カスタマーサクセスとは? 業務内容やメリット、指標をわかりやすく解説

 2022.12.15  2023.10.19

市場の成熟化に伴って、プロダクトの差別化が困難となりつつある現代市場では、いかにして優れた顧客体験を創出するかが重要な経営課題です。そして、競合他社にはない独自の顧客体験を提供するためには、「カスタマーサクセス」と呼ばれるアプローチが欠かせません。本記事では、カスタマーサクセスの業務内容や実践するメリットなどについて解説します。

カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセスとは、顧客の成功体験の創出と利益拡大を推進する活動や戦略を指します。カスタマーサポートが顧客からの問い合わせに受動的に対応するのに対し、カスタマーサクセスはサービスを提供する事業者が顧客の成功を目的として、能動的に働きかけるのが大きな特徴です。具体的には、ソリューションの導入・設計支援はもちろん、継続的なコミュニケーションを通じて実装後のアフターフォローや利用状況の分析、経営課題の解決に寄与する提案などを実施し、顧客の成功を通して自社の収益性の最大化を目指します。

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カスタマーサクセスのメリット

現代は、技術革新の進歩とともに産業構造の変化が加速しており、市場の成熟化に伴って商品やサービスが飽和状態となっています。消費傾向が物質的価値を重視する「モノ消費」から、体験価値に重きを置く「コト消費」へと遷移していくなか、市場の競争優位性を確立するためには、競合他社にはない顧客体験価値を創出しなくてはなりません。そして、企業が持続的に発展していくためには、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客のロイヤルカスタマー化を促進し、継続的な収益を獲得する構造が必要です。

たとえば、サブスクリプション型のビジネスモデルを展開する企業では、サービスの解約率の改善と継続率の向上が非常に重要な経営課題となります。継続的な利用を目的とするサブスクリプションモデルでは、新規顧客の獲得率のみを伸ばしても、解約率が高ければ利益につながりません。顧客の潜在需要や消費者のインサイトを的確に捉え、サービスの改善や経営課題の解決を推進することで、継続率の向上に寄与し、結果として自社の利益を最大化する一助となります。

カスタマーサクセスの業務内容

カスタマーサクセスの推進における主な業務内容は、以下の3つです。これらの業務を通じて顧客満足度の向上を促進し、顧客の成功体験と利益の拡大をサポートします。

  • 導入の支援
  • 利用開始後のフォロー
  • 顧客交流機会の提供

導入の支援

ヒアリングを通じて、顧客が抱えている経営課題を言語化・数値化し、その解決につながるソリューションの導入を支援します。このプロセスにおける重要ポイントのひとつは、顧客の課題解決につながる提案の能動的な実践です。自社サービスが顧客の抱える経営課題の解決に寄与する理由をロジカルに分析し、その導入によってどのようなベネフィットがもたらされるかを伝え、ソリューションの設計・実装・運用を総合的にサポートします。

利用開始後のフォロー

顧客の成功をサポートするためには、サービスの導入だけではなく、実装後に運用をサポートする体制も必要です。導入後も継続的なコミュニケーションを図り、運用体制をフォローすることで顧客満足度の最大化に寄与するのはもちろん、顧客の課題や需要からサービスの品質改善につながるヒントを獲得できる可能性が高まります。

また、既存サービスの運用体制をサポートするだけでなく、新たな商品やサービスの提案も、このプロセスにおける重要なアプローチです。

顧客交流機会の提供

カスタマーサクセスの実践における重要課題のひとつが、顧客接点の創出です。そのために有効な施策として、交流会の開催やコミュニティの運営が挙げられます。顧客同士が交流する機会の創出により、それぞれの課題解決につながる可能性が高まるため、積極的に推進すべき施策といえます。

また、コミュニティの形成によって顧客接点の強化に寄与し、多様な情報を獲得する手段となる点も大きなメリットです。

カスタマーサクセスに関連した指標

カスタマーサクセスに取り組む際は、成果を定量的に分析・評価できる仕組みを構築しなくてはなりません。そのためには、カスタマーサクセスに関連する指標を把握する必要があります。

LTV(ライフタイムバリュー)

「LTV(Life Time Value)」とは、顧客が自社との取引を開始してから終了するまでに得られる利益の総額で、「顧客生涯価値」と和訳される概念です。LTVの算出方法はさまざまですが、一例としては「LTV=(顧客単価)×(粗利率)×(購買頻度)×(取引期間)-(新規顧客獲得コスト+既存顧客維持コスト)」という計算式で求められます。

たとえば、ある顧客が月額10万円(粗利率65%)のサービスを3年間利用し、その顧客の獲得と関係維持に要したコストを40万円と仮定した場合、計算式は以下の通りです。

■LTVの算出例
10万円(顧客単価)×0.65(粗利率)×12/年(購買頻度)×3(取引期間)-40万円(新規顧客獲得コスト+既存顧客維持コスト)=194万円(LTV)

解約率 / 継続率

サブスクリプション型のビジネスモデルを展開する場合、解約率と継続率の改善が重要な経営課題です。解約率とは、サービスを解約したユーザーの割合をいい、「解約率=解約ユーザー数÷解約前のユーザー数×100」という数式で算出できます。たとえば、100名の会員を有するサブスクリプションサービスにて、1ヶ月間に5名が解約した場合の月間解約率は5%です。

継続率とは、既存顧客の維持率を示す指標で、「継続率=継続顧客数÷新規顧客数×100」という数式で算出されます。たとえば、サービスの新規顧客数が100人増加し、1ヶ月後に80人のユーザーが継続利用していた場合、1ヶ月あたりの継続率は80%となります。

NPS®

「NPS®(Net Promoter Score)」とは、顧客ロイヤルティを定量化する際の指標で、日本語では「顧客推奨度」と呼ばれます。顧客ロイヤルティとは、企業への親しみやプロダクトへの愛着心、ブランドに対する信頼といった顧客の心理状態を意味する概念です。

消費傾向がモノ消費からコト消費へと変遷している現代市場において、顧客や消費者から選ばれるためには、顧客ロイヤルティの向上が欠かせません。NPS®は「商品やサービスを親しい人に勧めたいと思うか?」をユーザーに問い、0~10点の11段階評価によってプロダクトの推奨度を具体的な数値に落とし込みます。

カスタマーサクセスで押さえたいポイント

カスタマーサクセスを実践する際は、いくつか押さえるべきポイントがあります。なかでも重要となるのが、以下に挙げる2点です。

  • データの収集
  • アプローチの検討

データの収集

顧客の成功と利益の最大化を支援する際に重要課題となるのが、勘や経験といった主観的かつ曖昧な要素を排除し、客観的かつ明確なデータ分析に基づく戦略の策定です。したがって、顧客のビジネスモデルや収益構造、見込み客の潜在需要、参入市場の将来性、競合他社の動向など、さまざまな情報を収集する必要があります。そのためには、顧客情報を統合的に管理するCRM(Customer Relationship Management)」や、マーケティングを効率化する「MA(Marketing Automation)」といったソリューションの戦略的活用が不可欠です。

アプローチの検討

どのような戦略が企業の成功につながるのかは、顧客の事業形態や経営体制によって異なり、カスタマーサクセスを推進する施策に絶対的な正解はありません。アプローチの方向性を誤ると、サービスの解約につながる可能性があるため、顧客が潜在的に求めているニーズを的確に捉え、自社のプロダクトがもたらすベネフィットをロジカルに伝える提案力が求められます。

また、すべての顧客に対する支援は現実的に不可能といえるため、高いリターンが期待できるハイタッチ層の顧客を見極めるアプローチも必要です。

まとめ

カスタマーサクセスとは、顧客の成功体験と利益の最大化を目的とする戦略です。カスタマーサポートが顧客の問い合わせに対して受動的に働きかけるのに対し、カスタマーサクセスではサービス提供者が顧客に対して能動的なアプローチを仕掛けます。そして、ソリューションの導入支援や実装後のアフターフォロー、課題解決策の提案などを通じて顧客の成功をサポートし、自社の収益性の最大化を推進することがカスタマーサクセスの本質的な目的です。競合他社にはない顧客体験価値の創出を目指す企業様は、ぜひ下記の資料をご一読ください。

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