機械学習/ディープラーニングが音声認識を進化させる!?深層学習との違いも解説

 2021.08.27  2024.04.23

近年、コンタクトセンターなどのカスタマーサービスにおいて、AI技術を導入する動きが広がっています。その際、特に大きな効果を期待できるのが、高度な機械学習(深層学習)によって発達したAIの音声認識能力の活用です。そこで本記事では、機械学習・音声認識の概要や、AIの音声認識を利用したサービスの導入メリットについて解説します。

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機械学習と音声認識について

機械学習とは、コンピューターが取得したデータをもとに大量の試行を繰り返し、プロセスや結果などを自動で改善していくアルゴリズムの総称です。一方、音声認識とは人間が発した言葉をテキスト化できる機能を指します。ここでは、機械学習や音声認識の概要と、双方の関係性を解説します。

機械学習はデータを分析して学習するAI技術

機械学習とは、コンピューターが取得した大量のデータを分析し、反復的に学習させることです。一定の規則性や傾向などを見つけ出すことで、予測の精度を高められます。

機械学習には、教師あり学習・教師なし学習・強化学習という3つの手法があります。教師あり学習とは、人間があらかじめ正解のデータを入力し、正誤をシステムに判断させる手法です。教師なし学習は人間が手を加える必要がなく、システム自身が多くのデータを学習するなかで規則性・法則性を発見します。強化学習については、後述の「強化学習とは」を参考にしてください。

音声認識は音声を分析してテキストで表現する技術

音声認識とは、人が発した言葉を解析し、文字(テキスト)として変換する技術のことです。近年は発言した内容を理解して行動する技術にまで発展しており、Amazonの「Alexa」や、Appleの「Siri」などにも活用されています。昨今、コンタクトセンターで導入され始めている、お客様からの問い合わせに自動応答する音声チャットボットも、音声認識サービスの一種です。

音声認識で現在主流となっているのは、「DNN-HMM型」と呼ばれる手法です。音響分析で音声をデータ化し、音響モデルで音素を抽出、発音辞書と言語モデルで文章を組み立て、テキストに抽出という流れで音声認識を行います。しかし、DNN-HMM型のように複数のモジュールを組み合わせるのではなく、ひとつのモデルからテキストを抽出する「End-to-End」モデルが登場しており、今後は主流になると予想されています。

機械学習と音声認識サービスの関係性

近年、注目を集めているのが、人の言葉をテキスト化する音声認識に機械学習を搭載した新たなシステムです。このようなシステムは、音声認識能力や自然言語処理能力を学習によって向上させることで、指定された音を正確に検知できるようになったり、人間のように文脈に即した柔軟な会話ができるようになったりと、自動で成長していきます。

また、従来の音声認識と比較して膨大なデータの処理・学習が可能となるため、音声認識の精度も向上します。AIアシスタントや会話型AI、議事録作成、翻訳、異音検知など、さまざまな分野のビジネスにおいて活用が進められています。

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人工知能・ディープランニング(深層学習)・強化学習の違い

機械学習は人工知能(AI)の機能の一種として捉えられます。以下では、「人工知能」「ディープラーニング」「強化学習」といった概念が、機械学習とどのような関係をもっているのかを説明し、各概念の違いについて解説していきます。

人工知能とは

人工知能(AI)とは、「人間の知的な行動を再現するコンピュータープログラム」のことです。人工知能の開発に使われるプログラミング言語としては、Pythonが代表的です。

人間が「知覚」「言語」「計算」「推論」などさまざまな知的能力を持っているように、人工知能の機能にも「音声認識」「画像認識」「仮説検証」などさまざまなものが存在します。機械学習は、人工知能が持つこれらの機能の精度を高めるための技術です。

ディープラーニングとは

機械学習の中でも、特に学習効果に優れた新しい技術が「ディープラーニング」です。日本語で「深層学習」と呼ばれる場合もあります。ディープラーニングを搭載した人工知能は、ルールやパターンといったデータの特徴を自動的に抽出し、予測分析を行えます。

ディープラーニングは、何層もの「ニューラルネットワーク」を重ねることで、人間の脳にある回路の動きを模倣し、機能を実現しています。ニューラルネットワークにもいくつかの種類があり、画像認識に適した「畳み込みニューラルネットワーク(CNN)」、音声認識や自然言語処理に適した「再帰型ニューラルネットワーク(RNN)」がその代表例です。

ディープラーニングの開発は、人工知能の歴史におけるターニングポイントと言っても過言ではありません。ディープラーニングの登場によって、機械学習の学習効果、ひいては人工知能のさまざまな機能の精度が飛躍的に向上しました。

強化学習とは

機械学習の中でも、人工知能が自ら試行錯誤して、状況ごとに最大の価値を発揮し得る行動を学習していく仕組みを「強化学習」といいます。つまり、強化学習を経た人工知能は、ルールやパターンを覚えるだけではなく、特定の状況にあわせた最適な行動を選ぶことが可能です。

ディープラーニングと強化学習を組み合わせた機械学習を「深層強化学習」といいます。深層強化学習は、自動車の自動運転やロボットの自動制御などの領域で活用されています。

機械学習機能を備えた音声認識サービスのメリット

機会学習機能を備えることで、音声認識の精度が向上し、大量のデータを処理できるようになります。これにより、窓口対応の自動化や入力作業の効率化、ヒューマンエラー防止といったメリットをもたらします。

電話や窓口対応の一部を自動化できる

音声認識サービスを質問への自動応答や窓口対応に活用することで、業務の一部を自動化できます。オペレーターはよくある質問への回答や単純作業などを代替できるため、空いた時間をより重要度の高い業務に充てることが可能です。業務負担の軽減や人員削減などにつながり、人手不足解消に貢献します。

書き起こしや入力作業の手間を減らせる

会議や打ち合わせ、お客様対応の録音データなどの文字起こしを人力で行うと、大変な時間や労力がかかります。しかし、音声認識サービスを使えばこうした作業を自動化でき、大幅な業務効率化が実現します。入力作業が不要となるため生産性の向上や労働環境の改善につながります。

ヒューマンエラーの防止につながる

手動での入力作業は、写し間違いや誤入力などのヒューマンエラーが発生しやすいことが課題です。入力作業を音声認識サービスで自動化すると、ミスや修正を減らせます。ただし、音声の状態や利用するサービスによっては認識精度が低くなる可能性があるため、認識率の高いサービスを導入したり、ノイズを極力減らしたりといった対策が必要です。

ハンズフリーで操作できる

音声認識サービスは人が発した言葉の内容を識別するため、手を使わず声のみでシステムを操作できます。会話する感覚で操作でき、タイピングが苦手な人や機械慣れしていない人にとっても便利です。別の作業をしながら文字入力や機械操作を行うことで、業務効率化にもつながります。

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機械学習による音声認識でコンタクトセンターのオペレーションを一新しよう

音声認識技術はさまざまな分野で活用できる可能性があります。しかしとりわけコンタクトセンター(コールセンター)にフォーカスした場合、どのように活用できるでしょうか。

音声認識サービスは、前項でも紹介したように、お客様との通話内容の文字起こしを自動化できます。これによって、オペレーターの記録・確認作業といった後処理の効率化が可能です。管理者はテキスト化された応対内容をあとから入念にチェックできるため、オペレーティングの品質向上策や、FAQの整備、製品やサービスの品質改善策などを立案する際に役立てられます。なお、こうしたテキストデータの管理・分析にもAIを活用することが可能です。

また、音声認識サービスの中には、音声から発話者の感情を解析できるものもあります。お客様の感情状態を可視化してオペレーティングの参考にしたり、クレーム対応などでストレスを抱えがちなオペレーターの心理的ケアに役立てたりすることが可能です。

さらに、高度な音声認識機能を備え、オペレーティングに必要な知識を機械学習させたAIをコンタクトセンターに導入することで、お客様からのFAQ対応などを自動化し、オペレーターの業務負担を減らすことができます。AIならば24時間365日対応が可能なため、顧客満足度の向上にも貢献します。

コンタクトセンター業界全体では長年、オペレーターの離職率上昇が課題となっています。今回紹介したようなAIを積極的に導入し、業界全体で業務効率化と負担軽減を実現していくことで、慢性的な人手不足の解消が期待されています。

まとめ

ディープラーニング(深層学習)の開発によって機械学習の効果は飛躍的に向上しており、人工知能はさまざまな領域で実用化できるようになりました。音声認識技術にも恩恵を与えており、スマートフォンの音声アシスタント機能など、私達の身近な生活にも影響を与えています。

コンタクトセンターにおける音声認識技術の活用例としては、応対履歴の自動テキスト化や、顧客およびオペレーターの感情の可視化、電話応対の自動化などが挙げられます。こうしたAI技術の導入は、オペレーターの業務効率化やサービスの改善など、コンタクトセンターにさまざまなメリットを与えます。

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