オンライン研修で習熟度は大丈夫?
オンライン研修を成功に導くコツとは?

 2023.04.03  2024.04.23

在宅コンタクトセンターは人材不足の解消やコスト削減、BCP対策などの観点から注目を集めるようになりました。特に昨今では採用から業務に就くまでオンラインで完結する完全在宅という働き方が増加傾向となっております。しかしながら、完全在宅では業務に就くために必要なスキルが身に付くのか、習熟度を定期的に観測してスキルを維持することができるのか、不安に思われるかと思います。

この記事では、完全在宅におけるオンライン研修の手法や習熟度を測ってスキル向上を促すマネジメント手法について実例を交えて解説していきます。

オンライン研修で習熟度は大丈夫?オンライン研修を成功に導くコツとは? 1

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完全在宅を実現するオンライン採用の仕組み

完全在宅を実現するためには採用から業務に就くまでを全てオンライン上で完結する必要があります。しかしながら、特に採用するに当たっては面接、入社手続き、必要書類の提出などオンラインだけで完結することが難しいと予想される手続きが多く含まれます。
そういったことから、採用する際は対面で面接、入社手続きなどを行い、オフィスでの研修を経て、ある程度の業務経験を積んでから在宅勤務に移行するという流れが一般的かと思います。

2011年10月から在宅コンタクトセンターを推進している株式会社ベルシステム24では2022年1月より在宅コンタクトセンター拡大に向けて応募から配属までの採用プロセスのオンライン化を実現しております。
従来は拠点センター近隣の求職者を対象としていた採用活動を行っていたため周辺地域に居住し拠点センターに出社できることが採用の最低条件となっておりましたが、今後は「オンライン採用」と「在宅コンタクトセンター」とを組み合わせることで、拠点センターのないエリアを含む国内すべてを採用対象エリアとすることができ、在宅コンタクトセンター拡大の更なる加速が期待できます。

採用プロセスに関して、従来は応募があったら対面による面接、採用後は拠点センターに出社しての入社手続き、入社時の研修受講となっていたものが、オンライン採用においては応募から入社時研修までがオンライン化されることで、出社しなくても業務に従事することができる仕組みが実現されました。必要書類の提出もオンラインシステムを介すことで電子署名、証明書の確認まで一貫して行うことができ、従来よりもスピーディーに手続きをすることができるようになっております。

このオンライン採用を導入したことにより、場所に左右されず採用を行うことができるため、現在ベルシステム24が展開する全国39拠点を中心として国内すべてを網羅する採用ネットワークを確立することができております。
これにより、出社することなく全国の人材がオンラインで就業できるため、完全在宅型コンタクトセンターも実現可能となっております。

このようにオンライン採用の仕組みを取り入れることは、採用から業務に就くまでオンラインで完結する完全在宅という働き方を実現する第一歩となり、不可欠な要素となります。また、全国の人材を活用することができるようになるという副次効果も生むのです。

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オンラインでも問題なくスキル習得できる研修手法

さて、オンライン採用の仕組みが整ったら、早速全国の人材を採用し、業務に就いていただきたいと考えるかと思いますが、業務に就いていただくためには配属される業務に必要なスキル習得が欠かせません。パソコン操作などのミニマムスキルは面接時に確認し、既にスキルを保有しているメンバーが採用されることを考えると、ミニマムスキルの習得は考慮しなくても良いかもしれませんが、重要なのは業務知識や運用フロー、エスカレーションルールなど業務を遂行するために必要な業務スキルの習得です。
オンラインで業務スキル習得をいかに実現したか、株式会社ベルシステム24で実践した研修手法を元に解説していきます。

オンライン研修では講師によるライブ研修の他に動画配信も行っております。研修の1日の流れとしては、ライブ研修受講、動画視聴、受講生同士によるロールプレイングやディスカッション、最後にeラーニングシステムによる理解度チェックのためのテストを受講して終了です。

講師によるライブ研修はオンライン会議システムを使って行われます。講師は2名体制とし、1名は講義、1名は質疑応答を行います。
質疑はオンライン会議システムのチャット機能をメインで使用します。受講生は講義中に不明点があった都度、チャットに質問を投稿します。質疑応答を担当する講師がチャットにリアルタイムで回答していきます。こうすることで、不明点を即時解消し、講義についていけなくなりわからないまま研修が進んでしまった、という状況を解消します。なお、オンライン会議システムの挙手機能も活用し、講義中に口頭で質問するなどのコミュニケーションも可能としております。
ライブ研修を成功に導くためには不明点をそのままにしない、リアルタイムなコミュニケーションを受講生主体で進捗する、誰も置いて行かない研修プログラムを構築することが重要です。

動画視聴は復習に活用します。ライブ研修を受講後、受講した研修と同様の内容をまとめた動画を視聴することで繰り返し学習を行い習熟度を高めていきます。なお、マニュアルを見返すなどの方法でも復習は可能ではないかと思われますが、オンラインで独りでマニュアルを読むだけでは集中力を維持できない、という過去の受講生の声を参考に動画を取り入れております。動画であれば画面効果や音などで飽きがなく、聞き逃した箇所は戻って再生し直すことができるので、動画視聴という研修手法は多くの受講生に受け入れられています。

オンライン会議システム上での受講生同士によるロールプレイングやディスカッションは孤独感・疎外感を払しょくするとともに帰属意識の醸成に役立ちます。先の動画視聴で触れましたが、完全在宅は独りで研修を受講し、業務に就くため、コミュニケーションが希薄になりがちで疎外感・孤独感が募り離職に繋がります。また、講師であるSVとのコミュニケーションだけでは上司、部下の関係のみで同僚というフラットに意見を言い合え、相談できるような関係性は構築できません。
講義で学習したことを元に受講生同士でロールプレイングやディスカッションをすることでコミュニケーションを活性化し受講生同士の関係性構築を促し、疎外感・孤独感を払拭、且つ帰属意識醸成を目指しています。

eラーニングによる理解度チェックは研修終了後に毎日行います。ライブ研修、動画視聴、ロールプレイングやディスカッションで理解が深まったか、受講生間の習熟度にバラツキがないかを確認するために行います。理解度チェックの結果を見て、翌日の研修の流れを調整したり、カリキュラムを調整したりして習熟度のバラツキ抑制に努めます。
また、習熟の状況が思わしくない受講生には1on1面談を行い悩みや課題をヒアリングして是正にも努めます。

このようなオンライン研修を行った結果、座学研修のアセスメントは受講者全員が合格し、80%の受講生がモチベーションを維持した状態で研修に取り組むができたとアンケートで回答しております。
なお、こうした研修を受講した完全在宅で勤務するメンバーの入社から4ヶ月内の定着率は80%以上で、同期間のセンター勤務メンバーと比較して20%程度高く推移しております。

オンラインであってもコミュニケーションを密にする、独りでもモチベーションが低下することなく学習できる仕組みを取り入れることで、問題なく業務に就いていただくことができます。特に完全在宅での勤務に関しては通勤不安、人間関係不安などもないことから長く就業してくれる傾向があるため、人員確保を容易にし、応対品質向上にも繋がると考えられます。

リモートでもスキル維持できるコミュニケーション手法

先の研修手法で述べたように完全在宅での勤務の定着率はセンター勤務の20%程度高いという結果が出ております。しかしながら、この定着率を実現するためにはコミュニケーションの工夫が必要不可欠です。なぜなら、完全在宅で勤務するコミュニケーターは業務に就くようになると独りでお客さまの対応を行います。そこで課題になってくるのが孤独感・疎外感です。この課題を生む要因はコミュニケーションの希薄さ、です。孤独感・疎外感が原因で離職してしまってはスキル維持も叶いません。
株式会社ベルシステム24が実践した孤独感・疎外感を払しょくするコミュニケーション手法についても解説いたします。

在宅コンタクトセンターでは主なコミュニケーション手段となるオンライン会議システムでのコミュニケーションの仕方を工夫しております。オンライン会議システムの仕組みを活用して疑似オフィスのような環境構築を実現しております。
採用から研修受講までは前述の通りですが、業務に就いていただいた後はエントランス、受電エリア、会議室/個室のセッションに分かれた疑似オフィスで勤務し、エントランスでは出勤前の雑談や休憩を行い、会議室/個室では1on1面談やヒアリングなどが行われます。
セッションを分けることで、オフィス内で部屋を移動するような感覚、同僚とコミュニケーションがとれる場を設けることで、オフィスで勤務しているような感覚を醸成し、疎外感・孤独感の払拭を実現しております。

また在宅業務のマネジメントに関しても全コミュニケーターの応対をテキストで把握し、予め設定したキーワードによってアラートを発せられる音声情報ソリューション「AmiVoice(アミボイス)」を活用して工夫を凝らしております。
AmiVoiceは単に音声をテキスト化して、キーワードを検知してアラートを発するだけではありません。座席表から通話内容を可視化して複数同時にモニタリングができる、コミュニケーター、SV間の双方向コミュニケーションを簡単操作で行うことができる、キーワードだけではなく感情の変化も検知することができる、など在宅コンタクトセンターの遠隔マネジメント運用に必要不可欠な機能を網羅しているため、孤独感・疎外感払拭に直結するマネジメント、コミュニケーションを実現することができるのです。

株式会社ベルシステム24ではこれらの手法を盛り込んだ在宅コンタクトセンターソリューション「Bell@Home」を提供しており、採用、在宅オペレーション、そしてオペレーションの高度化を実現する先端技術の導入までを網羅したトータルコーディネートを実現しています。

まとめ

近年増加傾向となっている完全在宅による働き方を在宅コンタクトセンターで実現するためのオンライン採用の仕組み、オンラインであってもスキル習得できる研修手法、離職抑止を目指した孤独感・疎外感を払しょくするためのコミュニケーション、マネジメント手法について解説してきました。完全在宅型コンタクトセンターは高い定着率による雇用の確保の容易さ、応対品質向上が期待されるため、是非取り入れていきたい業務形態かと思います。

しかしながら、完全在宅型コンタクトセンターを実現するためには採用の仕組みの構築、研修カリキュラムや完全在宅を組み込んだ運用の構築などに時間もコストも必要となるため、早期に完全在宅型コンタクトセンターの実現を目指すのであれば在宅コンタクトセンター構築実績のある専門のベンダーに業務設計から運用までを委託することも有効な手段です。

在宅コンタクトセンター導入の検討に当たって、多種多様な業務での在宅業務実績、蓄積されたノウハウを活かした在宅コンタクトセンター構築メソッドと在宅コンタクトセンターソリューションを持ち合わせた株式会社ベルシステム24に在宅コンタクトセンターのコーディネートをお任せする、という選択肢もあります。在宅コンタクトセンターを導入したいとお考えでしたら、一度相談してみることをお勧めします。

執筆者紹介

西村 直人
西村 直人
2006年に入社後約10年間、オペレーション部門に所属し、通信業界、ソーシャルゲーム業界のカスタマーサポート業務のマネジメントを経験。ソーシャルゲームの業務におけるメール応対品質の改善施策などで社内表彰を3年連続受賞。その後は企画部門に配属となり、業務効率化を支援するソリューションの導入を推進。また、在宅業務推進プロジェクトのプロジェクトマネージャーとして約2,000席規模の在宅業務推進を実現。
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