カスタマーエフォートスコア(CES)とは?
測定方法や改善ポイントを紹介

   

この記事でわかること
  • CES(カスタマーエフォートスコア)の基礎知識
  • CESが高くなる原因と測定方法
  • CESを改善するための実践ポイント

顧客満足度を高めるためには、顧客がサービスを利用する際に、どれだけ負担なくスムーズに目的を達成できているかを把握する必要があります。その実態を把握するために役立つのが、CES(カスタマーエフォートスコア)と呼ばれる指標です。CESは、顧客が感じた手間や負担(努力量)を数値化するものであり、これを計測・分析することで、どのプロセスに負担がかかっているかを特定し、改善点を明らかにできます。 

カスタマーエフォートスコア(CES)とは? 測定方法や改善ポイントを紹介

デジタルチャネルCX調査 2024ー2025年版

カスタマーエフォートスコア(CES)とは?

CESとは、Customer Effort Scoreの略で、「顧客努力指標」を意味します。これは、顧客がサービスを利用する際に、どの程度の手間や負担(努力量)が必要だったかを表す指標です。

CESのスコアによって、顧客が感じた負担の大きさを把握できます。一般的に、CESのスコアが高いほど負担が大きく、顧客体験が悪化している状態を示します。例えば、「サービスが使いづらい」「案内が不親切」と感じる場合、顧客の負担が大きく、CESが高い状態と考えられます。

このような状態は顧客満足度の低下につながる可能性があり、継続すると解約・退会につながるおそれがあります。そのため、CESを指標として活用しながら、サービスの改善を進めていく必要があります。

CESとリテンション率の関係

CESと密接に関連する指標に「リテンション率」があります。これは、顧客の継続率や定着率を表す指標です。

CESとリテンション率には相関関係があり、顧客の負担が小さくCESが低いほど、リテンション率が高まる傾向があります。サービスが使いやすくなり顧客の負担が軽減されると、CESが低下し、その結果として顧客の継続率や定着率が向上するという関係があります。

リテンション率の向上は、収益の安定化が期待できるほか、新規顧客獲得コストの削減や、ロイヤルカスタマー(サービスへの信頼が高い顧客)の増加にもつながります。カスタマーサクセスを実現するためには、CESだけでなくリテンション率にも着目する必要があります。

CESとNPS®との違い

CESと併せて用いられることが多い指標に、「NPS®(Net Promoter Score)」があります。これは、他者への推奨意向を通じて顧客ロイヤリティを測る指標であり、NPS®が高いほどサービスの継続利用や他者への紹介につながる可能性が高まります。

主な違いは以下の通りです。

  • CES:製品・サービス使用時における顧客の労力・手間(努力量)を測る指標
  • NPS®:他者への推奨意向を通じて顧客ロイヤリティを測る指標

CESは、顧客がどれだけ負担なく目的を達成できたかを重視するのに対し、NPS®は他者に勧めたいかどうかに着目します。どちらか一方が優れているわけではないため、測定の目的に応じて使い分けることが重要です。

NPS®の分析方法や具体的な活用方法は、以下の記事で解説しています。あわせてご参照ください。

労働人口減少と コンタクトセンターの未来 ~人材育成と自動化の最前線~
ナレッジ管理とは?手法や目的も併せて解説

カスタマーエフォートスコア(CES)の重要性

他にも多くのカスタマーサクセスの指標が存在するなかで、CESは顧客がサービス利用時に感じる負担の大きさを直接的に把握できる指標であり、その負担の軽減が継続利用や顧客満足度の向上に直結するため、特に重要視されています。

リピーターを獲得するため

CESが重要視される理由のひとつに、リピーターの獲得があります。顧客の負担が大きい状態が続けば、サービスの解約・退会につながり、リテンション率が低下します。特に、サブスクリプション形式の料金体系を採用している企業にとって、リピーターの獲得は大きな課題です。

継続利用を促進することが重要であるため、CESを低減し(顧客の負担を軽減し)、リテンション率を高めるための対策が必要です。

より良い顧客体験を提供するため

CESが重要視される理由のひとつに、負担の少ないスムーズな顧客体験の提供があります。顧客体験とは、顧客がサービスに接するすべてのプロセスを指します。主なプロセスは以下の通りです。

  • 商品・サービスの認知
  • 購入・契約
  • 使用
  • アフターフォローや問い合わせ
  • リピート購入

各プロセスにおける顧客の負担を軽減し、負担が少なくスムーズな体験を提供できれば、顧客満足度の向上や信頼関係の構築につながります。その結果、長期間自社のサービスを利用してもらえるようになり、最終的にリテンション率の向上が期待できます。

自社の問題点を解決するため

CESが重要視される理由のひとつに、自社の課題を特定し改善することがあります。顧客の期待を上回るサービスの提供を目指す企業は多く見られますが、ファン化には、顧客の負担が少なくスムーズに利用できる環境を構築することが効果的であると考えられています。

つまり、ポジティブな要因を増やすよりも、ネガティブな要因を減らすことが顧客満足度の向上につながります。ネガティブな要因を減らすためには、まず問題点を把握する必要があります。そのため、顧客が感じる手間や負担(努力量)を把握できるCESが重要視されています。

カスタマーエフォートスコア(CES)が高くなる3つの原因

CESが高くなる主な原因として、「商品・サービスに関する負担」「営業・広告に関する負担」「顧客対応に関する負担」の3つが挙げられます。これらは、顧客の手間や負担が増加し、CESが高くなる要因となります。どのような要因が顧客の負担を増加させるのか、具体例をもとに確認します。

1. 商品・サービスに関する負担

商品・サービスに関する負担の代表的な例として、「サービスの内容や利用方法が複雑で理解しづらい」「Web上の説明書が把握しにくい」などが挙げられます。商品やサービス自体のわかりにくさが、顧客の負担を大きくしているケースが多くあります。

また、サービスの利用者が増えない場合には、「Webでの申し込みや変更手続きに手間がかかる」といった要因も考えられます。

2. 営業・広告に関する負担

営業・広告に関する負担の代表例として、「広告が多すぎて負担に感じる」「営業が過度である」など、顧客にとって不要または過剰なアプローチが挙げられます。ダイレクトメールや営業電話はビジネスに欠かせない販促方法ですが、アプローチの仕方には注意が必要です。

過剰なアプローチと受け取られると顧客の負担が増加し、サービスのイメージが悪化して顧客離れにつながります。

3. 顧客対応に関する負担

顧客対応に関する負担の代表的な例として、「窓口の営業時間が短く問い合わせがしにくい」「コールセンターへの電話がつながらない」「質問への回答が理解しにくい」「顧客窓口の担当者の知識が不足している」などが挙げられます。

サービス内容に不明点が生じた際に、的確な回答を迅速に得られなければ、顧客の負担が増加します。

カスタマーエフォートスコア(CES)の測定方法

CESは、顧客の負担(努力量)を把握するためにアンケート調査で測定するのが一般的です。本章では、測定用アンケートの具体例と計算方法を紹介します。

測定用アンケートの例

CESの測定では、顧客の負担(努力量)を定量化するために、サービス利用時の負担について質問する7段階アンケートが用いられます。評価項目の一例は以下の通りです。

1:まったく努力しなかった:問題なくスムーズに解決できた。

2:ほとんど努力しなかった:わずかな手間はあったが、すぐに解決できた。

3:少し努力した:少し手間取ったが、解決できた。

4:やや努力した:手間取り、時間がかかった。

5:努力した:かなり手間取り、解決に時間がかかった。

6:非常に努力した:非常に手間取り、解決が困難だった。

7:極めて大きな負担がかかった:何をしてもうまくいかず、解決に至らなかった。

初期設定や問い合わせなどの特定の行動において、どの程度の負担(努力量)を感じたのかを測定することが、7段階アンケートを実施する目的です。

アンケートの計算方法

アンケート結果は、各選択肢の得票率をもとに算出します。計算方法の一例は以下の通りです。

  • CES=選択肢1・2の合計得票率-選択肢5〜7の得票率

例:選択肢1・2の得票率が90%で、選択肢5〜7の得票率が5%の場合、90−5=85となり、CESは85となります。

最高値は100、最低値は-100です。数値が100に近いほど顧客の負担が小さい状態、-100に近いほど負担が大きい状態を示します。この数値を100に近づけることで、顧客の負担を軽減し、顧客体験の改善につなげることが重要です。

カスタマーエフォートスコア(CES)調査の注意点

誤った方法で実施すると、CESの正確な測定や活用ができず、期待した効果を得られない可能性があります。CESを調査する際は、以下の4つのポイントを念頭に置く必要があります。

アンケートは顧客体験の直後に実施する

アンケートは顧客体験の直後に実施することが重要です。利用直後であれば、顧客が感じた負担や印象が明確に残っており、精度の高いフィードバックが得られます。一方で、顧客体験から時間が経過すると記憶が曖昧になる可能性があるため、アンケートを実施するタイミングには注意が必要です。

また、アンケートはすべての顧客に対して同一条件で実施することが重要です。条件が異なると、顧客がサービスのどこに負担を感じており、どのような改善が必要なのかを正確に把握できません。

最適な質問を行う

アンケートの質問設計には注意が必要です。必要以上に多くの質問を設定すると、顧客の負担が大きくなります。アンケート自体が負担に感じられ、回答してもらえないリスクもあるため、質問数を絞り、簡潔でわかりやすい内容にすることが重要です。

また、質問が漠然とした内容にならないよう注意が必要です。例えば「どの程度の手間がかかりましたか?」といったように、顧客の負担(努力量)を具体的に把握できる質問を設定することが重要です。「サービスの初期設定をスムーズに進められましたか?」「問い合わせの方法がわかりやすいと感じましたか?」など、フィードバックを得たい部分を具体的に提示するようにします。

測定は定期的に実施する

CESの測定は1回で終わるのではなく、定期的に実施することが重要です。繰り返し実施することで、顧客のどこに負担が発生しているのかや、改善策が有効であったかを継続的に把握できます。

顧客の増加やニーズの変化によって、前回の測定では把握できなかった負担の要因が明らかになるケースもあります。些細な変化でもCESに影響するため、測定を継続的に実施し、より良いサービスへと改善し続けることが重要です。

自動的に測定できる仕組みを作る

CESの測定は繰り返し実施することが重要ですが、個別に手作業でアンケートを送信するのは非効率です。顧客の導線にあわせて自動的にアンケートを表示させるなど、効率的に測定できる仕組みを構築することが重要です。

自動化することで、調査実施の効率化と一貫性の確保につながり、多くの顧客に対して同じ条件でアンケートを実施できるというメリットがあります。

CESを改善させる5つのポイント

顧客の負担を軽減し、CESを低減するためには、以下の5つのポイントを押さえることが重要です。自社の環境やサービスの課題を踏まえ、適切な対策を講じて改善に取り組むことが重要です。

  • 顧客の負担要因の特定と改善
  • サポートデスクの強化
  • ヘルプの充実
  • 顧客対応と問題解決の迅速化
  • 社内体制の整備

以下でそれぞれ詳しく解説します。

1. 負担要因の特定と改善

サービスにおいて、顧客が感じる負担の特定と改善が欠かせません。「問い合わせの方法が理解しにくい」「サイトの表示が遅い」といった問題点を見直すことで、顧客の負担を軽減し、CESの低減につながります。

顧客の声を収集するには、CES計測のためのアンケートが効果的です。7段階の項目で評価してもらうと同時に、どこに負担を感じたのかを具体的に記載してもらうことで、改善すべき点を早期に把握できます。

2. サポートデスクの強化

サポートデスクの強化は、顧客の負担を軽減し、CESの低減に寄与します。特に、問い合わせ手段が電話のみ、メールのみといった場合は見直しが必要です。文章での説明が難しい場合には電話が有効ですが、比較的簡単な問い合わせであれば、メールやチャットのほうがスムーズに対応できる場合があります。

顧客が感じる負担の内容によって適切な問い合わせ手段は異なります。顧客自身が最適な手段を選択できるよう、SNSアカウントや問い合わせフォームなどを導入し、複数のチャネルを設けることが重要です。

3. ヘルプの充実

顧客が問題に直面した際に、問い合わせをせずに自己解決できるよう、ヘルプを充実させることが重要です。具体的な方法としては、FAQツールやチャットボットの導入が挙げられます。

FAQツールは、よくある質問への回答をサイト上に公開する仕組みです。事前に用意された回答を参照することで問題を自己解決でき、コールセンターへの問い合わせを削減できます。

チャットボットは、人工知能を活用し会話形式で質問に対応するツールです。従来のコールセンターでは営業時間外の対応が難しいという課題がありますが、チャットボットであれば24時間365日自動で回答できるため、顧客の待ち時間による負担を軽減できます。

4. 顧客対応・問題解決の迅速化

顧客対応と問題解決の迅速化は、顧客の負担を軽減し、CESの低減において欠かせない要素です。株式会社PR TIMESが15歳~84歳の男女853名を対象に実施した調査によると、問い合わせフォームを利用してから回答を得るまでに許容できる時間は、「24時間以内」と回答した人が約70%でした。

つまり、24時間を超えると多くの顧客の負担が大きくなります。その結果、サービスの利用を中断したり、他社サービスへ移行したりする可能性があります。迅速な対応を実現するための環境整備と、オペレーターの対応力向上が重要です。

参照元:株式会社株式会社PR TIMES「お問い合わせフォーム対応時間に関するアンケート調査」

5. 社内体制の整備

「問い合わせても対応が引き継がれず複数部署をたらい回しにされる」「何度も同じ質問をされる」といったケースは、顧客の負担を増加させ、CESを高める要因となります。顧客の負担を増やさず、スムーズに問題解決へ導くためには、社内体制の整備が重要です。社内体制整備の方法として、CRMシステムの導入が挙げられます。

CRMシステムは、顧客情報を管理するシステムです。顧客の個人情報や問い合わせ履歴を一元管理でき、これらの情報をもとに顧客に応じた対応ができます。情報を蓄積することで、同じ内容を繰り返し確認するような不要な重複対応を防止できます。

CESの改善に役立つ「BellCloud+®」

CESの改善方法に迷った場合は、支援システムを活用することが有効です。支援システムを導入することで、担当者の負担を軽減しつつ、顧客対応の効率化と品質向上を通じて、顧客の負担軽減につなげることができます。

その一例として、ベルシステム24が提供する「BellCloud+®」があります。これは、コンタクトセンター業務に役立つさまざまな機能を備えたクラウド型の次世代コンタクトセンター基盤です。30年以上にわたるコールセンター業界のノウハウをもとに、高い信頼性を備えています。

【BellCloud+®の主な機能】

  • チャットボットやボイスボットを活用した自動応答機能
  • 電話応対の会話内容をテキスト化する音声認識機能
  • 顧客やオペレーターの感情を可視化する感情解析機能
  • ビジュアルIVR(Webサイトやアプリから最適なチャネルへ誘導する仕組み)の実装
  • オペレーターのコンディションの可視化

BellCloud+®は在宅勤務にも適しており、オペレーターは自宅のPCからこれらの機能を利用できます。多様化する働き方に対応できるだけでなく、災害などの緊急時にも業務を停止せずに運用できる点が特徴です。

まとめ

CESは、顧客がサービスを利用する際にかかる手間や負担(努力量)を測る指標です。CESの低減(負担の軽減)は顧客満足度の向上につながるため、サポートデスクの強化やヘルプの充実などを通じて、顧客が負担なくサービスを利用できる環境を整えることが重要です。

また、「BellCloud+®」のようなシステムを活用することで、顧客対応の効率化と品質向上を図り、顧客の負担軽減とCESの低減を目指すことが有効です。

*Net Promoter®およびNPS®、Predictive NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の登録商標です。

この記事の推奨者

久保 睦
久保 睦
2001年に入社後、通信、金融、通販、メーカー、サービス業のコンタクトセンターを中心に80社以上のコンサルティング、立上げ支援、ソリューション導入企画・設計・構築、アドバイザーを担当。現在は、企業の付加価値向上、CX向上、DX実現に向けたコンタクトセンター活用のプランニングなどビジネスコンサルティングを中心にプロジェクト管理、統括責任者として多数の実績あり。
Salesforce 認定アドミニストレーター
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