デジタル時代におけるITを活用した顧客体験(CX)とは?
カスタマージャーニーの構築から成功事例まで解説

 2021.12.02  2024.01.05

新型コロナウイルスの感染拡大により、日本でもIT技術を積極的に活用しようとする流れはますます加速しています。それは消費者の購買活動にも影響を与えることでしょう。そこで本記事では、デジタル時代において、企業が顧客体験(CX)を向上させるためにはどのようなことに取り組めばいいのか、基礎的なところから詳しく解説します。

デジタル時代にふさわしい 顧客へのアプローチとは ~多様化する顧客接点を活かして真の顧客体験の実現へ~

そもそも顧客体験(CX)とは?

顧客体験とは、商品の認知から購入・利用に至るまで、「顧客が商品やサービスに関して体験するカスタマージャーニーの全工程」あるいはそれに対する評価のことです。英語で「Customer Experience」と表記されることから、「CX」とも言い換えられます。

顧客体験には商品やサービスそのものだけではなく、例えば「広告に好きな芸能人が使われていた」「店員の接客態度がよかった」「アフターフォローが充実していた」など、商品にまつわる周辺領域のことも含まれます。それゆえ、企業が顧客体験を向上させるには、すべての顧客接点のクオリティを改善しなくてはいけません。

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UX/UIとCXの違い

顧客体験(CX)と関連性の高い言葉として、「ユーザーエクスペリエンス(UX)」や「ユーザーインターフェース(UI)」という用語があります。UXは「User Experience」、UIは「User Interface」の略称です。

それぞれの違いについて説明すると、UXとは「特定のサービス(製品)そのものに関する利用体験や、それについての評価」を意味します。他方、UIは、アプリの使用感や操作性など、単に「そのサービスの使い勝手のよさ」について言及する際に使われます。例えばアプリゲームに例えていうならば、UIとはゲームのシステム的な快適性を指す概念であり、UXはストーリーの質やキャラクターデザインの秀逸さなど、「ゲーム全体の出来のよさ」を指す概念です。それゆえUXにはUIの評価も当然影響を与えますが、その一方でUIが悪くてもUX全体として見れば優れているという場合もありえます。

対してCXとは、先ほど説明したようにサービスの認知から購入の検討、購入、利用継続に至るまで、該当のサービスに付随するすべての体験を包括した概念です。それゆえ、CXの中にはUXやUIも一要素として含まれます。概略としては、「CX>UX>UI」という形で部分全体関係が成立していると理解すればよいでしょう。

顧客体験が重要視される理由や背景を解説

昨今、顧客体験が重要視されるようになった理由としては、「購買経路の多様化」や「オムニチャネル化」といった技術面での変化に加え、「価値観の多様化」といった顧客傾向の変化が背景として挙げられます。

これらの基盤には、スマートフォンの普及によって誰もがインターネットを活用できるようになったことが大きいでしょう。現在の顧客は自らインターネットで商品や企業について情報収集することが可能になり、企業と顧客の接点は実店舗や電話といった従来の方法に加え、Webサイトやメール、SNSなど多様に広がりました。

オムニチャネル化とは、こうした顧客接点の増加に伴って重視されるようになった取り組みで、先ほど挙げたような複数チャネルの連携を通じてお客様と企業がシームレスに接し、どのチャネルでも最適な顧客体験を提供できるようにすることです。
例えば、オムニチャネルの一例としては、オンライン上のアプリなどでクーポンを配信し、実店舗への来店を促す「O2O (Online to Offline)」などの取り組みが挙げられます。確かにオムニチャネル化によって、顧客と企業の関係性を向上させ、最終的には売上を伸ばすことが可能となります。しかし「どのチャネルでも最適な顧客体験を提供する」ためには、そもそも「最適な顧客体験とは何か」を追求することが欠かせません。そこで企業は改めて顧客体験について考える必要に迫られているのです。

また、「コト売り時代」という言葉に示されるように、顧客の価値観自体の変化が起こっていることも、顧客体験が重視される一因です。「コト売り」とは、例えばカーシェアリングやサブスクリプションサービスなどに象徴されるように、「モノ」そのものではなく「サービス」や「体験」を売るビジネスのことです。

現在の顧客は物質的な所有欲を満たすよりも、良質なサービスを受けることによって精神的な充足感を得ることを重んじるようになっています。こうしたサービス提供型のビジネスにおいて、顧客はサービスに満足できなければ後腐れなく利用を停止し、他社へと乗り換えられます。しかしこれは当然、企業にとっては死活問題です。したがって、顧客を長く自社につなぎとめるために、顧客体験の改善に注力する企業が増えているのです。

さらに新型コロナウイルス感染拡大によって顧客体験は新たな転換期を迎えています。コロナ禍においては「密集・密接・密閉」の「3密」の回避が推奨されており、感染予防の観点から他者との接触を最小限にするように求められています。
こうしたなか、いま世界では「巣ごもり需要」が高まっており、ネットショッピングやケータリングサービスなど、非対面型ビジネスのニーズが急激に増しています。コロナ禍によって、デジタルベースでの顧客体験(DCX)の重要性がいま飛躍的に向上していると言えるでしょう。

顧客体験を高めるためのポイント・方法は?

前項では顧客体験が現在重視されている理由について解説しました。では、顧客体験を高めるために、企業はどのような取り組みをすればよいのでしょうか。以下では顧客体験を高める上で有効なアプローチについて紹介します。

カスタマージャーニー・ペルソナの構築

顧客体験を高めるためには、まず想定される顧客層のペルソナを構築し、そのニーズを満たすための方策を分析するところから始めましょう。その際には、商品やサービスそのものだけでなく、顧客を商品の購入に至らせるまでの動機づけから始まり、商品の購入・利用に至るまでのカスタマージャーニー全体の構想を練らなければなりません。

また、それと関連して、SNSの利用などを通して顧客との接点をマルチチャネル化することも有効です。その際には先述した、チャネル間をシームレスに連携させるオムニチャネル化や、Webサイトなどのオンライン上からオフラインの実店舗での購買活動へと顧客を誘導させるO2Oの仕組みを整備することで、マルチチャネルを最大限に活用できるでしょう。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進

DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進することも顧客体験を向上させるために重要な取り組みです。デジタル庁の開庁に象徴されるようにIT活用は昨今のトレンドでもあり、日本社会における課題としても注目されています。

例えばカスタマーサポートチャットボットを導入すれば、企業は顧客からの定型的な質問をチャットボットに対応させることで、業務効率化が実現し得ます。また、チャットボットによる自動応答は24時間365日対応が可能なため、当然顧客満足度の向上も期待できるでしょう。チャットボットの導入はほんの一例ですが、このようにDXの推進によって、業務効率化とサービス品質の向上の両立を目指していけるのです。

顧客情報の細かな分析によるデータドリブンマーケティングの強化

DXの推進は、顧客体験の向上の基礎となる顧客分析の精密化にも寄与します。近年になってSFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)など、顧客情報を統合管理するためのITツールもますます充実してきています。これらのツールを活用することで従来取得不可能だった範囲も含め、顧客の購買行動などに伴うさまざまなデータが取得・蓄積できるようになりました。

こうしたデータを、BIツールなどを用いて分析することで、これまで見えていなかった顧客傾向などの可視化まで期待されています。これによって企業は客観的なデータに基づいて顧客体験の向上に取り組む「データドリブンマーケティング」の推進が実現していくでしょう。

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まとめ

スマートフォンの普及をはじめ、デジタル社会が促進されるにつれてビジネスにおける顧客体験(CX)の重要性はますます高まっています。そこで企業は積極的にマルチチャネルを活用したり、各チャネルを連携させたりして、顧客に対し多角的な面からアプローチしなければなりません。その際、重要となるのは、ITツールを活用して顧客のニーズを入念に分析し、顧客目線のサービスを提供することです。本記事を参考に、ぜひデジタル時代に対応した顧客体験の提供を実現してみてください。

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