近年、クラウドPBXが注目を集めており、従来型から切り替える企業も増えています。クラウドPBXは従来型に比べてコストを抑えやすく、導入しやすいメリットもあります。本記事では、クラウドPBXの導入で無料化できる項目や、無料利用する際の限界について解説します。
クラウド型PBXとは
クラウド型PBXとは、従来型のレガシーPBXが有する機能をクラウドで利用できるサービスです。インターネット回線を利用したサービスであり、PBX装置や専用ソフトウェアなども不要であるため導入しやすいメリットがあります。
従来型のレガシーPBXは、オフィスに設置したPBX装置を用いて外線や内線をつなぎます。電話回線を用いるため高い通話品質を実現できる一方で、導入や管理コストが高額になりやすいデメリットがあります。
IPネットワークを用いるIP-PBXは、外線電話をIP電話に振り分けられる点が魅力です。レガシーPBXよりも低コストで導入・運用できる一方、クラウドPBXの台頭によりメリットが薄くなりました。
クラウドPBXの導入で無料化できる5つの項目
クラウドPBXそのものは無料で利用できません。トライアルが可能なサービスであれば、限られた期間のみ無料で利用できますが、それ以降は有料です。ただ、クラウドPBXの導入により、従来必要であった費用を無料化できる部分があります。
1. PBXの本体費用
クラウドPBXの利用にあたって、本体装置は必要ありません。レガシーPBXであれば、オフィスに主装置を設置しなくてはならず、拠点の数だけ用意する必要もありました。主装置は高額な製品であり、複数拠点に設置するとなると相応の初期費用が発生します。
一方、オンラインで利用できるクラウドPBXは、物理的な主装置を必要とせず、初期費用を抑えられます。数十万円、もしくはそれ以上のコストを抑えられるのは大きな魅力です。
上記の理由から、事業を立ち上げたばかりの企業やこれから起業しようと考えている方にクラウドPBXはおすすめです。事業を始めた当初や起業時には使える資金が限られているため、コストを抑えやすいクラウドPBXが適しています。
2. 内線通話料金
クラウドPBXであれば、内線通話を無料化できるほか、広範囲で利用できます。レガシーPBXでも内線通話は無料ですが、あくまで同一拠点内に限ります。一方、オンラインで利用するクラウドPBXは同一拠点のみならず、遠隔地のオフィスとも内線で接続でき、しかも無料で利用できます。
そのため、国内にいくつもの拠点を展開している企業や、海外に支店や営業所を構えている企業などにおすすめです。クラウドPBXを導入し、海外拠点とも内線を構築すれば、無料で現地オフィスのスタッフとやり取りを行えます。
また、固定電話だけでなく従業員のスマートフォンと接続できるのもメリットです。レガシーPBXで構築した内線は、オフィスのビジネスフォンでしか通話ができませんでした。一方、クラウドPBXならスマートフォンでも内線通話ができるため、外回りに出ている営業担当と内線でやり取りする、といったことが可能です。
3. 配線工事の費用
レガシーPBXを導入する際には、配線工事が発生します。オフィス内に配線を引き、電話機とPBXを接続することで外線や内線の利用が可能です。配線工事に要する費用はケースバイケースで、接続する電話機の台数や拠点の広さなどによって変化します。
オンラインで導入できるクラウドPBXは、そもそも主装置が不要であり、物理的な配線で電話機と主装置を接続する必要がありません。そのため、配線工事の費用を無料化できます。
また、オフィスがスッキリするメリットもあります。PBXと各電話機を接続するには、オフィスの壁や床に配線を這わせます。配線がむき出しでは問題があるため、モールと呼ばれる保護カバーを用いるケースが一般的です。
場合によっては、オフィスのいたるところに配線とモールが通るため、美観を損ねるおそれがあります。一方、物理的な配線が不要なクラウドPBXなら、そのような心配がありません。
4. ビジネスフォン本体代
レガシーPBXの場合、主装置に対応したビジネスフォンを導入しなくてはなりません。導入する数だけ費用がかかり、ときに数十万円のコストが発生するケースも考えられます。
一方、クラウドPBXではわざわざビジネスフォンを導入する必要がありません。なぜなら、スマートフォンやPC、タブレット端末などと接続できるためです。
従業員がプライベートで使用している端末はもちろん、業務用に配布したスマートフォンも接続できるため、新たに電話機を購入する必要がありません。
5. 転送時の通話料
オフィスに設置してある固定電話への着電をスマートフォンなどへ転送するケースでは、費用が発生します。転送サービスを利用し、設定をしておけばオフィスを空けていても電話が転送されるため、機会損失を回避できるメリットがあります。
ただ、転送の回数が頻繁であり、通話時間も長くなるケースが多いとなると、多額の通話料金が発生してしまいます。「塵も積もれば山となる」のことわざがあるように、転送時の通話料が膨らみ続け経営を圧迫する、といったことも考えられます。
一方、クラウドPBXならその心配がありません。そもそも、クラウドPBXであれば、従業員のスマートフォンをオフィスの電話として利用できるため、転送の必要がありません。
PBXを無料で利用する場合の限界とは
クラウドPBXを完全無料で利用できるのなら、これほどうれしいことはありませんが、実際には限界があります。基本的に、クラウドPBXの導入や運用には少なからず費用が発生します。
ただ、サービスによってはトライアル利用ができ、一時的に無料でPBXを使えます。あくまでも期間限定であり、トライアルやデモ期間が終了すればそれ以降は費用が発生するため注意が必要です。
また、製品によっては機能やアカウント数が制限されているケースもあります。こういった場合は、操作感を確かめるためにトライアルやデモ期間を設けているため、本番を想定している場合には不便さを感じるかもしれません。
無料で利用できるクラウドPBXの多くは期間や機能が限定的であり、永続的に費用が発生しないわけではありません。利用できる機能が制限された状態では使いにくく、特に従業員が多い場合には向いていないでしょう。
有償のPBX導入が求められるケースとは
長期的な利用を考えているのなら、有償のPBX導入が望ましいでしょう。そもそも、トライアル利用できるタイプのサービスは期間が限られており、短期的な利用しかできません。
トライアル利用時に機能制限されているケースでは、業務に支障をきたすおそれがあります。このようなリスクを懸念するのであれば、できるだけ早期に有償版へ切り替えたほうがよいでしょう。
また、電話やメール、チャットなど、複数のチャネルに対応できるコンタクトセンターを構築したい場合も、機能制限のない有償PBXの導入がおすすめです。制限のない有償PBXなら、スマートフォンやPCもPBX端末として利用でき、問い合わせと対応の一元化が可能です。
まとめ
無料で利用できるクラウドPBXは、期間や機能が限定的であることを理解しておきましょう。ただ、クラウドPBXの導入により、本装置の導入や配線工事費用などのコストカットが可能です。
組織の規模によっては、機能を制限されたクラウドPBXの利用で業務に支障をきたすおそれもあります。トライアル利用は最低限の期間に留め、できるだけ早く有償版への切り替えを検討しましょう。
なお、「ベルシステム24」は、さまざまな次世代コンタクトセンターソリューションを提供しています。コンタクトセンターの課題解決に役立つサービスを多々用意しているので、気軽にお問い合わせください。
- カテゴリ:
- 課題・ソリューション
- キーワード:
- PBX・CTI