コールセンターにマニュアルは必要?作成方法と活用方法を紹介

 2021.09.28  2023.05.17

質の高いコールセンターを構築するうえで、業務マニュアルの作成は必須です。事実、コールセンターを設置している企業の多くが、業務マニュアルを整備し活用しています。本記事では、コールセンターのマニュアルに含めるべき内容や作成方法、トークスクリプトの作成手順などについて詳しく解説します。

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コールセンターマニュアルとは

コールセンターマニュアルは、コールセンターが担うべき業務について、まとめた手順書です。業務を行う手順や対応方法などを、体系化したものを指します。

マニュアルがなければ個々のスタッフが思い思いに業務を遂行してしまい、品質にムラが生じてしまいます。また、誤った対応をしてしまい、クレームが発生してしまう恐れもあるのです。

このような事態を回避し、丁寧で適切なサービスを効率よく提供するためには、コールセンターにはマニュアルが欠かせません。

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コールセンターマニュアルの内容

コールセンターマニュアルの作成を始めるにあたり、どのような内容を含めればよいのか悩むケースは少なくありません。企業によってマニュアルの内容は異なりますが、一般的には会社概要や商品、サービスの知識、トークスクリプトなどを含めます。詳しく見ていきましょう。

会社概要

会社の所在地や連絡先、創業した年月などの基本情報です。コールセンターに寄せられる質問の中には、会社そのものに関する内容も少なくありません。企業としての信頼性を確認したい顧客が、「いつから営業しているのか」といった質問を自社へ投げかけてくるシーンは十分考えられます。

さらに、マニュアルに会社概要を掲載すればオペレーターの、会社に対する帰属意識を高める効果も期待できます。日常的に、会社の基本情報が記載されたマニュアルに目を通させることで、オペレーターの帰属意識向上と離職率低下につながります。

商品・サービスの知識

コールセンターに寄せられる質問の多くは、商品やサービスに関する内容です。いつどの商品に関する問い合わせが寄せられるかわからないため、網羅的に記載しておくことが基本です。

過去の問い合わせにおける対応例も参照可能にしておけば、新人オペレーターでも問題なく対処できるでしょう。

トークスクリプト

電話対応における、受け答えの仕方をまとめた台本をトークスクリプトと呼びます。ダイレクトに対応品質へ影響するため、コールセンターマニュアルを構成する要素の中で、もっとも重要といっても過言ではありません。

具体的な対応の仕方をまとめてあるため、新人オペレーターでも一定の品質で対応を行えます。丁寧でわかりやすいトークスクリプトを作成すれば、育成の時間も短縮できるでしょう。

ビジネスマナー

コールセンターは人の入れ替わりが激しく、一定のマナーレベルを維持するのは困難です。言葉遣いや電話の取り方、メールの文章例などのほか、社内で統一化されているマナーについても記載しましょう。

また、社則についても記載が必須です。労働時間や顧客情報の取り扱いに関するルールなどを、記載しておきましょう。

業務に使うパソコンやアプリケーションの操作方法

近年のコールセンターでは、電話以外にもチャットなどのツールを使用します。オペレーターがツールを使いこなせないと、業務効率の低下につながるため、操作方法のマニュアル記載は必須です。

操作に戸惑ったスタッフが個々に、別のスタッフや管理者へ助言を求めるような環境では、フロア全体の業務効率が低下し、お客様にも迷惑をかけてしまいます。ツールの使い方をわかりやすくまとめておけば、戸惑ったときも各自ですぐ対処できるでしょう。

コールセンターマニュアルの作成方法

ここからは、コールセンターマニュアルの具体的な作り方を見ていきましょう。必ずこの手順で進めなければならないわけではありませんが、スピーディーかつ効率的に作成を進めたいのなら、この手順が有効です。

1.マニュアル作成の責任者を決める

マニュアル作成を、1つのプロジェクトと位置づけて進めましょう。そのためには、陣頭指揮を執る責任者の存在が欠かせません。人員の割り振りや盛り込む内容の選定、作成後の修正や補足を行う担当者をまずは決めましょう。

2.オペレーター業務のカテゴリーごとにマニュアルを作る

オペレーターが担う業務は多岐に渡ります。すべての業務をマニュアルに盛り込もうとすると膨大なボリュームになり、使い勝手も悪くなってしまいます。

業務のカテゴリーごとにわけてマニュアルを作成すれば、このような問題を解決できるでしょう。その中からさらに、オペレーターにとって重要な項目を抽出して作成することが大切です。

3.仮マニュアルを作成する

「誰が読んでもわかる」という完璧なマニュアルを最初から作成はできません。まずは、仮マニュアルを作成し、コールセンター業務に関わるスタッフに確認してもらいましょう。

また、実際に業務で使用してみないと、本番で使えるかどうかわかりません。そのため、仮マニュアルを試験的に運用するのも1つの手です。

4.マニュアルを共有し、運用を始める

コールセンターで業務を担うすべてのスタッフにマニュアルを共有しましょう。マニュアルは印刷物、もしくはデジタルデータで配布します。

運用を開始したら完了、ではありません。運用の過程で何かしらの問題が発生したら、その都度改善も行います。これを繰り返すことで、実践的で洗練されたマニュアルに昇華できるのです。

トークスクリプトの作成手順

トークスクリプトは、コールセンターマニュアルの中核をなす重要な要素です。お客様に与える印象に直結するため、正しい手順で作成を進めていきましょう。以下、具体的な作成手順をまとめました。

1.問い合わせ内容を想定する

問い合わせ内容を想定するときは、ペルソナの設定から始めましょう。ペルソナとは、「性別・年齢・職業」などを細かく設定した架空のユーザー像です。
「会従業員・20代・女性」や「バス運転手・30代・男性」など、具体的なペルソナを対象として設定することで、適切な言葉遣いやワードチョイスが可能になります。

また、ペルソナがどのような悩みを抱えているのかまで想定しておけば、より現場で役立つ実践的なトークスクリプトを作成できるでしょう。

2. フローチャートを作る

フローチャートとは、電話対応におけるやり取りの順番を示した図を指します。「製品が動かない」といった質問に対し、「電源ランプは点灯していますか?」→「電池は切れていませんか?」→「異音はしていませんか?」と質問を定型化すれば、それぞれのパターンに応じて返答が可能となり、お客様の求める最適解へスムーズにたどり着けます。

3.見やすいレイアウトにまとめる

質問をカテゴリーにわけたりすることで、使いづらいレイアウトにまとめることも大切です。内容の濃いマニュアルを作成しても、現場で使用するオペレーターにとって読みづらければ、意味がありません。見やすいレイアウトを採用すれば、スピーディーに必要な情報を抽出できるので、ぜひ視認しやすさも意識して作成しましょう。

4.ロールプレイングで精度を高める

オペレーター同士でロールプレイングを行うことで、マニュアル運用の精度を高められます。1人がお客様、もう1人がオペレーターの役割でロールプレイングを繰り返しましょう。問題点の抽出にも役立ちます。

コールセンターマニュアルの活用でよりよいコールセンターへ

マニュアルを作成しただけでは、コールセンターのサービスの品質向上は実現できません。完成したマニュアルを正しく運用してこそ品質向上につながり、顧客満足度を高めることにつながります。

マニュアルは常に更新する

法改正や会社の方針転換などにより、オペレーターの対応の仕方も変わります。常に最新の対応ができるよう、マニュアルも更新し続けなくてはなりません。更新を繰り返すことにより、マニュアルの精度も高められます。更新のスパンに決まりはありませんが、半年ごとや年度ごとが目安です。

臨機応変な対応を身に付ける

トークスクリプトを読み上げるだけでは棒読みになってしまい、機械的・事務的な印象を与えかねません。お客様によっては不快な気持ちになったり、不信感を抱いたりといったことも考えられます。

マニュアルに沿った対応が基本ではあるものの、そのときどきの状況に適した臨機応変な対応もオペレーターには求められます。研修や勉強会を実施し、臨機応変な対応を身につけられる環境も構築しましょう。

ベテラン従業員の録音を教材に加える

ベテラン従業員の対応を録音したものは、新人オペレーターにとって最高の教材です。ベテランの対応をスクリプト化すれば、オペレーターの対応品質向上やレベルの底上げが期待できます。実際の対応事例をモデルケースとして加えれば理解が深まり、より実践的な対応技術を養えるでしょう。

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まとめ

コールセンターのサービスの品質向上を実現したいのなら、マニュアルの作成と運用が必要不可欠です。自社の会社概要やトークスクリプトなど、必要な情報をきちんと盛り込み、使いやすさにも着目したマニュアルを整備しましょう。
実際にマニュアルを作成するにあたっては、責任者を選定したうえで進め、内容をカテゴリー化しながら作成することが大切です。仮マニュアルの作成と試験的な運用も行い、本格的に運用し始めたあとも、検証と改善を繰り返すことを忘れないでください。

この記事の推奨者

眞尾 昭弘
眞尾 昭弘
2008年入社後、保険、通販、ITサービス業などのコンタクトセンターを中心に業務コンサルティング、センター構築支援、センター設計・構築業務を対応。その後運用部門にてカスタマサポート、事務センターなどの運用管理やHRの責任者を担当。現在は、CRM、ナレッジ、音声認識、テキストマイニング等のソリューション導入及び業務コンサルティングのプロジェクトマネジメントを行っている。Salesforce Sevice / SalesCloud 認定コンサルタント。
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