あふれ呼とは? 概要や対策方法について解説

 2024.12.24 2020.11.10

コールセンターでは問い合わせが集中した際、オペレーターが対応しきれず、しばしばコールが漏れてしまうことがあります。コールセンター用語において、これを「あふれ呼(あふれこ)」と呼びます。本記事では、あふれ呼の概要や対策方法について詳しく解説していきます。

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あふれ呼とは

電話のコールのことを、コールセンターでは「呼(こ)」と表現します。「あふれ呼」とは、コールが一度に集中したことで電話の回線数を上回り、対応しきれずにあふれてしまった呼を意味します。もしくは、回線数に余裕があっても、オペレーターの人数不足で対応できないコールについても、あふれ呼と呼ばれています。

顧客側からすると、電話が混雑していて繋がらず、保留音や「ただいま電話が混み合っております」などのガイダンスが流れている状態を指します。顧客を待たせることから「待ち呼」とも呼ばれ、現場では「待ち呼が○○人いる」というような使い方をします。

企業にとって、あふれ呼の発生は何らかの機会損失に繋がります。あふれ呼の増加は顧客満足度、および企業への信頼度の低下を招くため、コールセンターにはあふれ呼を減らす努力が求められます。

放棄呼との違い

あふれ呼に関連する用語として、「放棄呼(ほうきこ)」があります。放棄呼とは、オペレーターに繋がる前に顧客が切断した、もしくはシステム側で切断したコールを指します。
かかってきた電話数に対し、オペレーターに繋がる前に切られた電話の割合を示すのが「放棄呼率」です。放棄呼率の高さは、顧客が電話の保留時間や音声ガイダンスの長さに不満を抱いていることを示します。放棄呼率が低いほど電話は繋がりやすくなり、顧客の満足度も高くなります。

コールセンターのサービスについて、顧客の満足状況を調べる調査などでは一般的に、待ち時間の多さや電話の繋がりにくさに対する指摘が多く見られます。このことからも、電話の繋がりやすさは、顧客の満足度やコールセンターの接客品質に強く影響しているといえるでしょう。

通常、かかってくる電話をコールセンターの回線でカバーできており、IVR(コンピューターによる音声自動対応システム)が顧客にとって長すぎずわかりやすいものであれば、放棄呼が生じることはありません。

放棄呼が起きるということは、回線数かIVRのフローに問題があるということです。また、オペレーターが電話1件の応対にかける時間が長すぎる場合も、入電数に追いつかなくなり、放棄呼率を上昇させてしまいます。

放棄呼率を下げるためには、回線数・IVR・オペレーターの生産性のどれを改善すべきか把握することが重要です。顧客が電話を切るまでの時間やタイミングを分析し、解決すべき課題を洗い出す必要があります。

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あふれ呼の問題点

あふれ呼の増加が顧客満足度の低下に繋がることは解説しましたが、企業にとっては具体的にどのような損失をもたらすのでしょうか。

顧客の機会損失

コールセンターに寄せられる問い合わせの中には、商品の購入やサービスの入会に直結するものも含まれています。顧客は、商品やサービスについて聞きたいことがあって電話をしてきているため、それらが解消されれば購入・契約を決める、という人も少なくないのです。つまり、あふれ呼を生じさせてしまうことは、売上に繋がるかもしれない貴重な機会を逃すことにほかなりません。

一度のコールで繋がらなかった場合、もう一度かけ直してくれればよいのですが、中にはそのまま購入・契約を見送ってしまう人もいます。せっかくの受注のチャンスを逃さないためには、1件でも多くのあふれ呼を減らすことが大切です。

商品・サービスのブランドイメージ低下

電話が繋がらない状態が続くと、顧客は自分が軽んじられているように感じます。本来は不明点を解消したかっただけの顧客も、あまりに長く待たされることでストレスを募らせ、言うつもりのなかったクレームに発展してしまうこともあるでしょう。

いつかけても繋がらない状況が繰り返されれば、顧客はコールセンターに不満を抱くだけでなく、対象の企業に対してもマイナスイメージを持つ可能性があります。あふれ呼の増加は、結果的に商品やサービス、ブランドの価値を毀損することになり、ひいては企業の信頼度までも低下させてしまいかねません。

オペレーターのモチベーション低下

保留状態で長時間待たされた、何度もかけ直したという顧客の中には、電話が繋がった瞬間に不満が爆発して、オペレーターを怒鳴りつけてしまう人も珍しくありません。日々顧客対応に追われているオペレーターとしては、あふれ呼が原因で顧客から叱責されれば、強いストレスを感じるのは当然です。こうして精神的なダメージが蓄積されていけば、業務に対するモチベーションも低下し、やがて離職に繋がる恐れもあります。

オペレーターが離職すれば、求人広告に出稿するための広告費や、オペレーターの研修に費やした労力と時間が無駄になります。場合によっては、体調の悪化などを理由に突然退職してしまうこともあり、そのしわ寄せは残っているオペレーターが引き受けることになります。これでは負の連鎖です。

オペレーターの離職は、コールセンターにとって損失にほかなりません。オペレーターの心的負担を軽減し、離職率を下げるためにも、あふれ呼の改善はコールセンターの管理者にとって急務といえるでしょう。

あふれ呼の対策方法

あふれ呼を減らすための対策方法としては、オペレーターの増員、チャットツールの導入、コールセンターシステムの導入などが考えられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

オペレーター数の増員

あふれ呼の多さは、対応可能なオペレーターの数よりも、入電数のほうが上回っていることを示しています。そのため、あふれ呼を減らし、どれだけ多くの入電に対応できたかを示す「応答率」を上げるためには、オペレーターを増員するのも選択肢の1つです。

しかしながら、応答率を1%改善するには、オペレーター1人の増員と数百万円の費用がかかるとも言われています。採用にかかるコストを考えると、無闇に人数を増やすのは得策とは言えません。まずは、時間帯や曜日ごとに入電数のボリュームを分析し、入電が多いときには人数を増やすなど、今いるオペレーターのシフトを調整することが先決です。

チャットツールの導入

オペレーターの増員以外に考えられる方法としては、チャットツールの導入が有効です。従来、不明点について聞きたいときには電話しか手段がありませんでしたが、チャットツールを導入することで問い合わせの手段を拡充できます。チャットを活用すれば、オペレーターを新たに採用する場合に比べて、コストを抑えることも可能です。問い合わせ先として最初からチャットに誘導すれば、オペレーターの負担を減らすこともできるでしょう。

なお、チャットには有人で対応する場合と、AIで自動返信する場合の2種類があります。有人チャットでは1人で複数の顧客とやり取りができる分、より多くの問い合わせに応じることが可能です。電話のように応答を待つ必要もないため、顧客側のストレスを軽減することにも役立ちます。

一方、AIによるチャットでは、24時間365日いつでも対応可能です。事前によくある質問への回答を覚えさせておけば、AIが質問内容を判断して瞬時に回答してくれます。顧客は時間を気にせず問い合わせでき、オペレーターは重要度の高い業務に集中できるので、業務の効率化にも繋がるでしょう。

チャットの導入に関して注意したいのは、チャットによって気軽に問い合わせが可能になることで、これまでよりも問い合わせ件数が増える可能性がある点です。電話に出ながらチャットにも返信するという風に、オペレーターの業務が複雑化することも考えられます。そうした課題を解決するためには、電話とチャットで担当するオペレーターを分けるなどの工夫も必要です。

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コールセンターシステムの導入

1件ごとの問い合わせに対応する時間を短縮できれば、その分、対応できるコールの数が多くなり、あふれ呼を減らせます。そうした素早い顧客対応を可能にしてくれるのが「コールセンターシステム」です。コールセンターシステムとは、コールセンターの業務支援システムのことで、電話中に顧客情報やこれまでの応対記録を参照したり、商品・サービスの説明を検索したりできます

このコールセンターシステムは、1つのシステムで完結するのではなく、CRM(顧客管理システム)、問い合わせ管理システム、電話の通話記録や振り分けを行うCTI、よくある質問を検索できるFAQシステムなどに分けて提供されるのが一般的です。

コールセンターシステムを使えば、顧客の要望に答える解決策を見つけやすくなるため、オペレーターの業務負担を改善し、電話1件の応対に要する時間を短縮できるでしょう。

まとめ

あふれ呼には、機会損失や企業イメージの低下に繋がるリスクがあります。顧客満足度を高めるうえでも、あふれ呼を改善することは、コールセンターにとって喫緊の課題といえます。

予算に余裕があれば、人員を増やすことで応答率を上げられます。コストを抑えたい場合は、チャットツールやコールセンターシステムの導入を検討してみましょう。

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