CRM(顧客関係管理)システムとは? 機能と導入のメリット

 2020.06.05  2023.05.16

CRMシステムの導入により得られるメリットは多々あります。ただ、システムの導入と運用を検討しているのなら、メリットだけでなくデメリットや注意点、選定基準などを把握しておかねばなりません。
本記事では、CRMに関する基礎知識やCRMシステムの重要性、またCRMシステムを選ぶ際のポイントなどについてご紹介します。

デジタル時代にふさわしい 顧客へのアプローチとは ~多様化する顧客接点を活かして真の顧客体験の実現へ~

CRM(顧客関係管理)とは

CRM(顧客関係管理)とは、顧客と良好な関係を構築し、継続的に自社の商品やサービスを購入してもらうための経営手法です。それを実現するには、顧客の氏名や年齢、性別といった属性情報をはじめ、直近の来店日時や商品の購入頻度、購入総額などの情報を管理する必要があります。

たとえば、誕生日が近い顧客に祝いの言葉を述べたメールやDM、割り引きクーポンなどを贈るケースが考えられます。管理している情報に基づいて個々に応じた適切なアプローチを行い、接点を絶やさぬことで顧客のファン化、リピーター化を狙う手法です。

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CRMシステムとは? 機能を説明

CRMシステムとは、顧客との良好な関係構築、維持を実現するためのシステムです。顧客の属性や過去の取り引き履歴、分析、セグメントメール配信、効果検証などの機能を備えています。実装している機能は製品により異なるため、導入前の確認は必須です。

なお、製品によっては、コールセンターやコンタクトセンターの効果的な運用に役立つ機能を備えたものもあります。たとえば、チャットボットや通話履歴記録、感情分析機能などが挙げられます。

チャットボット

テキストベースでリアルタイムにコミュニケーションを行う「チャット」を、半自動で行うチャットボットの技術が活用されています。

顧客からの質問に対し、チャットボットがあらかじめ登録された回答に沿って応答したり、過去の会話ログを利用して応答したりします。

チャットボットによる顧客対応ではオペレーターが不要なため、人件費の削減にもなります。

通話履歴記録

顧客との通話ログと音声ファイルをCRMシステムへ自動的に記録します。これにより、顧客情報と対応履歴・対応内容が紐づいた状態で一元管理できます。

通話記録を音声ファイルとして保管するメリットとして、後述する感情分析と連携できる点が挙げられます。通話記録と感情分析機能を組み合わせれば、オペレーターの対応に対する顧客の感情の動きなども詳細に分析できるため、より適切な対応を検討するときの材料になるでしょう。

感情分析

顧客とオペレーターとの会話中に、AIで声を解析して感情を認識します。この感情分析により、顧客の感情に配慮した回答も準備できるため、対応品質の向上を見込めるだけでなく、対応の効率化も期待できます。

搭載機能はCRMシステムによって異なりますが、いずれの機能も顧客の待ち時間を短縮したり、正確かつ素早い回答を提供して、顧客との継続的な信頼関係を保ったりすることを目的としています。

CRMシステムの必要性

インターネットの普及やデジタル技術の進歩などにより、市場や顧客ニーズの変化が速くなりました。また、従来に比べて新規顧客の獲得が難しくなり、既存客の囲い込みと顧客生涯価値の向上が重視されるようになったのも、CRMシステムが必要な理由です。

市場や顧客ニーズの変化が速くなった

インターネットやスマートフォンの普及、デジタル技術の進歩など、さまざまな理由で市場や顧客ニーズの移り変わりが速くなりました。顧客は自ら容易に情報を入手できる時代にもなり、真に求めるものにしか見向きしなくなったのです。

このような理由から、従来のように顧客を一括りにしたマーケティングは難しくなりました。顧客の視点に立ち、個々のニーズを正確に汲み取るマーケティング手法が必要な時代になったのです。

顧客のニーズを正確に汲み取るには、分析が欠かせません。過去にどのような商品を購入しているのか、どの程度の頻度で来店しているのか、といった情報の分析により、初めてニーズを把握できます。そのために、顧客情報を管理できるCRMシステムが必要なのです。

顧客生涯価値(LTV)の向上が重視されるようになった

顧客生涯価値(LTV)とは、1人の顧客が生涯を通じて企業に貢献してくれる金額を指します。顧客一人ひとりのLTVを向上させれば、新規顧客が増えずとも利益拡大につながります。

LTVの向上が重視される理由は、新規顧客の獲得が難しくなったためです。少子高齢化に伴う人口の減少や、容易に情報を入手できる時代の到来により、従来に比べ新規顧客の獲得が困難になりました。

新規顧客の獲得が難しいのなら、すでに獲得している顧客からの利益最大化を目指さなくてはなりません。上位グレードの商品やサービスを提案するアップセル、合わせ買いで顧客単価を上げるクロスセルなどへの取り組みにより、LTVの向上を目指せるでしょう。

また、新たな顧客の獲得は、既存顧客を維持するコストの5倍かかるとの説があります。このような理由からLTVの向上が重視されるようになり、それを実現するためにCRMが必要となったのです。

コンタクトセンターなどでCRMシステムを導入するメリット

コンタクトセンターにCRMを導入すれば、オペレーター同士で容易に顧客情報を共有できます。また、情報を閲覧しつつ対応できるため顧客に合わせたサービスを提供できるほか、オペレーターの対応品質向上や負担軽減、育成コスト削減にもつながります。

顧客情報を共有できる

顧客ごとのニーズに合わせた最適化が求められていますが、そのためには大量の顧客情報を効率的に管理・分析し活用できることが大前提となります。

CRMシステムで管理する顧客情報とは、氏名・性別・住所・年齢・問い合わせ先・趣味など多岐にわたります。これらの情報はコンタクトセンターだけでなく、営業・開発部門・人事など自社内のあらゆる部門で収集される可能性がありますが、CRMシステムで情報を一元管理することで、社内で共有できます。

顧客情報の共有はタイムリーに行われるため、顧客のニーズに素早く対応できるようになります。結果として、顧客満足度の向上に伴い、売上や利益の増加にも期待できます。

問い合わせデータを蓄積できる

顧客からの問い合わせには、サービスや製品の改善につながる情報が多く含まれています。顧客と直接コミュニケーションをとったオペレーターだけが問い合わせ内容を把握しているのではなく、顧客とのコミュニケーションの内容をCRMシステムに蓄積していくことで、サービスの品質改善につながるノウハウを獲得できます。

顧客に合わせたサービス提供ができる

CRMを導入していない場合、顧客が問い合わせをするたびに、その日のオペレーターにこれまでの経緯を伝える必要があります。

CRMを導入し、CRMに保存された顧客情報を活用すれば、オペレーターが変わったとしても、過去の問い合わせの経緯・内容を参照して、スムーズに対応できます。

また、CRMには顧客の好みや過去の購入サービス・製品などの情報も蓄積されているため、顧客の好みに合致しそうな新製品の紹介など、パーソナライズ化したサービス提供もできます。

オペレーターの応対品質を向上できる

オペレーターが顧客に対応する際、CRMを参照しながら対応できるため、顧客の基本情報や購入履歴などをその場で把握しながら、スムーズに対応できます。

対応履歴には、コンタクトセンターにおける対応履歴だけではなく、営業部門やその他の部門がCRMシステムに登録した情報も含まれるため、顧客の状況をリアルタイムに把握しながらの応対が可能です。

また、中にはオペレーターの対応内容を分析できるCRMもあります。オペレーターごとの対応品質のばらつきをなくし、統一・均一化するための改善活動に効果が期待できます。

オペレーターの負担を軽減できる

顧客からの問い合わせに対しては、常に迅速な回答が求められます。裏を返せば、CRMシステムを導入していない場合、オペレーターにはサービスや商品に対する膨大な知識が必要となります。

CRMを導入すれば、オペレーターが顧客対応中にサービスや商品に対する不明点があったとしても、CRMから情報を探し出して、即座に対応できます。

またオペレーター業務では、クレーマーに対処しなくてはならない場面も多く、精神的に負担がかかるものです。CRMであれば、クレームへの対応時も過去のやり取りを参考に回答したり、管理者に対応を委ねたりするなどの対応もできるため、負担の軽減につながります。

オペレーターの育成コストを抑制できる

CRMシステムを活用していない場合、オペレーターが覚えるべき事項は、製品についての情報・回答方法・専門用語など多岐にわたるため、戦力になるまで膨大な時間を要します。

CRMを活用できれば、これらの情報はいつでも参照できるようになるため、新人オペレーターを早期に戦力化できます。

結果、オペレーターの育成コストが抑制され、人件費の削減につながります。

CRMシステム導入の注意点

導入によりさまざまなメリットを得られるCRMですが、覚えておくべき注意点もいくつかあります。代表的な注意点は、導入や運用にコストがかかる、すぐには効果が見込めないの2点です。

コストがかかる

新たにシステムを導入するとなれば、コストがかかります。たとえば、オンプレミス型なら社内にサーバーを用意しなくてはならず、専用のサーバールームも必要になるうえ、システムの定期的なメンテナンスにもコストが発生します。

クラウド型であれば導入コストこそ抑えられますが、月々の費用がかかります。選択するプランによっても費用が変わるため、導入目的を明確にし使用状況も想定して選定を進めましょう。

操作の難しいシステムを導入した場合、従業員の育成コストも発生します。育成が長引くほど余計なコストがかかるため、従業員のITスキルを考慮したうえでのシステム選びをおすすめします。

すぐには効果が出ない

CRMシステムは、導入したからといってすぐに売上がアップするようなシステムではありません。収集したデータを分析し、顧客との良好な関係を構築、維持するためのシステムであるため、成果が現れるにはある程度の期間が必要です。

そもそも、顧客情報が少ないと分析すらできません。まずは顧客情報を収集、蓄積する必要があるため、その時間もかかります。

コンタクトセンターのCRMシステムを選ぶポイント

コンタクトセンターのCRMシステム導入においては、実装している機能や導入形態、セキュリティ、サポート体制などをチェックする必要があります。

必要な機能が搭載されているか

機能の多さよりも、必要な機能が実装されているかどうかを重視しましょう。コンタクトセンター向けのCRMには、検索機能やFAQ作成などさまざまな機能を備えたものが少なくありません。

自社の業務と照らし合わせ、必要な機能を備えているかどうかを選定条件にするとよいでしょう。音声認識やチャットボットなどの機能を実装した製品なら、コンタクトセンターのさらなる業務効率化を実現できるためおすすめです。

素早く情報を探せる検索機能

フリーワード検索や期間などを指定する詳細検索で、CRM内に保存されたあらゆる情報を素早く見つけます。入力したキーワードが検索結果画面でハイライト表示されるなど、素早く顧客へ回答できる工夫が施されています。

電話のかけ間違いを防ぐクリックtoコール

CRM上で顧客情報を検索し、表示された顧客の電話番号をクリックして、そのまま電話がかけられます。
通常、電話をかける際は、電話番号を入力しなくてはなりませんが、従来ではかけ間違いも多く発生していました。
「クリックtoコール」機能を活用すれば、ワンクリックで電話がかけられるだけでなく、番号の間違いがなくなり、業務効率アップにつながります。

不要な問い合わせを減らすFAQ作成機能

顧客からの問い合わせ内容には、重複していたり頻繁に聞かれたりする内容も多いものです。CRMに蓄積されたこれらの問い合わせ内容と回答をもとに、よくある問い合わせのFAQ集を作成してWeb上で公開したり、関係部門で共有したりできます。

運用改善につながるデータ分析機能

問い合わせへの平均対応時間や、対応時間が長かった問い合わせの内容など、あらゆるデータを分析・集計します。集計したデータを元に、グラフ化して可視化するなど、コンタクトセンターのオペレーションの改善にも役立てられます。

CRMごとに搭載機能は異なりますので、自社に必要な機能を見極め、必要な機能が備わったCRMを選択しましょう。

サポート体制が充実しているか

多機能なシステムでも使いこなせなければ意味がありません。システムを活用し成果へつなげるには、充実したサポート体制を整えているパートナーの製品を選ぶとよいでしょう。

具体的なサポート内容もチェックが必要です。システム活用のノウハウを共有してもらえるか、課題解決に導くような支援を受けられるか、といったところをチェックしましょう。

希望する導入形態を選べるか

CRMには、「インストール型」と「クラウド型」の2種類があります。

インストール型では自社で用意したサーバーに、パッケージ化されたCRMをソフトウェアとしてインストールします。顧客情報を外部サーバーに置く必要がないため安心感がある一方で、自社サーバーの用意と管理が必要です。クラウド型と比較して、サーバーの管理コストこそかかるものの、トータルでのランニングコストは安価です。

対するクラウド型は、CRMをクラウドサービスとして提供するもので、ユーザーは認証情報を入力し、ログインして利用します。自社サーバーを置く必要がないため、サーバーの管理工数はかかりませんが、長期利用する場合はインストール型よりランニングコストがかかります。

セキュリティレベルが高いか

大量の顧客情報を扱うCRMでは、強固なセキュリティ機能が必須です。

CRMがサイバー攻撃や不正アクセスを受けてしまった場合、損害賠償も含めて、その被害額は数億円にものぼります。

CRMを選ぶときには、顧客情報をやりとりする際のネットワークの暗号化はもちろん、万が一、顧客情報の漏えいなどセキュリティに関する問題が発生したときのために、24時間体制で対応できるかどうかも確認しましょう。

また、外部からの不正アクセスを防止するだけでなく、内部からのデータ漏えいや改ざんを防ぐ仕組みの有無も重要です。

もちろん機能や導入形態、セキュリティ以外にも、実際に使用するオペレーターが使いやすいかどうかも、CRM導入の成否を分けるポイントとなるでしょう。

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企業と顧客が直接コミュニケーションをとるコンタクトセンター。多様化する連絡手段や顧客の価値観の変化から重要性が増しています。こちらでは、コンタクトセンターの概要や必要な機能、コールセンターとの違いなどについて紹介します。

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まとめ

CRM(顧客関係管理)とは、顧客と良好な関係を継続的に構築し、優良顧客に育てるための経営手法です。
顧客と企業との最初の接点となるコンタクトセンターでも、CRMを導入するメリットは多くあります。スムーズな対応が可能になるだけでなく、人件費やオペレーターの作業負担も減らせるため、より質の高いサービスを提供できるようになるでしょう。ぜひこの機会に優れたコンタクトセンターシステムを検討してみてはいかがでしょうか。

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