要約とは? 意味やコツ、コンタクトセンター等における
自動要約について解説

 2023.08.24  2024.02.22

要約は、コンタクトセンターをはじめ多くのビジネスシーンで活用されています。しかし、要約は意味がわかっていないとうまくできません。意味のほかにも、文章を意味段落に分けたり、キーワードと要点を抜き出したりなどの手順やコツなどを把握しておくことも重要です。この記事では、要約の意味や手順、行う際のコツについて解説します。

要約とは?

要約とは、文章のなかから重要な部分を抽出し、読み手に伝わりやすい文章へ整理し直すことです。「要」は話の中核や重要な部分を、「約」は具体的に整理することを意味します。

要約の目的は、長々とした文章を短く簡潔にまとめ、読み手に伝わりやすくすることです。文章のなかには、書き手がもっとも伝えたかった重要な部分と、そうでもない部分が混在しています。要約することで余計な情報は排除し、もっとも伝えたい部分のみを伝えられます。

要約と要点・要旨との違い

要約の類似した言葉として「要点」「要旨」が挙げられます。要約についてしっかり理解するためには、この2つの類語の意味も理解しておくことが大切です。ここでは、それぞれの意味や、要約との違いについて解説します。

要約と要点との違いは何?

要点とは、「物事の中心となる重要なポイント」のことです。要点は情報の核心的な箇所や主要な箇所を示し、そのほかの補足情報、細かい箇所と区別する役割があります。

文章における要点とは、段落ごとの重要な部分です。要点を押さえることで、文章の内容を整理しやすくなります。

文章を短く簡潔にまとめることを要約というのに対し、要点は文章内の重要なポイントのことであるという点で異なります。

要約と要旨との違いは何?

要旨とは、文章の中心的な内容・主要なポイントなどの伝えたい内容を、簡潔に短くまとめることです。たとえば、数ページにわたるビジネスレポートを一読するには時間がかかります。しかし、筆者が伝えたい要旨があれば、読者は読む前にこのレポートに自身が知りたい情報が記載されているのかを短時間で判断できます。

文章の重要な部分を短く簡潔にまとめるという点では、要約と要旨の意味は類似しています。しかし、要約は元の文章の構成通りにまとめるのに対し、要旨はある程度意味があっていれば構成は問われません。

押さえておきたい要約の仕方・手順

文章の要約を行うには、正しい手順を理解しなければなりません。要約の仕方・手順は以下の通りです。

  • 文章の概要を把握して意味段落に分ける
  • キーワードと要点を抜き出す
  • 簡潔でわかりやすい文章に整える

ここでは、それぞれの手順について詳しく解説します。

文章の概要を把握して意味段落に分ける

まずは、文章全体に目を通します。扱われているテーマや書き手の伝えたいこと、データや事例など、どのような内容が記述されているのかをチェックしましょう。この段階では、細かい部分まで精読する必要はありません。全体の概要を把握するための通読作業です。

文章の全体を把握できたら、意味段落に分けましょう。意味段落とは、同じテーマについて書かれている文章、似ているコンテンツの塊を分けた段落です。たとえば、旅行記であれば「ご当地グルメの話題」や「観光名所の話」「旅行の感想」といった大きな塊へ分類できます。

お客様から企業に寄せられたクレームであれば、「お客様が受けた被害」「企業への具体的な要望」「お客様がもっとも腹立たしく感じている部分」のように分類可能です。意味段落は、同じテーマや似た話題をひとつの塊として捉えるため、ひとつの意味段落に複数の形式段落が含まれるケースも多々あります。

キーワードと要点を抜き出す

ビジネス文書を要約する際には、重要なキーワードとキーセンテンスを抜き出します。キーワードとは、文章のなかで重要な意味や役割をもつ、概ね10文字以内の言葉です。たとえば、社名や製品名、サービス名などが該当します。

キーセンテンスとは、文章のなかで重要な意味をもつ文です。キーセンテンスのなかに、余計な文章が混在することも多いため、一言一句抜き出す必要はありません。キーセンテンスは、意味段落の終盤や逆説のあとや、強調表現の前後などに存在することが多いため、そのあたりを注視します。

なお、論説文の要約においては、具体例や体験談、データなどは要点とみなさないのが一般的です。一方、ビジネス文書の場合は具体例や科学的なデータこそが重要とみなされます。

簡潔でわかりやすい文章に整える

ここまでのプロセスで整理した文章を、短い文章へと再編するフェーズです。まずは、不要な部分を大胆にカットしましょう。同じ内容を記述している部分や、なくても要点が伝わる文などを削除します。

一文一義を意識するのも大切です。一文が長くなりすぎると、読みにくく意味を理解しにくい文章になりがちです。一文にいくつもの情報を盛り込むのはやめて、ひとつに絞りましょう。

必要に応じて箇条書きを使うのも有効です。文章で長々と説明するよりも、簡潔かつわかりやすいコンテンツに仕上げられます。たとえば、「会員登録には、お客様の氏名や住所、電話番号、メールアドレス、クレジットカード情報などが必要です」と文章で記すよりも、以下のように表現したほうが読み手に伝わりやすくなります。

会員登録に必要な情報

  • 氏名
  • 住所
  • 電話番号
  • メールアドレス
  • クレジットカード情報

箇条書きは、余計な要素を省き、文章を短くするのにも有効です。

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押さえておきたい要約のコツと注意点

要約のコツと注意点を押さえておけば、長々とした文章でも短く伝わりやすい文に再編できます。要約する際には、以下のコツと注意点を覚えておきましょう。

  • AREAを意識してまとめる
  • 適宜リライトする
  • 元の文章から構成は変えない
  • 自分の解釈を含めない

ここでは、それぞれのコツと注意点について詳しく解説します。

AREAを意識してまとめる

AREAとは、わかりやすい説明文を作成するのに有効なフレームワークです。主張を意味するAssertion、理由を指すReasoning、証拠のEvidenceや根拠となる事例のExample、主張を指すAssertionの頭文字をとってAREAの法則と呼ばれています。

AREAを意識して整理した文章は、主張→理由→証拠→主張といった流れになります。最初と最後に主張を繰り返すことで、もっとも伝えたいことを強調できます。

適宜リライトする

適宜リライトすることで、より読みやすく伝わりやすいコンテンツに仕上がります。冗長な表現を簡潔に言い換える、理解しやすいキーワードへ変換するといった作業です。

リライトをせずに元の文章をそのままコピーして公開した場合、著作権法に抵触しかねません。企業が公開した文書が著作権法に抵触した場合、コンプライアンス意識が低い企業とレッテルを貼られるおそれもあります。このようなリスクを避けるためにも、リライトは必要です。

公開の必要がない通話記録や議事録なども、リライトによってより読みやすくなります。発言をそのまま書き起こした場合、余計な情報が多く含まれるほか、冗長表現も多数含まれ、読みにくくなってしまいます。そのまま記さなければいけないキーワード以外は、別の表現に変換しましょう。

元の文章から構成は変えない

要約する際には、文章構成の順番を入れ替えないようにしましょう。文章構成の順番を入れることで、元の文章の論理構成が変わる可能性があるためです。

たとえば、元の文章が「AはBである。なぜならばCであるから。」という構成であり、これを要約する際に「Cであるため、AはBである。」という構成に変えてはいけません。

要約は、本文を短く簡潔にまとめるだけでなく、論理構成も考慮する必要がある点に注意しましょう。なお、要約ではなく要旨の場合は、意味が異なっていなければ構成を変えても問題ありません。

自分の解釈を含めない

要約は元の文章のまとめであり、筆者の主張や解釈、意見などを短く簡潔にまとめることを目的とします。そのため、要約している本人の主張や解釈、意見などは記載しないようにしましょう。

たとえば、元の文章が「AはBである。なぜならばCであるから。」と記載されているとします。これに対して、要約では「おそらくAはDともいえるだろう」といった、元の文章には記載されていない「D」についても書かれていると要約ではなくなります。

要約は、元の文章に書かれている筆者の主張や解釈、意見などの範囲内で言葉を言い換えてまとめるようにしましょう。

コンタクトセンター等のビジネスで求められる要約

要約は、さまざまなビジネスの場面で求められ、特にコンタクトセンターにおいては、お客様との会話や対応の際に要約の力が重要です。ここでは、コンタクトセンターで求められる要約の場面やその対処法について解説します。

お客様の会話を要約して寄り添う

コンタクトセンターでは、お客様の会話を要約して寄り添わなければならい場面があります。お客様の会話を聞いたうえで、「こういうことですね?」「つまり、これでよろしいでしょうか?」といった要約の力が重要です。お客様の会話の要約には、以下のような目的があります。

  • 傾聴の姿勢でお客様に安心感を抱いてもらう
  • 要約をお客様と共有することで、齟齬がないか確かめる

また、お客様との会話を適切に要約することで問題解決までスムーズになり、結果的に対応時間を減らす効果があります。これにより、お客様からの印象がよくなるという効果も期待できます。

対応の内容を要約して残す

コンタクトセンターではお客様対応が終わったあとに、対応する内容を要約して記録に残さなければなりません。これは、「前回のこのお客様とのやり取りは?」「このトラブルの類例は?」などをスムーズに確認できるようにすることが目的です。

対応内容の記録の担当者は企業によっても異なりますが、お客様対応した本人が要約して記録するケースも多くあります。そのため、コンタクトセンターのオペレーターにはお客様との長い会話を要約する力が求められます。

要約AIの活用で要約業務を省力化!

業務で文章や言葉の要約が求められるのであれば、要約AIの導入を検討しましょう。要約AIを活用すれば、要約業務を効率的に行えるようになります。ここでは、要約AIの概要やコンタクトセンター向けの要約AIについて解説します。

ビジネスで活躍する要約AI

要約には相応の技術や知識が求められ、手間と時間もかかります。要約AIを導入すれば、要約に必要な手間や時間の大幅な削減が可能です。

ただし、AIが文章の意味を正しく理解できない場合、誤った要約を作成してしまうことがあります。これを防ぐには、有料かつ、目的や用途に特化した自動要約システムの導入がおすすめです。

通話(コンタクトセンター対応)〜要約までを効率化するソリューション

コンタクトセンターであれば、コンタクトセンター向けに設計されたシステムの導入を検討しましょう。たとえば、リアルタイムで通話内容を言語化したり、特定のキーワードを抽出したりといった機能を実装したシステムも販売されています。

自動要約システムを導入すれば、オペレーターはスピーディーに通話内容などを要約でき、業務効率化につながります。オペレーターの業務負担を軽減するため、快適に働ける職場環境の構築につながるのも利点です。

コンタクトセンター向けの自動要約システムについては、こちらの記事で詳細に解説しているために参考にしてください。

また、ここではコンタクトセンター向けのおすすめ自動要約システムを3つご紹介します。

  • BellCloud+®
  • QuickSummary
  • CoreExplorer/TS

BellCloud+®

BellCloud+®は、30年以上にわたり、コンタクトセンター業界の中核として培ってきたノウハウを終結させたクラウド型のプラットフォームです。自動対応機能や音声認識機能、感情解析機能などさまざまな便利機能をそろえています。BellCloud+®の特徴は以下の通りです。

  • AWSを東西で冗長化させることによる高い信頼性
  • クラウド型により導入コストの低減
  • 最新テクノロジーの採用による業務の効率化

便利なオプションを付ければ、通話の音声データをテキスト化し、要約する作業を一気通貫で効率的に行えます。

参照元はこちら

BellCloud+とは

QuickSummary

QuickSummaryは、AIを活用した自動要約システムです。QuickSummaryは、クレンジング機能や重要発話特定機能、キーワード抽出機能、発話分類機能など、お客様対応後の要約に特化したさまざま機能をそろえています。QuickSummaryの特徴は以下の通りです。

  • 要約AIシステムをリーズナブルに利用できる
  • ChatGPTといったLLMで処理する前に、AIで機微情報を除外し、LLMに投入する単語数を削減できる
  • 重要発話の絞り込み機能が豊富にある

QuickSummaryは、お客様との電話対応後に会話を自動的に要約してくれるため、後処理業務の効率化や、人による要約のばらつき防止が可能です。

参照元:QuickSummary2.0 AI自動要約システム | AI SQUARED

CoreExplorer/TS

CoreExplorer/TSは、音声認識データから不要な文字や単語、発話を取り除き、そのなかから要点を自動的に抽出する要約AIです。

CoreExplorer/TSには、機械学習を採用しており、要約に関するマニュアルや過去のFAQ、顧客情報などを読み込ませることで、自動で重要文を判断して要約してくれます。これまで、膨大な工数がかかっていた、学習作業を大幅に削減できます。

参照元:CoreExplorer/TS|日立ソリューションズ東日本

まとめ

要約とは、言葉や文章から重要点を抽出し整理する作業です。要約は、文章の概要を把握して意味段落に分ける、キーワードと要点を抜き出す、簡潔でわかりやすい文章に整えるという手順で行います。

コンタクトセンター業務であれば、お客様の会話を適切に要約することで対応時間を短縮できたり、対応した内容を要約し記録することで引き継ぎがスムーズになり、結果としてお客様可からの印象も良くなる利点があります。ビジネスにおける要約は難易度が高く手間もかかるため、自動要約システムの導入をおすすめします。導入コストはかかるものの、業務効率化やオペレーターの負担軽減につながり、生産性の向上も期待できます。

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