顧客満足度に貢献するVOCとは?コールセンターなどVOCの集め方3つを解説

 2022.05.18  2023.03.20

VOC(Voice of customer:顧客の声)とは、コールセンターに寄せられる意見やアンケート結果、SNS・ブログでの評判などを総称したものです。VOCを収集・分析し、施策を講じることで、自社の商品・サービスを改善し、顧客満足度の向上につなげることができます。

この記事では、VOC活動の重要性とメリットに加え、VOC活動を効果的なものにするためのポイントをお伝えします。

VOC(Voice of Customer)の取得から分析までの方法とは?

VOC(顧客の声)とは

顧客満足度に貢献するVOCとは?コールセンターなどVOCの集め方3つを解説

VOCとは、「Voice Of Customer:ボイス・オブ・カスタマー」の略で、「顧客(お客様)の声」を意味します。VOCには、お客様アンケートへの回答、電話やメールでの要望やクレームなど企業に直接寄せられるものだけでなく、個人のSNSやブログに書かれたレビューなども含まれます。

さまざまなチャネルで寄せられる顧客の声には、自社商品やサービスを改善するためのヒントやアイデアが含まれており、顧客の声を活用することで商品やサービスの品質向上につなげることができます。

このように、お客様の声を基にして、商品・サービスの品質を向上させるために活動することを、「VOC活動」といいます。

VOC活動のメリット

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この章では、VOC活動が企業にもたらす代表的なメリットを解説します。

VOC活動のメリット

  1. 商品・サービスの品質向上に貢献
  2. 顧客満足度の向上につながる

商品・サービスの品質向上に貢献

VOC活動を行う主なメリットは、「顧客の視点に立った商品・サービスの開発、あるいは改善ができ、結果として売上アップや新規顧客の獲得につながること」です。

顧客側からのフィードバックを受けないまま、自社内で開発を行い続けてしまうと、自社商品・サービスを客観的に評価することが難しくなります。VOCを活かし、問題点を客観的に明確化することで、常に具体的な改善策を立てましょう。

関連記事:コンタクトセンターにおける品質管理とKPIについて解説

顧客満足度の向上につながる

VOC活動を行うもう一つのメリットは、顧客満足度向上に役立つことです。

既存の顧客と信頼関係を築くことで、その顧客から生涯を通して得られる利益(LTV=顧客生涯価値)を増やそうとする考え方が、多くの企業で浸透しつつあります。

定期的なVOC活動により自社サービスや製品の質をコンスタントに高めていけば、短期的な顧客満足度にとどまらずLTVまで向上させられるでしょう。

「リピート率が低い」「顧客満足度がなかなか上がらない」という悩みを抱える企業こそ、定期的なVOC分析が有効です。

関連記事:CSAT(顧客満足度)とは?NPSとの違いや測定方法を徹底解説!

VOC活動のポイント

顧客満足度に貢献するVOCとは?コールセンターなどVOCの集め方3つを解説02

VOC活動を行う際はVOCを「収集」するとき、また「管理・分析」をするときに意識すべきポイントがあります。

この章では、それぞれのポイントについて、詳しく解説します。下記にまとめたポイントを意識し、自社の商品やサービス改善につなげ、顧客満足度向上を目指してください。

収集するときの2つのポイント

VOCを収集する際は、収集の「仕方」と「収集内容(項目)」の精査がポイントとなります。

効果的な収集方法やチャネルの選定

VOC収集時に意識すべきポイントの一つ目は、自社がほしい情報やターゲットに合わせて、どのような方法で、どのチャネルからVOCを収集するべきかを決めることです。

VOCを収集する方法は、アンケートやコールセンター、チャネルはSNSやブログなどたくさんあります。これらのチャネルから闇雲にVOCを収集するのではなく、VOCをどのように活用したいのか、またそのためにはどのチャネルからどのような方法でVOCを収集するべきなのか、最適な収集方法を選択する必要があります。

収集すべき内容(項目)の精査

もう一つのポイントは、収集する内容や項目を精査することです。例えばアンケートの質問項目は、「感想をお願いします」のような漠然としたものではなく、さまざまな視点から具体的に顧客の本音を引き出せるようなものにしましょう。

例えば、商品やサービスへの満足度を0~10点満点などの数値で判断してもらう「NPS(Net Promoter Score)」を用いるのもおすすめです。

管理・分析するときのポイント

VOCの管理・分析において意識すべきポイントも押さえましょう。VOCを適切に管理するには、社内の情報管理体制を事前に構築しておくことが重要です。そうした体制づくりの基礎として、「自社がなぜVOC活動を行うのか」という目的や目的を明確化し、社内全体に周知させておくことが大切です。

そのうえで、VOC管理・分析に適したシステムを整備しましょう。自社の規模や、VOC活動の目的を常に顧みつつ、それらに沿ったシステムを選定してください。またベンダー側のサポート体制なども重要な選定基準です。

VOC活動の4つのステップ

では実際にVOC活動を効果的に運用するにはどのようにすればよいのでしょうか。

VOC活動を進めるためには4つのステップがあります。以下ではそれぞれのステップについて詳しく解説します。

  1. 目的の明確化
  2. 社内体制の構築
  3. システムの導入
  4. 実際の運用

1. 目的の明確化

まず1つ目のステップは、「VOC活動を通して「企業として何を実現したいか」を明確にします。目的が明確になれば、「どのチャネルで」「どのような情報を」収集するべきかを定められます。

目的が不明瞭なままVOCを収集しても、企業に利益をもたらすことはできません。よりよい方法で収集したVOCを分析し、その結果を元に必要な施策を考え、実行する必要があります。

VOC活動をより効果的なものにするために、必ず初めにVOC活動の目的を明確に定めておきましょう。

2.  社内体制の構築

2つ目のステップは「社内体制の構築」です。ここでは、VOCをどんなチャネルで収集するかを決定し、そのチャネルの運用方法を設定します。

また、収集したデータをどの部署にフィードバックするのかを決め、次の施策につなげられるように体制を設定します。

3. システムの導入

3つ目のステップは、「システムの導入」です。コールセンターシステムCRMなどのシステムを必要に応じて導入します。

コールセンターを運用する場合は、担当者が実際に使用するトークスクリプトを設計します。

4. 実際の運用

4つ目のステップは「実際の運用」です。収集したVOCをシステムやツールで分析し、必要部署にフィードバックしたり、次のアクションを決定したりします。

このように、戦略的なVOC活動を展開することで、自社の商品・サービス品質を向上させ、顧客満足度向上へつなげていきます。

VOC活動における課題と対策

VOC活動を実行するにあたり、多くの課題を抱えている企業も多くあります。具体的には、以下のような課題が挙げられます。

主な課題

  • VOCを収集できない
  • VOCの量が多くて捌ききれない
  • VOCを収集しても具体的な施策につなげられていない など

VOC活動を始めたばかりの企業で特にこうした課題は生じやすい傾向にあります。ここからは、これらの課題と対策について解説します。

「VOCを収集できない」場合の対策

まず「VOCを収集できない」という課題です。これは、VOCの収集方法についてきちんと考慮せず、「やみくもにVOCを収集しようとした」ときによく起こる問題です。

この事態を回避して、VOC収集を確実にするためには、「顧客が購入した直後にアンケート回答を依頼する」「コールセンターとの通話やチャットが終了した直後に評価を促す」などの施策が効果的です。VOCの収集方法は後ほど説明します。

「VOCの量が多くて捌ききれない」場合の対策

次に、「VOCの量が多くて捌ききれない」です。収集したVOCを情報として整理・管理できていない企業も少なくありません。

VOCを有効に利用するためには、収集するだけでなく、情報の管理・分析をしっかり実行し、次のアクションにつなげることが重要なのです。

このような問題を抱えている場合は、全社でVOC活動の目的と運用方法を共有し、収集した情報にあらゆる部署からアクセスできるようなシステムの導入を検討しましょう。

「VOCを実際の施策につなげられていない」場合の対策

「VOCを実際の施策につなげられていない」という課題について見てみましょう。

VOCの分析結果はそのまま直接施策へ流用できるものではありません。その分析データを基にして、自社商品・サービスの改善点、マーケティング施策の修正点などを洗い出すことで役に立つのです。さらにこうした改善を実際に行ったら、「売上やリピート率向上などの効果が出ているか」を測定することも重要です。

こうしたプロセスを理解できていない企業では、収集・管理したVOCをうまく施策に反映しきれていないことも多いです。VOCを収集・管理・分析したら、それを根拠として、問題点・解決策を仮説として立て、検証するとよいでしょう。VOCに基づき仮説立案と検証過程を何度も経ることで、本当に現状とフィットする施策が生まれてきます。

VOCの主な収集方法

それでは、実際にVOCを収集するにはどのような方法があるのでしょうか。VOCの主な収集方法を紹介します。

  • コンタクトセンター
  • SNS
  • アンケート

コンタクトセンター

主な収集方法の一つは、「コンタクトセンター」を運営して収集する方法です。

顧客からのアプローチは電話の他、メールやお問い合わせフォームなど、チャネルが多岐に渡っています。チャネルごとに対応部署も分かれている企業では、部署間の連携が取りづらくなっていることも少なくありません。そこで今日では、「あらゆるチャネルで行われる顧客とのやり取り全般を、一元的に管理する」という役割を中枢的に担うために、コンタクトセンターが生まれました。

こうしたコンタクトセンターには、顧客との直接的なコミュニケーションが集約されます。VOCを収集したいと考える企業にとって、コンタクトセンターは非常に価値の高い部署と言えるでしょう。

また近年、顧客対応業務のデジタル化により、顧客の通話内容を録音してテキスト化して蓄積したり、顧客とのチャットのやり取りを保存できたりと、VOCの収集と分析が容易になっています。コンタクトセンターにこうしたツールやシステムを導入すれば、飛躍的にVOC活動力が上昇するでしょう。

関連記事:コンタクトセンターとは?今求められる理由と必要なシステムを解説

SNS

VOCを収集する方法の一つとして、「SNS」が挙げられます。SNSでは本音で書き込む人も多いため、VOC集めに有効な場所の一つです。

SNS上のVOCを収集する際には、テキストマイニングというツールを活用すると、特定のキーワードを含む投稿を効率よく抽出できます。詳しくは次章で説明します。

アンケート

「アンケート」はVOC活動のチャネルとして以前からよく活用されている手法です。

例)通販サイトなどで商品を購入した際、「回答してもらう代わりに景品を進呈する」というアンケート手法

会社のウェブサイトのお問い合わせフォームや、電話相談窓口で受けたクレームや感謝の声も、アンケートで得られるVOCです。

アンケートの欠点として「積極的に意見を言おうとする顧客」についてしか、その声を拾えない点があります。顧客が不満を持っていたとしても、わざわざアンケートに書かない可能性が高いため、貴重な声を聞き逃してしまうこともあります。したがって、SNSのリサーチ結果や、コンタクトセンターでのやり取り内容も併せて、総合的にVOCを把握していくとよいでしょう。

関連資料:

VOC分析ソリューション「Vextシリーズ」ご紹介資料

VOC活動を支える技術

近年、DX技術の推進により、VOC活動を支えるさまざまな技術が開発されています。以下にその技術の一例を紹介します。

テキストマイニング

テキストマイニングとは、「自然言語処理」と呼ばれる解析手法を用いて、大量のテキストデータから有益な情報を取り出す技術です。

SNSや口コミサイト、アンケートの自由形式の回答内容などの文章を、単語や文節に区切って分析します。それにより、単語の出現頻度や単語同士の相関関係などを抽出します。

例えば、ある食品メーカーの商品に関するSNS上の意見を分析すれば、「香り」「食感」など特定の頻出キーワードを把握可能です。さらに、単語同士の組み合わせで文章を分析することもできます。例えば、「食感-固すぎる」という否定的な意見や、「食感-好き」という肯定的な意見があることを分析することまで可能です。

関連記事:テキストマイニングとは?基礎知識や目的、活用事例を紹介!

音声認識技術

音声認識技術とは、人の声をデジタルデータに変換して、テキスト化する技術です。スマートスピーカーに使用されている技術として広く知られており、「コールセンター業務のサポート機能」としても活用する企業が増えています。

例えば、オペレーターが会話内容をリアルタイムで入力しながら、顧客へ応対しているような状況では、オペレーターへの負担が大きく、ヒューマンエラーのリスクも高まります。そこで音声認識技術を導入し、顧客の音声をリアルタイムでテキストへ自動入力できるようにすれば、大幅な業務効率化が実現します。

こうした例のように、音声認識技術は、コールセンターやコンタクトセンターでのVOC活動に大いに貢献してくれます。

関連記事:

VOCの活用例

最後に、VOCの実際の活用例を紹介します。

事例①

コールセンターの担当者によって顧客対応の質が異なるという課題を抱えていたとある企業では、VOCシステムを導入して、顧客からの問い合わせ内容をまとめ、コールセンター担当者向けに「よくある質問集」を作成しました。その質問集を研修に活用することで担当者間の品質の差が小さくなり、スムーズな顧客対応を実現できました。

関連記事:コンタクトセンターで有効なFAQシステムとは?

事例②

次は、顧客の声に寄り添ったサービスを開発することで売上アップを実現した事例です。

ある電化製品を通信販売する企業では、顧客の「古い電化製品の処分に困っている」という声からアイデアを得て、古い電化製品を下取りするサービスを開始したことで、顧客満足度が向上し、売上を大幅にアップさせることができました。

事例➂

新商品の開発にVOCを活用している企業もあります。

ある化粧品メーカーでは、新商品開発の際に、既存の商品を利用している顧客へインタビューを行ったり、ワークショップを開催したりするなどにより、顧客の声を間近に受け止められるような工夫をしています。このようなVOC活動によって、現実の顧客目線から、本当に求められている商品開発を実現できる環境が整うのです。

事例④

SNSを活用してVOCを収集する企業も増えています。SNS上で自社の商品名を検索し、どのような評価をされているかを調べる「エゴサーチ」を行う企業は多くあります。

とある食品会社は、商品名でのエゴサーチを行うと検索結果が膨大になってしまい、分析しづらいという課題を抱えていました。そこで、VOC分析ツールを導入してキーワードをツリー構造に整理することで、商品の改善点を明らかにすることができました。

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まとめ

VOC(顧客の声)を収集・分析し、活用することで、自社の商品やサービスの品質を向上させ、顧客満足度も向上させることができます。本記事では、具体的なVOC活用方法も紹介しました。
基本的にVOC活動を行う際は、その目的を明確にし、どんな情報をどうやって集めるのかを決定しましょう。VOCを活用するためには、社内で目的を共有し、運用体制をしっかりと構築しておく必要があります。必要に応じてVOCシステムを導入し、効率的に運用しましょう。

この記事の推奨者

久保 睦
久保 睦
2001年に入社後、通信、金融、通販、メーカー、サービス業のコンタクトセンターを中心に50社以上のコンサルティング、立上げ支援、ソリューション導入企画・設計・構築、アドバイザーを担当。現在は、企業の付加価値向上、CX向上、DX実現に向けたコンタクトセンター活用のプランニングなどビジネスコンサルティングを中心にプロジェクト管理、統括責任者として多数の実績あり。
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