コンタクトセンターでは、日々顧客とのコミュニケーションが行われ、膨大な通話データが集積されています。一方、これらのデータを十分に分析し、商品開発などに活かせていない組織もあるでしょう。本記事では、顧客の声を分析するのに便利なテキストマイニングについて解説し、高度な機能を備えたツールについても合わせてご紹介します。
お客さまの声を分析する「テキストマイニング」とは?
テキストマイニングとは、大量のテキストデータから何かしら有効な情報を抽出することを指します。いわゆる「ビッグデータ」の活用例のひとつです。自然言語解析の手法を用いて文章を単語に分解し、その単語の相関関係や出現頻度などを分析します。
ビッグデータは、数値で表せる定量的なデータと文字列からなる定性的なデータに分けられますが、テキストデータは典型的な定性データです。テキストマイニングによって、大量の定性テキストデータから意味のある形に情報を分析し活用します。
テキストマイニングで重要な課題を解決
では、なぜテキストマイニングが注目されているのでしょうか。その効果について、マーケティング的な観点や組織内の観点から詳しく解説します。
サービスの解約を阻止
どんな商品やサービスでも、顧客からのフィードバックを得て分析し、商品やサービスの改善や開発に活かしているでしょう。しかし、特に消費者向けのビジネスの場合、フィードバックの数が多くなかなか分析が進んでいないケースもあります。そこでテキストマイニングを活用することにより、たとえばサービスの解約が増加している原因などを大量に分析できます。量が多くて埋もれていた貴重なフィードバックを発掘できるのです。競合他社の方がサービスの評価が高いのか、料金の問題なのか、などの原因をより高い精度で特定できるでしょう。
情報の属人化を防ぐ
顧客の分析の業務に限らず、多くの企業や業務において「属人化」が課題であることも多いです。顧客のフィードバックを分析し、マーケティングや商品開発部門に共有する業務も、属人化する傾向があります。しかし、属人化した業務はいざその担当者が離職すると一気に業務レベルが下がり、企業の売上にも悪影響を及ぼしかねません。テキストマイニングは、担当者などの限られた人が保有する暗黙知を、ほかのメンバーも分かる形式知化するのに役立ちます。情報の属人化を未然に防ぎ、業務の引き継ぎをスムーズに行う、あるいは複数メンバーでカバーしあう状態を目指せるということです。
今後の需要を予測
テキストマイニングでは、人手では到底処理できない多くの量のデータを処理・分析します。それによって、商品やサービスの今後の需要などをより正確に予測することも可能です。たとえば、選挙のときはSNSを中心に口コミが多くの有権者から投稿されます。このデータをもとに、選挙区ごとにどの候補者が当選しそうかをある程度予測できるのです。もう少しタイムスパンが長い例では、株価の動きの予測にも活用されています。銘柄ごとに過去の値動きの膨大なデータや、季節性による価格の変動といった定量的なデータ、さらに投資家の発言などの定性的なデータから、今後の株価動向を予測します。同じようにして、口コミやコンタクトセンターに寄せられた自社の商品やサービスに対する顧客の声をもとに、今後の需要を予測できる可能性もあるのです。
テキストマイニングを活用する注意点
テキストマイニングは非常に便利な方法ではありますが、ただ導入すればよいわけではありません。ここからは、テキストマイニングを活用する際の注意点について確認してみましょう。
テキストマイニングに限らずですが、データはあくまでデータです。仮説をもとにデータを分析したり、集計したデータに何らかの意味づけを与えたりすることで、はじめて有効な情報となります。そして、それらの有効な情報データを関係する部署へ素早く共有し、各部署の次の施策に活用していくことが大切です。
そのためには、まず関係者に共有できる形で情報を可視化しなければなりません。データを分析する担当者だけでなく、関係者すべてが理解しやすいように分析結果をまとめる必要があるのです。
また、データの可視化にあたり言葉の相関が重要になります。集計した言葉の出現頻度なども重要ですが、どのようなセグメントの人がどのような発言をしているのか、時系列による変化や特徴などの相関を見いだすことで、顧客の特徴などが見えてきます。データを網羅的に分析し、あらゆる言葉の相関を粘り強く考えていく姿勢も大切です。
[SMART_CONTENT]
音声認識とテキストマイニング機能を搭載した「BellCloud® for VOC」
最後に、音声認識とテキストマイニングを搭載した具体的なツールについて紹介します。
「BellCloud® for VOC」は、CRMソリューションをメインに手掛ける株式会社ベルシステム24が提供する音声認識サービスです。ディープラーニング技術を活用した音声認識エンジンで、通話内容のテキスト化を高精度で行います。音声認識だけでなくテキストマイニング機能も充実しており、文単位などでの集計・分析、さらに会話の話題単位での分析も可能です。
以下、主な機能を解説します。
音声認識・AmiVoiceの主な機能
- 通話データのテキスト化
音声認識の基本的な機能ですが、通話内容がリアルタイムでテキスト化されます。同時に録音もされており、後から再生可能です。 - 通話フィルタ機能
通話の音声から、事前に登録したキーワードを拾うこともできます。たとえば、登録したキーワードの検知に応じてポップアップが立ち上がり、FAQやファイルなど、必要なコンテンツのスピーディーな検索をする、といった使い方が可能です。 - テキストモニタリング機能
コンタクトセンターでは、複数人のオペレーターが同時に稼働しています。よって、管理者がそれぞれの状況をリアルタイムで確認することが困難な部分もありました。テキストモニタリング機能を使えば複数の会話を同時に音声認識やテキスト表示してくれるので、トラブルなどを迅速に検知し、指導できます。 - 通話検索機能
音声認識により、テキストとして蓄積したデータについて、日時やキーワード、発話者などの観点から検索・絞り込みができます。 - 感情解析機能
通話において、テキストだけでは拾いきれない要素が「感情」です。「BellCloud® for VOC」には顧客の感情を分析する機能があり、これによってオペレーターの適切なコミュニケーションをサポートします。
テキストマイニング・VextMinerの主な機能
- 不要語削除
単なるテキストの集積では、分析精度が下がります。「お願いします」や「お願いいたします」などのように、同じ意味でも語尾が変化している場合などに不要表現を削除し、分析精度を高めます。 - 会話セグメント抽出
言葉そのものの分析だけでなく、文脈による分析も重要です。会話セグメント抽出により、会話内容を話題別に分類し、会話形式での分析を可能にします。 - 「話題」の自動分類
通話内容から、その全体像を素早く分析し、話題の適切な分類を自動的に行います。分類方針は、必要に応じて柔軟に変更可能です。 - ダッシュボード
データに意味づけを行う意味でも、分析する際のユーザーインターフェース(UI)は重要です。VextMinerは、分析したい項目などに応じて、ダッシュボードに反映することができます。
もっと見る:コンタクトセンターにおける音声認識/分析の活用について
まとめ
テキストマイニングは、コンタクトセンターにおける顧客の意見や要望を分析するのに便利なツールです。しかし、単なるテキストデータ収集では、有効な施策につながる分析や発見は困難です。これらを行うため、高度な音声認識やテキストマイニング機能を備えた「BellCloud® for VOC」導入を検討してみてはいかがでしょうか。
この記事の推奨者

KCS Foundation 国際認定
- カテゴリ:
- ノウハウ