IVR(音声自動応答装置)とは?仕組みやコールセンターに導入するメリット、選び方を解説

 2022.05.20  2022.11.08

コールセンターの業務効率化のためにIVRの導入を検討する経営者や管理職、マーケティング担当の方も多いでしょう。顧客との窓口となるコールセンターへIVRを効果的に導入すれば顧客満足度が高まることも期待できます。

本記事では、IVRの概要から具体的なメリット・デメリット、導入する際の選び方やポイントまで詳しく解説します。

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IVRとは?

IVRとは「Interactive Voice Response」の略で、音声によって自動で応答する装置を意味し、コールセンターをはじめとする受付窓口などで多く利用されています。

顧客からかかってきた問い合わせの電話に対して、音声認識やプッシュボタンによる操作の案内を流し、用件ごとに適切な担当者に振り分けることが可能です。

数多くかかってくる電話を適切に振り分けられることは、企業にとって従業員の負担軽減や業務効率化など、さまざまなメリットがあるだけでなく、顧客にとっても高い満足度につながります。

IVRとVRUの違い

IVRの類義語とされる言葉が「VRU」です。VRUは「Voice response unit」の略で、「音声応答装置」とも呼ばれています。

  • IVR(Interactive Voice Response)…自動音声応答システム
  • VRU(Voice response unit)…音声応答装置

このように両者は名前も似ており、実際に同じ意味で扱われることもあります。

しかし細かく分けるなら、VRUは発信者の情報を保管して運用するためものなので、発信者の目的に応じて適切な誘導をするIVRとは別のものといえます。

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IVRの歴史と注目を集める背景

ここではIVRの歴史と注目される背景についてご紹介します。

IVRの歴史

企業で、顧客からの問い合わせを一本化し効率的に対応するためのコールセンターが誕生したのは1980年代です。1990年代になると、コールセンターにCTIと呼ばれる電話内線をデジタル制御するシステムが導入され、そこでIVRも生まれました。コンピューターとの融合により、人手で行っていたコールセンターの業務を自動音声による対応で効率化できたのです。

21世紀になるとAIの進化によってIVRはさらに広まり、現在では顧客がスマートフォンなどで画面の指示を見ながら操作できるタイプ(後述:ビジュアルIVR)も出ています。

IVRが注目される背景

IVRが活用され始めたのは1980年代ですが、少子高齢化に伴う労働人口の減少の問題やAIの発達により、IVRが注目されています。特にコールセンター業界は、離職率の高さによって常に人手が足りないという課題を抱えています。

顧客対応を直接担う業務は精神的な負荷が大きく、辞めてしまう人が多いため、残っているスタッフにはさらに負担がかかります。

また、新人オペレーターの研修は時間や労力がかかるだけでなく、いざ現場に出ても難しい内容の対応をすぐに行えるわけではありません。業務に慣れていない状態で難しい対応ばかりを任されれば、過剰なストレスで離職する可能性も高まるでしょう。

このような課題があるなか、IVRを導入し、問い合わせ内容によって自動的に振り分けを行うことで、既存オペレーターの負担軽減や、新人オペレーターが難しい対応を迫られる可能性を低くできます。限られたリソースで業務を効率化するためにもIVRの導入が良い効果をもたらすと期待されています。

IVRの仕組み

IVRでは、導入時に顧客からの問い合わせ内容を想定した音声メッセージと、複数の選択肢をあらかじめ用意しておきます。

電話がかかってきたら音声メッセージを流し、複数の選択肢から問い合わせ内容に該当するものを選ぶプッシュ操作を顧客に促します。

IVRの仕組み

この「音声メッセージ→顧客のプッシュ操作」を数回繰り返すことで、お問合せ内容の振り分けを行い、最終的に顧客は音声メッセージによる回答にたどりつくか、または適切なオペレーターにつながり回答を得られるか、という流れに誘導します。

音声メッセージだけで顧客を適切に導くために、複数の選択肢はわかりやすく、また細分化されており、問い合わせ内容が難しい場合はオペレーターにつながるようになっています。

関連記事:IVR(自動音声応答システム)の 仕組みについて解説

コールセンターにIVRを導入する5つのメリット

ここからは、コールセンターにIVRを導入することで得られる具体的な5つのメリットを解説します。

メリット

  1. 24時間365日対応が可能
  2. 応答率の向上
  3. 顧客満足度の向上
  4. オペレーターのリソースを効率的に活用
  5. オペレーター不足の解消

1. 24時間365日対応が可能

IVRを導入することで無人での案内が可能になるため、日にちや時間を問わず、いつでも顧客からの問い合わせに対応できます。

もちろん、直接の会話が必要な問い合わせは営業時間内でなければ対応できませんが、荷物の再配達受付など、ボタン操作のみで対応できる案件に関して、自動応答を利用できる点はメリットでしょう。

顧客にとっても、時間を気にせずに用件を済ませられるため、ストレスがかからず気になることを解決できる利点があります。仕事などで営業時間内に電話をかけられない人にとっても、自動応答のサービスがあることでより効率的な問題解決を図れるのです。

2. 応答率の向上

有人対応のみの場合、かかってきた電話数に対してオペレーターの数が十分でなければ、応答率が下がってしまいます。

しかしIVRを導入することで、自動音声で対応できる用件であれば人を介する必要がないため、顧客を待たせることなく問い合わせに対応できます。つまり、有人対応が必要な用件のみ取り次ぐシステムを作ることで、応答率の向上が期待できるわけです。

また、IVRでは電話が担当者につながらないまま一定時間が経過した顧客に対し、折り返し連絡(コールバック)の予約受付に誘導できます。電話が混み合う時間帯や営業時間外で対応できないときのために、折り返し連絡予約を活用して企業から電話をかけ直すことで、満足度の低下を防ぎます。

3. 顧客満足度の向上

顧客が用件を伝えたにもかかわらず、オペレーターのスキルがマッチせず、問題が解決されないときがあります。ほかの担当者に回され、もう一度同じ説明をしなくてはいけなかったり、別のオペレーターから再び説明を聞かされたりするなど、面倒に感じて不満を抱く顧客も多くいるでしょう。

用件に応じてIVRで自動的に担当者へ振り分けることで、転送の必要がなくなり、最初から用件に合ったオペレーターにつなぐことが可能です。その結果、顧客のストレスが減り満足度の向上につながります。

4. オペレーターのリソースを効率的に活用

問い合わせには、再配達受付や退会の申し込みなど、有人対応が必要ないものもあります。

ボタン操作のみで解決できる用件については自動案内を導入し、対応の振り分けをすることで、作業時間やミスの発生率を大幅に削減できます。その結果、オペレーターの貴重なリソースを取り次ぎやミスのフォローに割く必要がなくなり、「顧客の声に耳を傾ける」という本来の業務に集中させることができます。

さらに、振り分けをする前提で担当者を決めておくことで、事前にどのような問い合わせの担当かが分かるため、前もってその分野の知識を深められます。そうすることで、現場経験が浅い新人オペレータでも、どのような内容を聞かれるか分からない不安を解消できるほか、全体の生産性向上にもつながるでしょう。

5. オペレーター不足の解消

人材不足で悩んでいる企業が電話応対を効率化することで、オペレーターを増員するコストが必要なくなる効果が期待できます。

例えば、新人オペレーターには簡単な内容の電話を回すことで、慣れていない間にイレギュラーな対応を迫られるリスクを減らすこともできます。ストレスやプレッシャーが和らげば、早期離職の防止につながり、オペレーターのスキルアップも期待できるでしょう。

また、IVRだけでは難しい案件をベテランのオペレーターに積極的に回すことで、一人ひとりの生産性が高まり、全体のコスト削減にもつながります。

関連記事:IVRの導入で得られる効果とは?企業側・顧客側それぞれのメリットを紹介

IVRのデメリット

IVRにはさまざまなメリットがある一方で、闇雲に導入しただけでは効果が発揮されずかえって逆効果になる可能性もあります。ここでは、IVRが抱えるデメリットを紹介します。

デメリット

  1. 顧客側にストレスを与える可能性がある
  2. シナリオ設計が不十分だと「その他」の問い合わせが増える

1. 顧客側にストレスを与える可能性がある

振り分けられる項目があまりに多すぎると、音声ガイダンスが長くなり、顧客にストレスを与える可能性があります。ボタンを何度も押す手間と時間がかかることからも煩わしさを感じる顧客もいるでしょう。

そうならないために、振り分け項目数や案内ガイダンスを簡潔にするなど、工夫が必要です。

2. シナリオ設計が不十分だと「その他」の問い合わせが増える

またシナリオ設計が不十分だと「自身の用件に合うボタンがわからない」など、顧客が困惑してしまった結果、「その他のお問合せ」にダイヤルが集中してしまう可能性もあります。

せっかくオペレーターの負担を減らし、業務の効率化を図ろうと導入したのに、かえって作業効率が悪くなるといった事態に陥りかねません。そうなる前に、IVRを導入する際に気をつけるべきポイントは本記事の後半でご説明します。

IVRの活用シーン

IVRの活用シーン

IVRはさまざまな場面で活用されていますが、ここでは3つの活用シーンについて見ていきます。

IVRの主な活用シーン

  • コールセンターでの問い合わせ対応
  • 宅配便の再配達受付サービス
  • 不在時の対応

コールセンターでの問い合わせ対応

一番身近でIVRが活用されているのは、ここまでも述べた通りコールセンターです。コールセンター業界は常時人手不足に悩まされていますが、IVRは「オペレーター一人当たりの業務量を減らす」という方針で、この課題解消に役立てられています。

宅配便の再配達受付サービス

留守中に荷物を受け取れなかったときは、宅配業者に再配達の申し込みをすることになりますが、ここでもIVRが活用されています。

自動音声にしたがって入力することで、再配達の依頼が簡単に完了します。「利用者が配達員に直接連絡する」「宅配業者が間に入り連絡をする」というステップが発生しないので、手間と時間を大幅に省くことができます。

不在時の対応

顧客からの電話があった際、離席などで不在だとしてもIVRで対応することで、顧客からのメッセージを録音したり、かけ直しを促すメッセージを流したりすることができます。これにより顧客とのコンタクト機会の喪失を減らせるでしょう。

IVRの導入が向いている企業

IVRの導入が向いている企業

ここまでIVRの概要や仕組みなど基本的な情報からメリット・デメリットについて説明しました。では、IVRの活用で業務効率化を図れるのはどんな企業なのでしょうか。

・複数の窓口があるコールセンターを運営している

「サービス・製品名」別、「問い合わせ内容」別など、コールセンターを分けて設置している企業は、IVR導入に向いていると言えます。

IVRで問い合わせ内容に応じて自動で振り分けることで、取り次ぎ担当スタッフを削減できるからです。

また、顧客が連絡した際に窓口がふさがっていたときには、自動音声で対応したり、かけ直しへと誘導することで、顧客側の待ち時間を極力なくすことができます。

・決まった形の問い合わせが多いコールセンターを運営している

「来店を予約したい」「所持ポイントを確認したい」といった、簡単で決まった形の問い合わせが多いコールセンターも、IVRの導入に向いています。

これらの問い合わせには自動応答で対応することで、人員をクレーム対応や説明が必要な問い合わせに回すことができ、それにより顧客満足度を高めることも期待できるからです。

IVRの選び方

IVRといってもさまざまな機能やサービスがあります。ここでは「どのようにして自社にあったIVRを選べばよいのか」について、ポイントをいくつか紹介します。

必要な機能が備わっているか

IVRと一口に言っても、製品によって機能が異なります。そのため「自社の目的に合っているか」を見定めて、選定していく必要があります。主な機能とメリットをリスト化してみましょう。

機能

メリット

事前アナウンス機能

…オペレーターにつながる前に、顧客へアナウンスを流す機能

問い合わせ内容の事前ヒアリングとして活用することで、その後のオペレーター対応を効率化できる。

オートコール機能

…自動音声を指定の電話番号に一斉発信できる機能

電話を受けた側はそのまま自動音声に従いプッシュ操作を行う。主に「督促の連絡」「アンケート調査」などの用途で活用され、オペレーターが1件1件電話することなく連絡可能なので、大幅な効率アップやオペレーターの負担軽減につながる。

分析機能

VOC分析などを使って通話内容の分析を行う機能

顧客の声を企業運営に生かすのに有効。

サポート体制は充実しているか

運営者側のサポート体制も見ておきましょう。

IVRには数多くのプランが用意されているので、自社の使用用途に合うものを見つけるのは容易ではありません。そこでサポート体制を選択軸の1つとすることも有効です。

プラン内容や導入費用などを相談しつつ、「親身にサポートしてくれる運営者か」を判断していきましょう。サポートを適切に受ければ、IVR導入時から実際の運用まで円滑に進めていけることが見込めます。

ビジュアルIVRという選択肢も

近年では、「ビジュアルIVR」が注目を集めています。ビジュアルIVRとは、これまでのIVRで行っていた自動音声での案内を、画面に表示して行うものです。多くの場合で、ビジュアルIVR専用のアプリなどを用います。

顧客側は、音声案内を受けている場合は案内終了まで聞く必要があります。しかしビジュアルIVRでの案内内容は、画面に一気に表示されるため、速やかに解決策を理解できます。また、「電話がつながらない」などの状況も起きません。

企業側としても、こうした顧客側に不満を抱かせずに課題解決を実現することで、顧客との接点をより強く維持できるというメリットを享受し得ます。

IVRの選び方

一画面だけでの案内に終始せず、他の解決対応へ導くことも可能です。例えば、チャットボットによる自動チャットへ誘導するなどです。こうした自動対応環境を整えることで、オペレーターの負担は大きく軽減されるでしょう。

IVRに加え、これら自動対応機能について知りたい方は、下記記事をご覧ください。

関連記事:ビジュアルIVRとは?カスタマーサポートに導入するメリットを解説

IVRを導入する際の3つのポイント

実際にIVRを導入する際に気をつけるべきポイントについて、3つに分けて解説します。

導入のポイント

  1. コール内容を複雑化しない
  2. IVRの設定を定期的に見直す
  3. 「オペレーターと話す」選択肢を入れる

コール内容を複雑化しない

まずIVRを導入しコール内容を設定するときは、出来るだけ簡潔にすることがポイントです。

1つの選択肢に多くの用件を含めると案内の音声が長くなってしまうため、顧客が途中で混乱したり、最初から聞き直す手間がかかったりする恐れがあります。途中で諦めて電話を切る人も出てしまうかもしれません。また、選択肢のメニューを多くする場合も同様に煩雑になり、満足度が下がる可能性もあるでしょう。

このような問題を防ぐためにも、どのボタンを押せばいいのかわかりやすく設定したり、案内のセリフが長すぎないか検討したりするなど、利用者の立場で考えることが大切です。

IVRの設定を定期的に見直す

最初にIVRの設定をしたらそれで終わりではありません。顧客からの問い合わせの傾向は変化することがあり、状況に応じて選択メニューを変える必要があります。また、最初の設定が顧客にとってもっとも使いやすいものかどうかは、実際に運用してみないとわからない部分もあるでしょう。

そのため、定期的にIVRの見直しを行い、場合によっては設定を変えるなど臨機応変な対応が求められます。見直しをすることで、より顧客のニーズに合った対応が可能になり、満足度の向上にもつながるでしょう。

「オペレーターと話す」選択肢を入れる

音声ガイダンスのなかで「オペレーターと話す」という選択技がない場合、自分の用件に該当するメニューがない人や、自動音声案内を活用できない人の不満が激増する可能性があります。

音声案内中に数回エラーになってから担当者につながる設定にしている企業もありますが、満足度を低下させるだけでなく、顧客離れにつながる可能性もあるため、必ず入れるようにしましょう。

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まとめ

IVRは音声自動応答機能であり、これを導入することで企業の業務効率化や顧客満足度向上を図ることができます。近年はコールセンター現場への活発な導入が話題となっています。
自社コールセンターへIVR導入を検討する際には、「自社が必要とする機能が備わっているか」「運営者側のサポート体制はしっかりしているか」を選定軸としましょう。そして、顧客目線でよりよい運用方法を考えることも重要です。オペレーターの業務負担を減らし、顧客満足度を向上させるため、ぜひIVR導入を検討してみてください。

推薦者紹介

上野 隆洋
上野 隆洋
新卒から事業企画部門に配属となり、事業部のPL管理、品質管理、レポート作成の自動化などに従事。その後コンサルティング部に異動し、外資系企業や地方自治体など幅広い業界の業務コンサルティングや、ソリューション導入コンサルティングを多数担当し経験を積む。現在は、コンサルティング手法を活用し、クライアント課題に応じたチャットボットの構築に取り組んでいる。
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