リアル店舗は消えるのか?
店舗販売ならではのメリットと生き残り策

   

ECサイトでの販売が増える現代、リアル店舗の存在価値が問われています。リアル店舗の強みをしっかりと把握しそれを十全に活用することが、生き残るためのカギです。本記事では、リアル店舗ならではのメリットを整理し、それを活かすためのポイントを解説します。

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実店舗の数・販売額の推移

まずは、「新型コロナウイルスの影響が大きかった昨今、実店舗数や販売額はどのように変化しているのか」を主な業種ごとに解説します。ここでは、経済産業省のデータを基に、2022年上期の商業販売額を振り返ってみましょう。
前年(2021年)に引き続き、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による営業制限や外出自粛などの影響を受けているものの、2022年上期の商業販売額は前年比6.5%増加の約284兆円でした。2020年の大幅な落ち込みからの反動増が続いていると考えられます。

主な業種別に見てみると、好調が続くドラッグストアの販売額は前年比増を維持し、店舗数も増加傾向にあります。コンビニは、前年と比較すると店舗数は低下しましたが、1店舗当たりの販売額が増加した結果、前年比販売額増になりました。家電量販店やスーパーの店舗数・販売額は、新型コロナウイルスの影響で売上が落ち込んだ前年と比較すると、増加傾向へ転じています。ホームセンターは、前年では在宅需要が一巡したことなどから店舗数は販売額ともに減少しましたが、22年上期は店舗数をわずかに増やしました。苦戦が続く百貨店は、店舗数を限ることで1店舗あたりの販売額を大きく回復させており、販売額は増加傾向にあります。

2022年上期小売業販売を振り返る

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リアル店舗ならではの強み

今日、パソコンやスマートフォンからECサイトで簡単にモノが買えます。しかしリアル店舗だからこそ提供できる強みや価値は依然として存在します。「リアル店舗とは何のためにあるものなのか」「顧客はリアル店舗に何を期待しているのか」を理解して、営業に活かすことが重要です。

商品を手に取って見られる

ECサイトのユーザーは、画像・紹介文・レビューなどをチェックして購入を検討します。一方リアル店舗なら、商品を実際に手に取ってチェックできます。この点は特に、アパレルショップなどで大きな利点です。
ECサイトによっては動画を使ったり、ショップの店員などの着画を掲載したりと、購入検討に役立つ情報を充実させています。しかしやはり、「実際の色味やサイズ感、素材の質感などを確かめてから購入したい」と考える人は少なくありません。

適切な価格を付けやすい

ネット販売では、さまざまなショップ間で商品を比較できるため、価格競争が起きやすくなっています。例えばユーザーは、アイテムや色味で検索をかけて一覧表示された結果を、さらに「5,000円~1万円」などの価格条件で簡単に絞り込めます。そしてユーザーの心は、より安い商品に流れがちです。したがって企業側では、商品の”安さ”をアピールする必要性が高まり、商品の値段をどんどん下げざるを得なくなります。
リアル店舗の来店客にとって、無数にある商品の値段を比較検討することは容易ではありません。そのため価格競争が比較的起きにくく、「適切な価格を付けやすい」というメリットが生じます。

直接的なコミュニケーションが取れる

来店客が、同行者やスタッフとコミュニケーションを取りながら商品を選べるのも、リアル店舗ならではのメリットのひとつです。スタッフから商品のより詳しい説明や、ニーズによりマッチするサービスの提案を受けることもできます。
リアル店舗ならではの、よりパーソナライズ化された対応も魅力です。例えば、購入予定の商品について、「近いうちにモデルチェンジされること」「モデルチェンジに伴って、既存モデルのセールが予定されていること」などを教えてもらえる機会もあるでしょう。こうした親切かつ的確なアドバイスの提供は、リアル店舗独自の価値であり、顧客体験の最大化やリピーターの獲得につながります。

知らなかった商品との出会いの場を提供できる

ネットには「自分が欲しい商品を探すのは簡単でも、知らない商品を探すのは難しい」という特徴があると考えられます。名前を知らなかったり、関連キーワードを思い付かなかったりする商品については、そもそも検索できないからです。
リアル店舗の場合、商品との思いがけない出会いをすることも珍しくありません。例えば多くの人が、アパレルショップに行ったとき「スタッフやマネキンが着用している服を見て、目当てのものよりもそちらのほうが欲しくなってしまった」という経験をしているでしょう。このように、予期しない新商品や掘り出し物を発見する可能性に充ちている点は、リアル店舗の大きな強みです。

リアル店舗が生き残っていくためには?

リアル店舗が今後生き残っていくうえでは、顧客が実店舗に行く理由やリアル店舗に求めるものを分析しながら、「あらゆる販売経路と連携させて、顧客の利便性を高めていくこと」が重要です。その際、「オムニチャネル化」が重要なキーワードになります。

オムニチャネル化を目指す

オムニチャネル化とは、リアル店舗やECサイトなど複数の販売経路を持つ企業が、それら経路を統合し、顧客にトータルな方法でアプローチしていくことです。昨今では、SNSなどの普及で顧客による自発的で広範囲な情報収集が可能になり、購入までの行動も多様化しました。そうした中で、自分の都合に沿って、ネットと店舗を使い分ける消費行動が当たり前になっています。

こうした現代的環境において、顧客の販売機会を着実に増加させたり、購入を実現しやすい状況を整えたりする戦略のひとつがオムニチャネルです。リアル店舗やECサイトに加えて、テレアポ・メルマガ・SNS運用などまで連携させ、顧客と自社とを結びつけます。
例えば、「SNSでキャンペーン情報を入手した顧客が、該当商品をネットで注文し、会社帰りに最寄りの店舗でそれを受け取る」といった購入プロセスが、オムニチャネル化で実現できます。ここでカギとなっているのは、多様な購入行動を取る顧客データを一元管理することで、個々の顧客に適切な対応を取れる環境を整えることです。

オムニチャネル化のメリット

オムニチャネル化は、顧客と企業の双方にメリットをもたらします。まず、顧客はよりスムーズに商品を購入し受け取れるようになるため、顧客体験や満足度の向上につながります。これは結果として、企業側での顧客の囲い込みに寄与するでしょう。
また企業は、個々の顧客へ多様なアプローチを取れるため、販売機会損失のリスクを軽減できます。このアプローチと併せて、あらゆるタッチポイントにおける顧客行動のデータを収集することが重要です。これらデータを蓄積しておけば、カスタマージャーニーの総合的な分析も可能となり、マーケティング施策に活かせるからです。

オムニチャネルを実現した企業事例

最後に、オムニチャネル化の成功事例を紹介します。世界でトップクラスの販売額を誇るスーパーマーケットチェーンでは、EC販売を重視しつつ、実店舗と連動させた施策を行いました。代表的な施策が、「ネットショップで商品の支払いを済ませた顧客が、実店舗に来店し、ドライブスルー方式で該当商品を受け取る仕組み」です。この仕組みが大きな成果となり、ネットショップの売上を40%もアップさせました。なおこの方式は、来店客とスタッフとの接触を最小限に抑えられるため、感染症対策としても有用です。

また、衣料品店舗を運営する企業の多くは、ECサイトで購入した商品を店舗で受け取れるサービスを導入し、来店促進を図っています。店舗に来てもらう機会が増えれば、クロスセルなどを直接もちかけやすくなり、顧客単価アップも期待できます。

まとめ

ECサイトの利便性に押されるように、業種によってはリアル店舗を削減している現状があります。しかしリアル店舗固有のメリット・ニーズは根強く存在します。
重要なことは、ECサイトとリアル店舗を対立させて考えるのではなく、うまく連携させて相乗効果を狙うことです。その一手段として、オムニチャネル化が近年のトレンドです。オムニチャネル化は顧客の利便性や満足度向上に寄与することで、結果として固定客数の増加や売上アップにつながります。オムニチャネル化によって企業と顧客とのwin-winの関係を目指しましょう。
時代に合った顧客へのアプローチをさらに知りたい方は、以下の資料もぜひご覧ください。

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