VOC分析の方法や事例 コンタクトセンターで実施する際のポイントは?

 2023.04.04  2024.04.23

企業にとって重要な経営課題のひとつは「顧客満足度の最大化」であり、そのためには顧客の潜在需要や消費者のインサイトを的確に捉えなくてはなりません。そこで重要な役割を果たすのが、顧客の要望や不満を意思決定の材料とする「VOC分析」です。本記事では、VOC分析の基礎知識や重要性について解説するとともに、具体的な活用事例をご紹介します。

VOC(Voice of Customer)の取得から分析までの方法とは?

VOC分析とは

「VOC」とは「Voice of Customer」の頭文字をとった略称で、日本語では「顧客の声」と訳されるマーケティング用語です。企業のデータベースには、さまざまなタッチポイントを通じて獲得した顧客の声が収集・蓄積されています。顧客の声は、競合他社にはない顧客体験価値を創出するうえで欠かせない貴重なリソースです。そして、データベースに集約された顧客の声をさまざまな分析手法を用いて構造化し、経営戦略の立案やマーケティング戦略の策定に役立てる分析手法を「VOC分析」と呼びます。

VOC分析の対象となるのは、見込み客や顧客から企業に向けられるすべての意見です。たとえば、コンタクトセンターに集約される喜びの声やクレーム、お客様相談室に寄せられる要望や疑問、アンケート調査で得た忌憚のない意見、レビューサイトに掲載された口コミ、SNSに投稿された商品の感想などが挙げられます。こうした顧客の声は、商品やサービスの長所・短所を第三者視点で言語化したものと捉えることも可能であり、顧客満足度の最大化を目指すうえで重要な手がかりとなります。

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VOC分析の方法と活用事例

VOC分析には複数のフレームワークが存在しており、自社の組織体制や事業形態に適した手法を選択しなくてはなりません。ここでは、VOC分析の代表的な手法と活用事例をご紹介します。

音声認識ツール

音声認識ツールとは、ユーザーの音声をAIが自動的に認識し、テキスト化するシステムを指します。サービスによって詳細は異なりますが、データを自律的に学習・分析する機械学習や、コンピュータに言語を理解・生成させる自然言語処理などのAI技術を基盤としており、人間の手作業よりも高速かつ高精度で音声データのテキスト化が可能です。音声認識ツールの導入によって、顧客の要望やクレームなどの聞き漏らしがなくなり、さらにテキスト化された会話内容を分析することで顧客満足度の向上に役立てられます。

たとえば、ある金融機関では顧客からのお問い合わせに対して手作業での対応が多く、意見の回収やクレームの分析に多大な時間を要していました。音声認識ツールの導入によって、こうした作業が大幅に効率化されるとともに、具体的な改善策の立案・策定につながったという事例があります。

また、応対品質の高いオペレーターや優秀な営業担当者などの会話をテキスト化し、そのナレッジを共有できれば、組織全体におけるセールススキルの向上が期待できる点も大きなメリットです。

SNS・口コミのテキストマイニング

テキストマイニングとは、ビッグデータ分析における手法のひとつで、大量のテキストデータから有益な情報を抽出する技術や手法を指します。

テキストマイニングの代表的な活用シーンのひとつは、オンライン上に埋もれている潜在需要の発掘です。SNSやレビューサイトなど、オンライン上のメディアには忖度のない口コミが散在しています。この膨大な意見や感想をテキストマイニングで抽出・分析できれば、見込み客の潜在的な需要を発掘し、顧客一人ひとりにパーソナライズされた顧客体験価値を創出できる可能性が高まります。

たとえば、ある大手製薬会社はターゲティングのプロセスにおいて、想定する見込み客層と実際に商品を購入している顧客層にニーズのズレを感じていました。そこで同社は、コンタクトセンターに集約された顧客の声をテキストマイニングで抽出し、見込み客層と顧客層の間にあるニーズの差異を、具体的な言語に落とし込むことに成功しています。

また、ある食品メーカーはSNS上に散在する口コミを抽出し、そのデータから発掘された知見に基づいて商品開発を推進する、という手法を取り入れています。

インタビュー・ワークショップ

インタビューやワークショップの開催によって、見込み客や既存顧客の声を収集できれば、経営判断や意思決定を下すうえで重要な判断材料となります。たとえば、新商品を開発する際の重要課題は「ターゲティングの最適化」であり、顧客となり得る見込み客を明確に絞り込むプロセスが非常に大切です。ターゲットの絞り込みにより、見込み客の母数は大きく減少するものの、特定のニーズをもつ層に対してピンポイントに訴求することで成約率の向上が期待できます。

たとえば、ある化粧品メーカーでは、見込み客に新商品のサンプルを提供しているものの、あまり好意的な反応を得られず、改善点の具体化が急務となっていました。そこで、既存顧客へのインタビューやワークショップを実施し、新商品について忌憚のない意見を募ります。その結果、想定する見込み客と既存顧客との間にある需要の相違点や、商品パッケージの改善点などが具体化され、新商品のターゲットを絞り込むうえで貴重な判断材料となりました。

アンケート

アンケートはVOC分析における代表的な手法であり、明確な「数値」や「量」で表される「定量データ」を集計・分析するうえで欠かせない調査方法です。

先述したインタビューやワークショップは、数値化しにくい「感情」や「嗜好」といった「定性データ」の収集・分析に適しています。見込み客の深層心理にある潜在的な需要を捉えるためには定性調査が必須ですが、それだけでは主観的な分析に陥りがちであり、質的な根拠が伴わないケースが少なくありません。

その点、アンケートは「商品のイメージ」や「興味関心度」、「購買意欲」「認知度」などを段階的な評価を設けて質問し、その集計結果を分析することで、統計的な視点から対象を評価できます。

ただし、アンケートのような定量調査は、質問・集計・分析に相応の手間を要するため、一連のプロセスを効率化するシステムが必要です。たとえば、ある小売事業者はアンケート分析やフィルタリング機能を活用できるVOCツールを導入し、短時間かつ高精度なアンケート集計を販売促進戦略に活用しています。

VOC分析におけるコンタクトセンターの役割

事業戦略にVOC分析を導入するうえで重要な役割を担うのがコンタクトセンターです。コンタクトセンターは企業と顧客を結ぶ架け橋となる部署であり、オペレーターの応対品質によって顧客満足度が左右されるといっても過言ではありません。そして、日々顧客の要望や不満などが寄せられる場所でもあるため、VOC分析を実践するうえで欠かせない部署です。したがって、見込み客や顧客のお問い合わせに対応するだけでなく、一連の業務を通じて顧客の声を集め、新たな顧客体験価値の創出に貢献することがコンタクトセンターの役割といえます。

コンタクトセンターでVOC分析を実施する際のポイント

VOC分析における重要課題のひとつは「課題と目的の明確化」です。たとえば、「新商品の開発」と「サービスの改善」では、必要なデータセットが異なります。前者は競合他社との比較レビューや、見込み客が言語化できていない需要を捉える必要があり、後者は既存顧客へのアンケートやレビューサイトの口コミなどから問題点を発掘しなくてはなりません。

不要なデータセットは分析プロセスの遅滞を招く要因となるため、まずは解決すべき課題と目的を明確にする必要があります。また、VOC分析の精度を高めるためには、実施後も仮説と検証を繰り返し、PDCAサイクルに沿った継続的な改善が不可欠です。

まとめ

VOCは「Voice of Customer」の略称で、「顧客の声」と和訳されるマーケティング用語です。コンタクトセンターに寄せられる要望やアンケート調査で得た意見、SNSでの口コミといった顧客の声を抽出し、さまざまな分析手法を用いて構造化することで、経営判断や意思決定の材料とします。とくにコンタクトセンターは、見込み客や顧客の声が集約される場所であるため、VOC分析を推進するうえで非常に重要な役割を担う部署です。

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