コールリーズン分析とは?その効果やVOCとの関係性を解説

 2022.05.23  2024.04.23

コールセンターやコンタクトセンターにおいて、サービス向上のために大切とされる「コールリーズン分析」。本記事では、経営者・管理職クラスやマーケティング担当、コールセンターの管理職の方に向けて、コールリーズン分析の重要性とそれに関係するVoC、パレート図などについて解説します。

VOC(Voice of Customer)の取得から分析までの方法とは?

コールリーズン分析とは

「コールリーズン分析」とは、顧客が電話をかけてきた理由や電話の内容について分析することです。この分析により、問い合わせの理由をカテゴライズして、傾向を掴むことができます。傾向がわかれば、オペレーターの教育方針も定まり、効率よく電話応対の品質向上を図ることが可能です。そのため近年では、コールセンターやコンタクトセンターなどにおいて、コールリーズン分析が積極的に行われるようになっています。

コールリーズン分析を行うには、顧客から問い合わせを受けたときに、その内容を記録しなければなりません。かつては、あらかじめ電話機のボタンの組み合わせで問い合わせコードを決めておく「CWC(コールワークコード)」によって、問い合わせ内容を記録していました。また、応対入力時に、カテゴリーを決めてコールリーズンをCRMに登録する方法などもあります。

現在は、音声をリアルタイムもしくは、バッチでテキスト化し、溜まったテキストデータをテキストマイニングツールを使いながら、高度に分析することが可能になっており、より具体的にお客様の問い合わせ傾向を可視化し、コールリーズンを把握することが可能になりました。コールリーズンの集計方法は企業のもつシステム環境などによって異なるので、自社に合ったものを探してみましょう。

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コールリーズン分析をすることでできること

コールリーズン分析で顧客からの問い合わせの傾向を掴むことにより、さまざまなメリットが期待できます。コールリーズン分析による主なメリットをご紹介します。

サービス改善に繋がる

コールリーズン分析をすることで、顧客の生の声から商品・サービスの課題を見つけられるため、商品・サービスのブラッシュアップに繋がるでしょう。顧客満足度の高い商品・サービスへと改善できれば、企業の売り上げにも貢献できます。

また、同じような質問がよく寄せられる場合は、わざわざ問い合わせの電話をかけなくてもよいようにFAQとしてまとめ、企業ホームページに掲載するのもおすすめです。FAQがあれば、企業・顧客ともに電話をする手間が省けます。

電話応対の優先順位の基準になる

コールリーズン分析によって、どんな内容の問い合わせが多いかわかれば、電話応対の順位付けができます。順位付けにより、オペレーターのスキルレベルを判断したり、新人教育に役立てたりすることが可能です。特にオペレーターのスキルレベルの判断は、コンタクトセンターにおいてとても重要です。

もちろん、顧客からのどんな問い合わせにも対応できるオペレーターが理想ですが、新人のうちはなかなかすべてに対応できません。新人に対応が難しい問い合わせを任せても、結局はベテランに窓口を変わることとなり、余計な時間と労力を費やしてしまいます。そこで、問い合わせ内容別にスキルレベルを設定し、どのオペレーターがどの程度までの問い合わせを受けられるか定めておけば、スムーズな電話応対ができます。イレギュラーが発生した際の上司対応の基準にもなるでしょう。

セルフサービスの導入検討

コールリーズンを分析することで、オペレーターの案内がなくとも解決できる問い合わせ内容を見つけられます

例えば、荷物の時間指定や注文フォームの入力方法の説明など、ある程度答えが決まっているものであれば、わざわざ人同士のコミュニケーションを取る必要はありません。FAQに落とし込んだり、チャットボットなどのAIに対応させたりすることで、コンタクトセンターの負担を減らせます

また、これらのセルフサービスは24時間365日利用できるため、顧客にとっても大変利便性の高いサービスといえます。導入の際には、どの内容までセルフサービスに任せ、どの内容からオペレーターに任せるのか、棲み分けをはっきりとさせておきましょう。

異常事態に素早く気付くことができる

どの企業においても、問い合わせ内容には対応完了までに時間がかかるものと、そうでないものがあります。あらかじめコールリーズン分析によって、それぞれの問い合わせ内容における平均処理時間(AHT)を把握しておけば、明らかに時間がかかっている対応に対して、すぐに気付き適切な対処ができるでしょう。

異常事態をより正確に把握するには、平均処理時間(AHT)だけでなく、1時間当たりの対応件数(CPH)、平均通話時間(ATT)、平均後処理時間(ACW)などの数値も把握しておくのがおすすめです。また、これらの数値の把握は、コンタクトセンター全体における生産性やオペレーターの評価指数ともなります。

オペレーターの教育研修の見直し

コールリーズン分析によって顧客からの問い合わせ内容を把握すれば、オペレーターの教育研修の見直しにも多いに役立ちます。多く寄せられる質問に対しての研修を入念に行い、問い合わせが少ないものに対しては、徐々に学ぶようにするとよいでしょう。

基本的な質問にすべてのオペレーターが対応できれば、対応方法を調べたり上司に代わったりする時間がなくなり、顧客満足度の向上に繋がります。よりスムーズな対応を行うためには、研修内容の改善と併せて、対応フローやトークスクリプトのブラッシュアップも行うのがおすすめです。

IVRの最適化

顧客が直接オペレーターと話す前に、機械音声の案内に従って問い合わせ内容を答えるものを「IVR(音声自動応答システム)」といいます。IVRを利用すれば、顧客に適切なオペレーターを割り振ることが可能です。しかし、IVRの設定が適切でないと、顧客は長く機械音声のアナウンスを聞くことになり、負担に感じてしまいます。

そこで役立つのが、コールリーズン分析です。コールリーズン分析により問い合わせ内容の順位付けをしておけば、IVRの設定にも活かせます。アナウンスの順番を工夫したり、不要な選択肢を削除し新たな項目を追加したりなどして、IVRの最適化を図れるでしょう。

コールリーズン分析とVoC

コールリーズン分析と密接な関係がある「VoC」。VoCとは何か、またコールリーズン分析とどのような関係性があるかについて解説します。

VoCは「ボイス・オブ・カスタマー(Voice of Customer)」の略称です。直訳の通り、「顧客の声」を意味します。顧客アンケートや問い合わせの中で直接聞いた顧客の要望などが、VoCに当たります。一方でコールリーズンは、顧客が問い合わせてきた理由を指すため、直接VoCには当てはまりません。とはいえ、問い合わせ理由から顧客の要望を推測できるため、VoCの前段階や一部として捉えられます。

コールリーズンをはじめ、VoCを集計すれば、顧客の要望に添った商品やサービスの改善に役立ちます。しかし、今現在はデータ集計が目的となり、利活用までできている企業はまだ少ないようです。コールリーズンを集計するなら、積極的に商品・サービスの改善に役立てるとよいでしょう。

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コールリーズン分析に有効な「パレート図」

最後に、コールリーズン分析をする上で知っておきたい「パレート図」についてご説明します。

「パレート図」とは、「パレートの法則」に従って作られる図表のことです。パレートの法則は、イタリアの経済学者ヴィルフレート・パレートが提唱した法則で、「上位の20%が全体の80%を占める」という所得分布の法則を表しています。

この法則に当てはめると、例えば「企業において上位20%の優良顧客が、全体の80%の売り上げを占めている」と考えられます。

コールリーズン分析にも、このパレートの法則が応用できます。自社のコールリーズンを多い順に並べて棒グラフを作り、それぞれを足して100%になるように、折れ線グラフで割合を示してみましょう。上位20%のコールリーズンが全体の80%を占めるはずです。このパレート図をもとに、優先すべき応対の順位付けを行うことが可能です。

まとめ

顧客が問い合わせをしてきた理由を探るコールリーズン分析は、コンタクトセンター、ひいては企業にとってさまざまなメリットをもたらします。企業の商品やサービスをよりよくするためにも、コールリーズン分析への理解を深め、ぜひ活用してみましょう。

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小嶋 脩一
小嶋 脩一
新卒入社後、約10年に渡りコンタクトセンターマネジメント業務に従事。金融業界を中心に、大規模センター管理や、センター立ち上げから対応範囲の拡大を経験。現在はコンサルタントとして、ビジネスコンサルティングやソリューションコンサルティング(CRM、ナレッジ、音声認識、テキストマイニング、チャットツール)を幅広く対応。VOC領域を中心に、コンサルティング実務とプロジェクトマネジメントを行っている。
KCS Foundation 国際認定
音声認識ソリューション選定の手引き

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