カスタマーサポートにおける目標設定のポイントと重視したいKPI
コンタクトセンターの森 編集部
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コンタクトセンターの森 編集部
ビジネスにおいて頻繁に用いられる「KPI」ですが、カスタマーサポートの文脈ではどのように定義・活用されているのでしょうか。本記事では、カスタマーサポートにおけるKPIの定義や重要性、顧客満足度や業務効率との関係性、設定方法や注意点について解説するとともに、重要なKPIについても紹介します。参考にしていただけます。
「KPI」とは「Key Performance Indicator」の略で、日本語では「重要業績評価指標」を意味します。KPIは、KGI(Key Goal Indicator/重要達成目標指標)を達成するために設定される中間指標であり、設定した目標に対する進捗状況を測定する定量的な基準です。
また、KGI達成のための主要な成功要因や施策、プロセスを指す概念がKFS(Key Factor for Success/重要成功要因)であり、KPIはこのKFSをもとに設計されます。
KPI・KGI・KFSといった指標は、ビジネスの目標や成果を可視化するうえで重要であり、カスタマーサポートの分野においても、顧客満足度の向上や対応品質・業務効率の改善に直結するため、特に重要視されています。以下では、カスタマーサポートでKPIが重視される理由を解説します。
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目標設定の本質は、明確に定義された目標を掲げることで、組織の方向性を明確にし、評価基準を統一するとともに、社員の認識の共通化を図る点にあります。これにより、チームが一丸となった取り組みが促進されます。
カスタマーサポートでは、この認識の共通化により、チーム全員が目標達成に向けて果たすべき役割を明確にし、主体的に行動できるようになります。その結果、サポート品質の向上につながり、顧客満足度の向上にも寄与します。
また、KPIを設定することで評価基準が明確になり、メンバー一人ひとりが行動基準を振り返りながらセルフコントロールできるようになります。これらの取り組みの進捗を数値化することで、全体の状況を把握できるだけでなく、課題の特定や改善施策の実行が可能となり、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Act(改善)からなるPDCAサイクルの促進にもつながります。
これにより、最終目標の達成によりスムーズに近づけます。
KPIは、顧客満足度の向上や業務効率の改善、進捗の可視化に役立ちますが、設定にあたってはいくつかの重要な注意点があります。適切に設計されていない場合、十分な効果が得られないため、以下のポイントを十分に理解したうえで検討することが重要です。
まず、中間指標であるKPIを定める前に、ゴールとなるKGIを定める必要があります。KGIを具体的に定義しておくことで、それに沿ったKPIを設定しやすくなります。たとえば「顧客満足度の向上」をKGIに設定した場合は、「顧客満足度(CS)スコア」や「NPS(ネット・プロモーター・スコア)」などをKPIとして設定します。
また、KPIは取り組みの効果を明確に測定できるものでなければなりません。自社の施策以外の要因に大きく左右されるKPIを設定すると、取り組み自体の効果を正確に測定できなくなります。そのため、判断に迷う要素が入り込まないよう、取り組みの効果を直接反映するKPIを設定することが重要です。
カスタマーサポートにおけるKPIを作成する際は、顧客や事業の成長を能動的に促進するカスタマーサクセスと混同しないようにする必要があります。
たとえば、一定期間の解約率や、より高額な製品や関連製品を購入するアップセル率・クロスセル率などは、主にカスタマーサクセス領域で重視される指標です。
一方で、カスタマーサポートは顧客からの問い合わせ対応など受動的な対応を中心としつつ、近年では一部に能動的な要素も含まれています。このような違いを踏まえ、両者の役割やKPIの特性を明確に区別することが重要です。
KPIには、対応品質・応答速度・顧客満足度など多様な指標が存在するため、どの指標を重視すべきか判断が難しい場合も少なくありません。そこで本章では、カスタマーサポートにおいて特に重視される6つのKPIについて解説します。
応答率とは、着信件数に対する応答件数の割合を示す指標であり、「応答件数/着信件数」で表されます。
顧客が電話をかけても対応できない場合、問い合わせを断念したり再度の連絡が必要になったりするため、顧客体験の低下につながります。このような状況になると、顧客満足度の低下は避けられません。
応答率をKPIとして設定することで、対応体制の充足度や機会損失の状況を把握でき、顧客満足度の向上や適切な人員配置・育成に活用されます。
応答時間とは、顧客からの問い合わせに対して応答するまでに要した時間を指します。
問い合わせ内容によっては、すぐに応答できない場合もありますが、最終的に解決できた場合でも、応答に時間がかかりすぎると顧客の不安を高める可能性があります。
そのため、応答時間の中でも特に重要な指標である一次応答時間(First Response Time)をKPIのひとつとして設定し、短縮することが重要です。
保留時間とは、顧客対応中に保留状態となっている時間を指し、保留率は保留件数を対応件数で割った割合を示す指標です。
保留中に情報を確認する際、的確な回答が見つからない場合には、保留時間が長くなることがあります。顧客は待ち時間の長さに不安を感じる可能性があり、対応体験の低下につながります。
一般的に、保留時間は短いほど望ましく、目安として30秒以内が推奨される場合もありますが、内容によっては数分を要するケースもあります。
そのため、オペレーターが迅速に対応できるようナレッジの整備を行い、保留時間の短縮や保留率(保留件数/対応件数)の改善を図ることが重要です。これにより、顧客満足度の向上につながります。
一方で、無理に保留時間を短縮しようとすると、オペレーターが保留をためらい、過度に自己解決しようとすることで、ミスや苦情の発生につながる可能性があります。すぐに回答が難しい場合は、折り返し対応を提案することが重要です。
AHT(Average Handling Time)とは、通話時間(応対時間)・保留時間・後処理時間の合計を平均した処理時間を指します。
AHTは、センター全体およびオペレーターの業務効率や処理能力を測定するKPIであり、適切なスピードで業務が行われているかを把握するとともに、業務プロセスや個人パフォーマンスの課題を明らかにすることができます。
一方で、通話時間を過度に短縮しようとすると、顧客満足度の低下につながる可能性があります。
そのため、AHTを改善するには、保留時間の短縮や後処理工程の見直しなどを通じて、応答時間以外の時間を削減し、生産性を向上させることが重要です。
ただし、後処理工程を無理に短縮しようとすると事務処理のミスを誘発する可能性があるため、適切な目標値の設定と運用を行う必要があります。
ミス率とは、カスタマーサポートにおける誤案内や処理ミスなどの発生件数を、全対応件数で割った割合を指します。
人為的な業務である以上、一定のミスが発生する可能性があります。そのため、ミス率を0%とする目標は現実的ではありません。
適切な目標は、ミスの最小化です。非現実的な目標設定ではなく、実行可能な水準を設定することが重要です。
そのためには、ミスの原因を洗い出し、それぞれに対して実現可能な対策を講じることが求められます。
顧客満足度は数値化が難しい指標とされますが、工夫次第で把握することが可能です。
たとえば、アンケートの実施により満足度を数値として収集する方法があります。また、お問い合わせへの返信数や感謝の言葉の数などは、補助的な指標として活用されることがあります。さらに、顧客満足度と完全に一致するものではありませんが、NPS(ネット・プロモーター・スコア)を用いて他者への推奨度を測定し、判断材料とする手法もあります。
顧客満足度を可視化しKPIとして設定することで、改善状況の把握や評価指標として活用され、目標達成に向けた改善につながります。
カスタマーサポートにおける目標設定は、業務効率の改善や対応品質の向上につながり、顧客満足度の向上にも寄与します。
一方で、適切に設計されていない場合は、十分な効果が得られない可能性があります。本記事で述べた注意点を踏まえ、KGIとの整合性を意識しながら、自社のカスタマーサポート部門の課題に応じたKPIを設定することが重要です。

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