次世代コンタクトセンターへの変革
眠れる顧客データをどう活かすか。

   

次世代コンタクトセンターへの変革が様々な企業で課題となっています。その鍵となるのは顧客データです。本記事では、顧客データの活用がなぜコンタクトセンター変革につながるのかを紐解きながら、顧客データ活用に欠くことのできない顧客データ基盤「カスタマーデータプラットフォーム(CDP)」をわかりやすく紹介します。

次世代コンタクトセンターへの変革 眠れる顧客データをどう活かすか。

デジタルチャネルCX調査 2024ー2025年版

コンタクトセンターの顧客データ活用は待ったなし

「コールセンター」が昨今「コンタクトセンター」と呼称されるようになった背景には、インバウンドにおいて、電話以外のメール・チャット・アプリといった顧客チャネルで顧客対応を行う「マルチチャネル化」が当たり前となってきたことが挙げられます。

コンタクトセンターをコストセンターとしてではなく、マルチチャネルから生まれる顧客のデータを収集・蓄積した上で活用する「次世代コンタクトセンター」として、顧客との重要なタッチポイントを担う部署へと再構築している企業も増えつつあります。また、チャネルに依らないアウトバウンド領域においては顧客リストを上から下までタッチするというオペレーションは既にCV効果を無くしており、逆に顧客の離脱を招くマイナスブランディングとなっているケースも散見されます。顧客に適したチャネル・時間・対応でタッチポイントを創出することはコンタクトセンターにとって非常に重要な要素となっており、それを実現するためには、データ活用が欠かせない状況となっています。システムやセンター構成に応じたデータ活用はもはや必須といえるでしょう。

しかしながら、コンタクトセンターにおける顧客データ活用は、どの企業も非常に苦労しているところです。企業内に散在する多様な顧客データを一箇所にまとめ、データから顧客を理解した上でOne to Oneのコミュニケーションに活用できれば、顧客体験(CX)の向上を実現することは可能ですが、現実的な問題として、コンタクトセンターのデータと、マーケティングデータがシステム的にも部署的にも分かれている企業が多く、データハブとなるサービスも少ないため、担当者レベルはもとより企業レベルでの構成設計や整理の難しさからデータ統合が足止めになっている企業が非常に多いのもまた事実です。このようなデータの「サイロ化」、「サイロ化」を解消していくための企業レベルでのプロジェクト推進の難易度の高さがDX自体の難易度を上げているともいえます。

また、顧客理解は事業課題から経営課題となっています。デジタル化が加速する中で、今やカスタマージャーニーにおけるタッチポイントの60%がデジタル化しているといわれます。デジタルでのタッチポイントから生まれるデータから顧客を理解し、顧客コミュニケーションを洗練させることに加え、製品やサービスの開発へのフィードバックなどにも活用される今、データはもはや経営資源と言っても過言ではありません。企業はコンタクトセンターだけでなく、営業やマーケティングといった、あらゆる顧客接点のデータを一箇所に統合し、会社としての資産に変えていく必要があるのです。

そのような中、顧客データを収集し、一箇所にまとめる「データハブ」として「CDP(カスタマーデータプラットフォーム)」があらゆる業種において注目されています。CDPとはどのようなものなのか、なぜ昨今、企業はコンタクトセンターでCDPを活用しはじめているのか、次項から説明していきます。

テキストマイニングツール選定の手引き
コンタクトセンターにおけるCRMシステムの重要性とは?

コンタクトセンターのデータを統合するCDPとは?

コンタクトセンターのデータを統合するCDPとは?

多くのコンタクトセンターで活用されているCTI・CRM。これらのシステムには、顧客情報(デモグラ/個人情報)、顧客番号、対応履歴(オペレーション履歴・対話履歴)、オペレーション情報(受発注や変更)、対応フラグ(対話履歴に応じた顧客からヒアリングした内容など)が蓄積されています。加えて、メールやチャットなど、チャネルの中でしか保持していない顧客データが存在する場合もあります。それらが統合されていないことで、何が起こるのでしょうか?

まず、多くの企業では、チャネルに応じて、オンプレとクラウド環境が混在しています。それぞれのチャネルでの対応データはチャネルのDBに入っているためお客様がチャネルを横断した際の対応が追えないといった問題が起こります。その場合、オペレーターが手動でCRMシステムに入力していることが多く、オペレータの工数、さらには実際の顧客行動を追う上での工数が嵩んでしまいます。

このように、現状のCRMシステムの構成によっては、お客様のチャネルを横断した行動がリアルタイムに把握できず、顧客体験の悪化だけでなく、コンタクトセンターオペレーターの工数増加を招いてしまい、CSやESの観点でも大きな課題となっています。

コンタクトセンター が抱える課題を解決するために、先述したような、顧客にまつわるあらゆるデータを一意のKeyでパッチワークのように統合し、コミュニケーションなどに活用していくためのデータバブとしてCDPが注目されています。

「Treasure Data CDP」でコンタクトセンターはどう変わる?

トレジャーデータの「Treasure Data CDP」では、多種多様な顧客の行動データをCDPに格納・収集して、チャネルを横断したデータ連携のリアルタイム処理と、多数のオペレーターが顧客行動/ペルソナなどの情報を、同時に参照することができます。

例えば、コンタクトセンターで蓄積するCRMデータと、ECサイト上の行動ログや、キャンペーンの応募履歴、店舗の来店履歴といったいわゆるマーケティングデータと掛け合わせることで、そのデータをMAツールに連携して、メールやLINE、Web接客といったコミュニケーションを一人ひとりの顧客に最適なチャネル・タイミング・コンテンツで出し分けたり、オペレータの画面にリアルタイムに顧客の直近の閲覧ページや直近の行動が表示されることで、どんな問題や疑問を抱えて企業に問い合わせをしてきたのかを理解することができます。また、顧客に応じたオススメ商品などを表示させることもできるため、直接的な利益貢献も可能です。

次世代コンタクトセンターへの変革 眠れる顧客データをどう活かすか。

このように、コンタクトセンターのデータを統合するという事は、必然的にオムニチャネルデータを統合する事になるため、顧客のすべての履歴を統合するということとほぼ同義だと言えます。一人ひとりの顧客を360度ビューで把握し、顧客一人ひとりに最適な応対を実現することができるCDPは、次世代コンタクトセンターへの変革の鍵となる仕組みといえます。

顧客理解、顧客体験の最適化という攻めの観点からCDPを捉えてきましたが、実はCDPは攻めのためだけの仕組みではありません。CDPは昨今あらゆる企業が向き合わなくてはならない、プライバシー保護においても威力を発揮します。

CDPは企業の「守り」の面でも重要

企業内で活用されるツールは増え続けています。あらゆるツールが少しずつ、顧客に関する情報を蓄積しているため、例えばGDPRでは、データ主体要求があった場合、全てのツールが持つ顧客情報を隈なく調べ、顧客からの要求に対応していく必要があります。要求にスムーズに対応できない、対応漏れといったことは、企業の信頼喪失の温床にもなりえ、データガバナンスの観点から望ましい状態ではありません。一方で、顧客データが一箇所に集まっていれば、一箇所のデータをメンテナンスするだけで、顧客の要求に答えることができます。こういった顧客対応一つをとっても、一人のオペレータが統合的に顧客データを参照することができれば、スムーズかつ安全な対応が可能となります。結果として、顧客の信頼を獲得し、顧客満足度向上にもつながります。またオペレータの運用負荷を下げることから、コスト削減にも役立ちます。

また、人員の入れ替えが比較的多いといわれるCRM業界で、データを活用した対応が実現できれば、オペレータ一人ひとりの接客の質の安定、さらには働き方改善にもつながります。結果として、オペレーターの離職率低下という効果も期待できます。また、オペレータの研修期間の短縮といった、副次的なコスト削減にも大きく寄与します。

まとめ

ここまで、コンタクトセンター、そして経営における顧客理解の重要性に加え、顧客理解に欠かせないCDPを活用したデータ統合の効用をみてきました。CDPを用いた、次世代コンタクトセンター運営にご興味をお持ちの方は、是非以下よりお気軽にお問い合わせください。

執筆者紹介

寺本 敬太 氏
寺本 敬太 氏
トレジャーデータ株式会社 Customer Consultingチーム

大手ITサービスベンダーのCRM事業所責任者として大手クライアント窓口のインバウンド・アウトバウンドセンター立ち上げやサービス構築、運用に従事。2011年からは総合広告会社のCRM部門にて、主にダイレクト領域でのデジタルマーケティングやコミュニケーションチャネル開発を実施し、LTV視点でのCRM構築から運用業務を経験。日本国内のみならず、中国、台湾での越境ECや現地ECでのCRM構築と現地教育支援も実施。2020年にトレジャーデータに参画。生命保険会社の契約促進プロジェクトのPMとして、既存顧客や見込み顧客のデジタル行動データやチャネルデータをもとに施策からDB設計などCDP導入プロジェクトを支援。
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