クラウドPBXとは?
仕組みやメリット・デメリット、選び方をわかりやすく解説

   

この記事でわかること
  • クラウドPBXの基礎知識と導入メリット・デメリット
  • 導入に向けた判断材料
  • 失敗しないサービスの選び方

クラウドPBXとは、オフィス内に設置されてきた電話交換機(PBX)の機能を、クラウド上で提供するサービスです。

固定の電話設備に縛られた電話環境では、テレワークや多拠点展開への対応が難しくなっています。くわえて、NTTのISDN回線(INSネットディジタル通信モード)が2024年1月から段階的に廃止されており、通信環境の見直しを迫られている企業も少なくありません。こうした状況の解決策として、クラウドPBXへの注目が高まっています。

本記事では、クラウドPBXの基本的な仕組みや従来型PBXとの違い、導入するメリット・デメリット、さらにサービス選定時に押さえておくべきポイントについて、初心者の方にもわかりやすく解説します。
特に、コールセンターなどの電話対応を目的としてクラウドPBXの導入を検討しているものの、サービス内容を十分に理解できていない方にとって、本記事が判断材料の一助となれば幸いです。

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クラウドPBXとは?

クラウドPBXとは、オフィスに設置されてきた電話交換機(PBX)の機能をクラウド上で提供し、インターネットを通じて内線・外線・転送などの電話機能を利用できるサービスです。スマートフォンやPCを通話用端末として活用でき、場所に縛られない電話環境を構築できます。

PBX(Private Branch Exchange)とは、複数の電話機を接続し、外線の振り分けや内線の転送を行うための専用機器です。通常、電話番号と電話機は1対1で回線が紐付いているため、ビジネス利用で電話番号が増えるほど回線や機器の管理が煩雑になります。PBXを導入することで電話回線を一本化し、複数の電話機に対する発着信を柔軟に制御できるようになります。

クラウドPBXは、このPBXの機能をクラウド上で提供する仕組みです。そのため、専用機器の設置や保守が不要となり、初期費用や運用コストを抑えられます。また、スマートフォンやタブレット、PCを通話用端末として利用できるため、テレワークや拠点分散といった多様な働き方にも柔軟に対応できます。こうした背景から、クラウドPBXは次世代の電話システムとして注目されています。 

クラウドPBX選定の手引き
RFP作成サポートツール_クラウドPBX

クラウドPBXの仕組み

クラウドPBXは、従来オフィス内に設置していた電話交換機(PBX)の機能をクラウド上のサーバーで提供する仕組みです。インターネットに接続できる環境があれば、場所や距離に縛られることなく電話システムを構築できます。

従来型PBXでは、専用機器の設置や配線工事が必要でした。一方、クラウドPBXでは交換機機能がクラウド化されているため、オフィス内に専用機器を設置する必要がありません。このため、拠点が分散している場合やテレワーク環境でも、同じ電話番号を利用した運用が可能になります。

利用できる端末

クラウドPBXは、スマートフォン・パソコン・IP電話機の3種類の端末から利用できます。

スマートフォン・タブレットは専用アプリをインストールして使います。従業員が個人端末を業務利用するBYOD(Bring Your Own Device)にも対応できるため、端末調達コストの削減につながります。

パソコン(ソフトフォン)は専用ソフトとヘッドセットを組み合わせて使います。顧客情報をPC画面で確認しながら通話できるため、コールセンターやサポート部門での活用に適しています。

SIPフォン(IP電話機)は、従来のビジネスフォンに近い据え置き型の電話機です。LANケーブルでネットワークに接続して使うため、電話機の外観や操作感はこれまでと大きく変わりません。

クラウドPBXと従来型PBX(オンプレミス)の比較

  

クラウドPBXの基本総まとめ! メリット・デメリットや失敗例、選び方まで

従来型PBXとクラウドPBXは、設置場所・導入期間・メンテナンス負担の面で大きく異なります。

比較項目 従来型PBX(オンプレミス) クラウドPBX
設置場所 オフィス内に主装置を設置 インターネット上のデータセンター
導入期間・工事 数週間〜数ヶ月・配線工事が必須 最短即日〜数日・工事は不要または最小限
利用可能場所 オフィス内のみ インターネット環境があればどこでも
メンテナンス 自社管理または専門業者への依頼が必要 事業者が自動アップデート・保守を実施

混同しやすいシステムとの違い

混同しやすいシステムとの違いは下記の通りです。

IP-PBXとの違い
IP-PBXもインターネット回線を使いますが、機器やサーバーを自社内に設置するオンプレミス型です。クラウドPBXとは異なり、自社でのハードウェア管理が必要になります。

IP電話との違い
IP電話は通話サービス(回線)を指す言葉であり、内線通話や転送といった交換機(PBX)としての機能は持っていません。電話回線と電話交換機は別物であることを押さえておくと、サービス選定時の混乱を防げます。

クラウド電話(クラウドフォン)
クラウド上に構築されたPBXを利用する通話システムを指す呼称であり、一般的にはクラウドPBXと同じ仕組みを意味します。両者に技術的な違いがあるわけではなく、呼び方が異なるだけです。

クラウドPBXを導入するメリット

クラウドPBXの主なメリットは、コスト削減・場所の自由度・運用の柔軟性・BCP対策・機能連携の5点です。それぞれ具体的に見ていきます。

初期費用・通話コストの削減

クラウドPBXは、物理的な主装置の購入費と配線工事費が不要になるため、導入時の初期費用を大幅に抑えられます。また、離れた拠点間の通話や外出中の社員への電話が「内線」扱いになるため、社員間の通話料が無料になります。外線通話料も、一般の固定電話や携帯電話からの発信と比べて安価になる傾向があります。たとえば、東京・大阪・福岡に拠点を持つ企業であれば、拠点間通話の無料化だけで月々の通話料を大幅に圧縮できます。

スマートフォンを会社番号で使える(スマホ内線化)

クラウドPBXを導入すると、社員のスマートフォンから会社の代表番号(03や06など)で発着信できるようになります。外出先でもオフィスの電話番号で顧客対応できるため、「担当者に直接つながらない」という機会損失を防げます。個人スマートフォンをBYOD利用した場合でも、通話料は会社負担に設定できるため、プライベートな費用との混在を防ぎながらコスト管理も徹底できます。

柔軟な拡張性とスピーディーな導入

クラウドPBXは、回線の追加・削減をブラウザの管理画面から即時に設定できます。人員の増減や新規拠点の開設に際しても、配線工事や機器の手配は不要です。オフィスの移転時も、端末をそのまま持ち運ぶだけで電話環境が引き続き使えるため、移転に伴う電話番号変更の手間も発生しません。

BCP対策(事業継続計画)に有効

クラウドPBXはデータセンター上で動作しているため、災害や停電によってオフィスが使えなくなっても、インターネット環境と端末があれば自宅や避難先から電話業務を継続できます。従来型PBXは主装置がオフィスに依存しているため、災害時に機能を失うリスクがあります。クラウドPBXへの移行は、BCP対策の強化という観点でも有効です。

便利な機能と外部システム連携による業務効率化

クラウドPBXには、通話録音・IVR(自動音声応答)・インターネットFAX・チャットなどの機能が標準またはオプションで用意されています。さらに、CTI機能を通じてSalesforceやkintoneといったCRM(顧客管理システム)と連携させれば、電話の着信時にPC画面へ顧客情報を自動表示できます。担当者が顧客情報を手作業で検索する手間が省け、対応スピードと品質を同時に向上させます。

クラウドPBXのデメリット

メリットが多い一方で、クラウドPBXにはインターネット依存・緊急通報への非対応・番号引き継ぎ制限・ランニングコストという4つの注意点があります。

通話品質がインターネット環境に依存する

クラウドPBXの音声品質は、利用するインターネット回線の状態に左右されます。Wi-Fiやモバイル通信が不安定な環境では、音声の途切れやノイズが発生するリスクがあります。安定した通話品質を確保するには、光回線の利用を基本とし、サービス選定時には総務省の「IP電話の音声品質基準」でAクラスの評価を受けているかどうかを確認することが推奨されます。特に通話量の多いコールセンター用途では、ピーク時の品質検証も忘れずに行ってください。

緊急通報(110・119番など)に発信できない場合がある

IP電話の仕組み上、発信者の位置情報が特定できないため、110番・119番などの緊急通報に発信できないケースがほとんどです(一部の光回線連携タイプを除く)。緊急時はスマートフォンのキャリア回線から発信するよう、あらかじめ社内ルールを整備しておく必要があります。従業員への周知計画とあわせて、導入前に確認しておきたい項目です。

現在の電話番号を引き継げないケースがある

サービスやプランによっては「050」番号しか取得できず、既存の市外局番(03や06など)を引き継げない場合があります。既存番号を維持したい場合は、LNP(番号ポータビリティ)への対応状況、またはVoIPゲートウェイ(既存回線とクラウドPBXを接続する専用機器)の設置可否を契約前に確認する必要があります。取引先や顧客に周知済みの番号を変更することはビジネスリスクになるため、この点の事前調査は怠らないようにしましょう。

ランニングコスト(月額費用)が発生し続ける

初期費用を抑えられる反面、ID(ユーザー)数に応じた月額利用料が継続的に発生します。利用規模が大きい場合や長期間にわたって使用する場合は、オンプレミスPBXのトータルコストを上回る可能性もあります。導入前には、初期費用だけでなく月額料金・通話料・オプション費用を含めた5年間程度の総コストを試算し、オンプレミスとの比較を行うことをお勧めします。

クラウドPBXの導入に向いている企業

クラウドPBXは、働き方や拠点構成、電話対応の量によって導入効果の大きさが変わります。特に恩恵を受けやすいのは、次のような企業です。

テレワーク・外出の多い営業社員を抱える企業

スマホ内線化によって電話の取次業務が大幅に減り、外出先でも迅速な顧客対応が可能になります。

複数の拠点(支店・店舗)を持つ企業

拠点間の通話が内線扱いとなり完全無料になるため、通信コストの削減効果が大きく出ます。

コールセンターやカスタマーサポート部門がある企業

CRM連携・通話録音・AI文字起こしといった機能を活用して、応対品質と業務効率を改善できます。在宅コールセンターの立ち上げにも対応しやすくなります。

オフィスの新規開設や移転を控えている企業

配線工事が不要でスピーディーに電話環境を整備できます。移転後も電話番号が変わらないため、取引先への変更案内も不要になります。

クラウドPBXのユースケース(業種・シーン別の活用例)

クラウドPBXの活用方法は業種や部門によってさまざまです。ここでは、代表的な業種・シーン別に活用例を紹介します。

営業部門・中小企業

外出先でも個人のスマートフォンを内線化して会社番号で発着信できるため、顧客からの電話に直接対応できます。会社に戻ってから折り返すというタイムラグがなくなり、ビジネスチャンスの機会損失を防ぎます。

コールセンター / カスタマーサポート

物理的な電話機が不要になるため、オペレーターの在宅ワーク化やフリーアドレス化が容易に実現できます。また、CRM連携による顧客情報のポップアップ表示により、スムーズで的確な対応が可能となります。

飲食店・小売業・医療機関(クリニック)

IVR(自動音声応答)を活用し、「予約」「検査結果の確認」「緊急連絡」などの用件に応じて着信を振り分けたり、営業時間外やピーク時の電話を自動音声で一次対応したりすることで、現場スタッフの負担と対応漏れを軽減します。

士業(弁護士・税理士など)・不動産業

通話録音機能や履歴管理機能を活用し、クライアントとの通話内容を正確に記録・管理することで「言った・言わない」のトラブルを回避します。不動産業では、内見などの外出中であってもスマホで会社番号の着信に応答できます。

多店舗・多拠点展開の企業

全国の店舗や拠点を内線でつなぎ、拠点間の通話料を無料化します。また、特定の店舗が忙しくて電話が取れない場合には、手の空いている別店舗や本部へ自動転送・振り分けを行う柔軟な対応体制を構築できます。

クラウドPBXの選び方・比較ポイント

クラウドPBXは、多くのベンダーからさまざまなサービスが提供されており、比較ポイントを整理したうえで選定することが重要です。
自社に最適なクラウドPBXを選ぶためには、次の5点を確認しましょう。

①通話品質の安定性

通話品質は、ベンダーのシステム構成と自社のネットワーク環境の両方に依存します。カタログ上のスペックだけでは実態を把握しにくいため、無料トライアルやデモを活用して、実際の利用環境で遅延やノイズが発生しないかを事前に確認することが不可欠です。特に通話量の多いコールセンター用途では、ピーク時の品質検証を忘れずに行ってください。

②自社の要件に合った機能と外部システム連携

必要な機能(IVR・通話録音・転送など)が基本料金内に含まれているか、オプション追加が必要かを整理しておきます。また、すでに社内で使っているSFAやCRM(kintone・Salesforceなど)とAPI連携できるかどうかも重要な確認事項です。システムをまたいだ手動入力が残ると、効率化の効果が半減してしまいます。

③導入・運用コストの総額

初期費用・月額基本料・1IDあたりのライセンス料・オプション費用・通話料を合算し、数年単位のトータルコストで予算を見積もります。「月額が安い」という一点だけで選ぶと、オプション追加後に想定外の費用が膨らむケースがあるため注意が必要です。

④電話番号の引き継ぎ可否

既存の代表番号をそのまま使い続けたい場合は、LNPやVoIPゲートウェイへの対応状況を契約前に必ず確認してください。番号変更が発生すると、名刺・ウェブサイト・各種登録情報の更新コストと、顧客への周知コストが別途かかります。

⑤セキュリティ対策とサポート体制

通信の暗号化・アクセス権限管理などのセキュリティ機能が整っているかを確認します。あわせて、導入後の設定変更や通信トラブル発生時に、電話・チャットで迅速に対応できるサポート窓口があるかどうかも見極めポイントです。対応時間や専門窓口の有無が、運用時のリスク低減に直結します。

「BellCloud+」と「BellCloud+CX」をおすすめ

コールセンターやコンタクトセンター業務を重視する企業にとって、有力な選択肢となるクラウドPBXが、ベルシステム24が提供する「BellCloud+®(ベル クラウド プラス)」と、「BellCloud+CX®(ベル クラウド プラス シーエックス)」 です。

BellCloud+は、長年にわたりコールセンター運営を支援してきたベルシステム24のノウハウをもとに開発された、クラウド型のコンタクトセンター基盤です。音声基盤としてのクラウドPBX機能に加え、チャットボットを活用した自動応答や、顧客を最適な窓口へ誘導するVisual-IVRを備えています。

さらに、AIを活用した音声認識やテキストマイニング、感情解析などの機能により、通話内容の可視化や応対品質の向上、業務効率化を支援します。これらの機能は、問い合わせ対応の効率化や顧客満足度の向上を目指すコンタクトセンターにとって大きな強みとなります。

一方で、BellCloud+は多機能であるため、導入すべきクラウドPBXは企業の規模や用途によって異なります。小規模利用やシンプルな電話運用を目的とする場合には、別のサービスが適しているケースもあります。

もうひとつのクラウドPBXであるBellCloud+CXは、NiCE社の 「CXone Mpower」をベースに、ベルシステム24のコンタクトセンター知見を融合させた CXクラウド型コンタクトセンタープラットフォームです。コンタクトセンターに必要なPBXや通話録音、シートマップといった基本的な機能に加えて、オムニチャネル・AIボットなどのデジタル応対から、リアルタイムでの音声認識と会話要約、管理者支援などの生成AI機能を搭載。機能のカスタマイズや運用コンサルティングまで支援します。

また、以下の記事では課題別におすすめのクラウドPBX製品を紹介しています。自社の目的に合ったサービス選定の参考にしてください。

まとめ

クラウドPBXとは、インターネット上のサーバーを通じてPBXの機能を提供する電話サービスです。専用機器の設置を前提としないため、構成やサービス内容によっては、従来型PBXと比べて初期費用を抑えやすく、運用や保守の多くをベンダーに任せられる点が特徴です。

また、場所を問わず利用でき、スマートフォンやタブレット、PCなどを通話端末として活用できることから、テレワークの推進やBCP対策にも有効です。拠点分散や働き方の多様化に対応しやすい点は、クラウドPBXならではのメリットといえます。

導入にあたっては、専用機器を利用するタイプとクラウドで完結するタイプのいずれかを選択する必要があります。あわせて、無料トライアルを活用することで、実際の操作性や通話品質を確認したうえで導入を判断することが可能です。

ベルシステム24では、要件や業態の特性、将来的な運用を見据えながら、最適なPBXおよびクラウドPBXの製品・サービスを提案しています。PBXの導入や見直しを検討している場合は、有力な選択肢のひとつとなります。 

 

この記事の推奨者

宮本 俊之
宮本 俊之
ベルシステム24に入社後はオペレーション部門に配属となり、インバウンド、アウトバウンドのオペレーションマネージメントを14年に渡り経験。その後2008年より、システム関連部門へ異動し、外部のお客様へシステムの提案、導入を行っている。オペレーション部門出身という経験を活かし、業務目線でのシステム提案を得意とする。
現在は、BellCloud+のサービス構築、お客様への提案、導入を行っている。
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