コンタクトセンターとカスタマーエクスペリエンス

 2021.12.17  村田 健太郎

カスタマーエクスペリエンスを重要視する企業が増え、DXと共にCX向上に取り組む企業は当たり前になりつつあります。一般的なカスタマーエクスペリエンスについては様々なサイトで記事化されていることもありコンタクトセンターの森でもカスタマーエクスペリエンスについて書かれたブログが掲載されています。

本記事では一般的なカスタマーエクスペリエンスの解説ではなく、コンタクトセンターを主軸としたカスタマーエクスペリエンスについて独自の視点で考察します。

今、おさえておきたいコンタクトセンターの最新トレンドとテクノロジーとは?

1.カスタマーエクスペリエンス向上への最大の課題

カスタマーエクスペリエンス(CX)とは何でしょうか。この記事を読んでいただいている方であれば既に様々なブログや記事、情報に触れ以下のような内容を目にしているのではないでしょうか。

  • カスタマーエクスペリエンスとは顧客体験である
  • ペルソナを設定することが重要
  • カスタマージャーニーマップを作る
  • 顧客データを集めパーソナライズが必要

いずれの内容も正しく重要であることは間違いありません。

カスタマーエクスペリエンスが重要視される背景

  • サービスや消費者のニーズが多様化することで選択肢が増えている
  • 消費者が他の商品・サービスに触れる機会、タッチポイントが増えている

カスタマーエクスペリエンスでは顧客体験そのものを俯瞰して捉え、改善し他社、他のサービスへの流出を防ぐということが重要です。部分的なユーザーの利便性を上げる事や、品質を上げていくことは顧客体験とは異なります。

カスタマーエクスペリエンスを向上させるために必要な事は上記に記載した内容のとおりですが重要な観点が抜けていると考えます。これらを実現するには部門ごとの最適化ではなく全体を俯瞰し、サービスプロセスをテコ入れするパワーが必要です。コールセンターだけで上記のようなことを起案、改善するということは不可能です。サービスを企画する部門、営業、マーケティングなど様々な部門が共通のイメージを持ち一体となって顧客体験を変えていく必要があります。カスタマーエクスペリエンスの向上で最も障壁となるのはこのヨコグシで連携をして全体最適を推進していく部分ではないでしょうか。

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2.コールセンターはマイナスからのスタート

商品やサービスの内容によっても異なりますがコールセンターを利用するユーザーは利用者の多くても5%程度と言われています。裏を返せば95%のユーザーはコールセンターに一度も電話をかけずにサービスの利用を終えていきます。問合せをせずにサービスが安定的に利用できるということが当たり前の状態なのです。
然しながら、何かサービスに不満がある・問題がある場合にユーザーが必ず問合せをしてくれるか?というとこれも違うと言わざるをえません。当社が以前に調査した結果ではサービスに不満や問題があった場合に実際に問合せをするユーザーは約30%、残りの7割のユーザーは問合せをせず不満を抱えていることになります。裏を返せば「電話で寄せられた不満」の3倍はユーザーが不満を持っているとも言えます。
電話でよせられる意見や声をサービスとして改善・解決していくことは目に見える数値以上に重要なことであり影響は思っているよりも大きいものになります。

電話をかける顧客はマイナスからのスタートです。かけたくて喜んで電話をかけるユーザーはいないでしょう。何か問合せをしなければならない時点で既にサービス上の課題や問題、不足があるのです。
この状態はコールセンターにとっては非常に不利ではあるもののサービス全体にとってはチャンスです。
心理学に「ゲインロス効果」というものがあります。これはマイナスの状態とプラスの状態のギャップが大きいほど人の心に大きく影響を与えるというものです。不満に感じているユーザーを満足させたときほど顧客を感動させ、それがロイヤルユーザー化に繋がっていくものです。

意図的に電話をたくさんかけさせるような施策はカスタマーエクスペリエンスを下げてしまいますが入ってきた問合せのマイナスをプラスに持っていくこと、顧客へ最大限のサポートを行い問題を速やかに解消することがコールセンターの役割と言えるでしょう。

3.コールセンターのあるべき姿とやる事

カスタマーエクスペリエンスを追求した場合、カスタマーサポートは無くなるべきです。
問合せをしなくてもサービスを存分に活用できる方がユーザーの体験としては素晴らしいものでしょう。
しかし世の中に100点満点のサービスはありません。消費者側のライフイベントや変化で発生するカスタマーサポートもあるため、どのようなサービス・商品でもカスタマーサポートは一定数は必要不可欠なものです。
これらのバランスを考えるとコールセンターのあるべき姿が見えてくるのではないでしょうか。

カスタマーエクスペリエンスを向上するコールセンターに求められる事

  • 必要最小限の問合せで済ませられるサポートの仕組み
  • 効率的なコールセンターでのやりとり、短時間化
  • 提供サービス、商品の不足や改善点を吸い上げる事ができる
  • サービス開発部門や営業部門と連携し改善点をフィードバックできる

カスタマーエクスペリエンスを考えると問合せをするという行為はユーザーにはなるべくさせない方が望ましい行動です。WEBサイトの情報を整理しわかりやすくする、FAQを用意する・チャットボットでの解決を促すなどユーザーがすぐに目にするところに解決するための情報を提供することが重要です。
コールセンターへ電話をかけるまでにユーザーが通る導線をしっかりと設計し、そこにソリューションを配置するということはカスタマージャーニーマップのコールセンター版と言えるかもしれません。

コールセンターに電話をかけた後は”減点”要素が非常に多いと言えます。「電話がつながらない」「長時間待たされた」というマイナス要素は顧客体験を大きく引き下げ”サポートが弱い”という印象を与えます。
根本的な応答率改善のために、在宅コールセンターなどによるオペレーション分散を行ったり、ボイスボットを導入することでつながるまでの待ち時間を有効活用しユーザーが問合せにかける総時間を短縮する等の施策も有効な手段と言えるでしょう。

電話での問い合わせを行ったデータからVOCを発掘し、サービス改善へフィードバックしていくことも重要です。この際には音声認識によるテキストデータ化やテキストマイニングツールによる情報発掘が有効なソリューションと言えます。

まとめ

本記事ではコンタクトセンター、コールセンターでのカスタマーエクスペリエンス(CX)をテーマにコールセンターに求められることや課題についてをご紹介しました。
顧客体験をイメージしたプロセスの改善は社内構造改革に近い大きなエネルギーが必要です。
全社一体となって推進していくことができれば非常に大きな差別化ができる事と言えるでしょう。

執筆者紹介

村田 健太郎
村田 健太郎
2002年入社後、オペレーション部門・オペレーション企画部門を約10年経験。
その後通信業界コールセンターのコンサルティング業務を担当しコールセンターへのAI導入やAIを活用した業務改善などのプロジェクトの参画。
AIや音声認識などの知見を元に現在はekubotの事業立ち上げと推進を担当。
コンタクトセンターアワード2013 最優秀部門賞受賞
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