コンタクトセンターにおける品質管理とKPIとは何かについて解説

 2024.12.24 2020.07.15

顧客とダイレクトにコミュニケーションを取るコンタクトセンターは、経営を左右するほど重要な役割をもちます。そのため、多くの企業においてコンタクトセンターの品質管理が行われています。本記事では、コンタクトセンターにおける品質管理の重要性や、品質管理に役立つKPIについてご紹介します。

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コンタクトセンターにおける品質管理の重要性

コンタクトセンターにおける品質管理は、顧客とのコミュニケーションの品質を示すものです。コンタクトセンターにおいて品質管理を行うことで、さまざまな効果が得られます。

第一に、顧客満足度の向上につながる点が挙げられるでしょう。顧客満足度は、業績を安定して上げるために、どの企業も重要視している指標です。

また、オペレーターのモチベーションを維持する意味でも、コンタクトセンターの品質管理は用いられます。品質管理がうまくなされているコンタクトセンターは快適な環境であると言い換えられるので、顧客へのよりよい対応の実現にもつながるでしょう。

コンタクトセンターの品質管理に必要「応対品質」と「接続品質」

コンタクトセンターの品質管理の考え方には、「応対品質」と「接続品質」があります。どちらも顧客の満足度を高めるうえで重要となるものです。

まず応対品質は、言葉のとおり電話応対に関する品質を指します。コミュニケーション上のマナーや対応のスピードのほか、顧客の要望やニーズをしっかりと汲み取れているかなど、重要となる要素は多々あります。

一方の接続品質は、顧客から見た電話のつながりやすさを指します。回線の数や、稼働するオペレーター数、顧客ひとりあたりの通話時間などの要素が関係するものです。

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品質管理はKPIを決めて取り組むべき

品質管理を行うには、漠然と管理するのではなく、KPIを決めて取り組むことが大切です。KPIとは"Key Performance Indicator"の略で、設定した目標を達成するために定め、計測する中間指標のことを言います。最終目標だけでは、そこまでのプロセスが漫然としてしまい、具体的な行動に落とし込めないため、中間目標のような形でKPIを設定するのです。

「顧客満足度の向上」という最終目標だけを定めても、オペレーターはどのようにしたらよいかイメージしづらいものです。そこで、「応答率の向上」や「平均処理時間の短縮」といったプロセスにおける指標を設定します。これにより、顧客満足度向上のために取るべき行動や施策が明確化でき、管理者もオペレーターの業務をフラットに評価しやすくなる、という仕組みです。

応対品質を評価する代表的なKPI

コンタクトセンターの現状分析にも活用できるポイントとなる、代表的な応答品質のKPIについて見ていきましょう。

応答率(Response rate)

応答率(Response rate)は、コンタクトセンターにかかってくる電話に対してどの程度の割合で対応できたかを示した数値です。コンタクトセンターの業務は、何らかの要望をもった顧客からの電話に対して、まずはつながることが前提になります。企業によっては、応答率とは対をなす放棄呼率を用いて分析するケースもありますが、「応答率+放棄呼率=100%」であるため、どちらかを計測すれば、コンタクトセンターがうまく稼働できているか見えてきます

応答率を計算する要素は、

  • コンタクトセンターに着信した電話数
  • 応答したコール数

で、「応答したコール数」を「コンタクトセンターに着信した電話数」で割ることにより求められます。

このとき使用する「応答したコール数」に関係する要素は、

  • 稼働しているオペレーターの数
  • オペレーターひとりあたりの対応件数

です。

応答率が悪化している際は、下記のような仮説を立て、ボトルネックを見つけ出せます。

  • コール数の増加:リコールやメディアの取り上げなど
  • オペレーター数が少ない:スタッフの欠勤、採用人数が少ないなど
  • オペレーターひとりあたりの対応件数の減少:新人の増加や対応効率の低下

応答率が下がっている場合、この3つの項目を中心に課題の特定を行うとよいでしょう。

平均応答速度(Average Speed of Answer)

平均応答速度(ASA=Average Speed of Answer)は、着信~応答間に要した平均時間です。接続した電話の待ち時間を、接続した件数で割って算出します。顧客目線なら、「待たされた時間」と言い換えられます。

応答率がいくら高くても、応答速度が遅ければ顧客満足度は低くなります。また、待たされたことによりイライラした状態で電話が接続されると、通常では気にならない些細な出来事もトラブルに発展しやすく、担当するオペレーターにとってもストレスの蓄積につながります。多くの企業では20秒以内を目標に対応していますが、これを上回る場合、コール数に対してオペレーターが足りていない、オペレーターひとりに対する対応件数が少ないなどといったことが要因である可能性が高いでしょう。

平均通話時間(Average Talk Time)

平均通話時間(ATT=Average Talk Time)は、1コールに要した通話時間の平均です。総コール数を通話時間の合計で割ることで算出します。ATTが短い方がオペレーターひとりあたりの対応件数は増えるのですが、いたずらに短縮を図ろうとするのは禁物です。顧客の話に傾聴することなくクローズしたり、早口で会話をすすめたりすれば、逆に顧客の満足度が下がる恐れがあるためです。問い合わせなどの内容にもよるので、オペレーターが主体的にATTを短縮することは難しいでしょう。ただ、ATTには担当への引き継ぎや回答の確認などの時間も含まれるため、チームとしてマニュアルを整備したり、内容に応じて最初から適切な担当者へ接続できるようにしたりすることで、改善することは可能です。

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接続品質を評価する代表的なKPI

接続品質を評価するための代表的なKPIには、以下のものがあります。いずれも、オペレーター個人としてよりは、組織としての体制に関わってくる指標と言えるでしょう。

CPH(Call Per Hour)

CPH(Call Per Hour)は、コンタクトセンターにおいてオペレーターひとりが1時間あたりに受信したコール数を指します。非常にシンプルな数値であり、かつオペレーターの能力を測れるため、多くの企業で使用されるKPIです。

多くの入電をさばいているオペレーターになるほど企業への貢献度が高いというのがベースとなる考え方ですが、もちろん数値だけでは判断しづらい部分もあります。

たとえば、顧客への雑な対応で通話時間が短く、CPHが高くなっている可能性もあります。対応マニュアルやFAQが整備されていないため、通話時間が長くなり、CPHが低くなっている場合もあるでしょう。シンプルで分かりやすい数値ですが、この数値を用いるときは、コール内容との両面で確認・改善することが大切です。

放棄呼率

応答率の説明でも少し触れましたが、放棄呼率は顧客からの通話が接続される前に途切れた割合を指すKPIです。電話が切れるのは、顧客が自ら切断する場合と、コンタクトセンター側で一定の条件から通話を切断する2パターンがあります。応答率の裏返しで、放棄呼率が低いほど接続品質が高いことになります。

顧客による切断を減らす方法としては、待ち時間の目安を伝える仕組みを作ることが考えられます。いつまで待つか分からないと、顧客は電話を切ってしまうものです。放棄呼率を下げるために、自動音声応答装置(IVR=Interactive Voice Response)を使ってもいいでしょう。

そもそも待ち時間を減らすために、社内のオペレーターのリソース配分を見直すことも効果的です。曜日や時間帯ごとの件数によって稼働するオペレーターの数を調整したり、電話ごとの対応時間を減らすためにマニュアルを整理し、必要な情報を必要なタイミングで素早く引き出せる準備をしたりするのもおすすめです。

まとめ

コンタクトセンターにおける品質管理の成否は、そのまま企業の売り上げにもつながる重要な要素です。品質管理を効果的に行うには、応答品質と接続品質に分けてKPIを活用することが大切です。コンタクトセンターの現状を見直すうえでも有効な観点なので、ぜひ自社のコンタクトセンターに、KPIによる管理方法を用いてみてください。

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