電話対応において、相手の言葉をスピーディーに要約できれば、効率的に業務を遂行できます。要約はそれほど難しくなく、コツや手順を踏まえて取り組めば可能です。本記事では、電話対応における要約のコツや手順、要約に役立つシステムなどについて解説します。
要約とは?
要約とは、文章の重要なポイントを端的かつわかりやすくまとめることです。要約が求められるシーンとしては、企業における電話対応が挙げられます。コールセンターなどの部署では、やり取りの情報をテキスト化したあと、要約して蓄積、共有します。
近年では、要約の自動化に関する研究も進められています。音声認識技術を用いた言葉のテキスト化は、すでにさまざまなシーンで活用が始まっていますが、音声から自動要約できるシステムやサービスにも注目が集まっているのです。
押さえておきたい要約のコツと手順
テキスト化した内容の要約には、手順やコツがあります。正しい手順やテクニックを知ることで、今まで以上に正確かつスピーディーな要約が可能になるでしょう。
段落を綺麗に整える
段落には、形式段落と意味段落の2つがあります。前者は、文章を形式的にひとつのかたまりにまとめたものであり、文章を読みやすくするための役割を担います。後者は、文章を意味や主張ごとのかたまりにわけたものです。
文章の要約では、意味段落を用いて整理します。このとき、形式段落のことは気にしなくて問題ありません。あくまで、同じ話題の内容、意味で区切ります。
たとえば、電話のやり取りをまとめた1,000文字の文章があるとしましょう。これを要約する際には、形式段落は気にせず内容が同じ範囲を意味段落として整理します。たとえば、最初の350文字は商品に関する内容、次の350文字は解決の手段に関する内容、残りは新しい商品やサービスの内容、といった具合です。
要点をピックアップする
文章の要約において、もっとも重要なプロセスです。要点は、相手がもっとも主張したいこと、伝えたいことであるため、漏らさずピックアップしましょう。
要点は、文章の全体像を把握できていないとわからないため、全体の構成や内容をある程度把握したうえで取り組みます。商品やサービスに関する具体的な話をしている部分や、接続詞のあとに続く内容が要点であるケースが多いため、重点的にチェックするとよいでしょう。
長文になるほど、相手の主張やメッセージがぼやけてしまいがちなので注意が必要です。顧客目線で考え、もっとも伝えたいのは何なのかを抽出しましょう。ペンでアンダーラインを引く、マーキングするなど工夫しておくと、文章を整える工程をスムーズに進められます。
短い文章に整える
要点をピックアップできたら、短い文章に整えていきましょう。最終的に、内容を凝縮して端的かつわかりやすく仕上げる必要があるため、そこを意識しつつ取り組みます。
まず、不要な部分は積極的にカットします。たとえば、冗長すぎる言い回しや同じことを繰り返している部分などは必要ないため、カットの対象です。言い回しを変えるだけで長すぎる文章がスッキリとまとまることも少なくありません。
自身で短く言い換えられないのなら、類語辞典を活用するのもよいでしょう。類語辞典を用いれば、似た意味をもつ言葉を調べられます。インターネット上で利用できる類語辞典もあるため、活用してみるとよいでしょう。
電話応対における要約の難しさ
コンタクトセンターやコールセンターのオペレーターは、顧客からの問い合わせやクレームなどを記録しなくてはなりません。ただ、話の内容をすべてメモするのは難しいため、大切なポイントを取捨選択しつつまとめる必要があります。
しかし、現場において顧客の話を聞きつつ、要点の抜きとりや整理をするのは簡単ではありません。顧客の口からは次から次へと言葉が紡がれるため、要点の整理に注力すると話を聞き逃してしまう可能性もあります。
コンタクトセンターやコールセンターにおけるログ記載は、スピードだけでなく精度も求められます。スピードが速くても精度が低いと、あとで読み返したときに内容を理解できません。
音声も要約できる! テキスト化・自動要約システム
音声認識を用いたシステムの導入により、通話内容のテキスト化が可能です。音声認識は以前からある仕組みですが、AIの登場で精度が飛躍的に向上しました。現在では、入力された音声をAIがリアルタイムでテキスト化できるシステムもあります。
このようなシステムの導入により、従来手作業で行っていた通話内容の書き起こしを自動化でき、オペレーターの負担軽減や業務効率化を実現できます。また、音声を自動要約できるシステムも登場しており、高精度なテキスト化と要約の実現が可能です。
電話応対履歴の要約はメリットが多い
電話対応履歴の要約は、新人への指導や教育の効率化を実現できます。通話内容も分析できるため、より成果につながる対応が可能になるよう改善を図れるでしょう。また、やり取りの内容をテキスト化すれば、組織内で容易に情報を共有できます。
新人への指導・教育の効率化
電話対応の品質が低いと、顧客や取引先にネガティブな印象を与えるおそれがあります。そのため、コールセンターやコンタクトセンターでは、オペレーターに研修や教育を実施しています。しかし、多大な手間と時間がかかることに頭を悩ませるケースも少なくありません。
電話対応履歴をテキスト化し要約すれば、新人に対し効率的な教育を行えます。実際にやり取りした内容を振り返ることができ、どこがよかったのか、どこが悪かったのかを正確に伝えられるためです。また、よいやり取りの内容を参考にすれば、オペレーターのスムーズなスキルアップにつながるでしょう。
また、やり取りのテキスト化により、オペレーター自身が気づけていなかった欠点に気づけるメリットもあります。やり取りした内容がテキストとして記録に残っているため、客観的に自身のよくないところ、改善すべきポイントを把握できるのです。
通話内容の共有・分析ができる
通話内容を共有できるのも、テキスト化のメリットです。やり取りの内容をテキストデータ化しておけば、組織内や部署内で容易に共有でき、業務品質の均一化につながります。
業務を引き継ぐときも、テキストデータが役立ちます。引き継ぐ相手と過去にやり取りしたデータを共有すれば、適切な対応ができるでしょう。また、テキストデータを組織で共有することで、不適切なやり取りがないか、改善すべきポイントがないかなどを検証できます。
なお、やり取りの内容を手動でテキスト化するのには多大な時間と手間を要しますが、ツールを導入すればこの課題も解決できます。音声認識機能を備えたテキスト化ツールであれば、わずかな時間で音声データをテキストデータへと変換可能です。
現在では、音声認識機能を備えたテキスト化ツールやシステムはいくつもリリースされています。選定時には、機能や費用はもちろんのこと、サポート体制や音声認識の精度なども事前にチェックしておくとよいでしょう。
まとめ
通話内容のやり取りをテキスト化し要約すれば、新人への指導や教育を効率的に行え、スムーズなスキルアップも図れます。また、組織や部署内で情報を共有しやすくなるため、業務の引き継ぎも容易です。
通話時の音声を記録し、あとから手作業で文字起こしをする方法もありますが、あまり効率的とはいえません。多大な手間と時間を要し、コストもかかります。現在では、スピーディーに音声をテキスト化できるツールやシステムがあるため、これらを活用しない手はないでしょう。この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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