データ)を与えた状態で学習させる手法のことです。

教師あり学習では、あらかじめ問いと答えをすべて提示し、AIに読み込ませます。たとえば、数字の1~9を手書きし、「これが1である」「これが2である」とわかるようにラベリングします。それを学んだAIは、別の手書きを提示した際、それぞれがどの数字なのかを自動的に判別できるようになります。

さらに教師あり学習には、「分類」と「回帰」の2種類があります。分類の主な目的は各データがどれに属するかを予測することです。たとえば、メールのテキストデータから受信メールがスパムメールかどうかを予想します。一方の回帰は、学んだデータをもとに将来的な数値を予測するのが主な目的です。具体例としては、過去の売り上げデータをもとに今後の売り上げを予測します。

教師なし学習(Unsupervised Learning)

教師なし学習では、あえて明確な質問や答えを用意しません。いくつかの学習用のデータをAIに渡すと、AIはデータから共通する特徴を見つけ出し、グルーピングします。繰り返しグルーピングすることで、明確な答えを与えなくても自動的に共通点を見つけられるようになります。

教師なし学習の具体的な手法には、「クラスター分析」や「主成分分析」などがあります。クラスター分析は、大量のデータから共通点のあるデータ同士をまとめる方法です。一方の主成分分析は、多数にグループ分けされたものを分類し直してグループ数を少なくすることで、データを理解しやすくする手法のことです。

たとえば、コンタクトセンターには「接続できないがどうしたらよいか」「特典はいつ付与されるのか」など、さまざまな問い合わせがあります。これらを「接続に関する質問」「特典に関する質問」など、共通点を見いだして分類するのがクラスター分析です。しかし、質問の内容が多岐にわたり、細かく分類すると数十、数百になってしまう場合、理解するのが大変になります。そこで、新しく「問い合わせ」「クレーム」「要望」といったような大きなカテゴリーをつくり、そこに振り分けし、解釈しやすくする方法が主成分分析です。

強化学習(Reinforcement Learning)

強化学習は、AIによる効率化や最適化を可能にする学習方法です。強化学習では、AIにデータを処理させたあと、その結果をスコアリングします。スコアが最大になるよう、AIに試行錯誤させて最適な方法を学ばせるのが特徴です。
強化学習を用いたAIの活用事例としては、囲碁や将棋のAI対戦が有名です。どうすれば相手に勝てるかを学び、プロをも苦戦させる強力な一手を打ち出します。
また、自動車の自動運転化にも強化学習は活用されています。たとえば、信号が青のときに進むとスコアが高く、赤のときに進むとスコアが減点されるように設定しておけば、AIは自動的に信号が青のときに進み、赤のときには止まるようになります。

深層学習(ディープラーニング/Deep Learning)

これまで解説した3つの学習方法は、いずれも人間がデータを与えて意図した答えを導けるように設定しているのが特徴です。一方のディープラーニングは、大量のデータから自動的に特徴を探し出して学習するため、人間のサポートは必要ありません。

深層学習には生成AIのChatGPTにも使われているGPTのほかに、VAEやGAN、あるいは拡散モデルなどが存在します。GPTは自然言語処理モデルであり、文章作成に使われます。一方、VAEとGAN、および拡散モデルは画像生成AIに用いられており、学習方法がそれぞれ異なります。

VAEは学習データの特徴を再現して学習します。GANはランダムに画像を生成したうえで、正しい画像により近い結果を得られるように試行錯誤して学習するのが特徴です。そして拡散モデルは、正しい画像にあえてノイズを追加し、ノイズを除去していく過程で画像生成の精度を高めます。

ディープラーニングについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

生成AIの主な種類

生成AIには、大きく分けて次の4種類が存在します。

  • テキスト生成:質問や与えられたキーワードをもとに回答となるテキストを生成する
  • 画像生成:テキストの指示をもとにオリジナルの画像を生成する
  • 動画生成:テキストでイメージを伝えることで動画を生成する
  • 音声生成:実際の人間による音声データをもとにその音声を使った音声データを生成する

このように生成AIはあらゆる作業を簡単に処理できるため、多方面での活用が進んでいます。

生成AIによるコンタクトセンター業務の効率化

生成AIはコンタクトセンターでも活用可能です。具体例としては、FAQの自動生成や顧客とオペレーターの会話(VOC)の要約、生成AIチャットボットによる自動応答などです。生成AIを使えば、コンタクトセンターの業務を効率化でき、顧客サービスの質の向上やオペレーターの業務負担の軽減といったメリットも期待できます。

現在、コンタクトセンターでは業務の効率化を図るためにクラウド型コールセンターシステムの導入が進んでいますが、今後は生成AIの普及も併せて進んでいくと見込まれています。

コンタクトセンターにおける生成AIの活用について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

まとめ

生成AIはディープラーニングを用いて、膨大な学習データをもとに新しいコンテンツを生成するのが特徴です。教師あり学習や強化学習など、機械学習の手段にはさまざまなものがありますが、なかでも深層学習は生成AIに深く関わっています。

生成AIは文章や画像、動画、音声といったコンテンツやアイデアを生成できるため汎用性が高く、今後もコンタクトセンターを含めた、あらゆるビジネスシーンでの活用が期待されています。

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