カスタマーサポートに将来性はある?AIの台頭による今後について

 2021.09.30  2024.04.10

さまざまな領域でAIによる仕事の置き換えが予想されている現在、「カスタマーサポート」の将来性についても不安を覚えている方は多いのではないでしょうか。そこで本記事では、AIの台頭による影響を中心に、カスタマーサポートの将来性や、そこで生き残っていくために必要な取り組みについて解説していきます。

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カスタマーサポートとは

「カスタマーサポート」とは、商品・サービスに関する顧客からの問い合わせやクレームなどに対応する窓口です。顧客体験(CX)の向上が重視される現在、顧客を継続的にフォローするカスタマーサポートは、製品やサービスを顧客に販売・提供する企業にとって不可欠と言えます。

カスタマーサポートに将来性はある?

前項で述べたように、カスタマーサポートは企業にとって重要な存在ですが、他方では将来的な仕事の減少を不安視する声も少なくありません。では、カスタマーサポートの将来性に影を差している理由とは何なのでしょうか。以下ではその理由について、「AIの台頭」と「新型コロナウイルスの影響」の2点にフォーカスして解説していきます。

AIの台頭

カスタマーサポートの仕事をなくす原因としてもっともよく挙げられているのが、人工知能(Ai)の台頭です。カスタマーサポートにおいては、一般的に「機械学習」と「自然言語処理」というAIの2つの機能が核心をなしています。

機械学習とは簡単にいえば、AIに必要なデータを与え、その能力を向上させる仕組みを意味します。例えばカスタマーサポートにおいては、「お客様からの質問例やそれに対する回答例を与え、類似した質問が来たとき同様の回答を実行する」よう、AIに学習させます。

一方、自然言語処理とはメールや電話、チャットなどでやり取りされる人間の言葉を「理解」し、その言葉に応じてAIが判断や行動を起こすための技術です。カスタマーサポートにおけるAIの自然言語処理を活用した代表例としては、「チャットボット」が挙げられます。

チャットボットとは、人間のお客様がコンピューターと自然に会話をし、適切なサポートや回答を得ることを目的としたシステムです。近年ではチャットだけでなく、電話にも対応した音声チャットボットも登場しています。こうした機械学習の進化により、AIは以前よりも遥かに自然な受け答えが可能になっており、AIチャットボットをカスタマーサポートに導入する企業は今後増加していくことでしょう。

とはいえ、現状だとAIでは対応しきれず、人間にしか対応できないことも多くあります。また、「おもてなし」や「ホスピタリティ」は現在の顧客にとっても重要な価値を持っていますが、これらはAIに期待できるものではありません。それゆえ、すぐにカスタマーサポートの仕事がAIに取って代わられることはないでしょう。

しかし、今後さらにテクノロジーが進化すれば、会話の相手が人間かチャットボットか気にならないほど、AIが高度化する未来も否めません。また、少子高齢化が深刻化した未来においては、むしろ人手不足という理由からAI活用が進む可能性も考えられます。

新型コロナウイルス感染症拡大による影響

新型コロナウイルスの影響も、カスタマーサポートに暗い影をさしている一因です。2020年以来、日本政府は感染症対策として、継続的に国民への外出自粛要請を発しています。この影響によって、多くの企業が業務時間の短縮やリモートワークなどを強いられており、カスタマーサポートの業務に支障が出ている場合もあるでしょう。

しかしながら、コロナ禍においても問い合わせ件数自体が減っているわけではないため、依然としてオペレーターの需要は多いままです。したがって先に挙げたAIの台頭と比べれば、新型コロナウイルスがカスタマーサポートの仕事に与える影響は、短期的かつ限定的なものと言えるでしょう。

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カスタマーサポートで働き続けるにはどうすればいい?

前項で述べたような理由から、オペレーターの仕事がただちになくなることは考えられません。とはいえ、チャットボットによる業務の自動化や、新型コロナウイルスによる勤務時間の短縮などによって、人員の削減はありえるかもしれません。こうした不透明な未来に備えるためには、今のうちから何らかの対策を講じておいたほうがよいでしょう。その際に鍵となるのは、「人間にしかできない能力を身につけること」、もっと言えば「自分にしかできない能力を身につけること」です。以下では、カスタマーサポートで働き続けていくうえで、役立つ取り組みを紹介します。

テクニカルサポートへキャリアアップする

カスタマーサポートの領域で生き残っていくためには、テクニカルサポートへキャリアアップすることが大きな手段になります。テクニカルサポートとは、主にコンピューターのハードウェアやソフトウェアなどの問題について、技術的なサポートを提供する仕事です。

テクニカルサポートの職務においては、対象製品やその関連領域に関する深い知識はもちろん、その専門知識をわかりやすく顧客に説明するためのコミュニケーション能力などが求められます。
テクニカルサポートが扱う問題は専門的かつ個別的な事柄が多いため、その担当領域がすぐにAIに侵されることは考えにくいでしょう。加えて、専門的な知識やスキルを要するテクニカルサポートは、カスタマーサポートより給与面などの待遇も比較的よいため、純粋にキャリアアップのために目指すのもおすすめです。

専門性の高い人材になる

今後、自社や社会においてどのようなスキルが求められるかを予想し、その分野に関する知識やスキルを身につけることも有効な手段です。前述のテクニカルサポートにも関連することですが、AIを専門領域にまで対応させるには膨大なコストがかかるため、専門的なスキルを持っている人材をAIで置き換えるのは容易ではありません。

例えば、DXが社会的に進む現在なら、ITスキルの習得などは有力な選択肢となるでしょう。また、外国人からの問い合わせにも対応できるように、英語などの外国語学習に取り組むことも検討の価値があります。もちろん、顧客からの問い合わせに対する解決率を上げるなど、「カスタマーサポートとしての品質向上」に取り組むことも大事です。

このように、自分にしかない強みや知識・スキルを身につけておくことは、これからもカスタマーサポート業を続けていくために必須と言えるでしょう。

管理職を目指す

「組織内で実績を積み上げ、管理職を目指す」というのも有力な選択肢です。AIの機能がさらに向上すれば、もしかしたらオペレーターの仕事の大部分がAIによって代替される未来もあるかもしれません。しかし、そうした場合でも、カスタマーサポートの仕事を取りまとめる管理職の仕事は、やはり人間が務めることになるでしょう。

管理職となるには当然ながら、実績を上げて出世しなければなりません。カスタマーサポートにおいて評価される実績としては、「サービスの継続率を上げる」「応答率を上げる」「問い合わせに対する解決率を上げる」などが挙げられます。こうした成果を上げるには、顧客目線に立って迅速に問題をさばいたり、商品知識を深めるために勉強したりするなど、地道な努力が欠かせません。

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まとめ

AI技術の発展が著しい現在、カスタマーサポートにおいてもAIによる仕事の自動化が進んでいます。このAI活用の流れは今後ますます強まっていくと予想されますが、他方でカスタマーサポートの仕事においては、すぐに人間が必要なくなるとも考えられません。現在のAIが対応できるのは、基本的には定型的な作業や受け答えが主であり、個別的な問題や専門的な問題に対応するのは難しいからです。

それゆえ、AIが台頭していく中でもカスタマーサポートで生き残っていくには、専門的なIT知識を要するテクニカルサポートになることを目指したり、語学力の強化など、自分ならではのスキル習得に取り組んだりするのが有効です。いずれにせよ、企業において有能な人材として長く活躍するには、弛まぬ自己研鑽が必要と言えるでしょう。

この記事の推奨者

菊池 寛子
菊池 寛子
新卒から10年以上ダイレクトマーケティング業界でフルフィルメント、通販事業の業務設計を担当し基幹システム・CRM構築などのPjtに参画。その後BPO業界に転身し、企業向けサービス、ソリューションの企画・開発を経験。現在はオウンドメディアでのデジタルマーケティングの運用を行っている。
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