コールセンター/コンタクトセンターにおけるデータ活用とは?分析のポイントや必要性、ツールまで解説

 2022.03.22  2023.05.17

コールセンター/コンタクトセンターには、日々膨大な量の「顧客の声」が寄せられます。これは企業にとって重要なデータ資産です。データを分析し活用することで、業務の効率化や生産性の向上に結び付けられます。

本記事ではコールセンターにおけるデータ活用のポイントを解説するとともに、データ活用に有効なツールやサービスを紹介します。

デジタル時代にふさわしい 顧客へのアプローチとは ~多様化する顧客接点を活かして真の顧客体験の実現へ~

データ活用とは?

データ活用とは、企業に蓄積されている膨大かつ多様なデータを継続的に活用し、業務効率化や生産性向上につなげることです。

データ活用は、データドリブン(Date Driven)、つまり「勘・経験・度胸」ではなく「データ」に基づいて意思決定や課題解決をする業務プロセスを実現させる手段のひとつです。同時に、データやテクノロジーを活用して業務の効率化などを図るDXの基盤ともなるものです。

業務プロセスにデータを活用する企業は増加傾向にあります。総務省の調査によると、大企業で約90%、中小企業でも50%以上がデータ活用を進めています。

データ分析との違い

「データ活用」と「データ分析」は混同されやすいのですが、目的に大きな違いがあります。
データ分析の目的は、データから知見を得ることです。そもそもデータとは、数字や文字の羅列に過ぎません。そのなかから規則性、因果・相関関係、異常値などを軸として全体の関係性を探っていくことがデータ分析です。

データ分析には統計学や分析手法、データ加工技術などについての知識が必要ですが、BIツールを使えば専門知識がなくても高度な分析が可能です。

一方、データ活用は知り得た情報をビジネスに生かして、生産性の向上、経費の削減など、何らかのメリットを生み出すことです。データ活用はデータ分析をベースにして初めて成立します。なおデータ活用においては、実務経験をもとに、データから得た知見を業務に反映できるスキルが求められます。

データ分析と活用について、具体的に説明しましょう。ある小売店では、売上データ、販売員の行動データ、商品の陳列データを集めた結果、店内で顧客単価の高い陳列スペースを特定できました。これがデータ分析です。そしてそのスペースに販売員を重点的に配置したところ、売上10%増というメリットを生みました。これがデータ活用にあたります。

VOC(Voice of Customer)の取得から分析までの方法とは?
CRMソリューションのご紹介

現代のマーケティングに欠かせない「コンタクトセンターのデータ活用」

マルチチャネル化によりコールセンターは単なる電話窓口ではなく、顧客接点の最前線に立つ組織(コンタクトセンター)と位置づけられようになりました。さらにCTI(Computer Telephony Integration)の進化により、顧客の「生の声」の分析も可能になっています。
そのためコンタクトセンターで得られる膨大なデータは、企業のマーケティングに欠かせない重要な要素といえます。ではコンタクトセンターにおいては、どのようなデータ活用が可能でしょうか。

顧客のニーズを知る

多様なチャネルから寄せられる問い合わせを分析することで、顧客のニーズが見えてきます。そこから商品やサービス、営業方法の改善、新商品やサービス開発の糸口が見つかる可能性があります。

顧客属性や傾向を把握する

顧客の氏名、年齢、住所、性別、家族構成、購買履歴といった個人情報に加え、通話日時、通話時間、通話内容といった情報を分析することで、性別や年代、問い合わせ内容、購入商品などにおける相関性が見えてきます。このデータは、見込み顧客開拓や新商品開発のほか、マーケティングに活かせます。

商品開発やサービスの改善につなげる

データの分類・分析は、商品やサービス改善につながります。たとえば日々対応に追われるクレームの内容を注意深く分析することで、これまで気づかなかった問題点が見つかるかもしれません。この問題点を解決できれば、商品やサービスの改善が期待できます。

データの収集方法

コールセンターでデータ活用をするには、まずどのように情報を収集すべきでしょうか。業務プロセスの数値化だけでなく、テキストや音声データの収集など、方法が多様化されつつあります。

KPI(重要業績評価指標)

KPIは「Key Performance Indicator」の略称で、最終目標に対する達成度合いを示す指標です。
コールセンターでは「顧客満足度の向上」や「応対品質の向上」など、達成に向けた道筋がわかりにくい目標を掲げています。KPIを設定することで、業務プロセスを細分化し、具現化・数値化できます。

KPIは数値を出せば終わりではなく、その値を比較・検討し、業務の改善点や改善度合いを可視化し、共有化することが重要です。KPI分析をしないと、最終目標達成にむけて何をどこまで達成できているか、何をどう改善すべきかが不明確になる恐れがあります。

コールセンターにおけるおもなKPIは以下のとおりです。

  • 応答率
  • 放棄呼率
  • SL(サービスレベル)
  • ASA(平均応答速度)
  • 稼働率
  • AHT(平均処理時間)
  • ATT(平均通話時間)
  • ACW(平均後処理時間)
  • CPC(1コールにかかるコスト)

VoC(お客様の声)

VoCとは「Voice of customer(ボイス・オブ・カスタマー)」の略称で、文字通り「顧客の声」を意味します。意見やクレームといった生の「顧客の声」をデータ化して改善点を探り、それをもとに商品やサービスをレベルアップさせたり、新たに開発したりします。Voc分析を行うことで顧客満足度向上が期待できるでしょう。

テキストマイニング

テキストマイニング(Text mining)とは、文章や言葉などのテキストデータから自然言語解析を用いて、企業にとって有益な情報を抽出する分析手法です。膨大な量のテキストデータから、意味のある形で情報を「採掘(マイニング)」できます。

テキストマイニングはコールセンターに寄せられた声のほか、FAQシステムチャットボットなどに入力されたキーワード分析などに利用されています。
テキストマイニングにより、データ処理時間が大幅に短縮されるとともに、比較的容易にさまざまなアプローチでの分析ができるようになりました。たとえば、クレームの傾向を可視化して、事態が悪化する前に対策を立てたり、特定のキーワードが多発していることをリアルタイムに感知して、トラブルの早期解決につなげたりできます。

コールセンターのデータ活用・分析を支援するサービス

膨大なデータの分析・活用をサポートするツールやサービスを紹介します。コールセンターに特化したツールを選択することで、より合理的なデータ活用が可能になります。

AmiVoice

AmiVoiceは、コンタクトセンターに特化した国内有数の音声認識システムです。世界トップレベルの音声認識技術を搭載し、会話を自動的にテキスト化します。これにより手入力で作成していた作業を削減できます。幅広い業種の専門用語に対応する音声認識が可能なほか、企業や業務ごとに用語(辞書)を設定してカスタマイズできることも魅力です。

VextMiner

VextMinerは、コンタクトセンター向けテキストマイニングツールです。コンタクトセンターに蓄積された多量なデータを迅速に自動学習・分類して効果的なVoc分析を可能にします。またデータに埋もれていた顧客の貴重な意見の拾い出しや急増するキーワードを自動抽出する機能を備えています。超大規模のビッグデータにも対応可能なので、コンタクトセンターに寄せられた会話テキストだけでなくSNSデータなどにも活用可能です。

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まとめ

コールセンターに蓄積される情報は重要な資産で、活用することで顧客ニーズや商品およびサービスの改善点を客観的に把握できます。データ活用のポイントは、目的にそくしてデータを的確に収集・分類・分析することです。そのためにはコールセンターの分析・活用に特化したサポートツール導入が欠かせません。効率的なコールセンター運用、ひいては企業の成長のために各種ツールをぜひお役立てください。

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小嶋 脩一
小嶋 脩一
新卒入社後、約10年に渡りコンタクトセンターマネジメント業務に従事。金融業界を中心に、大規模センター管理や、センター立ち上げから対応範囲の拡大を経験。現在はコンサルタントとして、ビジネスコンサルティングやソリューションコンサルティング(CRM、ナレッジ、音声認識、テキストマイニング、チャットツール)を幅広く対応。VOC領域を中心に、コンサルティング実務とプロジェクトマネジメントを行っている。
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