コールセンター部門を持つ企業の経営に携わる方の中には、業務効率化や生産性向上を目的として、テキストマイニングに着目している方も多いのではないでしょうか。この記事では、テキストマイニングの概要から活用のポイント、用いる分析手法、活用例まで紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
テキストマイニングとは?
テキストマイニングとは、情報抽出技術のひとつであり、テキストから必要な情報を抜き出し活用する技術です。情報を迅速に把握できる技術であるため、コールセンターなど大量のデータを扱う企業・部門から注目を集めています。
データマイニングの1つ
データマイニングとは、すべての情報を抽出対象とするものであり、文字列から情報を抜き出すテキストマイニングは、その一部に含まれています。データマイニングはあらゆるデータから情報を抽出し、統計的な分析などに用いられています。たとえば、アンケート結果の分析などに活用されており、FacebookやTwitterといったSNSでのアンケートや、記述式のアンケートまで分析することが可能です。
文字情報を多く扱うコンタクトセンターにおいては、テキストマイニングを活用し、顧客から寄せられた情報を分析することで、品質改善などに役立てられます。テキストマイニングは文章のおおまかな特徴を捉えて情報を抽出することで、たとえば顧客の潜在的なニーズや顧客満足度を把握することが可能です。
大量のテキストから必要な情報を見つけ出せる
テキストマイニングは、自然言語処理によって解析を行う技術です。自然言語処理とは、言語をシステムによって処理し情報を抽出する技術であり、これを活用すれば文章データから短時間で必要な情報を抽出できます。
さらに、テキストマイニングツールの中には、分析機能が備わっているものもあり、相関関係の分析などが行えます。近年はビッグデータを活用したデータドリブン経営が注目されていることもあり、大量のデータから情報を抜き出し活用できるテキストマイニングは、その有用なアプローチのひとつとされています。
テキストマイニングを活用するポイント
テキストマイニングは、ポイントを理解し適切に活用することで効果を発揮します。抽出する情報の選択や搭載されている辞書の性能などによって、得られる結果は変わります。情報を抽出するだけでなく、改善活動に活かすことを念頭に置きましょう。
テキストマイニングの目的をはっきりさせる
テキストマイニングをマーケティングなどに活用する場合においては、まず目的を明確にすることが重要です。何に活用するかを明らかにすることで、抽出すべき情報が決まります。目的があいまいな状態で利用しても、抽出する情報を適切に設定できず、有用な分析結果を得ることは難しいでしょう。
テキストマイニングは、数値化できないテキストデータを定量的に取り扱う技術です。そのため、目的をしっかり設定することで、どの文章データを収集・分析するかを決定でき、分析も効率化します。
また、分析結果を得た後にどのように活用するのかについても考えておくと、抽出したのはいいものの活用できずに終わるといった事態を防げます。なお、抽出した情報を解釈し、分析結果を活用するには、テキストマイニングやデータ解析の知識が必要であるため、データサイエンティストなどの人材が社内にいると、一層高い効果を得られるでしょう。
辞書を作成する
テキストマイニングでは、システムに搭載されている辞書が重要な役割を持っています。辞書に登録されている情報をもとにして、テキストデータの識別を行うことから、辞書情報に多くの言葉を登録しておくことが必要です。言葉の言い回しや過去形などにも配慮する必要があるため、登録する情報は膨大となります。
新しい用語や流行りの言葉、業界特有の専門用語などを登録しなければならないので、こまめな辞書情報の更新作業が必要です。したがって、テキストマイニングシステムを導入する際には、辞書の更新が可能かどうか、登録や設定を簡単にできるかなどの仕様を確認しておくのが望ましいでしょう。
分析結果をもとにPDCAを回す
テキストマイニングによって取り出した情報を分析したら、結果を確認して終わるのではなく、PDCAを回して改善につなげていくことが必要です。PDCAを回すには、分析結果を理解して、評価する必要があるものの、最も時間をかけたいのは改善策の策定です。
分析結果がひと目でわかるように出力されるツールがあれば、情報の整理や報告資料を準備するために必要な時間の削減が可能となり、具体的なアクションプランを考える作業に注力できます。そのため、システムを選ぶ際にはレポーティングの出力形式や可視化機能にも注目しましょう。
テキストマイニングの分析手法
テキストマイニングとひと口にいっても、主成分分析や対応分析、センチメント分析といった、多様な分析手法を組み合わせて解析しています。
主成分分析とは、テキストデータの全体像を捉えてまとめる分析手法です。ビッグデータにはさまざまなカテゴリに分類される情報がひとまとめにされており、そのまま抽出するだけではデータの活用が困難です。そこで、主成分分析によって情報を要約することで、使いやすい形で抽出できます。たとえば試験成績の表示においては、点数を羅列するのではなく、偏差値に変換して表示するというように、複数の情報をまとめる役割を果たします。
対応分析は、図示することで情報の関係性を可視化する手法です。対応分析によって情報同士のつながりが表やグラフで示されるので、理解しやすくなります。
センチメント分析は、テキストデータから感情を読み取る分析手法です。テキストデータをポジティブ、ネガティブ、ニュートラルといった感情に分類することで、商品やサービスの満足度を測れます。抽出する情報を適切に設定することで、改善活動に活用しやすい形として、結果を出力することが可能です。
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テキストマイニングの活用例
コンタクトセンターやコールセンターにおいてテキストマイニングを活用することで、さまざまなメリットが得られます。顧客との対話を記録した音声データには、貴重な情報が多く含まれていることから、分析することで顧客満足度や生産性、品質の向上につなげられます。
音声データから意見の集計や抽出を手作業で行うことは、多くの労力と時間が必要になるため、現実的ではありません。音声データにテキストマイニングを適用できれば、顧客との対話から必要な情報を素早く抽出できます。顧客との会話を音声認識システムによってテキストデータへ変換し、テキストマイニングシステムへ流し込むことで、簡単に情報を抽出および分析することが可能です。
分析結果は、マーケティング施策の立案や商品・サービスの改善、オペレーターの対応品質向上など、多方面にわたって役立てられます。分析結果をもとにFAQを整備することで、問い合わせ件数を減らすことも可能でしょう。コンタクトセンターやコールセンターでは、日々の業務から情報を得られるので、効率的な情報収集を実現できます。
まとめ
テキストマイニングは、文章データから必要な情報を抜き出し活用する技術です。これをうまく利用することによって、膨大な情報を迅速に把握できます。主成分分析や対応分析、センチメント分析といった多様な分析手法により、情報を把握しやすい形にして提供することが可能です。
コンタクトセンターやコールセンターにおいて蓄積された音声データは、音声認識システムによってテキストデータに変換することで、テキストマイニングを活用できます。分析結果は、業務や商品・サービスの品質向上に反映できるため、テキストマイニングを積極的に活用してみてはいかがでしょうか。
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