カスタマーサティスファクション (顧客満足度) とは?
向上させるメリット、具体例を解説

 2022.03.08  2024.07.24

顧客からの支持を得てリピーターが増えると売上の増加につながります。そこで、商品やサービスが顧客ニーズをどれだけ掴んでいるかを測る指標である「顧客満足度」の把握は、企業にとって重要です。

本記事では、顧客満足度の概要やその向上を目指すメリット、顧客満足度を向上させる施策の効果を測る指標、取り組みの具体例などを解説します。

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カスタマーサティスファクション(顧客満足度)とは

カスタマーサティスファクションとは、企業が提供する商品・サービスが顧客の期待やニーズにどのくらい応えられているのかを数値化した指標のことです。英語では「Customer Satisfaction」で、CSとも略されます。

顧客満足度の向上が重要とされるのは、商品・サービスのリピーターやファン獲得に直結するからです。また、高評価の口コミなどの情報が拡散されれば、新規顧客の獲得も容易になり、売り上げや企業のブランド価値の向上にもつながります。

カスタマーサクセスとの違い

カスタマーサクセスとは、顧客を成功体験に導くための活動や支援を行うこと、またそのチームや組織、役割のことです。「カサス(CS)」と略して呼ぶこともあります。顧客の成功体験に向けた積極的な支援を重視する考え方であり、カスタマーサポートとも似ています。

カスタマーサクセスが顧客の成功体験につなげる活動やそのプロセス自体のことを指すのに対し、カスタマーサティスファクションは顧客状態の数値化という意味合いが強い点で異なります。

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カスタマーサティスファクション(顧客満足度)を向上させるメリット

顧客満足度が向上することで得られる主なメリットとして、企業価値・顧客ロイヤルティ・顧客リピート率の向上が挙げられます。以下、それぞれを解説します。

企業価値が向上する

企業価値とは、企業の魅力を会計学的な視点から数値化したものであり、企業の運営・存続に関わる重要な要素です。企業価値の向上によって、株価の上昇や取引先からの信頼性向上といったメリットが得られます。

企業価値を高める手段としては、収益性を向上させたり財務状況を見直したりと、損益に直結する部分へのテコ入れをする方法が挙げられます。また、顧客満足度が向上する施策を展開することで、さらなる需要の喚起や他社との差別化を図る効果が期待可能です。

顧客ロイヤルティが向上する

顧客ロイヤルティとは、顧客が企業に対して感じる愛着・信頼(ロイヤルティ)のことです。ロイヤルティが高い顧客(ロイヤルカスタマー)は、商品を継続的に購入するだけでなく、口コミやSNSで他の人に紹介してくれる場合があります。

インターネットで自由に情報を得られる現代では、購入前の参考情報として企業の宣伝より顧客の口コミが重視されがちです。そのため、顧客の口コミが増えるほど判断材料も増え、購入や体験をしようと思う新規顧客が増える可能性が高まります。

顧客のリピート率が向上する

顧客は満足できる買い物や期待を上回る体験ができると、自然とリピーター化します。リピーターの増加は、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)が上がることと、意味合いとしてはほぼ同じです(詳しくは後述)。

顧客がリピート購入するとLTVの向上につながり、企業の利益は増加します。新規顧客の獲得コストは既存顧客にかかるコストの5倍であるという1:5の法則から考えても、リピーター増加につながるカスタマーサティスファクションの向上は重要です。

カスタマーサティスファクション(顧客満足度)を向上させる3つのポイント

顧客満足度を上げるために押さえておきたい3つのポイントを以下で解説します。まずは現状を可視化し、改善につなげていきましょう。

1. 現状の顧客満足度を把握する

CS(顧客満足度)調査をする目的は、顧客の不満やニーズを把握し、自社の課題をあぶり出すことです。その手段としてアンケートの実施などにより現状の顧客満足度を明らかにします。

アンケートの設問例としては以下が挙げられます。

  • 商品・サービスをどこで知ったか
  • 購入または利用したきっかけ
  • 購入頻度
  • 品質の満足度
  • 価格に対する満足度
  • 満足と答えた理由
  • その他のご意見やご要望 など

基本は選択式で設問数は少なめにします。品質や価格の満足度については、詳細がわかる自由記入式がおすすめです。

2. 顧客の期待値を把握する

顧客満足度を考えるにあたっては、顧客の期待値を把握することも重要です。顧客の期待値と実際の商品・サービスの品質の差が、顧客満足度に影響を与えるからです。

顧客の期待値を把握する方法として、リリース前にアンケートを実施したり、統計情報を収集したりする方法があります。得られた結果から「どこが評価されたのか」「どこが至らなかったのか」などを分析します。得られたデータは商品・サービスの品質改善や新規開発に活かすことが可能です。改善を繰り返せば顧客満足度の向上につながっていきます。

3. 数値目標を管理する

顧客満足度という指標は、アンケートやヒアリングから得られた漠然とした内容に過ぎません。そのため、アンケート調査を実施するだけでは施策に活かしづらく、顧客満足度に反映されたかを計測するのも困難です。

そこで、リピート率や継続率といった指標を設定して自社のビジネスモデルに沿った数値目標を立てることが求められます。前年度の数値や他社の数値と比較して今後の評価・改善につなげましょう。

カスタマーサティスファクション(顧客満足度)の測定で使用される5つの指標

顧客満足度を着実に高めるには、数値目標を立てて施策の効果を測定できるようにする必要があります。その際に使用される5つの指標を以下で解説します。

1.CSI

CSI(Customer Satisfaction Index:顧客満足度指数)は、世界の約30ヵ国で使用されている指標であり、大企業や政府機関の調査でも活用されています。
以下のような項目を立てて顧客に質問し、0~100点で評価するのが特徴です。

  • 顧客期待値
  • 顧客不満度
  • 顧客忠実度
  • 知覚品質
  • 知覚値

複数の要素を絡めて評価してもらうため、精度の高い顧客満足度調査を行えます。他国が実施するCSIとしては、ACSI(アメリカ)、EPSI(ヨーロッパ)、NSCI(韓国)などが有名です。

2.JCSI

JSCI(Japanese Customer Satisfaction Index:日本版顧客満足度指数)は、CSIをベースとして、日本の産業形態にマッチさせた指標です。もともと、サービス産業の競争力を強化するため、国家プロジェクトとして開発されました。
JCSIでは以下の6項目を用いて質問し、分析調査を行います。

  • 顧客期待
  • 知覚品質
  • 知覚価値
  • 顧客満足
  • 推奨意向(他の人におすすめしたいか)
  • ロイヤルティ(リピートしたいか)

調査はインターネットを用いて行います。二段階抽出法で実施し、一段階目では予備調査、二段階目で本調査を実施します。

3.LTV

LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)とは、1人の顧客が生涯で企業にもたらす利益の指標です。「顧客単価×粗利率×購入頻度×継続期間」で算出できます。ただ、販売方法によっては算出方法を変えるケースもあります。

LTVを向上させる施策として、以下が考えられます。

  • 顧客単価の向上:アップセルやクロスセルなどの採用
  • 購入頻度の向上:CRMなどによるリピーター化促進
  • 粗利率の向上:最適化したマーケティング展開や業務コスト抑制

LTVの概要や計算、注目の背景、施策についてはこちらの関連記事もぜひ参考にしてください。

4.CES

CES(Customer Effort Score:顧客努力指数)は、顧客が商品やサービスを利用するとき、負担や労力がどれぐらいあるかを示す指標です。

測定では「サービスの利用にどの程度ストレスを感じましたか」といった質問の得票率を数値化します。CESの数値が高いほど手間やストレスが多いという意味です。単純な質問では課題を発見しにくいため、回答しやすい範囲で具体的な質問を用意しましょう。CESを下げるとリピート率や顧客ロイヤルティの向上が見込めます。

CESの重要性や数値が高くなる原因、改善のポイントなどについては、こちらの関連記事も参考になります。

5. NPS

NPS(Net Promoter Score:顧客推奨度)とは、企業への愛着・信頼度を示す顧客ロイヤルティを測る指標のひとつです。測定する際は「あなたはこの商品(サービス)を周囲にどのくらい勧めたいですか?」と顧客に質問し、0~10点で評価してもらいます。そして、顧客が評価した点数に応じて批判者、中立者、推奨者の3つのいずれかに分類します。

最終的に回答全体を見て、全体に占めている推奨者と批判者の割合を計算します。「推奨者の割合-回答全体の批判者の割合」で出た数値がNPSです。例えば、推奨者の割合が30%、批判者の割合が10%の場合、NPSのスコアは20になります。数値が高いほど自社商品やサービスを支持するファンが多いという意味です。

NPSのメリットや特徴、算出後の分析方法、活用方法など、さらに知るには関連記事もぜひご覧ください。

なお、NPSのスコアは「NTTコム オンライン」が発表している「NPS業界別ランキング」で他社との比較が可能です。自社が得ている顧客ロイヤルティの把握や改善点発見のヒントを得られる可能性があります。 

参照元:NTTコム|NPS®(顧客推奨度)業界別ランキング

カスタマーサティスファクション(顧客満足度)を上げるための具体策の例

顧客満足度の向上につながる具体策の例を以下で解説します。自社で取り組みを行う際の参考にしてください。

商品・サービスを改善する

商品やサービスを改善して顧客満足度を高めるには、方向性やコンセプトの明確化が重要です。誰に・何を・どのように提供するかが曖昧だと、誰の記憶にも残らず、心にあまり響かないものになります。

また、顧客に響くコンセプトや方向性を打ち出して満足度の向上を目指すなら、自社と関係がある顧客への理解を深めなければなりません。どういう顧客が何を期待しているのか、現状の自社が抱える課題は何なのかが明確になれば、自然と方向性やコンセプトが定まってきます。

顧客の期待や自社の課題を分析する手段として、3C分析、SWOT分析、4P分析、STP分析などのフレームワークを活用するのもおすすめです。

従業員満足度を向上させる

従業員の満足度向上は顧客満足度の向上にもつながります。従業員満足度とは、商品・サービスを生み出していく従業員の職場に対する満足度を示す指標のことです。これが高いと離職率が低下し、長く働く従業員が増えます。また、企業の方向性や取り組みに共感する人材が集まり、優秀な人材を採用できる可能性も高まります。

従業員満足度を高めるには、職場環境や待遇面の不満といったマイナス要因を把握し、働きやすい職場環境を作る必要があります。良好な職場環境が整えば、役立つ製品開発や顧客への親身なサービス提供など、意欲向上が期待できます。それらは結果的に顧客満足度にもよい影響を及ぼすことが考えられます。

SFAやCRMなどのシステムを導入する

SFAやCRMの導入によって、顧客の需要が高まった最適なタイミングで宣伝とアプローチをできるようになります。顧客にとっても必要なときに欲しい情報を受け取れるようになり、顧客満足度が向上します。

例えば、CRM(顧客関係管理)があれば、顧客ごとの基本情報や過去にやり取りした履歴などを一元管理できます。他部署との情報共有も円滑になるため、違う部署の担当者に変わっても満足度の高い顧客対応を維持することが可能です。

また、SFA(営業支援システム)には、顧客リストや企画書などの文書管理、案件・商談の管理や進捗確認など、営業に必要な機能が備わっています。それらの活用によって、営業業務の属人化解消や業務負担の軽減が可能です。

コンタクトセンターを設置する

コンタクトセンター(コールセンター)とは、電話やメール、SNSやホームページなど、複数のチャネルからのコンタクトに対応する部門を指します。組織にとっては顧客との接点であり窓口です。聞き取った不満や要望などの意見を社内全体で共有することで、新たなニーズの掘り起こしにもつなげられます。

また、コンタクトセンターのオペレーターが個々の顧客へ適切に対応できれば満足度が向上し、企業のイメージや評判もアップします。そのため、あらゆる問い合わせに迅速かつ的確に対応できるようにすることが重要です。

カスタマーサティスファクション(顧客満足度)の向上に注力する際の注意点

顧客満足度を調査する際の主な注意点を取り上げます。顧客満足度は、マーケティング活動において重要です。ただ、ひとつの指標を改善するだけで利益が上がるとは限らず、また調査は1度きりでは意味がありません。

調査内容によって結果が左右されやすい

顧客満足度は調査内容によって結果が左右されやすい指標です。例えば、アンケート項目が多く選択肢が複雑すぎると、未回答者が増えて結果に反映されません。質問の仕方や評価段階の作り方によっても回答の傾向が変わります。

また、回答率を上げるための謝礼やインセンティブも、使い方を誤ると作為的な回答につながりかねません。このように、アンケートの内容が回答に影響を与える場合があるため、作成方法には注意を払う必要があります。

顧客満足度の向上と業績向上は必ずしも直結しない

顧客満足度で高い数値が出たからといって、業績に直結する保証はありません。前述の通り、顧客の意見は調査内容の影響を受ける性質があるからです。

そのため、顧客満足度を業績向上につなげるには、顧客が求めているものをしっかりと調査し、新たな施策に取り組む必要があります。また、アンケートで現状の課題を把握したい場合、顧客への影響を考慮して項目を検討しましょう。

調査対象が明確でないと役立たない

調査を始める前は、調査対象を明確にしておきましょう。例えば、新規顧客または既存顧客かによって質問すべき内容が変わるため、ターゲットが曖昧だと質問数が余計に増える可能性があります。

そのため、事前に調査目的を明確にし、具体的な回答者を決定します。これにより、質問すべき内容を絞り込んで回答の精度を高めることが可能です。加えて、分析結果を施策に反映しやすくもなります。あえて調査対象を広く取る場合は、回答内容から顧客属性を推測できる質問を用意しましょう。

定期的に実施しなければならない

顧客満足度調査は、定期的な実施が必要です。理由は2つあり、そのひとつは1回調査するだけでは高い効果を得られないことが多いからです。調査の結果を受けて再度計画を練り、分析、さらに改善とPDCAサイクルを回し続けるようにしましょう。

2つ目の理由は、顧客満足度はさまざまな要因で変化する可能性があるからです。1度目の調査実施後、顧客満足度が大幅に低下する事態も考えられます。逆に顧客満足度が高くても、売り上げや利益が伸び悩むケースもあります。このため、調査は複数回行って、その都度改善を繰り返すようにしてください。

カスタマーサティスファクション(顧客満足度)向上に役立つ「BellCloud+®」

「BellCloud+®(ベル クラウド プラス)」はクラウド型次世代コールセンター基盤です。コールセンター業界で30年以上ノウハウを蓄積してきたベルシステム24が提供するプラットフォームで、高い信頼性を誇ります。

顧客満足度を高め、業務効率化を実現するのに役立つ、以下のような機能が備わっています。

  • 音声認識:電話応対のやり取りをテキストに変換し大量のデータを集計・分析できる
  • 感情認識:オペレーターと顧客のやり取りで顧客の感情を視覚的に表示し、応対改善に役立てられる
  • ChatBot:有人チャットと連携可能

さらに、システムの導入は働き方改革の推進など、現代の働き方に適した職場環境を実現するのにも役立ちます。リモート環境の構築に貢献し、オペレーターは柔軟な働き方をすることが可能です。また、災害などの不測の事態でも業務を継続できるBCP(事業継続計画)の観点からも、リモート環境対応は重要なものとなります。

顧客満足度の向上や職場環境の整備を目指すためにも、ぜひコンタクトセンターに次世代コールセンター基盤の導入を検討してみてください。

まとめ

CS(顧客満足度)とは、自社の商品・サービスを利用した顧客が満足した度合いを示す指標です。測定する際はLTVやCESなどの指標を用います。指標を高めることで企業価値や顧客ロイヤリティが向上し、リピーターの獲得につなげられます。

顧客満足度を向上させるには、商品・サービス自体を改善する以外に顧客との接点となる営業やコンタクトセンター業務を効率化することが重要です。

特にコンタクトセンターのサービス品質は顧客満足度を大きく左右します。そのため、「BellCloud+®」のような応対業務の支援システムを活用することも検討してみてください。

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