生成AIにできること・できないことは?
生成AIの今後についても紹介

 2025.03.04 2024.05.24

近年急速に普及しているのが生成AIです。業務に利用して効率化しようとする企業も増えており、利用したことのある人も多いのではないでしょうか。しかし、生成AIにはできることもできないこともあります。そこで、生成AIでできること、できないことを具体例とともにわかりやすく解説します。生成AIの今後が気になる方もぜひ参考にしてください。

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生成AIにできること

生成AIは、蓄積された膨大な学習データをもとに文章や画像などのコンテンツを、人間の指示にしたがって自動で生成するAIのことです。

生成AIで作成できるコンテンツは多岐にわたるため、あくまで一部ですが、生成AIにできる代表的なことを紹介します。

なお、生成AIができることに関しては関連記事でも詳しく解説しているので参考にしてください。

取得した音声データをもとにした「音声生成」

音声生成に対応した生成AIでは、本物の人間が話しているかのような音声データを生成できます。たとえば、特定の人の声を大量に学習データとして用いると、その声色を用いてあらゆる文章の読み上げが可能です。

一度音声を学習してしまえば、さまざまなシーンで利用できるのが生成AIのよいところです。たとえば解説動画でのナレーションやコールセンターの自動応答、多言語での通訳などで活用されています。

実際にコンタクトセンターの業務で活用した場合、顧客との通話による音声データをリアルタイムでテキスト化、あるいは要約ができるので、顧客の意図をすばやく把握できます。また、自動的に多言語化したり、対話データをもとに顧客の質問に対して最適な回答を提案したりすることも可能です。

合成された音声であることから機械的な音声になるケースもありますが、近年はディープラーニングという技術により、人間に限りなく近い、自然な話し方ができるサービスやツールも登場しています。

コピーライティングや原稿を作る「テキスト生成」

生成AIは文章の生成にも長けています。プロンプト(命令文)によって、コピーライティングや原稿を瞬時に生成可能です。また、他言語に対応するため翻訳することもでき、最初から外国語で生成するように指示することもできます。

文章作成は汎用性の高い作業なので、あらゆる業務で活用されています。たとえばプレスリリースやニュース、ブログやメール、あるいは商品説明やカタログなどの作成ができます。新人教育用の教材やトレーニングのコンテンツを作成したり、データを分析して報告書を書いたりすることも得意です。

コンタクトセンターであればFAQの自動生成や、一般的な質問への回答にも活用できます。顧客の過去の行動から最適なコピーをライティングしたり、パーソナライズされた案内文を提供したりすることも可能です。

製品開発のアイデアも得られる? 「画像生成」

生成AIを使えば、デザイナーやイラストレーターに頼らず、アートやロゴ、写真などの画像を瞬時に生成できます。生成AIの学習データには、人間が作成した膨大な量の画像データが蓄積されており、これらを複雑に組み合わせてオリジナルの画像を生成する仕組みです。

生成AIならではの組み合わせや、プロンプトの解釈によって、人間ではなかなか思いつけないような斬新なアイデアが得られる可能性もあります。ゆくゆくは製品のデザインや建築物の意匠など、専門性やデザイン性が高い分野でもAI生成の活用が進むと予想されています。

ビジネスでの画像生成AIの使用例としては、たとえばチラシやポスターのデザインなどが挙げられます。また、テンプレートだけを生成AIが作り、残りを人間の手で完成させることも可能です。新製品のパッケージデザイン、ゲームやアニメのキャラクターデザインなどを生成AIで提案してもらうこともできます。ほかには、データからグラフやチャートを生成する用途でも活用可能です。

テキストや画像データをもとにした「動画生成」

画像だけでなく、動画生成も生成AIの得意分野です。入力されたテキストや画像データなどの情報をもとに、新しい動画を生成します。従来の動画作成は機材や場所の用意、撮影時間など多くのリソースが必要でしたが、生成AIを使えばパソコンひとつあれば短時間で完成します。一から動画を作成するだけではなく、既存の動画の編集を効率化するAIもあります。

ビジネスでの活用例も多彩です。たとえば製品のプロモーション動画や、動画サイトに出稿する動画広告、テレビCMなども生成AIを活用して作成できます。また、従業員のトレーニングや教材ビデオの作成も可能です。映画やアニメなど、クリエイティブなコンテンツの作成もできます。編集作業では、既存の動画をまとめ直したり、ニュースのハイライトを作成したりなども容易です。

プログラミングにおける「ソースコードの生成」

プログラミングの知識に乏しくてもプログラミングができます。テキストでどのようなプログラムを作りたいのかを指示するだけで、クオリティの高いソースコードを生成可能です。

また、AIは膨大な量のソースコードも瞬時に作成できるため、開発効率が大きく向上します。生成AIによるソースコードを叩き台に人間が本格的なプログラムを作成し、難易度の高い部分やうまく動作しない部分のアドバイスを生成AIに求めることもできます。

ビジネスではソースコードを解析させ、デバッグ作業や最適化などに活用されています。基礎的な部分を生成AIに担当させ、人間は開発の上流工程などの高度な業務に集中する使い方もあります。

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生成AIにできないこと

生成AIを活用すればさまざまな分野で業務を大幅に効率化できます。一方で生成AIには苦手な分野もあるため、意図しない結果を生まないためにもできないことを把握しておきましょう。

生成AIが苦手とする、代表的な作業をいくつか紹介します。

自律的・主観的な創造

生成AIは、人間のように自律的・主観的な創造ができません。人間は独自の考えや価値観、感情、ひらめきなど、自律性や主観をもとに創作物や表現を生み出すことができます。しかし生成AIは、あくまでも人間の行動を学習したり模倣したりすることによって、人間が与えた課題やゴールに対して新しいものを生み出します。

生成AIを使用すると、一見オリジナルの文章や画像などが出力されるように見えますが、実際は学習データから組み合わせてそれらしく見せているに過ぎません。そのため、人間のように思想や感情をもとにしてゼロから何かを生み出す作業はできないと考えてよいでしょう。

感情の理解

生成AIが生き物特有の感情を理解することは、まだ難しいです。たとえば、人から何かを褒められた場合、素直に受け取れる人もいれば、逆に裏があるのではないかと疑う人もいます。しかし、生成AIには言葉に裏があることは理解できません。

また、話している相手が怒っているときと喜んでいるときで対応を変えるといった、臨機応変な判断も不得意です。

合理的ではない思考や判断

AIは感情に左右されることがないため、人間ならではの合理的でない判断はできません。あくまで学習した大量のデータをもとに、最適と思われる答えを出すのが特徴です。

たとえば、「後進国の子供100万人の命」と「身近な子供1人の命」どちらかしか助けられないとした場合、AIではより多くの命が助かる前者を選ぶ確率が高いです。しかし、人間においては後者を選ぶ人も多くいると考えられます。

また、AIは合理的に判断するため、倫理的に問題のある行動や選択肢であっても、問題解決に最適だと判断すれば提案することがあります。そのため、生成AIの出力結果に問題がないかは、人間の目視確認が必要です。

学習データ範囲外の生成

生成AIは膨大な学習データをもとに文章や画像などを生成するため、学習していないものは生成できません。もし学習データが2023年までの出来事にしか対応していなければ、2024年以降の出来事に関しては説明できないのが特徴です。

また、生成AIはたとえば「明日の天気は」と聞いたとき、あとに「晴れです」「くもりです」といった情報がくる確率が高いと判断して次の言葉を決定します。このような仕組みの都合上、無関係なこと同士を組み合わせるのも苦手です。

このように、学習データの範囲外にあることに対する処理は苦手なため、生成AIの精度を高めるにはできるだけ多くの学習データを与える必要があります。

生成AIにできることは今後増えていく? AIの進化とその未来予測

生成AIの爆発的ブームが到来したのは近年ですが、今後は生成AIの普及がさらに加速し、あらゆる業界を大きく進化させると予想されています。

現在、活用が進んでいるのは、AIによる業務の自動化です。文章作成やデータ分析など、これまで人間が担っていた作業をAIが担うことで、人間の負担は大きく軽減されます。人間は現在の職を失うリスクがある一方、新しいことに着手できるため、これからの業務内容や働き方は大きく変化していくでしょう。

生成AIが苦手な、料理や工事など手作業が必要な分野も、ゆくゆくは生成AIの進化やAGI(汎用人工知能)の登場などによって自動化が進むと考えられています。

たとえばコンタクトセンターでの業務では、人間同士の心の通ったやりとりが鍵となるため、感情の理解が苦手な生成AIにとっては苦手分野に分類されます。しかし、今後の進化によっては生成AIが各顧客に寄り添った人間らしい対応をしてくれるようになる可能性も秘めています。人的リソースを割かずに、顧客と良好な関係を構築できる未来が訪れるかもしれません。

生成AIの登場によりさまざまな業務を効率化できるようになったため、これまでと比べても飛躍的なスピードで技術革新が進んでいくと予想されます。あくまで予想に過ぎませんが、最終的にはAIの学習速度に人間がついていけなくなり、AGIではなく、ASI(人工超知能)の時代に足を踏み入れると考えられています。ゆくゆくは病気の根絶や不老不死といった、夢でしかなかった領域に手が届くという説もあり、生成AIは無限の可能性を秘めています。

参照元:シンギュラリティ・タイムライン|人工知能+AGI+ASI(2023 - 2100¹⁰⁰)

まとめ

生成AIは蓄積した学習データをもとに、文章や画像、動画やソースコードなどあらゆるコンテンツを生成します。一方で、主観的な創造や感情の理解、合理的ではない人間的な判断などは難しいのが実状です。学習データをもとに生み出すため、学習データ外のことにも対応できません。

しかし、生成AIはまだ発展途上にあり、これから先著しい速度で進化していくと考えられます。生成AIが進化すれば、コンタクトセンターにおいては、多様な質問に対する瞬時の詳細な回答や、顧客個人に合わせたきめ細やかなサポートなどが可能になるでしょう。オペレーターの業務負担は格段に減り、別の業務へリソースを割くことができるようになるはずです。

この記事の推奨者

本部 景一
本部 景一
新卒で通信業界の企業に入社し、社内インフラ整備からアプリケーション開発まで幅広い開発業務に参画。その後PMとして教育業界向けWebフィルタリングサービスの立ち上げを担当した。2023年にベルシステム24入社後は言語生成AIの実証実験などを担当している。高速な開発サイクルを実現できる小規模チームや社内環境の構築を得意としている。情報処理安全確保支援士(第22000号)
ナレッジマネジメントがもたらす生成AI活用の道筋~RAGとナレッジ整備の可能性~

株式会社ベルシステム24

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