感情分析とは? ビジネスへ活用するための手法やソリューションを紹介

 2022.05.26  コンタクトセンターの森 編集部

コールセンターの顧客体験を向上するためには顧客インサイトを理解することが重要です。近年、その有効な手段として「感情分析」が注目を集めています。

本記事では、感情分析の概要や仕組みについて詳しく説明します。また、後半では感情分析をビジネスに導入するメリットや具体的な活用方法についても解説します。

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感情分析とは

「感情分析」とは、一般的にはAIが人間の感情や気持ちの変化などを読み取ることを指します。分析対象は文章や顔の表情、声などさまざまです。

しかし多くの方は、感情分析を、書かれた文章を読み取って「ポジティブな内容か・ネガティブな内容かを判定する分析方法のこと」と、理解されていることが多いでしょう。

従来、人間の感情を読み取ることは、人間にしかできないとされてきました。しかし、近年の技術革新により、ユーザーのSNSでの投稿や商品レビュー、問い合わせ履歴など、インターネット上のテキストデータを感情値で分析することが可能になり始めています。

今後さらに分析の精度が上がれば、世間からの自社製品やサービスに対する評価を測定したり、今後のマーケティングに有効活用できたりするのではないかと、今注目を集めています。

感情分析が発展・普及した背景

感情分析の普及は、それを行うAI技術の発展と不可分とも言えます。逆に言えば、AI活用が広まることで、一部の大企業以外でも、「感情分析を自社事業へ取り入れたい」というニーズが高まってきているのです。

AI技術が、感情分析を比較的容易に実現できるほどに発展してきた背景としては、大きく2つの理由が挙げられるでしょう。

  • インターネット技術の進歩
  • AI開発を行える環境が整った

インターネット技術の進歩

まずは、通信技術などの発達により、インターネット上から自社製品・サービスに関する膨大なテキストデータを集められるようになったことです。

一般的に、「SNSへの投稿やWebサイト上のレビュー・口コミには、ユーザーの率直な意見が書かれている」と理解されています。最近では、これら膨大なレビュー・口コミデータを取集したり、自社への問い合わせ履歴をデータ化したりすることも、容易に行えるようになりました。

こうして効率的に収集される大量のデータが、AIの学習素材として盛んに活用されているのです。

AI開発を行える環境が整った

また、社会全体に「機械学習における分析手法の発達」「AI活用の広まり」「クラウドサービスの登場と普及」がそろって進んだことも、大きな理由です。これらが組み合わさることで、AIの研究開発への活用をよりローコスト化する土壌が整い、感情分析の進歩にも追い風となっているのです。

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感情分析をビジネスに活用するメリット

それでは、実際に感情分析をビジネスに活用するとどのようなメリットがあるのでしょうか。

ここでは、期待できる代表的なメリットを紹介します。

メリット

  1. 顧客満足度の向上
  2. 従業員のメンタルヘルスを把握できる

1. 顧客満足度の向上

もっとも根本的な効果としては、顧客満足度の向上が挙げられます。

対応オペレーターは、顧客とコミュニケーションしている最中にも、感情分析を実行可能です。オペレーターは顧客の感情に基づいて最適なアプローチを取れるため、成約の確率を高めることに繋がります。

さらにそうしたやり取りをデータ化すれば、マニュアル改訂などへもスムーズにフィードバックできるようになるのです。このように、感情分析を軸とすると、顧客体験を向上させ続けられる自社環境が自然と整います。

2. 従業員のメンタルヘルスを把握できる

また、従業員へ感情分析を行うことも大きなメリットを生じさせます。

例えば、従業員の精神状態を的確かつ迅速に把握可能となるので、適切な指導・サポートを施しやすくなります。結果、従業員のストレスを日常的に軽減しておけるため、離職率低下にもつながるのです

今後の展望にも期待

感情分析は新しい手法であるため、未だ統一的な活用方法があるわけではありません。つまり現時点では注目されていない効果なども十二分に秘めていると言えるでしょう。今後、新たな有用性が発見される期待は大いにあります。それらが組み合わされば、市場全体に飛躍的な変化を及ぼすかもしれません。

感情分析の種類

このようにビジネスに活用すると有用な効果をもたらす感情分析ですが、その分析対象は、テキスト(文字情報)や音声、表情など、人間が表現したり発したりする様々な情報を分析対象としています。

ここでは、それぞれの感情分析がどのような仕組みで機能しているのかを解説していきます。

テキスト(文字情報)

テキストによる感情分析では、人間が入力したテキストをAIが自然言語処理し、感情を判断します。文章に含まれている単語や表現、言葉遣いを分析することで、書き手の人間がどんな感情を抱いていたのかがわかるという仕組みです。

判定できる感情の種類は開発企業やサービスによって異なりますが、ポジティブ・ネガティブ・ニュートラルの3通りにしか分類できないものから、好き・悲しみ・怒り・恐れ・喜びなどより細かな分類ができ、さらにその感情の度合いを数値化できるものなど、さまざまです。

AIがテキストから人間の感情を読み取れるようにするためには、はじめにベースとなる知識を学習させる必要があります。一定のデータと判断基準を覚えさせておけば、あとはAIが自らデータを収集・蓄積してくれるため、次第に分析の精度を高めていくことが可能です。

音声

音声感情分析では、人間が発する音声からその感情を判定します。話す速さや声のトーン、強弱、抑揚などをAIで解析することで、喜びや怒り、悲しみ、平常といった感情に分類します。

人間の感情表現は、言葉や文字に頼らない非言語コミュニケーションによる部分が大きいため、テキストによる感情分析では読み取れない言外の意味なども察知しやすい点が、音声感情分析の特徴です。

音声感情分析の技術は、スマートスピーカーへの応用も期待されています。現在の音声アシスタントの技術は、人間の声による指示を聞き取って動作するところまできていますが、そこに感情分析が加われば、言葉の裏にある本心に寄り添った受け答えが可能になるかもしれません。

表情

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表情による感情分析では、喜怒哀楽という基本的な感情だけでなく、表情の微妙なニュアンスから、その下に隠れている本心までも読み取ることが可能です。

表情による感情分析は、デジタルサイネージを目にした人の反応を広告の改善に活かしたり、商業施設などにおける来客者の満足度調査や導線の改善に役立てたりすることができます。

一部では、瞳孔の開き具合や目の動きなどから、本人が意識していない気持ちや思考を推定する研究も進められており、ストレスチェックや入国審査などへの活用が想定されているようです。

感情分析の仕組み1|代表的な2つのアプローチ方法

ここからは、感情分析の仕組みについて解説していきます。まずは、感情分析にどのような手法があるかについて知っておきましょう。以下では、代表的な2つの手法について解説します。

ルールベースのアプローチ

ルールベースのアプローチとは、前持って定義された一連のルールに基づいて行われる感情分析の手法です。

ルールの定義自体は、基本的に人間が手動で行います。文脈上の意味を通じて、検索者の意図を深く理解しようとするもので、セマンティックアプローチとも呼ばれます。

精度を高めるためには、単語一つひとつの意味や短いテキストの感情も含めて、確実に正確に判別・定義していく作業が必要です。

加えて、一文章内にポジティブとネガティブの要素が混在していたり、皮肉が含まれていたりといった曖昧な領域には注意が必要です。

機械学習によるアプローチ

機械学習によるアプローチとは、テキストの感情を抽出・判別する作業に機械学習技術を活用するものです。

過去の事例から一般的・普遍的なパターンや規則性を見つけ出し、感情を論理的に推論するという、より帰納的な方法が用いられます。

AIの場合は、最初に学習データとなる「教師データ」を与えておけば、あとは自分で学習していくので、継続的に精度を高められます。

関連資料:

VOC(Voice of Customer)の取得から分析までの方法とは?

感情分析の仕組み2|具体的な実践方法

続いて、感情分析の具体的な実践方法について、「極性分析」と「センチメント分析」の2つを紹介します。

極性分析

極性分析は、感情分析システムで用いられる根幹的な分析方法です。テキストで寄せられた意見を分析し、以下の3つに分類します。

  • ポジティブ
  • ネガティブ
  • ニュートラル

これを実行する際はまず、「どのような言い回しや単語、表現を含むテキストなら、ポジティブ・ネガティブ・ニュートラルと評価するか」を定義しておきます。次に、それに照らし合わせて、テキスト全体の極性をスコア化します。

書類レベルや文章レベルで、それぞれのスコア化も可能です。

さらにそのワンランク上に位置づけられる「エンティティ/アスペクトレベル」では、より高度で複雑な分析を行います。段落や文章ごとにスコア化するのではなく、「文章全体」を対象として主たる意味内容を直接見つけ出します。

センチメント分析

センチメント分析は、SNSに書き込まれた口コミやブログをはじめとしたWeb上のテキスト情報から、個人が抱いている感情を分析する手法です。

ソーシャルメディアの普及やAI・機械学習の発展、またAIによる分析技術の浸透により、注目されるようになりました。

自然言語処理技術を利用し、テキストから読み取った感情を

  • 肯定的
  • 否定的
  • 中立的

の3つに分類して個人が抱いている感情を分析します。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

センチメント分析とは?実際の活用例を紹介
https://www.cloud-contactcenter.jp/blog/examples-of-sentiment-analysis.html

感情分析の活用例

ここまで、感情分析の概要や分析対象の種類、仕組みについて説明していきました。では、実際に感情分析はどのような場面で活用されているのでしょうか。

現在、AIによる感情分析技術は、スマホアプリの開発や広告業界、教育業界、ヘルスケア業界、ゲーム業界などにおいてすでに導入が進められています。

例えばゲームの分野では、AIがプレイヤーの表情から特定の感情を検出し、それに応じてゲームの難易度を変化させるような使い方がされています。それにより、プレイヤーはよりパーソナライズなゲーム体験ができるのです。

教育分野における感情分析の事例としては、MITメディアラボが開発したソーシャルロボット「Tega」があります。Tegaは、感情分析AIを搭載した学習用のソーシャルロボットで、センサーによって子供の感情を読み取り、それに応じて反応を変化させることができます。子供の感情に合わせたアプローチができるため、一人ひとりに最適化された方法で読み書きをサポートできます。

さらに、感情分析によるアプローチを行わない学習ロボットよりも、ポジティブな感情を維持しながら子供の学習を促すことが可能となりました。

参照:https://www.affectiva.jp/affectiva-topics/tega

感情分析のビジネスへの活用方法

読者の中には、感情分析がビジネスでどのように活用できるのか気になる方もいるでしょう。

ここからは、感情分析をビジネスで活用する方法を紹介します。活用方法には以下のような方法があります。

  • 自社製品に対する有用なフィードバックを得る
  • 最新のトレンド収集
  • 競合分析
  • 商品・サービスの素早い改善対応

自社製品に対する有用なフィードバックを得る

前述したような感情分析については、AIを搭載した専用ツールが盛んに用いられるようになっており、それらツールはSNS・ブログ・掲示板・ニュースサイトなども分析対象としています。

中には、「いいね」や笑顔マークや拍手などの「絵文字リアクション」もポジティブな評価として認識できるツールも存在します。これらツールを用いることで、感情的要素を漏れなく分析可能です。自社製品に対する有用なフィードバックが日夜収集される環境が整うでしょう。

最新のトレンド収集

さらに、SNSでのつぶやきやネット上で繰り広げられる会話をリアルタイムでチェックし続けることにより、これから流行する可能性の高いトピックまで特定できます。この効果を活かせれば、例えば、他社に先んじた新規ビジネスの開拓にも着実につながるでしょう。

競合分析

併せて、競合他社の評価も収集することで、「業界内での自社のポジションを明確にできる」「他社の優れた事例を参考にできる」など、幅広いマーケティング戦略設計を具体化可能です。

商品・サービスの素早い改善対応

そして、ネガティブ感情の収集も重要です。これらの感情の要因まで掘り下げて分析することで、非常にスムーズで適切な改善策立案につながります。またいわゆる炎上のように、自社への低い評価が蔓延することを阻止するためには、早期対応が重要です。この早期対応には、ネガティブ感情を早めに発見・分析することが欠かせません。

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コンタクトセンターの感情分析の活用例

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コンタクトセンターは、企業と顧客との直接的な接点となる重要な部門です。現代のコンタクトセンターは電話以外にも、メール・チャットなどさまざまなチャンネルを通じて、顧客と密にコミュニケーションしています。

こうした現場においても感情分析技術は活用されています。ここからは、「コンタクトセンターにおいて、どんな感情分析技術が活用されているのか」について、具体例を見ていきましょう。

AIによる「感情認識」

まず挙げられるのが、AIによる「感情認識」です。これは、オペレーター・顧客の会話を分析することで、双方の感情を分析する技術です。

活用例1

例えば、会話している顧客の感情や心理状態を、その声から分析してオペレーターに適宜提示します。これによりオペレーターは、より適切な語彙を選択したり、声のトーンを調整したりが可能となります。

活用例2

また会話音声はデータとしてスーパーバイザーの下に集められつつ、さらなる音声分析を施されることも多いでしょう。こうしたデータは、マーケティングへの活用以外にも、例えばオペレーターへのコーチングなどに役立てられます。

活用例3

ほかにも、トークスクリプトやマニュアルの作成・改定に応用されることも多いでしょう。例えば、「ある商品のある箇所について、多くの顧客が不満を抱えたトーンで話している」という分析結果が得られているなら、特定のクレームが今後も増加することが予測されます。これにより、それについての対応方法を早めにマニュアル化しておく、などの対処が可能となります。

活用例4

またAIは、音声だけではなく、表情から感情を認識することも可能です。例えば、対応中のオペレーターの顔を分析し「強いストレスが溜まっていないか」を常時モニタリングする、といった環境も実現します。

これにより、各オペレーターがストレスを溜め込んでしまう前に、早めにリフレッシュしてもらうなど、スムーズな対処が可能となります。

音声アシスタント

次に「音声アシスタント」も代表的な機能です。オペレーターが個々の顧客に最適な対応ができるよう、音声を通してサポートしてくれます。

会話を適宜モニタリングしながら、適切な話し方や声のトーン、会話を中断するタイミングなどをオペレーターに提案します。もしライブチャットなどの動画を通してコミュニケーションしているのなら、顧客の表情分析も行われ得るでしょう。

基本的には、過去の膨大なデータとして蓄積されている「オペレーターと顧客との会話内容」を基にすることで、現在のシチュエーションに最適なアシスタント内容を導き出しています。

関連記事:音声認識の進化|システムの仕組みや活用事例、メリットを解説

このように、コンタクトセンターの現場に積極的に感情分析を導入することで、オペレーターの負担を大きく低減できます。これによって、オペレーターのモチベーションを高く保てるでしょう。

オペレーター自身のモチベーション向上は、業務改善・業務効率化を経て、結果的には顧客満足度の向上につながっていきます。ぜひ、現代のAI技術を存分に活かした感情分析技術の導入を検討してみてください。

さらに感情分析について知りたい場合は、こちらの記事をご覧ください。

感情解析とは?コンタクトセンターで活用するメリットを紹介
https://www.cloud-contactcenter.jp/blog/what-is-emotion-analysis.html

まとめ

感情分析は、業界を問わず多方面で有効活用可能な技術として期待されています。ネット上の膨大な感情データも分析対象にすることで、世間での自社製品・サービスの評判も把握できます。コンタクトセンターでの業務も例外ではありません。顧客の感情を把握するためだけでなく、オペレーターのサポートやチベーション向上にも有用です。

Bell Cloud+は、コールセンター業務のノウハウを集約したクラウド型サービスです。AIによる感情分析機能やチャットボットによる自動応答機能など、コンタクトセンターの業務効率化に欠かせない機能を多数有しています。この機会にぜひ導入し、コンタクトセンターの対応品質や顧客満足度の向上へ活用してみてはいかがでしょうか。

コンタクトセンター向けAI音声認識ソリューション AmiVoice Communication Suite

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