コンタクトセンターの顧客満足度アンケート結果を元に
作成したいアウトプットとは?

   

コンタクトセンターの顧客満足度アンケートを実施する際、現在の課題を解決するために必要な設問を検討することはもちろん大切ですが、合わせて【必要な分析とそのアウトプット】までセットで考えられると、データ取得から改善すべきポイントを確定させるまでの時間を大幅に短縮できます。

今回は、コンタクトセンターの顧客満足度アンケートで有効なアウトプットの事例と、アウトプットに必要な設問・分析手法についてご紹介します。

なぜ今CX(顧客体験価値)向上に注目すべきなのか

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はじめに

コンタクトセンターの顧客満足度アンケートを適切に行うことで、商品やサービスの改善につなげていくことができます。但し、「アンケートは実施したけれど、結果からどうやって改善につなげたらよいのか分からない」という事例は少なくありません。

このような状況を防ぐためには、アンケートを実施する前から、結果をどのように分析し、アウトプットを作るかをあらかじめ決めておく必要があります。アンケートが終了したら決めていたアウトプットを手早く作り、できるだけ多くの時間をどう改善していくべきかの検討に充てることが肝要です。

今回は、コンタクトセンターの顧客満足度アンケートで有効なアウトプットの事例を、必要な設問・分析手法と共に2つご紹介します。

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分析・アウトプット例①:カスタマーサポートの各満足度と総合満足度への影響力から、改善の優先順位をつける

コンタクトセンターの満足度を高めたいと思っているが、「オペレーターの対応」の何を改善すればよいかが分からない、という課題を持っている場合の、必要なアウトプットと分析について考えてみましょう。

(1)まず、目的と課題を以下のように設定します。

目的:コンタクトセンターの総合満足度を高めたい。
課題:オペレーター対応の何を改善すれば総合満足度が高まるかが分からない。

(2)課題を解決するためには、オペレーター対応に関連する項目の『重要度』と『優先改善度』を明らかにする必要があります。まず『重要度』から見ていきます。

(3)『重要度』を確認するために、「コンタクトセンターの総合満足度と各オペレーター項目の満足度の関係性」を重回帰分析の手法を使って明らかにします。

オペレータ―対応に関する項目を4~6個程度の「構成要素」にまとめると、分析を行った後の最終的なアウトプットイメージは、図1のようになります。

図1.コンタクトセンター総合満足度とオペレーター対応の構成要素のアウトプット例

なぜ今CX(顧客体験価値)向上に注目すべきなのか

図1をみると、コンタクトセンター総合満足度に影響を与えるオペレーター対応の構成要素で重要なのは、「正確さ」>「迅速さ」>「顧客への配慮」>「簡潔さ」の順であることが読み取れます。

※構成要素の作り方について、一例をご紹介します。

  1. 今回の例でいえば「オペレーター対応」で求められることを、単語や箇条書きレベルで良いので書き出します。20~30個程度出ると理想的です。
  2. ①で書き出した内容を、社内で議論して整理します。
  3. ①~②の内容を、4~6個程度のより大きなカテゴリにまとめます。
  4. ①~③まででまとめたことが正しいかどうか検証するために、アンケートを行います。アンケート内で、②で整理したオペレーター対応の項目ごとに満足度をマトリックスSA形式で聴取します。(図2参照)
  5. アンケートのデータを取得したら因子分析をかけて、③と同じように整理できるかを確認します。

図2. オペレーター対応の各項目の満足度設問例(マトリックスSA形式)

なぜ今CX(顧客体験価値)向上に注目すべきなのか

構成要素と設問項目例の対応イメージは、図3のようになります。

図3. オペレーター対応の構成要素と設問項目例の関係性

なぜ今CX(顧客体験価値)向上に注目すべきなのか

(4)次に、『優先改善度』を確認します。『優先改善度』は、満足度と期待度のポートフォリオ分析を使って明らかにします。図3の設問項目例を使って表すと、図4のようなイメージになります。

図4. 満足度と期待度のポートフォリオ分析例

なぜ今CX(顧客体験価値)向上に注目すべきなのか

図4の見方としては、≪期待度が高いが満足度が低い≫右下の象限は【優先改善項目】として改善の優先度が高く、「不要な説明はなかったか」「担当が必要な知識・スキルを備えていたか」が該当します。

この2項目のどちらを優先すべきかという時に、図1の『影響度』を確認します。
「不要な説明はなかったか」=簡潔さ
「担当が必要な知識・スキルを備えていたか」=正確さ
で、『影響度』は「正確さ」>「簡潔さ」でしたので、「担当が必要な知識・スキルを備えていたか」が最も率先して取り組むべき課題だと分かります。

分析・アウトプット例②意見・要望の自由回答を可視化し、改善の優先順位のあたりをつける

顧客満足度アンケートの最後の設問で意見・要望の自由回答を聴取して、どういう意見が多いかはなんとなく把握しているが、そこから業務改善に必要なエッセンスを抽出することができないという課題を持っている場合の、最終的なアウトプットをご紹介します。

(1)まず、目的と課題を以下のように設定します。

目的:顧客満足度アンケートの意見・要望の自由回答から、業務改善に必要なエッセンスを抽出したい。
課題:自由回答をどのように整理すればエッセンスが抽出できるかが分からない。

設問文は、普段使用されている内容で問題ありません。例えば、
「Q.コンタクトセンターに対するご意見・ご要望をどのようなことでも結構ですので、ご自由にお書きください。」のような設問文で十分でしょう。

(2)自由回答からエッセンスを抽出するためには、テキストマイニングツールを使うことをおすすめします。ツール上で分析結果を可視化できるため、アウトプットをそのまま課題解決のための資料として使うことができます。

テキストマイニングツールは2024年現在、有料/無料含めて様々な用途のものが出ていますが、それぞれ得意としている領域が異なります。テキストマイニングツールを選ぶ際は、「分析したいデータは何か」「どんなアウトプットが出せるのか」という視点で選択することが重要です。

手前みそになりますが、弊社マイボイスコムのテキストマイニングツール(TextVoice)は、リサーチ会社が開発したマイニングツールということもあり、「アンケートの自由回答分析」に強いツールです。

今回はこのTextVoiceを使った分析とアウトプット事例をご紹介します。

使用するデータですが、今回は生成AIのChatGPTを使って「コンタクトセンターへの意見・要望」のアンケートデータを作成しました。生成AIはサンプルデータを作ることができるので、例えばアンケートの自由回答設問を作った際、調査開始前にどのような回答が出てくるのか生成AIであらかじめ傾向をつかんでおく、といった使い方も可能です。

それではアウトプットをご紹介します。まず回答全体でどのようなことが言われているかを言葉レベルで俯瞰することができるアウトプットが、図5のワードクラウドです。ワードクラウドで、どういう言葉の出現数が多いかを確認できます。

図5.ワードクラウドのアウトプット例

なぜ今CX(顧客体験価値)向上に注目すべきなのか

言葉の出現数が確認できたら、次に、ワードクラウドで出てきた言葉がどのように使われているかを他のアウトプットで確認します。次はサマライズのアウトプットを図6でご紹介します。

図6.サマライズのアウトプット例

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サマライズは、ワードクラウドで出現した最大6つの言葉を組み合わせて分類した分析で、「どんな意見がよく言われているのか」を言葉のつながりで把握します。

図6の例でいうと、

○ポジティブな意見・要望:「オペレーターの対応が丁寧」(14.6%)、「説明がスムーズ/詳しくてわかりやすい」(9.0%)
○ネガティブな意見・要望:「いつも待ち時間が長い」(14.1%)、「何度も電話が切れて困る(6.5%)」

が意見・要望の上位に挙がっていることが分かります。

最後に、セグメントのアウトプットを図7でご紹介します。

図7.セグメントのアウトプット例

なぜ今CX(顧客体験価値)向上に注目すべきなのか

セグメントは、ある属性の特徴的な意見は何かを探す時に有効なアウトプットで、イメージとしては「クロス集計で差が大きいところを可視化している」と理解していただければOKです。セグメントで挙がっている意見は、サマライズで表示されている内容と同じです。

図7の左のグラフは男性に特徴的な意見で、「いつも待ち時間が長い」「通信が安定するように改善してほしい」「(オペレーターが)専門的な知識があるので安心」「何度も電話が切れて困る」などが挙がっています。

図7の右のグラフは女性に特徴的な意見で、「夜間でもチャットサポートが欲しい」「オペレーターの対応が丁寧」などが挙がっています。

このように、属性ごとの特徴を細かく見たい時に有効なのが、セグメントです。

TextVoiceのワードクラウド・サマライズ・セグメントのアウトプットに基づいて整理を図ることで、自由回答から意見・要望のエッセンスを抽出することができるようになるでしょう。

まとめ

コンタクトセンターの顧客満足度アンケートを実施する際は、どのようなアウトプットであれば、仕事上の課題に対して整理・解決が図れるかを考えることが重要です。アウトプットが決まれば、そのアウトプットを出すのに必要な設問・分析・分析ツールは何かを検討し、調査票に落とし込んでいけば、アンケートデータを回収した後に頭を悩ますことは少なくなるでしょう。

自社では対応できない領域もあると思いますので、その際はマイボイスコムを始めとしたリサーチ会社に是非お問合せください。

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■マイボイスコム株式会社
https://www.myvoice.co.jp/
■TextVoice
https://www.textvoice.jp/info/

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執筆者紹介

石田 雄紀 氏
石田 雄紀 氏
マイボイスコム株式会社 リサーチグループ長
2005年慶應義塾大学院 商学研究科(修士)卒。
リサーチ会社のマイボイスコム株式会社において、インターネット調査を中心に、顧客満足度調査・ブランド調査・学術調査やテキストマイニング、データ分析など多岐にわたる経験を持つ。
現在はリサーチグループの統括と、アンケートデータベース(MyEL)の運営に携わる。
デジタルチャネルCX調査 2024ー2025年版

株式会社ベルシステム24

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