ASI(人工超知能)とは?
従来型AIやAGIとの違い、利点・リスクについて解説

 2025.03.04 2024.07.23

AI技術の発展は目覚ましく、近年では導入・活用する企業が増えてきました。この記事では、「ASI(人工超知能)」の意味や特徴、注目されるようになった背景、ANIやAGIとの違いなどを解説します。併せて、ASIを利用するメリットや潜むリスクについても理解し、導入の判断材料として参考にしてみてください。

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ASI (人工超知能)とは?

「ASI(人工超知能)」は「Artificial Super Intelligence」の略称であり、AGI(汎用型人工知能)をさらに発展させたAIです。ASIの知能は、人間とは比較にならないほど高く、実用化には長い時間がかかります。

現在、特定の領域ごとに人間以上の知能を持ったAIが存在します。しかし、ASIは医療や科学など複数の領域において、人間の知能を超越するだけではなく、柔軟性にも優れており、自己学習によってさらなる知能の向上が可能です。

ASIの登場に伴って、「シンギュラリティ(技術的特異点)」が発生すると言われています。シンギュラリティとは、AIが人間の知能を超越する転換期を指し、アメリカのレイ・カーツワイル博士により提唱されました。このシンギュラリティの発生の有無や発生時期の見解はさまざまです。

AI技術は徐々に発展し続け、2030年までに「プレ・シンギュラリティ」が発生する見込みがあります。レイ・カーツワイル博士は、「ムーアの法則」や「収穫加速の法則」によって、2045年にシンギュラリティが発生することから、「2045年問題」に直面すると想定しています。

現時点では、ASIは実用化されておらず、シンギュラリティ発生の有無や発生時期についても不明確です。

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ASI (人工超知能)と、従来型AI、AGIとの違いについて

ASIと、従来型AIおよびAGIは、いずれも似ているようでまったくの別物です。以下より、それぞれの意味や特徴を理解しましょう。

ANI (従来型AI=特化型人工知能)

従来型AIは「ANI」とも呼ばれ、画像認識や自然言語処理など特定の領域に特化しています。ANIは「Artificial Narrow Intelligence」の略称であり、「狭義のAI」や「特化型人工知能」と訳されます。

例として挙げられるのは、画像やテキストを生成する「ChatGPT」などの生成AIです。ANIは、あらかじめプログラムされたデータからルールを学習し、データの範囲内でタスクを実行して、人間と同等の知能を発揮します。

例えば、ChatGPTに学習させることで、人間と同等のコミュニケーションが取れるため、文章の自動作成やオンラインの窓口業務などを任せられます。しかし、ASIやAGIとは違って自己学習による知能向上はなく、プログラムされていないものには対応できません。

データの自動処理が可能なので、企業だけではなく多くの自治体でも導入されており、業務効率化に役立っています。

AGI (汎用型人工知能)

AGIは「Artificial General Intelligence」の略称であり、人間と同等の知能を持ちます。特定の領域に特化するのではなく、複数のタスクをこなせる点が特徴です。単純作業はもちろん、データから学習した上での臨機応変な判断や意思決定も可能です。

ASIよりは限定的であるものの、新しいデータや知識を収集して知能を向上させられるため、人間の感情までも理解できる可能性があります。

単一のタスクに特化したANIが「弱いAI」だとすれば、柔軟性や汎用性を備えたAGIは「強いAI」になります。ANIを発展させたものがAGIであり、それをさらに発展させたものがASIです。

現在は、AGIの開発や研究が進められており、実用化されれば、さまざまな領域において画期的な成果を得られるでしょう。

AGIの詳細を知りたい方は、下記の記事をご参照ください。

ASI (人工超知能)の実現が期待されている背景

日々発展していくAI技術とは違い、人間の脳は同じスピードで発展を遂げることはできません。ANIの場合、状況変化に応じてプログラムを再構成する必要があり、想定外の事態への対応も困難です。そのため、山積する問題に関しては、人間の知能を超越するASIによって解決を図ることが求められます。

例えば、日本の課題として、少子高齢化による人手不足の深刻化や、経済産業省が提唱した「2025年の崖」問題などが挙げられます。「2025年の崖」とは、企業の既存システムが老朽化・ブラックボックス化することでDXを推進できず、2025年以降に多大な経済損失が生じると想定されている問題です。これには経営や人材、技術などの対策が必要ですが、AGIやASIが実用化すれば、短時間で解決できる可能性が高いです。

ただし、現時点ではASIの前段階にあたるAGIすら実用化されていません。ASIの実用化は未知の領域ですが、実用化された場合の影響は大きく、今後も期待が高まっていきます。

参照元:経済産業省「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~ 
※P27~P29をご参照ください。

ASIの利点:24時間365日、人間を超越したパフォーマンスを実行できる

ASIの利点のひとつは、休まずに稼働し続ける点です。年中無休かつ日中、タスクを正確にこなせる点はANIにも該当しますが、ASIのパフォーマンスは人間をはるかに超えています。

ASIを活用できる領域は、医療や農業、科学、金融、政治など多種多様です。病気や食糧不足、経済格差、気候変動などの複雑な問題について、データ収集や分析を行い、画期的な解決策を提供します。さらに、自動運転や病気の新しい診断・治療システム、宇宙探査などの領域においても、現時点では想像できないほどの発展を遂げるかもしれません。

前述した少子高齢化に伴う人手不足のほか、対人コミュニケーションにおいても、人間の感情を把握しながらの問題解決が可能です。企業が導入すれば、コンタクトセンター業務などの対人コミュニケーションだけではなく、経営判断を含めたすべての領域もASIに任せられます。

社会システムや固定観念を根本から変革できるASIは、人間の発展にも大きく貢献できる可能性を持っています。

ASI (人工超知能)のリスク:人間による制御が難しく社会的混乱を招く可能性がある

多くの利点があるASIですが、活用するリスクにも注意が必要です。人間以上の知能を持ち、想像を絶するスピードで学習・発展し続けるため、人間が予測していない行動を行うことがあるかもしれません。ASIにとっての最適解が人権に配慮したものとは限らないので、人間の制御下に置く必要があります。しかし、制御に必要な道徳や倫理観に人類共通のものはなく、プログラミングは困難です。

また、ASIによって高度に自動化された社会では、人間に任せる仕事がなくなってしまい、大勢の失業者が生じることが考えられます。問題解決どころか、世界規模で社会的・経済的混乱が引き起こされる可能性があります。ASIの安全的かつ倫理的な活用ができるように、慎重に検討しましょう。

まとめ

ANIやAGIの知能を発展させたASIの実用化が期待されています。実用化によって、対人コミュニケーション業務などが効率化し、新たなシステム創造につなげられる可能性があります。人間とは比べられないほどの高いパフォーマンスで、問題解決や業務遂行ができるASIですが、制御の難しさや倫理的な課題などのリスクも見落としてはなりません。

技術や法律、経済などに及ぼす影響を踏まえつつ、効果を最大化できる方法を探しましょう。まずは日常業務にANIを取り入れ、課題解決を図ることから始めるとよいです。

コンタクトセンターで生成AIを導入すれば、多くの業務を自動化できるほか、従業員の負担軽減や業務効率化、サービスの質の向上など、さまざまな効果が見込めます。「ベルシステム24」では、コンタクトセンターを起点としたサービスやソリューションを提供しています。業務効率化に課題を抱えている企業は、検討してみてください。

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