CX(カスタマーエクスペリエンス)戦略の立て方は?
CX向上のポイント

   

この記事でわかること
  • CX(カスタマーエクスペリエンス)の基本概念
  • CX戦略の立て方と実践プロセス
  • CX向上の具体施策と成功事例

企業が持続的に発展していくためには、競合他社にはない顧客体験価値の創出が求められます。その実現には、顧客および見込み顧客の潜在的なニーズを捉えたCX戦略の立案・実行が不可欠です。本記事では、CX戦略の立案プロセスについて解説するとともに、顧客体験価値の創出を推進している具体的な企業事例を紹介します。 

VOC(Voice of Customer)の取得から分析までの方法とは?

CX(カスタマーエクスペリエンス)とは

「CX(Customer Experience)」とは、商品やサービスの認知から購入後のアフターフォローまでを含む、企業と顧客のあらゆる接点における体験を指す概念です。

CXと類似する概念として、「UX(User Experience)」が挙げられます。UXは主にプロダクトやサービスの利用体験を通じて得られる体験価値を指し、CXは購買前後を含む一連の顧客体験価値を意味するため、CXはUXよりも広範な概念です。

すべてのプロダクトには、性能やコストパフォーマンスなどの「機能的価値」と、デザイン性やブランド価値といった「情緒的価値」が存在します。こうした中で、市場の成熟化とともに顧客ニーズが多様化・高度化する現代では、機能的価値に基づくアプローチのみでの差別化は容易ではありません。機能的価値に加えて情緒的価値を提供することで顧客満足度の最大化に寄与し、持続的な成長につながります。

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CX戦略の立て方

CX戦略とは、顧客体験を意図的に設計し、実行し、改善していくための戦略です。CX戦略は、4つのフェーズを順に進めていく必要があります。

CX戦略を立案する上での重要課題は、顧客理解です。見込み顧客や既存顧客の潜在的なニーズを的確に捉えるためには、ペルソナやカスタマージャーニーマップを活用しながら、顧客体験の現状を客観的に把握することが重要です。

具体的なプロセスは、以下の通りです。

  • 現状把握と課題の整理
  • 戦略の策定
  • KPIの設定
  • PDCAサイクルによる定期的な改善

現状把握と課題の整理

CX戦略を立案するためには、顧客接点や顧客体験の現状を含めて分析し、課題や改善点を整理する必要があります。その中でも特に重要なのが、「VOC(Voice of Customer)」の分析です。

たとえば、コンタクトセンターにはアンケート回答やユーザーのクレームなど、企業に寄せられた顧客の声が蓄積されています。これらのVOCに基づいて顧客満足度調査や感情解析などを実施し、自社に対するイメージやロイヤルティを分析することで、顧客の潜在ニーズや現状の経営課題を把握できます。

戦略の策定

自社の現状と課題を整理した上で、顧客満足度調査や市場分析、需要動向のリサーチ結果などに基づき、具体的なCX戦略の方向性を策定します。

この段階で特に重要なのが、ターゲット顧客を具体化した人物像である「ペルソナ」の設定と、認知から購入後までの一連の顧客体験を可視化した「カスタマージャーニーマップ」の設計です。

認知から購入後までの顧客体験を踏まえ、事業戦略と整合させながら、各顧客接点における体験設計を行います。

KPIの設定

CX戦略の実行と改善を適切に管理するためには、適切なKPI(重要業績評価指標)の設定が必要です。KPIを設定することで、ゴールに至る道筋を可視化でき、プロジェクトの進捗管理や軌道修正を効率化できます。

CXに関連する代表的なKPIとしては、商品やサービスへの満足度を測る「顧客満足度」、サービスの推奨度を定量化する「NPS®(Net Promoter Score)」、顧客が生涯にわたって企業にもたらす利益の総額を示す「LTV(Lifetime Value)」などがあります。

PDCAサイクルによる定期的な改善

CX戦略は、一度策定して終わりではなく、「計画(Plan)」→「実行(Do)」→「評価(Check)」→「改善(Action)」のPDCAサイクルを回し続けることが不可欠です。

テクノロジーの進展により市場変化が加速する中で、多様化する顧客ニーズに対応するためには、PDCAサイクルに基づいて戦略や施策を継続的に見直す必要があります。

そのためには、KPIの達成度を定期的に測定し、仮説検証を繰り返しながら、計画や戦略の改善に取り組む必要があります。

CX戦略の成功事例

CX戦略は一律の最適解があるものではなく、企業ごとに求められる方向性が異なります。
以下では、CX戦略を推進する企業事例を紹介します。自社のCX戦略を検討する際の参考になります。

株式会社ニトリ

家具・インテリア用品小売業の大手である株式会社ニトリでは、オンラインとオフラインを融合した購買体験の提供を目的として、「バーチャルショールーム」を提供しています。

バーチャルショールームは、実店舗を3Dで再現し、コーディネートされた空間をデジタル上でVR体験ができるサービスです。ショールーム内の商品にはそれぞれリンクが付与されており、クリックすることで公式通販サイトからそのまま購入できます。

このような仕組みにより、顧客は自宅にいながら商品利用のイメージを具体的に把握でき、購買体験の向上につながります。

参照元:バーチャルショールーム|ニトリ

スターバックスコーヒー

世界的に展開するコーヒーチェーンであるスターバックスコーヒーは、コーヒーの提供にとどまらず、コーヒーを楽しむサードプレイスという顧客体験を重視している企業です。

接客・商品・空間の3要素により、「PARTNERS」「PRODUCTS」「STORES」からなる独自の顧客体験を創出しています。顧客に寄り添う接客、スターバックス独自の商品、そして居心地のよい空間の提供によって、ブランド価値を高めています。

さらに、会員登録したスターバックスカードを利用することでリワードが付与される「Starbucks® Rewards」といったデジタル施策も提供しています。これにより、顧客との継続的な関係構築と体験価値の向上を実現しています。

参照元:Starbucks® Rewardsとは|スターバックスコーヒー

ナノ・ユニバース

1999年に渋谷で誕生した日本のセレクトショップであるナノ・ユニバースは、公式アプリのチェックイン機能を活用し、オンラインとオフラインを連携させた顧客体験価値を提供しています。

顧客がアプリでチェックインすると、顧客ごとに最適化された新着商品やお気に入り商品、おすすめのコーディネートなどの情報が提供されます。

また、ECサイトと実店舗を統合したOMO戦略の展開により、オンラインとオフラインがシームレスに連携した顧客体験を実現しています。

参照元:チェックイン機能について|ナノ・ユニバース

CX戦略によるCX向上のポイント

CX戦略を実行・改善していくためには、押さえるべきポイントがあります。特に重要なのは、以下の2点です。

  • オンライン・オフラインを含む多様な顧客接点に対応する
  • 重要な顧客接点であるコンタクトセンターを顧客体験の観点で最適化する

多様なチャネルに対応する

CX戦略において重要なのは、顧客理解の深さです。そのためには、分析対象となる顧客データの量と質の両方を確保する必要があります。

インターネットとスマートフォンの普及により、WebサイトやSNS、アプリ、動画配信サービスなど、顧客接点となるチャネルは多様化しています。

こうした複数の顧客接点を戦略的に活用するためには、それぞれのタッチポイントを連携させる必要があります。そのために、顧客接点を一貫して連携させ、統合的な顧客体験を提供するオムニチャネル戦略の推進が求められます。

重要な顧客接点であるコンタクトセンターを見直す

コンタクトセンターは、企業と顧客をつなぐ重要な接点であり、顧客理解を深めるために欠かせない部署です。

コンタクトセンターには日々、問い合わせや要望、クレームなどの顧客の声が蓄積されています。これらのVOC(Voice of Customer)を分析することで、リピーターの獲得やロイヤルカスタマーの育成につながります。

そのため、顧客心理に寄り添った対応が求められます。顧客満足度の向上に向けて、オペレーターの業務負荷を軽減し、応対品質を高める仕組みの構築が必要です。

まとめ

CXとは、商品やサービスの認知から購入後のアフターフォローに至る、企業と顧客のあらゆる接点における体験を指します。顧客ニーズの多様化・高度化が進む中で、競合他社との差別化を図るためには、優れた顧客体験価値の創出が重要です。

そのためには、顧客理解を深めるプロセスが必要です。特に、コンタクトセンターに集約されたVOC(Voice of Customer)を戦略的に活用することが欠かせません。

CX戦略を推進するためには、重要な顧客接点であるコンタクトセンターの業務プロセスを見直すことが重要です。

*Net Promoter®およびNPS®、Predictive NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の登録商標です。

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