課題解決に繋がるBPRの手法とは

 2024.12.27 2024.05.27

BPRとは、「ビジネスプロセス・リエンジニアリング」の頭文字を取ったもので、現在の組織や業務のプロセス(ビジネスプロセス)を根本から見直して分析をし、最適な形に再設計(リエンジニアリング)することを指します。少子高齢化に伴う労働人口減少や、働き方改革・DX推進が話題となっていることから、業務を抜本的に見直す必要性が高まっていることからBPRが近年再注目されております。

この記事では、BPRの基本的な進め方や手法に加え、業務プロセスの再設計に向けた課題抽出について解説します。

課題解決に繋がるBPRの手法とは

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BPRとは?BPRの基礎知識を再確認

BPRは従来の業務プロセスの課題を抽出し、業務の進め方や情報共有のしかた、組織のありかた、導入している情報システムなど、業務プロセスの課題に関わるものを再構築していくという考え方を指します。日本語で「業務改革」とも訳される「BPR」は、元マサチューセッツ工科大学教授のマイケル・ハマーと、経営コンサルタントのジェイムス・チャンピーの共著である書籍『リエンジニアリング革命』が1993年に刊行されたことによって、広く知られるようになりました。

業務改革とは企業が目標を達成するために行う改革のことを指します。業務フローや業務プロセスを一つずつ見直すということだけではなく、人事評価や組織形態というように組織体質や組織の再設計を行うことも意味します。要は抜本的に組織の再設計を行う改革であるということになります。

業務プロセスの再設計は添削することです。添削によって不要な業務を無くしたり、付け加えることで解決へと導きます。
メールや紙面での通知、チャットというように情報のやり取り方法にまとまりがない場合、何か一つの方法に統一してまとめることでコミュニケーションコストを下げることができる、新しいシステムを導入し、未処理業務があれば作業者へアラートを通知することで、業務の取りこぼしをなくすことができる、業務システムを連携させることで、別部門や別部署間でもデータや情報を共有することも可能となる、などが解決に導く具体的な例です。

業務プロセスの再設計による業務改革は会社全体としての現状を把握し、課題を抽出して、問題点を解決へと導きます。そのため、現状を改革し新しいプロセスへ導くことで多くの不要なコストを削減することが可能となるでしょう。

現在では、BPRは多くの企業で取り入れられており、「コスト、品質、サービス、スピードのような、重大で現代的なパフォーマンス基準を劇的に改善するために、業務プロセスを根本的に考え直し、抜本的にそれをデザインし直すこと」と定義づけされています。

BPRを行うことによって、無駄なプロセスや業務などを抜本的に見直すことができます。生産性の低い原因が解消されれば、全体的に生産性が改善され、効率の良い働き方や業績アップなどの実現が期待できます。また、組織構造や業務プロセスなどの見直しは、意思決定のスピードアップにも効果を発揮します。無駄なプロセスを省くことによって、意思決定がスムーズになり、他社との競争やスピード感のある現代社会に遅れることが少なくなると考えられます。さらに、コストの見直しによって、人的コストとなる作業時間や金銭的なコストを削減可能です。無駄な業務を削減し、必要な業務にコストやリソースを割けば、従業員の負担が減るとともに企業のコストも最適化されます。負担になっていた業務やシステムが改善されると、従業員の満足度も向上することが考えられます。モチベーションやクリエイティビティなどが高まれば、商品・サービスの質にも良い影響があり、顧客の満足度アップにも繋がります。

しかしながら、業務改善やシステム変更などに合わせて、新しいシステムやツール、機材などを導入する場合、初期費用が発生しますし、抜本的な改革によって、現場に混乱が生じるかもしれません。現状分析と課題抽出、そこから導き出される解決策によって発生する費用に見合った効果を出すことができるか見極めることが重要です。そのため、手順を踏んで進めていくことと、混乱を低減するために変化を事前にメンバーに共有することが必要となります。

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BPRの基本的な進め方

BPRの取り組みを成功に導くには、手順を踏んで適切に進めていく必要があります。
BPRの進め方として、以下の4ステップを解説します。

  • 現状分析
  • 課題抽出
  • プラン策定
  • 設計・導入・実行

この4つのステップを踏んで進めていくことがBPRの取り組みを成功させることに繋がります。また、これらのステップについてさらに詳細なタスクを洗い出し、ステークホルダーと合意しスケジュール管理をすることが大切です。WBS(Work Breakdown Structure)やガントチャートを作成することをおすすめします。

ステップ(1)現状分析

業務の現状とあるべき姿のGAP、すなわち課題を抽出するためには、「業務全体の可視化」が必要になります。 現状分析は最も重要であり、作業工数もそれなりに発生する工程でもあります。可視化を行うプロセスのレベルを設定して、必要な情報を収集していきます。どんな機能なのか、その機能の中ではどんな活動が行われているのか、その活動の中で行われるタスク、個別作業にはなにがあるのか、その作業を進めるために必要な手順は何か、このような視点で収集した情報をドキュメント化していきます。ここでは、単に業務プロセスの内容を把握する、ということだけではなく、実務担当者へのインタビューも行うことでより精度を増します。なぜその業務を行う必要があるのか、なぜそのプロセスで行うのか、といった背景、現場で実際に起きている問題を過去の経緯から個人ごとに認識している定性的な情報も収集していきます。抜け漏れなく現状を把握・分析し、課題を明確化した上で、その課題に対する最良の打ち手は何なのか?を検討することが重要です。

ステップ(2)課題抽出

まずは業務の「あるべき姿」を設定します。そのあるべき姿と現状の差分になっている箇所が問題点になります。この問題点を解消するための課題を抽出していきます。 ここでは、実現の難易度、例えば複数部門との調整が必要だから実現が難しい、取引先と決めたフローを逸脱してしまう、これまでに前例がない、もしくはスキルがない、 現行のシステム要件では実現が難しい、などの現状の運用における限界や先入観にとらわれずに、もれなく洗い出していくことが必要です。

ステップ(3)プラン策定

あるべき姿をもとに抽出した課題の解消に向けて、グランドデザインを設計し、 実現するための方法やロードマップを策定していきます。 課題は多岐に渡り、さらに大小複数出てきます。一度に全てを進めようとするのではなく、優先順位を設けて、進めることが必要になります。一例として、効果と実現の難易度から課題をマッピングし、効果が大きく難易度が低い課題から優先順位を付けて着手していくなどがあります。

ステップ(4)設計・導入・実行

業務プロセスを再設計し、システムの導入をはじめとした打ち手を進めていく実行Phaseにのせていきます。 例えば、不要なプロセスの排除、分断している業務の統合、DX化といったことだけではなく、組織体制や業務分掌も含めて、抜本的に見直しをしていくことが重要です。また、実行Phaseにのせたらそれで完了ということではなく、その後、期待した効果が出ているのか、効果測定による評価を行います。ここで期待効果が出ていない場合は、分析とプロセスの修正を行っていきます。事前に評価指標を設定しておきますが、生産性などの定量面はもちろん必要ですが、実務担当者からのヒアリングで定性面からも評価を行って修正をしていくことが必要です。

業務プロセス再設計を成功に導く課題抽出のポイント

「あるべき姿」と現状の差分になっている問題点を解消するために課題抽出を行います。
あるべき姿(目標)を正しく設定することは重要ですが、関連メンバーの実際の業務とは粒度が異なる「あるべき姿」になることもあり結局はBPRを断念してしまうこともあるかと思います。 そういったときには、関連メンバーが当事者意識をもつことができるよう、段階的に目標を設定して進めていくことも有効な手段です。

業務プロセス再設計を成功に導く課題抽出のポイント

さらに注意が必要な点としては経営理念からブレイクダウンして業務のあるべき形を具体化することです。そして具体化した業務のあるべき形に到達するためには、現状を把握してGAPになっている部分、埋めるべき差分を漏れなく洗い出していくことも重要です。
現状の課題からアプローチするのではなく、トップダウンであるべき姿からアプローチして行きます。また、「あるべき姿」はメンバーで議論を重ねて具体化し、参加する全員が共通認識を持つようにすること ベクトルを合わせながら進めることが非常に有効です。そのためにトップがイニシアチブをもって取り組んでいくことが求められます。メンバー間の足並みが揃わないまま大きな変革を進めることはできませんので、「あるべき姿」についても、共通認識をもって取り組むことが必要になります。

あるべき姿をもとに課題抽出を行う際のポイントをまとめると以下の3点となります。

  • 経営理念からブレイクダウンしてあるべき姿を具体化する
  • 実現可否によらずもれなく課題を洗い出す
  • あるべき姿はメンバー間で共通認識とする

現状分析を行った後の課題抽出ではこの3点を留意して進めていくことが重要です。どれか一つでも欠けると、このあと策定するプランの成功可否を左右します。

BPRを着実に遂行するBPRコンサルティング

BPRの取り組みを成功に導くには4つのステップを着実に踏んで進めていく必要があります。しかしながら業務全体を可視化するにはそれなりに工数を捻出する必要もあるうえに、課題抽出のための「あるべき姿」を議論するためのプロジェクト体制の組成など、進めるにはいくつかのハードルをクリアしていかなければならないかと思います。
さらに自身の業務と並行してBPRを実現するのは時間も労力も考えると難しいのではないかと推察します。

BPRを着実に遂行するために株式会社ベルシステム24が提供するBPRコンサルティングサービスの活用を検討するのも一つの手段です。
株式会社ベルシステム24が提供するBPRコンサルティングサービスは1,300社以上の顧客のコンタクトセンターや営業代行、事務処理などのBPOサービスを手掛ける中で蓄積したノウハウやフレームワークを応用した、業務プロセスの変革を企画・実行するサービスです。企画だけではなく、実行まで網羅しているため、業務プロセスの可視化から課題抽出、プラン策定に留まらず、継続的な業務プロセスの見直しを行うことができます。

BPRコンサルティングサービスではコア業務にリソースを集中するためのノンコア業務の業務効率化やコスト削減を目指し、現状の業務分析による課題抽出、最適化のためのプラン策定から、DX推進による大幅な効率化を含む業務設計の刷新、導入・実行まで、ワンストップで提供しています。
企業が掲げる事業計画や戦略から導き出されたあるべき姿に向けて、100名以上のBPRスキルを持つ専門コンサルタントが複合的なアプローチを行うことで、実現性が高い業務改革を行うことができます。「現状分析」「課題抽出」を踏まえた「プラン策定」フェーズと、そのプランを用いた「設計・導入」からの「実行」フェーズの2段階で業務プロセス改革が実現されます。もちろん、ニーズに合わせて、必要なプロセスの一部のみを利用することも可能です。

自社内だけでは工数もリソースも捻出できなくてBPRの実現が難しい、継続的に業務プロセスを見直す体制の構築が難しい、などの課題によってBPRを実行できない場合は、専門のベンダーにお任せすることで自社のBPRを着実に遂行することができるでしょう。

まとめ

BPRは従来の業務プロセスの課題を抽出し、業務プロセスの課題に関わるものを再構築していくという考え方で、問題点を解決へと導くことができます。

BPRの取り組みを成功に導くには、①現状分析、②課題抽出、③プラン策定、④設計・導入・実行の4つのステップを踏んで進めていく必要があります。特に現状分析後の課題抽出では「あるべき姿」をメンバーで議論を重ねて具体化し、トップがイニシアチブをもって取り組んでいくことが求められます。

自社内だけでは工数もリソースも捻出できなくてBPRの実現が難しい、継続的に業務プロセスを見直す体制の構築が難しい、などの課題によってBPRを実行できない場合は、専門のベンダーに委託するのも一つの手段となるので併せて検討してみましょう。

執筆者紹介

菊池 英明
菊池 英明

ベルシステム24入社後、通信系クライアントのオペレーション部門にてカスタマーサポート部門のマネージメントを約13年経験。
その後BPR担当部門に異動し、過去の豊富なオペレーション経験を活かし通信系をはじめとした様々なクライアントにおけるBPR業務および業務改革提案を遂行。
直近ではコールセンターだけではなく、営業部門・企画部門におけるBPR案件を数多く対応。
現在は本部内におけるBPR担当部門のマネージャーとしてプロジェクトの全体統括・管理を行っている。
生成AI活用で コンタクトセンターの定番業務の自動化はできるのか?

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