AIチャットボットのすべて:特徴、種類、メリット、デメリットを徹底解説

 2022.08.09  2023.10.31

チャットボットは近年、コールセンターをはじめとしてさまざまなシーンで導入・活用されています。本記事では、AIを搭載したチャットボットの特徴や種類、AIと非AIとの違いやそれぞれのメリットとデメリットを解説しています。活用シーンや成功事例も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

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AIチャットボットとは

チャットボットとは、「チャット」と「ボット」を組み合わせた言葉であり、会話を自動で行うプログラムのことです。チャットボットによって、ユーザーから受けた質問に対して、自動で回答できるようになります。チャットには人による対応を行う有人チャットと、人を介さない無人チャットの2種類があり、チャットボットは無人チャットにあたります。

チャットボットは、テキストや音声により入力された質問をプログラムによって処理することで、回答を行う仕組みです。現在では、ブラウザやSNS、アプリなどに実装して利用されています。そして、チャットボットにAIを搭載したものとしてAIチャットボットがあり、より高度なやり取りが可能です。

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チャットボットの種類

チャットボットにはルールに基づいて会話を行うルールベース型と、AIを搭載した機械学習型の2種類が存在します。それぞれに得意・不得意があるので、うまく使い分けることが重要です。

事前に作成したルールに基づいて会話を行うルールベース型

ルールベース型とは、あらかじめ会話のベースとなるシナリオをプログラムしておくことで回答を行うチャットボットです。よくある質問やトラブルへの対応を自動化するのに適しています。

表示される選択肢をユーザーが選ぶことでシナリオが進められていき、最終的に必要な情報を提供します。求められた情報が記載された記事を表示させることも可能です。

既存のよくある質問をまとめた記事などがあれば、チャットボットシステムを簡単に構築できます。ルールベース型チャットボットを利用することで、ユーザーが自力で必要な情報に辿り着くためのサポートを行えます。ただし、ルールベース型チャットボットにはAIが搭載されていないため、柔軟な対応は困難です。

AIを取り入れた機械学習型

機械学習型とは、高度な処理が行えるAIを搭載したチャットボットであり、AIチャットボットと呼ばれるものです。ルールベース型チャットボットと比べて、より人間に近い自然な会話ができます。AIがユーザーとの会話から機械学習を行うので、長く運用するほど回答の精度が向上します。同時に複数の内容が盛り込まれた質問を識別することも可能で、条件分岐などの複雑な質問にも対応できます。

適切な情報を提供するには、運用前に大量のデータを学習させておくことが必要です。そのため、ルールベース型チャットボットよりも、導入までに時間を要します。運用開始後は、ユーザーとのやり取りによって自動で学習を行うものの、回答精度を向上させるためのメンテナンスやチューニングが必要です。

AIチャットボットのメリット

AIチャットボットは顧客からの問い合わせに対して、人間のように自然な対応を自動で行えます。AIチャットボットなら自動化による無機質感を抑えられ、親近感を抱いてもらいやすいでしょう。また、顧客は質問を気軽にできるため、より多くの情報を集められます。

お問い合わせ対応の効率を上げられる

チャットボットの導入により、これまで人力で行っていた問い合わせへの対応を自動化できるため、業務効率の向上が期待できます。対応を自動化することで、業務負担の軽減や人件費の削減が可能です。自動化によってカスタマーサポートのスタッフは、より優先度の高い業務に時間を費やせます。いままでお問い合わせ対応で発生していた残業時間を削減することも可能です。

一度に多数の問い合わせがあった場合でも、チャットボットであれば対応できます。AIを搭載した機械学習型のチャットボットを導入すれば、広範な問い合わせ業務を自動化することが可能です。

顧客との接点を増やせる

チャットボットを活用すれば、顧客との接点を増やせます。電話やメールなどで問い合わせすることが手間に感じていたり、億劫になっていたりする顧客でも、チャットボットであれば手軽に質問が可能です。

また、チャットボットであれば質問を投げかけるとすぐに返答があるので、電話がつながらなかったり、待ち時間が長かったりという不満の解消もできます。24時間365日稼働できるため、時間外の顧客へ対応できないといった取りこぼしを防ぐことも可能です。

顧客データを蓄積してマーケティングなどに活かせる

チャットボットへ投げかけられた質問は蓄積されるので、マーケティングに活用できます。問い合わせには顧客の悩みや要望が詰まっているため、ニーズの収集が可能です。チャットボットであれば、人が対応するよりも顧客の本音を引き出しやすく、より有益な情報を得られるでしょう。

悩みをもったすべての顧客が問い合わせを行うとは限らないので、少数意見の中に問題やニーズが隠れている可能性もあります。集まった顧客の声をもとにして、ニーズの把握やサービスの改善を実施しましょう。

AIチャットボットのデメリット

AIチャットボットによってオペレーター業務を自動化できるものの、導入にはコストと時間を要します。AIの学習量が不十分だと適切な回答ができないため、導入前に大量のデータをAIに学習させることが必要であり、時間がかかってしまうのです。AIへの学習やトラブルへの対応などを行うために、AIに精通した人材も求められます。

AIチャットボットによる回答は完全なものではなく、人による対応が必要なこともあります。条件分岐の多い複雑な質問などは、スタッフの対応が必要です。また、人間のような柔軟な対応はできないため、顧客とのコミュニケーションには限界があります。丁寧にヒアリングを行う必要がある場合には、人間のスタッフが対応するのが望ましいでしょう。

非AI型チャットボットのメリット

ルールベース型やシナリオ型の非AI型チャットボットのメリットとしては、導入が容易であること、低コストであること、ルールに従って業務を処理してくれることが挙げられます。

ルールやシナリオは、FAQ(よくある質問)などからピックアップして登録すれば作成できます。担当者には特に難しい専門的な知識は求められません。ITスキルに自信がなくても比較的容易に作成できるため、導入にあたってのハードルが低いことがメリットのひとつです。

あまりコストをかけずにチャットボットを導入し、運用できることもメリットとして挙げられます。「まずはお試しで使ってみたい」といった場合におすすめできます。

質問に対してあらかじめ決められた回答を返すように設定されているため、コンピューターが想定外の誤回答をすることはありません。あらかじめ決められたルールに則って、淡々と業務を処理していける点もメリットです。

たとえば創業間もないスタートアップ企業などで、特殊な質問が少なく、問い合わせ件数も多くない場合には、わざわざAIチャットボットを使う必要性はないかもしれません。価格を抑えて容易かつスピーディにチャットボットを導入できることから、ルールベース型やシナリオ型の非AI型チャットボットは有効な選択肢のひとつです。

非AI型チャットボットのデメリット

AIを搭載しないルールベース型やシナリオ型チャットボットが適さないシーンもあります。

非AI型チャットボットはよく寄せられる質問をあらかじめ設定し、作られたシナリオに沿って回答します。ユーザーの質問した言葉が、シナリオとして登録されていなければ、チャットボットは回答できません。たとえば挨拶の言葉として「こんにちは」しか登録されていなければ、「こんばんは」に対して回答することはできません。ユーザーはそこから先に進むことはできず、結局、人が対応する窓口に回ってしまうことになります。

非AI型チャットボットでは、言葉の表記や表現が微妙に異なる「表記ゆれ」「表現ゆれ」などに対応することは困難です。複雑な質問の場合には、非AI型チャットボットが適切な回答を返すことはほぼ期待できません。ユーザーにはチャットボットの動きや認識の仕方を知る由もなく、適切な回答をしてもらえなかったことで、余計に手間だと感じるかもしれません。

こうした非AI型チャットボットのデメリットを解消するためには、できるだけ多くのシナリオを用意する必要があります。
シナリオは一度作ったからといって、そこで完了ではありません。質問への回答内容に変更が生じれば修正しなければならず、定期的なメンテナンスは欠かせません。

最初の質問から分岐して回答していく場合、最初の質問に対する回答を修正すれば、その後も修正が必要になることから、作業は煩雑になります。

このようなことから、さまざまな質問を想定しなければならない業務や、シナリオの修正が頻繁に起きやすい業務などでは、ルールベース型・シナリオ型よりもAI型のチャットボットの方が適しています。

AIチャットボットの導入の流れ

AIチャットボットの導入前に、目的を明確にしておきましょう。どのような業務をAIチャットボットに任せるのか、導入することでどのような効果が見込めるのかを、はっきりさせておくことが必要です。導入目的があいまいなままだと、AIチャットボットを導入したものの、不向きな業務を任せてしまって使えないなどの問題が生じる原因となります。

導入目的が明らかになったら、ルールベース型とAI搭載の機械学習型のどちらにするかを決めましょう。AIチャットボットだと、ルールベース型をカバーした上で、運用とともに学習していくため、より精度の高い回答や広範な業務を担当させることが可能です。

種類を決めたら、よくある質問と回答など、チャットボットに学習させるデータや資料の準備を行い、AIへの学習を進めていきます。学習させた後は、回答精度がどのくらいあるのかを確認するために、テストを実施します。誤った回答がみられる場合には、修正することが必要です。そして十分な回答精度が得られたら、運用を開始しましょう。なお、運用開始後も、こまめに回答精度の確認およびメンテナンスを行うことが必要です。

チャットボットを導入するには、自社でプログラミングを行ってシステムを構築する方法と、ツールを導入する方法の2通りがあります。プログラミングスキルを持った人材や開発予算、開発期間といったリソースを割けるなら、自社開発が可能です。こうした環境がなければ、ツールによる導入を検討しましょう。

AIチャットボットの活用シーン

現在、AIチャットボットは企業や自治体の新しい取り組みとして大きな注目を集めています。ここでは、どのようなシーンで活用されているのか、代表例を紹介します。

社内ヘルプデスク

昨今、DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現に向けて、全社で取り組んでいる企業は少なくありません。ビジネス面におけるDXとは、データやデジタル技術を活用することで、製品やサービス、ビジネスモデルを根底から変革し、市場優位性を確保することです。

業務のDX化の一貫として、AIチャットボットを社内ヘルプデスクに導入する企業が増えてきています。社内ヘルプデスクは、従業員がスムーズに業務を進める上で有用ですが、頻繁に同様の問い合わせに対応していては非効率であり、担当者の労働環境が悪化してしまうおそれもあります。

従業員からの質問に対して、自動的に適切な回答を返してくれるAIチャットボットを活用すれば、社内ヘルプデスクの業務効率化を図れます。ボットは、経験を重ねていくことで学習し、より最適な回答が得られるようになります。経験を重ねれば、人間と同じような、自然なやり取りが可能になる点は大きなメリットです。

ナレッジ共有

従業員自身が不明点について検索し、解消する方法として、ナレッジを共有することも業務効率化を図るうえで有効です。

AIチャットボットを導入すれば、従業員は自ら知りたいことを知りたいタイミングで気軽に検索できます。これまで社内ヘルプデスクが対応していたことをボットに任せることができれば、人的リソースを最適化できる点も見逃せません。人を定型的な問い合わせ業務から解放できれば、業務の生産性向上も期待できます。

カスタマーサポート

社内ヘルプデスクと同様に、自社の商品やサービスを利用している顧客からの問い合わせ対応にも、AIチャットボットの活用は有効です。よく寄せられる質問と回答をボットに設定しておけば、顧客の質問に対してボットが回答してくれます。ボットは、過去に寄せられた問い合わせデータを収集して学習経験を積み重ね、よりよい回答を導き出します。顧客からの質問に対して迅速かつ正確に回答できれば、顧客満足度が向上し、さらなる売上につながることが期待できます。

自治体サービス

近年は、民間企業だけではなく、自治体のサービスにもAIチャットボットが活用されるようになってきました。従来は自治体職員が行っていた一部の住民サービスをボットに任せることで、平日、土日祝日を問わず、いつでも対応できるようになります。比較的低コストで導入でき、人件費を削減できることも高く評価されるポイントです。自治体サービスへのAIチャットボットの導入は、自治体、住民それぞれにメリットがあります。

AIチャットボットの成功事例

AIチャットボットを導入する前に、成功事例を見ておけば、導入後のイメージがわきやすくなるかもしれません。ここではアパレルブランドと自治体の取り組み事例について紹介します。

アパレルブランドでの取り組み事例

あるアパレルブランドでは、自社アプリの中でおすすめのコーディネートやトレンドを教えてくれる、AIコンシェルジュサービスを提供しています。顧客がショッピングをする際に商品を探す手伝いをしたり、オンラインストアや近隣の実店舗を案内したりしてくれます。さらに、実際に店舗へ足を運んだときには、スマートフォンのアプリ上でおすすめの商品やコーディネートを見ることができ、当該商品の在庫状況も確認できます。

AIコンシェルジュサービスを利用すれば、顧客はいつでもどこでも気軽に相談してショッピングを楽しめます。店舗側もボットを導入することで、人件費や広告宣伝費の削減、顧客満足度の向上によるリピーターの獲得、売上の向上など、さまざまなメリットが得られます。

自治体での取り組み事例

ある自治体では、コールセンターにAIチャットボットを導入して試験運用を行っています。住民が知りたい情報をメッセージ欄に入力すると、いくつかの回答候補が表示され、住民の選択に応じて回答が表示される仕組みです。そのほかに、知りたい情報を選択肢から選んでいく方法も用意されています。たとえば「住民票を郵送してほしい」といったような、必ずしも人が対応しなくてもよい定型的な業務に活用できます。

ボットは、過去に行われた質疑応答データを収集して学習します。学習を重ねることで、住民は知りたい情報によりすばやくアクセスできるようになり、自治体も問い合わせ対応にかかる人や時間を大幅に削減できます。住民と自治体の双方にメリットがあります。

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まとめ

AIチャットボットは、テキストや音声によるお問い合わせに対して、プログラムに従って自動で回答を行うシステムです。自ら学習していくAIを搭載しているので、回答の精度が高く、問い合わせ業務の自動化を行えます。なお、AIチャットボットは回答精度を高めるために、運用状況を確認し、メンテナンスを行うことが必要です。

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https://www.cloud-contactcenter.jp/ekubot

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