業務で文章の要約作業があるものの、うまくできないといった声はよく耳にします。そこで、本記事では要約の手順やコツについて解説します。コールセンターの業務効率化や生産性の向上にも役立つので、ぜひ目を通してください。
要約とは?
要約とは、文章のなかから重要な部分を抽出し、読み手に伝わりやすい文章へ整理し直すことです。「要」は話の中核や重要な部分を、「約」は具体的に整理することを意味します。
要約の目的は、長々とした文章を短く簡潔にまとめ、読み手に伝わりやすくすることです。文章のなかには、書き手がもっとも伝えたかった重要な部分と、そうでもない部分が混在しています。要約することで余計な情報は排除し、もっとも伝えたい部分のみを伝えられます。
押さえておきたい要約の手順
要約がうまくできないのなら、正しい手順を理解していないのかもしれません。文章を要約するときは、概要を把握したうえで意味段落に分け、重要な部分を抽出しつつ短い文章へと再編します。
概要を把握し、意味段落に分ける
まずは、文章全体に目を通します。扱われているテーマや書き手の伝えたいこと、データや事例など、どのような内容が記述されているのかをチェックしましょう。この段階では、細かい部分まで精読する必要はありません。全体の概要を把握するための通読作業です。
文章の全体を把握できたら、意味段落に分けましょう。意味段落とは、同じテーマについて書かれている文章、似ているコンテンツの塊を分けた段落です。たとえば、旅行記であれば「ご当地グルメの話題」や「観光名所の話」「旅行の感想」といった大きな塊へ分類できると考えられます。
お客様から企業に寄せられたクレームであれば、「お客様が受けた被害」「企業への具体的な要望」「お客様がもっとも腹立たしく感じている部分」のように分類可能です。意味段落は、同じテーマや似た話題をひとつの塊として捉えるため、ひとつの意味段落に複数の形式段落が含まれるケースも多々あります。
キーワードと要点を抜き出す
ビジネス文書を要約する際には、重要なキーワードとキーセンテンスを抜きだします。キーワードとは、文章のなかで重要な意味や役割をもつ、概ね10文字以内の言葉です。たとえば、社名や製品名、サービス名などが該当します。
キーセンテンスとは、文章のなかで重要な意味をもつ文です。キーセンテンスのなかに、余計な文章が混在することも多いため、一言一句抜き出す必要はありません。キーセンテンスは、意味段落の終盤や逆説のあと、強調表現の前後などに存在することが多いため、そのあたりを注視します。
なお、論説文の要約においては、具体例や体験談、データなどは要点とみなさないのが一般的です。一方、ビジネス文書の場合は具体例や科学的なデータこそが重要とみなされる場合が多いです。
短い文章に整える
ここまでのプロセスで整理した文章を、短い文章へと再編するフェーズです。まずは、不要な部分を大胆にカットしましょう。同じ内容を記述している部分や、なくても要点が伝わる文などを削除します。
一文一義を意識するのも大切です。一文が長くなりすぎると、読みにくく意味を理解しにくい文章になりがちです。一文にいくつもの情報を盛り込むのはやめて、ひとつに絞りましょう。
必要に応じて箇条書きを使うのも有効です。文章で長々と説明するよりも、簡潔かつ分かりやすいコンテンツに仕上げられます。たとえば、「会員登録には、お客様の氏名や住所、電話番号、メールアドレス、クレジットカード情報などが必要です」と文章で記すよりも、以下のように表現したほうが読み手に伝わりやすいです。
会員登録に必要な情報
- 氏名
- 住所
- 電話番号
- メールアドレス
- クレジットカード情報
余計な要素を省き、文章を短くするのにも有効です。
押さえておきたい要約のコツ
要約のコツを押さえておけば、長々とした文章でも短く伝わりやすい文に再編が可能です。覚えておくべきコツは、AREAを意識する、リライトするの2点です。
AREAを意識してまとめる
AREAとは、分かりやすい説明文を作成するのに有効なフレームワークです。主張を意味するAssertion、理由を指すReasoning、証拠のEvidenceや根拠となる事例のExample、主張を指すAssertionの頭文字をとってAREAの法則と呼ばれています。
AREAを意識して整理した文章は、主張→理由→証拠→主張といった流れになります。この流れは、人が思考するときのプロセスと同じと言われているため、AREAを意識するのは分かりやすい文章を作成するのに有効です。
最初にもっとも伝えたい部分を主張することで、聞き手や読み手は要点を理解できます。さらに、そう主張する理由や根拠と続き、最後に再び主張を強調するため、改めて相手がもっとも伝えたかったことが何なのか再確認できます。
リライトする
適宜リライトすることで、より読みやすく伝わりやすいコンテンツに仕上がります。冗長な表現を簡潔に言い換える、理解しやすいキーワードへ変換するといった作業です。
リライトをせずに要約文を公開した場合、著作権法に抵触しかねません。企業が公開した文書が著作権法に抵触した場合、コンプライアンス意識が低い企業とレッテルを貼られるおそれもあります。このようなリスクを避けるためにも、リライトは必要です。
議事録など、公開の必要がない文書であっても、リライトによってより読みやすく改善できます。発言をそのまま書き起こした場合、余計な情報が多く含まれるほか、冗長表現も多数含まれ、読みにくくなってしまいます。そのまま記さなければいけないキーワード以外は、別の表現に変換しましょう。
ビジネスにおける要約の難しさ
文章を正しく要約するには一定のスキルが求められます。慣れていないとスムーズに要約できず、完成したもののあまり要約できていない、といったケースも珍しくありません。手間がかかる要約作業に時間を割きすぎると、本業が疎かになるリスクもあります。
コールセンターなどでは、かかってきた電話の内容をリアルタイムで要約することも少なくありません。次々と発せられる言葉をスピーディーに要約する必要があるため、高度なテクニックや経験が求められます。
自動要約システムの活用で省力化!
業務で文章や言葉の要約が求められるのなら、自動要約システムの導入を検討してみましょう。要約には相応の技術や知識が求められ、手間と時間もかかります。自動要約システムを導入すれば、要約に必要な手間や時間の大幅な削減が可能です。
現在では、さまざまな自動要約システムがリリースされており、無料で利用できるツールやサービスもあります。無料ツールやサービスはコストを抑えられる魅力があるものの、ビジネスで使用するのはあまりおすすめできません。有料かつ、目的や用途に特化したシステムの導入がおすすめです。
コールセンターであれば、コールセンター向けに設計されたシステムの導入を検討しましょう。たとえば、リアルタイムで通話内容を言語化したり、特定のキーワードを抽出したりといった機能を実装したシステムも販売されています。
自動要約システムを導入すれば、オペレーターはスピーディーに通話内容などを要約でき、業務効率化につながります。オペレーターの業務負担も軽減するため、快適に働ける職場環境の構築につながるのも利点です。
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まとめ
要約とは、言葉や文章から重要点を抽出し整理する作業です。AREAを意識する、適宜リライトをするなどのポイントを押さえておけば、スムーズな要約が可能です。ただ、ビジネスにおける要約は難易度が高く手間もかかるため、自動要約システムの導入検討をおすすめします。導入コストはかかるものの、業務効率化やオペレーターの負担軽減につながり、生産性の向上も期待できます。
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