IVR(自動音声応答システム)とは? 仕組みや機能、
メリット、選び方など徹底解説

 2022.05.20  2024.04.24

コールセンターの業務効率化のために電話自動応答システム(IVR)の導入を検討する経営者や管理職、マーケティング担当の方は少なくありません。顧客との窓口となるコールセンターへ電話自動応答システムを効果的に導入すれば、顧客満足度が高まることも期待できます。

この記事では、電話自動応答システムの概要から具体的なメリット・デメリット、導入する際の選び方やポイントまで、詳しく解説します。

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電話自動応答システム(自動音声応答システム)とは?

IVRとは「Interactive Voice Response」を略したもので、「電話自動応答システム」などと呼ばれています。コールセンターの受付窓口などでは、問い合わせに対して音声認識やプッシュボタンによる操作の案内を流し、用件ごとに適切な担当者に振り分けられます。

電話自動応答システムとVRUの違い

VRUは「Voice Response Unit」の略で、「音声応答装置」とも呼ばれており、電話自動応答システムと同じ意味として使われることもあります。ただ、VRUは発信者の情報を保管・運用するために活用されるものです。発信者の目的に応じて適切に誘導する電話自動応答システムとはその点で異なります。

電話自動応答システム(IVR)とビジュアルIVRの違い

電話自動応答システムは音声によって顧客を誘導、案内するものである一方、近年注目されている「ビジュアルIVR」は、画面を通して視覚的に案内するのが特徴です。

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電話自動応答システムの歴史と注目を集める背景

電話自動応答システムは1980年代から活用され始め、現在は少子高齢化に伴う労働人口の減少の問題やAIの発達により注目されています。
特にコールセンター業界では、人手が不足する状況が続いています。顧客対応業務は精神的な負荷が大きく、ひとたび退職者が出ると、残っているスタッフに負担がかかることも問題です。
また、新人オペレーターは研修を受けても、複雑で困難な対応はすぐに行えません。業務に慣れていない状態で過剰なストレスを抱えれば、離職する可能性も高まります。
電話自動応答システムは問い合わせ内容によって自動的に振り分けを行うことで、オペレーターの負担軽減や業務効率化に寄与し、これらの課題を解決します。また、AI技術の活用や、ビジュアル電話自動応答システムの登場などによって、業務効率化へのさらなる貢献が期待されます。

電話自動応答システムの仕組み

電話自動応答システムは自動で音声メッセージを流し、複数の選択肢からプッシュ操作で選ぶよう、顧客に促します。
この操作を数回繰り返すことで問い合わせ内容の振り分けを効率的に行い、最終的に顧客は音声メッセージによる回答にたどりつく、あるいは適切なオペレーターにつながり回答を得るという流れです。

電話自動応答システムの5つの機能

ここでは、電話自動応答システムの代表的な機能を5つご紹介します。

1. 問い合わせに対する自動応対

想定される質問に対し回答メッセージを録音しておくことで、電話自動応答システムが自動音声で対応してくれる機能です。
コールセンターなどに電話自動応答システムを導入すれば、よくある質問に対してオペレーターを介さず、模範的な内容を顧客に案内できます。業務効率化が進み、オペレーターの負担軽減につながります。離職の回避につながるだけでなく、働きやすい職場であることをアピールでき、新たな人材獲得にも有利です。

2. 質問内容に合わせた振り分け

顧客からの問い合わせ内容に応じて、最適なオペレーターへ振り分けられます。顧客がガイダンスにしたがってボタンを操作していくことで、あらかじめ割り振られている専門の部署やオペレーターにつながる仕組みです。
これにより、顧客はほとんど待たずに必要な情報を受け取りやすくなります。業務効率化を図れるのもメリットです。

3. 折り返し電話の予約

電話口で一定時間以上待たせている顧客に対して、折り返し連絡の予約を案内する機能も活用できます。
すべての問い合わせに対応しきれない場合、自社の利益に直結する顧客を逃しかねません。
電話自動応答システムはこうしたリスクを防ぎ、顧客を電話の前で長時間待たせずにすむため、顧客満足度向上につながります。

4. オペレーター不在時の応対

電話自動応答システムなら、オペレーターの不在時にも問い合わせを受けられます。休日や営業時間外、回線が混雑しやすい時間帯などでも制約なく、取りこぼさずに顧客対応できるのが電話自動応答システムの強みです。
自分の都合のいいタイミングで電話をかけられ、求める情報をタイムリーに得られるため、顧客の満足度アップにつながります。企業イメージや業績向上に役立つ可能性も高まります。

5. 自動発信・音声案内

電話自動応答システムには顧客へ自動発信できる機能もあります。通話後に、あらかじめ設定しておいた音声案内を行うことも可能です。
支払い遅延者に対して自動の督促メッセージを流せたり、モチベーションの高い顧客へ自動で販促ができたりします。特に後者の場合、営業担当者がわざわざ個別に電話をかける必要がなく、営業活動を効率化できる点も魅力です。

電話自動応答システムの種類と費用の目安

電話自動応答システムの種類は、オンプレミス型とクラウド型の2つに大きく分類できます。

  • クラウド型
    自社が希望するカスタマイズをしにくいのはデメリットであるものの、自社サーバが不要であり、初期コストを抑えられます。
  • オンプレミス型
    クラウド型と異なり自社サーバの構築が必要になるため、導入時に一定のコストがかかります。一方、カスタマイズしやすいのが魅力です。

電話自動応答システム導入で得られる5つのメリット

  1. 24時間365日対応可能
  2. 応答率の向上
  3. 顧客満足度の向上
  4. オペレーターのリソースの効率的な活用
  5. オペレーター不足の解消

常時顧客対応が可能になるため、おのずと応答率が向上します。また、欲しい情報をいつでも得られるため、顧客満足度が向上するでしょう。限られたオペレーターのリソースを、より複雑な対応に集中させることも可能です。もちろん、オペレーターを増員せずにすみます。

電話自動応答システムのデメリット

  1. 顧客にストレスを与える可能性がある
  2. シナリオ設計によってはオペレーターに問い合わせが集中する

振り分けの項目が多すぎると音声ガイダンスが長くなり、顧客がストレスを感じてしまうかもしれません。また、どの項目を選べばよいか分からない場合、結局オペレーターの窓口へ集中してしまうおそれがあります。

電話自動応答システムの用途・活用シーン

  1. コールセンターでの問い合わせ対応
  2. 宅配便の再配達受付サービス
  3. 不在時の対応
  4. 災害情報の発信

コールセンターでは一人あたりの業務量を軽減できるため、電話自動応答システム導入が有効です。また宅配業界では再配達依頼の際、自動音声案内が使われています。電話自動応答システムの自動音声案内によって、不在時にも販売機会を逃しません。地震や台風など災害時の一斉配信や安否情報などの確認にも使われることがあります。
そのほかの活用方法については、ぜひ以下の関連記事もご参照ください。

電話自動応答システムの選び方|3つのポイント

  1. 必要な機能が備わっているか
  2. 運営側のサポート体制は充実しているか
  3. ビジュアル電話自動応答システムという選択肢も

まず、自社の目的と照合して、必要な機能やメリットをリスト化しましょう。困ったとき親身になってサポートしてもらえるかも重要なポイントです。また、近年はアプリ画面で知りたい情報をチェックできるビジュアル電話自動応答システムも増えています。

電話自動応答システムを導入する際の3つの注意点

  1. ガイダンスメニューを複雑にしない
  2. 電話自動応答システムの設定を定期的に見直す
  3. 「オペレーターと話せる」選択肢を入れる

音声選択肢のメニューはできるだけ分かりやすく、シンプルに設定しましょう。一度設定すれば終わりではなく、適宜改善することも大切です。最後のメニューにはオペレーターに直接つながる選択肢を盛り込んでおくと、満足度向上が期待できます。

コールセンターとは?コンタクトセンターとの違いと役割、仕事内容

企業と顧客が直接コミュニケーションをとるコールセンター。多様化する連絡手段や顧客の価値観の変化から重要性が増しています。こちらでは、コールセンターの概要や必要な機能、コンタクトセンターとの違いなどについて紹介します。

まとめ

電話自動応答システムを導入することで、企業の業務効率化や顧客満足度向上を図れます。
自社のコールセンターへ電話自動応答システム導入を検討する際には、「自社が必要とする機能が備わっているか」「運営者側のサポート体制はしっかりしているか」などを選定軸としましょう。顧客目線でよりよい運用方法を考えることも重要です。オペレーターの業務負担を減らし、顧客満足度を向上させるため、ぜひ電話自動応答システム導入を検討してみてください。

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上野 隆洋
上野 隆洋
新卒から事業企画部門に配属となり、事業部のPL管理、品質管理、レポート作成の自動化などに従事。その後コンサルティング部に異動し、外資系企業や地方自治体など幅広い業界の業務コンサルティングや、ソリューション導入コンサルティングを多数担当し経験を積む。現在は、コンサルティング手法を活用し、クライアント課題に応じたチャットボットの構築に取り組んでいる。
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