成果を最大化させる営業プロセス変革3つのポイント

 2024.04.11  2024.04.23

BPRとは、業務プロセス全体を可視化し、抜本的な見直しと再構築を行うことです。生産性向上のほか、作業の属人化の解消、サービス・従業員満足度の向上、意思決定の迅速化など、さまざまなメリットをもたらします。

この記事では、BPRの内容や進め方、成功に導いたポイントを営業プロセス変革の実践を元にまとめて解説します。

成果を最大化させる営業プロセス変革3つのポイント

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BPRとは?業務改善やDXとの違い

BPRとは、Business Process Re-engineeringの略になります。日本語で業務改革のことです。
従来の業務プロセスの課題を抽出し、業務の進め方や情報共有のしかた、組織のありかた、導入している情報システムなど、業務プロセスの課題に関わるものを再構築していくという考え方を指します。

日常的な業務プロセスの中で課題を見つけ改善を繰り返す一般的な業務改善との違いは、業務改善は「現行運用をベースにしてプロセスを修正していく」ボトムアップ型の改善であるのに対して、BPRは「あるべき姿から、業務を「0」ベースで見直し、業務プロセスを再設計」していきます。企業理念や経営理念といった、具現化すべき価値に基づいて、あるべき姿を設定していきます。
したがって、現行の運用、現状の課題に立脚して方法論を語るものではないことに注意が必要です。

会社全体での改革という点において、BPRと混同されがちな言葉にDXがあります。DXは「Digital Transformation」の略で、デジタル技術によってビジネスモデルや企業そのものに改革を起こすことを指します。一方のBPRは、業務プロセスに特化した改革です。ビジネスモデル自体を変えるのではなく、業務プロセスを改革してビジネスにアプローチしていきます。そのため、ビジネスモデルや企業、組織の場合DXを目指すうえで、その前段として業務プロセスを見直すためにBPRが行われるもあります。

昨今BPRが注目されている背景として、前述した①DX推進における業務プロセスの見直しに加え、②少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少、という課題もあります。
経済産業省の発表によると、2050年には日本の人口は1億人を下回り、生産年齢人口比率は、ピーク時の約50%にまで落ち込むことが予測されています。生産年齢人口が減少していく中、今までと同じプロセスでビジネスを展開していては、業績縮小は避けられません。
さらに、グローバル化の影響によって、今後も競争が激化していくことが予想されるため、組織構成や社内制度、業務プロセスの抜本的な改革が求められています。
人員配置の最適化を図るために「従業員をコア業務に注力させたい」という課題に対して「システムやツールの導入」によるDX推進を検討したとしても、そもそも業務プロセスに課題や見直すべき点があった場合、既存プロセスをもとにしたシステム導入では根本的な解決とはならないこともあります。

生産年齢人口の減少、減少する生産性をシステムやツールの導入で効率化を図って補う上でBPRが有用であり、まずはBPRによって従来の業務プロセスを見直すことで、抜本的な業務プロセスの改革とDXの推進による効率化に繋がる土壌が形成されるのです。

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BPRのメリット

業務の効率化、企業の競争力の強化、DXの推進を行ううえでBPRが有用であることをご紹介してきましたが、BPRがもたらす具体的なメリットは①生産性の向上、②コストの削減、③製品・サービスの品質向上、④属人化の防止、⑤意思決定のスピード向上が挙げられます。ここからは①~⑤の具体的なメリットについて一つひとつ解説していきます。

  • BPRがもたらすメリット①生産性の向上
    BPRによって業務プロセスの課題を可視化し対策を講じることで、無駄な作業工程などを統合、結合、簡素化、排除ができれば、業務の効率化を図ることができます。無駄のないスムーズな業務遂行が可能になることで、生産性の向上が期待できるでしょう。
    BPRは部署や業務ごとではなく、企業全体で行われることも特徴です。業務を俯瞰して見ることで、部署間や業務プロセス間の課題を発見でき、社員同士の連携も取りやすくなります。その結果、企業全体の業務が最適化されることに繋がります。

  • BPRがもたらすメリット②コストの削減
    業務プロセスを見直すなかで、無駄な工程の削減やリソースの最適化を行えば、コストの削減にも繋がります。例えば、システムをクラウド化するといった改革を行えば、これまでオンプレミスシステムにかかっていた保守管理費を減らせるでしょう。さらに、クラウドのシステムでシームレスに情報を連携することでシステム間のデータ入力、フォーマットの変換や修正などに今までかかっていた工数も削減でき、人件費の削減にも寄与することが期待できます。
    また、残業が多い部署があったとしても、業務プロセスに合わせて人的リソースを適切に再配分することで、これまでかかっていた残業代を削減できる可能性もあります。BPRの実施自体にも当然コストが発生しますが、長期的に見ると企業にとっては有益となるでしょう。

  • BPRがもたらすメリット③製品・サービスの品質向上
    業務を効率よく行えるようになることは、自社だけでなく、製品やサービスの品質向上といった顧客へのメリットにもなりえます。例えば、社内における承認・申請手続きや情報共有のためのプロセスを見直し、無駄な時間を削減することで、メインの業務に注力できるようになります。その結果、製造・開発であればより良い製品を開発することができ、顧客対応であれば顧客が求める的確な対応をよりスピーディに行うことが可能となります。

  • BPRがもたらすメリット④属人化の防止
    長く業務を行っていると作業が属人化してしまい、特定の人しか担当できないとされる業務が発生することがあります。BPRによって業務プロセスを見直すことでこれらの属人化した作業を標準化することができます。業務を誰もが行えるようになれば、担当者の不在による業務停滞のリスクを避けたり、一部の人に偏っていた業務負担を解消できたりといった効果が期待できます。業務フローの全体像を見通せるようになるため、社員個々の業務量を把握して適宜業務量の最適化を図ることができ、残業時間削減、休暇取得の促進などの対応も容易になることによって、従業員満足度も向上するでしょう。

  • BPRがもたらすメリット⑤意思決定のスピード向上
    日々変化が著しいビジネス環境の中、自社の競争力を高め、優位性を得るためには、適切かつスピーディな意思決定が求められます。BPRによって意思決定におけるフローも最適化することができ、経営判断のスピード上昇も期待できます。

営業プロセス変革での実践

ここまでBPRについて、またBPRによるメリットについて解説してきましたが、営業プロセスを変革したBPRの実践についてご紹介いたします。

営業プロセスにおいて最も重要なのは営業担当者がお客さまと相対している時間の比率を向上させることです。
営業担当者の稼働を表す数字に15%-25%というものがあります。15%-25%とは一般的に言われている営業担当者が自身の稼働時間に対して、実際に直接お客さまと相対している時間の比率です。ここでは営業担当者がお客さまと相対している時間のことをピュアセールスタイムと呼称しますが、BPRによる営業プロセスの変革においてはピュアセールスタイムを向上させることが主題となってくるでしょう。

営業担当者の稼働時間の内50%以上はお客さまと相対している時間に充てたいという声をよく耳にします。現状から比較すると2~3倍以上、理想とギャップがあると見えます。このギャップが何によって生じているのか、よくある課題として以下が挙げられます。

  • 不明瞭な業務分掌
  • 属人化(ブラックボックス化)
  • 営業効率の悪化
  • ノンコア作業による工数圧迫

社内報告書・申請書の作成、ルーチンでの数値管理など作業ベースの仕事は効率化していき、営業担当者が本来注力すべきピュアセールスタイムに稼働が割けるようこれらの課題を解消しようと考えると思います。しかしながら、アフターコロナで働き方が多様化し、テクノロジーの急速な発展、労働人口の減少、またユーザーの価値観の多様化など、 様々な環境の変化が起こっており、各企業の課題となっているものの何から着手すればいいのかわからず困ってしまい、結果手を付けられていないというのが現状ではないでしょうか。

これらの課題を解消するためのアプローチを整理すると、「不明瞭な業務分掌」「業務の属人化/ブラックボックス化」については、営業担当者はお客さまのご都合やご要望に合わせて動く必要があり、ある程度の裁量によって個別対応することが必然的に発生します。 合わせて企業や部署によっては契約後のサポートまで営業担当者が行っているケースもあり、業務分掌も不明瞭になりがちです。 それによりあるべき営業プロセスが不明瞭になったり、ブラックボックス化しやすい状況であるため、 打ち手としてはある程度の裁量は認めつつも、プロセス型化及び業務分掌を再整理し、営業マンの行動を可視化していくことが必要です。
また、「営業効率の悪化」「ノンコア業務(社内ルーチン)による工数圧迫」について、一般的に日本企業の営業担当者においては「社内会議出席」「営業日報・報告」「社内資料の作成」等の社内対応に占める割合や量が多い傾向があるといわれております。打ち手としては 不要な業務の削減、作業の分担をすることによって営業担当者の負荷を減らしていくことも必要です。

ここまで整理していくと打ち手としては明確になってくるため、改善に着手していこうと考えるかと思いますが、現実は「個々の営業担当者に作業が紐づいてしまっており可視化ができない」、 また、「複雑化していてフロー化すること自体が難しい」、「複数の業務が絡み合って現状が把握しきれない」 このような障壁があり、なかなか進まないのではないでしょうか。

このような状況を解決するために重要なことは、徹底的に業務の可視化を行うこと、そして、それらに対し適切な手法、及び適切なリソースで実行することです。正しい成果を創出、その成果を最大化していくためにはしっかりとした事前準備が必要です。 事前準備の第一歩として現状を正しく理解する、現在の業務をきめ細かく可視化する必要があります。
業務の可視化を実現するためには以下3つが重要なポイントです。

1.先入観を取り払い業務全体を俯瞰し、第三者視点で正しく業務を可視化/整理する

業務をある程度理解しているメンバーが可視化を行う場合、これまでの様々な経験や過去の知見があることでの先入観や直感などによって生じるバイアス、いわゆる認知バイアスが起こりやすく正しく業務を可視化/整理できない場合があります。先入観にとらわれず業務の全体像を洗い出す必要があります。この可視化がうまくいかないことにより、「正しい成果が出なかった」「やりきることができなかった」等の本来想定していなかった結果に繋がりやすいと考えられます。徹底して第三者視点で俯瞰的に可視化を行うことで業務の全体像から、細部に至るまで業務の解像度を上げ明確化していくことがまずは課題解決の第一歩です。

2.前後の工程も含めた営業活動に関わるプロセス全量を可視化する

営業部門においては営業担当者一人で全てを実行するのではなく、会社の関連部門との連携および関連部門での作業なども多々発生するかと思います。 一部のプロセスのみを可視化した場合、個別最適に留まってしまい、プロセス全体の最適化には繋がりません。また、逆に個別プロセスで最適であったとしても全体的なプロセスで見たときには、マイナス影響が出る可能性にも十分注意が必要です。業務の全量を可視化することによって個別プロセス、全体プロセス、両方の視点で最適化を導くことが可能になります。プロセス全体を可視化していくことはそれなりに工数も発生しますが、「正しい成果」の創出にはしっかりと全量を可視化していくことが重要です。

3.一度の再構築で完了するのではなく継続的に見直す仕組みを組み込む

働き方の多様化や、テクノロジーの急速な発展、労働人口の減少、ユーザーの価値観の多様化などによる様々な環境の変化は今後も継続して発生することが予想されます。 これらの変化に対応するために、一度の再構築で完了するのではなく継続的に見直す仕組みを組み込むことが成果を最大化させるうえで重要となります。

営業プロセスを変革して、営業担当者の稼働時間の内50%以上をピュアセールスタイムに充てるために、現状の営業担当者の業務プロセスを第三者視点で俯瞰して全体を可視化し、営業活動に関わる前後プロセスの全量を把握し、継続的に見直す仕組みを構築していくことが、成功への第一歩となります。

BPRを加速するBPRコンサルティング

ここまで解説した通り、あるべき姿に近づけるためには思い切った業務の抜本的な見直し、つまり「業務改革」が必要で、その手法として有用なのがBPRです。
しかし、前述の営業プロセスの変革で取り上げたポイントを実行しようとすると、第三者視点で俯瞰して業務プロセスを可視化するスキルとノウハウ、その可視化作業に伴う膨大な工数、継続的に業務プロセスを見直す組織体制の構築が必要と、現状の体制から実行する体制を構成しようとすると障壁もあって実現するには難しいと感じられると思います。

そういった課題を解決し、BPRによる「業務改革」を支援するBPRコンサルティングサービスを株式会社ベルシステム24が提供しております。株式会社ベルシステム24が提供するBPRコンサルティングサービスは1,300社以上の顧客のコンタクトセンターや営業代行、事務処理などのBPOサービスを手掛ける中で蓄積したノウハウやフレームワークを応用した、業務プロセスの変革を企画・実行するサービスです。企画だけではなく、実行まで網羅しているため、業務プロセスの可視化からプラン策定に留まらず、継続的な業務プロセスの見直しを行うことができます。

BPRコンサルティングサービスではコア業務にリソースを集中するためのノンコア業務の業務効率化やコスト削減を目指し、現状の業務分析による課題抽出、最適化のためのプラン策定から、DX推進による大幅な効率化を含む業務設計の刷新、導入・実行まで、ワンストップで提供しています。
企業が掲げる事業計画や戦略から導き出されたあるべき姿に向けて、100名以上のBPRスキルを持つ専門コンサルタントが複合的なアプローチを行うことで、実現性が高い業務改革を行うことができます。「現状分析」「課題抽出」を踏まえた「プラン策定」フェーズと、そのプランを用いた「設計・導入」からの「実行」フェーズの2段階で業務プロセス改革が実現されます。もちろん、ニーズに合わせて、必要なプロセスの一部のみを利用することも可能です。

自社内で業務プロセスの可視化を行う工数を捻出できない、第三者視点で俯瞰して業務プロセスの可視化を行えるメンバーをアサインすることが難しい、継続的に業務プロセスを見直す体制の構築が難しい、などの課題によってBPRを実行できない場合は、専門のベンダーにお任せすることで自社のBPRを加速させることができるでしょう。

まとめ

BPRは従来の業務プロセスの課題を抽出し、業務プロセスの課題に関わるものを再構築していくという考え方です。実践するためには「あるべき姿から、業務を「0」ベースで見直し、業務プロセスを再設計」していく必要があります。
BPRがもたらすメリットとして①生産性の向上、②コストの削減、③製品・サービスの品質向上、④属人化の防止、⑤意思決定のスピード向上が挙げられます。
これらのメリットを最大化させるには第三者視点で俯瞰して業務プロセスを可視化するスキルとノウハウ、その可視化作業に伴う工数の捻出、継続的に業務プロセスを見直す組織体制の構築が必要です。
自社内でBPRの実行が難しいと感じた場合は、BPRコンサルティングサービスを検討してみるのも良いでしょう。

執筆者紹介

菊池 英明
菊池 英明

ベルシステム24入社後、通信系クライアントのオペレーション部門にてカスタマーサポート部門のマネージメントを約13年経験。
その後BPR担当部門に異動し、過去の豊富なオペレーション経験を活かし通信系をはじめとした様々なクライアントにおけるBPR業務および業務改革提案を遂行。
直近ではコールセンターだけではなく、営業部門・企画部門におけるBPR案件を数多く対応。
現在は本部内におけるBPR担当部門のマネージャーとしてプロジェクトの全体統括・管理を行っている。
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