カスタマーハラスメントとクレームの違いとは?
企業への影響と対策方法

 2022.08.11  2024.04.24

カスタマーハラスメントへの対応に苦慮している企業は少なくないでしょう。度を越したカスタマーハラスメントは、対応した従業員の精神に悪影響を与え、モチベーション低下や離職にもつながります。本記事では、カスタマーハラスメントとクレームの違い、企業への影響や対策方法などを解説します。

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カスタマーハラスメントとは

カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、客である立場を利用して企業や従業員に不当で理不尽な要求をする行為です。たとえば、従業員を大声で怒鳴りつける、土下座を強要する、言いがかりをつけて金品を要求するといった行為が該当します。
近年、こうしたカスタマーハラスメントの被害がメディアで取りあげられるケースも増えてきました。悪意ある客が従業員へ嫌がらせをしているシーンを撮影し、それをSNSで拡散するなど度を越した行為も見受けられるため、注目が集まっています。

カスタマーハラスメントが増えている背景

カスタマーハラスメントが増えている背景として、インターネットやSNSの普及が挙げられます。誰もが自由に情報を発信できる時代になり、企業や従業員に対し「ネットに悪評を拡散させる」と脅迫するような行為に出る人も現れ、さらに企業に直接指摘する前にSNSで発信し拡散されるというケースが目立つようになりました。
上記の理由から、多くの企業は消費者の顔色をうかがうようになりました。理不尽なことを言われても下手に出るようになり、それが消費者のハラスメント行為に拍車をかけている要因の一つとも考えられるでしょう。
消費者との接点が増えたのも、カスタマーハラスメントが増えている理由です。SNSやホームページ、コンタクトセンターなど企業と顧客との接点が増え、消費者がハラスメント行為に及ぶハードルが低くなりました。

クレームとの違い

クレームとカスタマーハラスメントの違いは、そこに「不当性・業務に支障が出るような悪質性」があるかどうかです。クレームは、商品やサービスについての不平不満でも、改善につながる意見や開発のヒントが含まれている場合もあります。企業として適切な対応を行えば顧客のファン化にもつながるでしょう。
一方、カスタマーハラスメントは嫌がらせが目的になってることもあり、企業側には損失が発生し、かつ従業員の精神的な苦痛につながってしまうケースがほとんどです。そのため、クレームとカスタマーハラスメントでは、対応方法も大きく変わります。

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カスタマーハラスメントが企業に及ぼす影響

カスタマーハラスメントが企業に及ぼす影響は決して小さくありません。従業員のモチベーション低下や離職につながるほか、業績の悪化や安全配慮義務違反になるおそれもあります。

業績が悪化してしまう

カスタマーハラスメントの被害として、業績の悪化が挙げられます。たとえば、嫌がらせ目的でSNSに「サービスが極めて悪い」といった内容を投稿された場合、情報が拡散され顧客離れにつながるおそれがあります。
また、店舗でハラスメント行為に及ばれた場合、ほかの顧客に迷惑をかけてしまうかもしれません。公式SNS上でやりとりしている顧客に対しハラスメントが行われる可能性もあり、顧客離れにつながります。

従業員が辞めていってしまう

理不尽なハラスメントは従業員にとってストレスであり、モチベーションの低下を招きます。ハラスメント行為への対応が増えれば仕事そのものが嫌になり、離職につながる可能性があります。
従業員が辞めてしまうと、それまでその人が対応していた業務をほかの従業員に割り振らなければなりません。その結果、個々の従業員にかかる負担が増加し、さらなる離職を招くおそれがあります。

安全配慮義務違反に抵触してしまう

企業は、従業員が安全に働けるよう配慮しなくてはならないと法律で定められています。労働契約法の安全配慮義務として定められており、企業は従業員が健康かつ安全に働ける環境の構築に努めなくてはなりません。
カスタマーハラスメントにより従業員が怪我をした、精神を病んでしまった、といったことが起きた場合、安全配慮義務違反になるおそれがあります。違反への罰則はないものの、従業員から損害賠償や慰謝料を請求される可能性もあるため注意が必要です。

カスタマーハラスメントにはどのようなものがあるのか

カスタマーハラスメントに該当する行為は多岐にわたります。従業員に対する罵詈雑言や常軌を逸した長時間の拘束、脅迫、強要などが代表的なカスタマーハラスメントの行為です。

罵詈雑言を浴びせられる

店頭で対応している従業員や、コンタクトセンターのオペレーターが罵詈雑言を浴びせられるケースです。どれほど理不尽な内容であっても、日本企業の多くは従業員に反論を認めないことが多く、従業員は一方的に罵声を浴び続けてしまいます。立場が強い顧客から一方的に罵詈雑言を浴びせられれば、精神的な苦痛を受けてしまうでしょう。

長時間のやりとりを強いられる

長時間拘束されたまま、やりとりを強いられるケースです。長時間にわたり罵詈雑言を浴びせられる、値引きや金品を要求されるといった行為が考えられます。中には、ストレスを発散するためだけに行為へ及ぶケースも見受けられます。精神的な苦痛を伴うばかりか、業務に支障をきたす悪質な行為です。

脅迫まがいのことを言われる

商品の交換や値引きなど、要求を断った際に脅迫まがいのことを言われるパターンです。
脅しだけで済むのならまだしも、中には実際に行動へ移す人物がいる可能性は捨てきれません。従業員の身の安全に関わるため、慎重な対応が求められます。

カスタマーハラスメントへの効果的な対策

カスタマーハラスメントへの対策をしないと、従業員の離職を招き業績悪化にもつながります。効果的な対策としては、事例共有や対応手順の策定、警察や弁護士への相談、証拠の取得などが挙げられます。

事例を共有し、対応手順を明確化しておく

過去に発生した自社事例、自社にも通用する他社事例を共有し、傾向と対策をまとめておくことも対処方法の一つです。概念的なことだけではなく、具体的なケースを想定しておくことで対策が取りやすくなります。

店舗など対面での対応は、責任者への依頼のフローをあらかじめ決めておくことで、従業員のストレスが緩和されます。責任者が毅然とした対応をするために、要求を拒否する判断基準を設けておくことも重要ですが、次項目にある通り公的機関への通報方法なども明確化しておくといいでしょう。
コンタクトセンターでは対面のような身体的な危険性はありませんが、長時間拘束され罵詈雑言を浴びることになる場合もあります。対応を終了させる基準や管理者への引継ぎ方法などを明確にしておくことで、従業員の心理的負担が軽減され、早期解決の手段にもなるでしょう。

警察や弁護士に相談する

度を越したカスタマーハラスメントは、警察や弁護士へ相談しましょう。従業員が脅迫された、企業イメージを損なう行為を受けた、といったケースでは、法的な処置が有効です。
脅迫まがいの行為を受けて放置してしまうと、従業員の安全を脅かすかもしれません。従業員に危険が及ぶばかりでなく、企業も安全配慮義務違反に問われるおそれがあります。また、警察や弁護士以外でも、厚生労働省が企業や働く人の相談を受け付ける窓口を設置しています。

証拠を残しておく

カスタマーハラスメント行為を受けたときの証拠を残しておくと、警察や弁護士に相談するときに役立ちます。行為者に法的措置をとるとき、証拠がないと不利になるかもしれないため、証拠を残しておきましょう。
たとえば、罵詈雑言を浴びせられているときの音声を録音する、防犯カメラを設置するといった方法が考えられます。また、やりとりを始める前に、内容を記録する旨をあらかじめ示すことで、カスタマーハラスメントの抑止につながる可能性があります。

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まとめ

カスタマーハラスメントは、業績の悪化や従業員の離職につながるおそれがあるため、適切な対策が求められます。対応に苦慮しているのなら、コンタクトセンター運営の豊富なノウハウがある企業に外注するのもよいでしょう。
Bell System24」のカスタマーサポートアウトソーシングは、自社におけるカスタマーサポート業務を一括委託できるサービスです。リソースの最適化やコスト削減につながり、カスタマーハラスメント対策も実現できるため、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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西川 由美
西川 由美
ベルシステム24入社後、13年間のオペレーション管理者を経験。通販、カスタマーサポート、金融システムヘルプデスク、自動車メーカーなど業界範囲は多岐に渡り、2011年には新規事業として在宅コールセンターの立ち上げを実施。業界でいち早く遠隔マネジメントの手法を確立した。ソリューション開発部(現:ソリューション企画推進部)に異動後、現場効率化支援、在宅導入サポート、chat関連のプリセールスなどを担当。オペレーションを重視した支援を行っている。
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