コンタクトセンター/コールセンターにおけるWeb活用

 2022.12.08  2023.02.03

なぜユーザーの自己解決率はあがらないのか?

近年国内の多くのコールセンターでは、就労人口減への対策として、デジタルトランスフォーメーションが叫ばれています。
具体的には、自社サイトのFAQ拡充やチャットボット設置などによるサイト内検索性や自己解決率の向上がその活動であることが多いと思います。
これらはどの企業においても、近年多かれ少なかれ活動があるのではないでしょうか。
しかしながら消費者の自己解決を促進するたくさんのクラウドツールやサービスが出てきており、どれを選べばよいのかわからないという声も多く聞きます。

弊社には次のような相談が多く寄せられます。

  • チャットボットを導入したが、なかなかユーザーの利用頻度があがらない、効果を実感できない。
  • WebFAQを充実させているが、依然として問い合わせ内容のランキングが変わらず量も減らない。
  • たくさんのツールがあるがどれが自社に適しているのかわからない。

企業としては時間も費用もかけて対応しているものの、なかなかユーザーの自己解決につながらないという点は多くの企業で課題になっていることと思います。
他方、お問合せをする側、つまりコールセンターのユーザー側はどのように感じているのでしょうか?
図1のように、まず何かを探す際には、検索サイトを通じてヒットしたインターネット上のFAQコンテンツやTIPS等を確認するユーザーが最も多いということがわかっています。


図1:最も利用されているチャネルはFAQ

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出典:デジタルチャネルCX調査*近日公開予定

このように企業がユーザーの自己解決を促すツールを導入し活用することは、ある意味ユーザー側からも期待されていることであると言えます。
しかしながら、前述のように実際に問合せ数が減ったという報告はあまり多くありません。
企業が提供しているFAQがユーザーの問いを解決できていないのかもしれないし、時にはユーザーはそれらを見ずに電話やメールで問い合わせるケースも多く発生しているのが実態でしょう。

事実、図2のようにFAQはもっとも閲覧されるにもかかわらず、ユーザーの問いに対する一次解決率もかなり低いという結果がでています。


図2:問合せに使うコンタクトチャネルと解決率

コンタクトセンター/コールセンターにおけるWeb活用

出典:デジタルチャネルCX調査*近日公開予定

つまり、ユーザーにも自己解決したいというニーズがあり、企業としてもそれに向けた活動をしているものの、なかなか両者が満足いく結果に至っていない、ということが言えると思います。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
一般的なコールセンターでの問合せ傾向や話題分析(コールリーズン分析)を考えてみましょう。

企業は電話やメール、チャットなどで入ってきた内容を分析することによりコールリーズンを推定します。
推定されたコールリーズンからQAなどのコンテンツを作成していきますが、前述したように多くのユーザーは問合せする前にインターネットを活用して自ら解決する方法を探すという「探索行動」を取ることがわかっています。
Webサイトで同じQAを見たのに問合せする人としない人がいるということは、それらコンテンツが全てのユーザーに合っていないか、ユーザー個々の理解や感じ方に違いがある、などが考えられます。
またWebサイトの導線や検索性が悪く、ユーザーが探しているコンテンツにたどり着けず、問合せをしてしまうということも考えられます。

このような実態から弊社では、自己解決率の向上には、コールセンターの領域においてもWeb上の行動解析を行い、ユーザーの問合せ前の行動を把握して対応策を講じていくことが必要と考えています。

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解決率をあげるために必要な視点

Webマーケティングの世界では、ユーザーのWeb上での行動を解析し、企業が推奨する行動に誘導する『Web接客』を行うことが広く普及しています。
例えば何度か同じページを見ているのに購買行動に至らないユーザーは何か質問したい事項があると想定してチャットウィンドウでアクティブなヘルプを行ってみる、また2回目の来訪で見積もりシミュレーションを行うユーザーの購買確率が高いため、2回目の来訪時に見積ページへ誘導するバナーを出すなどです。
このようなWebマーケティングの考え方をカスタマーサポートの世界で応用することが、コンタクトセンターへの問合せを減らし、ユーザーの自己解決を大いに助けることにつながると考えられます。

2020年に発表されたGoogle Analytics4を始め、現在市場にあるWeb解析ツールやCXプラットフォームでは、Webサイトやモバイルアプリ上のユーザー行動を「セッション」「ページビュー」「クリック」「イベント」等の単位で計測し、ユーザーが自社サイト上でどのような行動をとっているのかを可視化します。

多くのコンタクトセンターで自己解決を促進するコンテンツは用意しても、それらがどのようなユーザーからどのように見られ、ユーザーがそれらのどこでどう躓き、見た後にどのように行動したのか? などを正しく捉えられているケースは多くありません。
はじめから完璧なコンテンツを作ることは難しいため、企業は前述のようなWeb解析技術を活用し、ユーザーの行動をつぶさに観察することで、その意図にあわせコンテンツを調整し、必要なタイミングで必要なコンテンツを提供していくことが自己解決にとってとても重要だと考えられます。

これからのコールセンターのあるべき姿とやるべきこと

規模の大小にかかわらず、これからのコールセンターはユーザーとの最大のコンタクトポイントであるWebサイトをその役割の中心に置くべきであると考えます。
しかしながらコールセンターではWebサイトの企画や運営管理が別部署の仕事に切り離されていることも少なくありません。そのような場合にはコールセンター側から積極的に働きかけ、Webサイト管理を担う部署と、自己解決向上に向けた協働活動を行うべきであると考えます。

コールセンター部門のやるべきこと

  • Webサイト、少なくともヘルプページの企画運営を担い、アクセス解析を担う
  • 問合せに来るユーザーのカスタマージャーニーを考え、Webサイト訪問直前から解決までの導線設計を行う
  • ユーザーが自己解決できるよう、Webサイト上の仕組みやコンテンツを整える
  • 上記を日々の活動や役割に落とし込み、日常的に自己解決率の向上に努める

最適なカスタマーエクスペリエンスの提供を考えた場合、問合せ行為そのものをユーザーがする必要が無いということが望ましい状態です。
WEBサイト上に自己解決可能な手続きプロセス及びそれらをわかりやすく説明するコンテンツを用意し、ユーザーに通ってもらいたい導線を設計し、常にユーザーが狙い通りに動いてくれているかを観察し、改善していくことが重要です。これらの地道な活動が、今日より明日のユーザー自己解決率を改善し、Webサイトひいては自社サービスへの満足度を高めることにつながると考えます。

まとめ

ユーザーのWeb上での行動を考え、そこから自己解決率をあげるためにやるべきことを考察しました。
近年、巷には多くの自己解決率向上のためのツールが存在します。どのツールを選定しても、それだけで自己解決率を改善してくれるツールはありません。日々のユーザーのWeb上での行動を分析し、その躓きや課題をひとつひとつ解決していくことでユーザーの自己解決率は向上していきます。まずはそのような役割と機能をコールセンターの組織に持つことから始めてみてはいかがでしょうか。

執筆者紹介

野瀬 裕
野瀬 裕
2002年に当社入社。国内外の流通・製造・金融大手企業などの幅広い業界で営業責任者、2017年よりオペレーション組織責任者としてBPO事業運営を担う傍ら、新規事業開発としてスタートアップへの出資や資本業務提携に従事。ソニーコンピュータサイエンス研究所との共同事業であるイノベーション&コミュニケーション サイエンス研究所を経て、現在コンタクトセンター現場のDXを推進するソリューション企画推進部門責任者。
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