昨今、「VOC(顧客の声)分析」を企業課題として取り組みを強化する企業が増えてきました。なぜVOC(顧客の声)分析をすることが重要かというと、CX(顧客体験価値)・CS(顧客満足度)の向上がなければ顧客離れが加速してしまうことが要因となっています。上記の課題感から、CS/CX推進部署を新設される企業様も増加傾向にあります。
今回は、CS/CX推進に取り組むご担当者様や経営者様に向けて、採用中企業様の活用事例、また、最新の分析手法について1,800社の採用実績を誇るテキストマイニングツール「見える化エンジン」を提供する私どもがポイントをお伝え致します。
コールログ活用でよくある課題・お悩み
まずは、コールセンターにてよくお伺いする課題・お悩みについて整理していきます。
- OPが入電後に問合せ理由毎にカテゴリフラグ立てをしているもののOP毎に判断基準が異なったり、フラグ入力ミスや入力漏れがあり、分析に活用するにはデータの整合性に疑念がある。
- 問合せ理由の分析作業をExcelやCSVにて手作業や目検チェックで実施しているため、ご担当者に工数負荷がかかってしまっていてどうにか削減したい。
- OPの入力履歴ではなく音声テキストを用いて、分析を実施したい/実施しているが、データの特性上、ノイズが多く含まれており分析が上手くいかない。
- OPの入力履歴や音声テキストでの分析はできているものの、分析結果から示唆を導きだし、具体的な次のアクションにつながるようなアイデアの発想に苦慮している。
2章以降では整理した課題・お悩みを解決するために見える化エンジンに搭載された、生成AIを用いた分析手法についてご紹介をしていきます。
生成AIを用いた最新の分析手法
見える化エンジンでは1章で記載した課題・お悩みを解決するための機能が複数実装されております。具体的に用いる技術としては「当社独自の自然言語解析技術」と「生成AI」です。双方を用いて分析データの成型(ノイズカットや個人情報マスク等)や分析結果の描画や示唆の導出までを行っていきます。
ここからのご紹介では、昨今のトレンドにもなっている生成AIを用いた機能群を使うことでより“簡単で効率的”かつ“新たな施策/企画のためのアイデア発想”にもつながる機能例をご紹介致します。
<生成AIを用いた最新機能>
- 音声データのテキスト化&AI要約機能
- 通話内容を話題毎に自動カテゴライズ、生成AI自動分類機能
- AIとの対話で分析からの示唆出し~アイデア発想まで支援、AIインサイト機能
【生成AI機能例1.音声データテキスト化&AI要約】
コールセンターでの通話内容など音声ファイルのテキスト化から要約、分析までがツール上で全て対応が可能となっています。
音声テキストのようなノイズが多く含まれる長文データも後の集計/分析を考慮し、生成AIで端的な文章に要約することも可能です。
参考例)音声テキストデータを生成AI機能で要約した実例となります。
プロンプトチューニングにより必要/重要なトピックスを狙って抽出することもできます。
<音声テキスト化&AI要約機能が解決するお悩み>
■振り返りのために音声データを人が耳で聞き、手入力で文字起こししており工数がかかっている
■架電/受電時にオペレーターが内容をメモに残しているが各個人によって書き方にバラつきがある
■音声テキストを分析に用いたいが、ノイズが多く含まれており分析がしづらい
上記のようなお悩みも音声テキスト化機能とAI要約機能を活用いただくことで解決が可能です。また、要約文章のまとめ方についてもプロンプトで指定ができますので、箇条書き形式で要点のみまとめるなどより分析結果から有用な示唆を捉えやすくするためのデータの事前処理から行うことができます。
【生成AI機能例2.AI自動話題分類】
生成AIを活用し話題毎の自動分類~テキストマイニングによる集計・詳細分析まで実行することが可能です。
参考例)生成AIを用いて自動分類をした例となります。
プロンプトに基づく生成AI分類機能なら日本語特有の「主語の無い表現」なども自動判定をすることができます。
更に生成AIを用いて「問合せカテゴリ」分類に留まらず、「問合せ意図」まで明らかにする粒度で、分類軸を整理することによってその後のVoCを基にした具体的なアクションにつなげやすくなります。
<AI自動分類が解決するお悩み>
■架電/受電時にオペレーターが内容を元にカテゴリフラグを立てているが入力間違いなど人的ミスがある
■Excelなどで内容を後から目検チェックし、カテゴリフラグを立てているため工数負荷がかかっている
■「問合せカテゴリ」分類は実施しているものの、粒度が荒く具体的なアクションに繋がるヒントを得づらい
上記のようなお悩みもAI自動分類機能をご活用いただくことで解決が可能です。また、要約機能と同時に分類の仕分け方についてもプロンプトで指定が可能ですので、オペレーター視点やCS/CX担当者様の視点やこれまでのご経験も踏まえて分類をさせたいカテゴライズをすることができます。
【生成AI機能例2.AIインサイト】
生成AIがデータを読み解き、対話をしながら深堀分析することで示唆の導出~アイデア発想までを支援いたします。
<AIインサイトが解決するお悩み>
■報告会議の直前など、内容を分析し傾向を把握したいが時間が限られているタイミングでAIに質問を投げるだけで効率的に分析
■分析結果から示唆を導き出し、そこから次アクションのためのヒントを捉えたいがうまくいかない時に改善施策案までセットでコメント生成
上記のようなお悩みもAIインサイト機能をご活用いただくことで解決が可能です。また、7つの鉄板的に質問文についてはプリセットされておりますため、1クリックの操作で内容の傾向把握が可能です。もちろんセットされた7つ以外の質問を投げたい際にはチャット形式で自由にご質問を入力いただければAIによる分析結果が返ってきます。
直近では、多くの方々が業務の一旦でご利用されることも多いchatGPTやコパイロットと同じく、チャット画面上で質問を投げるだけで様々な示唆が得られる機能です。
某メーカー様でのコールログ活用事例
【活用事例1.某食品メーカー様】 目的:商品・サービスの改善
<現場担当者が知りたいこと>
■最近、自社商品ラインナップのなかで、「らっきょう」に関する問い合わせが増えている気がする。その理由を知りたい。
■「どのような問い合わせが増えたのか」ではなく、「問い合わせが増えた背景や改善のヒント」を得たい。
<「顧客の声」分析から分かったこと>
■顧客の声を分析する観点は主に2点あり「商品の持つ要素の分解」「分解した要素に対しての言及の分類」となります。2つの要素を掛け合わせ、どのような問い合わせが増加しているのかを把握し、内容の深堀を行います。
■今回の例だと、「蓋」が商品の持つ要素、「硬くてあかない」が要素に対しての言及にあたります。
要素と要素に対しての言及を掛け合わせることにより、「蓋が硬くてあかない」問い合わせが増加していることを掴むことが可能となります。問い合わせ内容の深堀を行うことにより「夏になってカレーを食べたくなり久しぶりに冷蔵庫から『らっきょの瓶』を取り出すと瓶が冷えて蓋があかない」という問い合わせの背景となる実際の利用シーンに辿り着くことができます。
<現場担当者の具体的なアクション>
■冷蔵庫で冷えても硬くならない「蓋」と「瓶」を特徴としている容器メーカーを探すといった改善につながります。
【活用事例2.某架電メーカー様】 目的:販促施策・キャンペーンのアイデア創出~効果測定
<現場担当者が知りたいこと>
■「掃除機」の新商品について「吸引力」を強調したテレビCMを放映中。
■ネット(SNS)では出演者に対するネガティブな意見が出ているが、コールセンターに寄せられる声は悪い感触ではない。実際のところと、その理由を知りたい。
■プロモーションの担当者は最終的に今後のプロモーションに活かすために、今回の企画の良い点・悪い点を把握したい。
<「顧客の声」から分かったこと>
■今回のCMで特に訴求した「吸引力」を含む訴求要素を分解し、それぞれの要素に対して具体的にどのような言及があるのかを見ることによりポジティブに評価された点、ネガティブに評価された点を可視化。
■「吸引力」関連の問い合わせが増加しており、新商品の訴求が出来ていることが分かります。一方で従来評価されていた「ごみの捨てやすさ」が損なわれていないかという問い合わせも増えていました。
<現場担当者の具体的なアクション>
■次回CMへ「ごみ捨てシーン」を組み込む。また「ごみ捨て」についての説明文の追加や、WEBサイトへの誘導強化といった施策を検討できます。
CS/CXを社内推進していくための3つのポイント
【①社内関連部門を見方につける】
■VOC活動での登場人物として大きく分けると、“顧客接点部門”と“情報活用部門”に分かれます。その両部門のやる気のバランスを取らなければ、最終的なVOC活用には繋がりません。
“顧客接点部門”を味方につけるために、顧客接点情報から知りたいことを徹底的にヒアリングしましょう。
「新製品への反応をコールログから分析したい」「サービスの改善ポイント優先度を決める参考にしたい」など、何を知りたいのかをまとめることで、整理する情報を明確化し、より具体的なアクションに繋げることができます。
ここで、「全社視点」「職能視点」「個人視点」を満遍なく持ち、ダッシュボードにも反映しましょう。
そうすることで、各部門が「追加の分析」「読み解き」ではなく「活用」に向けてリソースを割くことができるようになります。
【②“顧客接点部門”と“情報活用部門”を繋ぐ】
VOCを全社的に活用するには、部門間の連携が不可欠です。そのためには、目的を両部門が共有していることが重要となります。
分析・活用の視点から逆算して、まずは“顧客接点部門”に「意識して入力して欲しいポイント」をリクエストするとよいでしょう。
【③定期的に成果測定を行い、軌道修正を続ける】
CS/CX推進活動のおける“顧客”は社内関連部門メンバーとも言えます。そのため、社内関連部門のニーズをつかみ続けることが大切です。共有して終わりではなく、閲覧者へのアンケートやコメントなどのコミュニケーションから、定期的な改善検討を進め、図のような「CS/CX活動における啓蒙・改善サイクル」を回していきましょう。
まとめ
本記事では、採用企業の活用事例と生成AIを用いた最新の分析手法をお伝えしました。
「CS/CX推進しろと言われても他社がどうしているのかわからない」
「自社に合った進め方や、分析方法がわからない」
など、CS/CX推進をする担当者が抱く疑問を解決する記事になっていれば幸いです。
多くの企業が取り組んでいるテキストマイニングツールを活用したVOC分析について、本記事の前半で他社事例をご紹介しましたが、まだまだたくさんの業種・目的の実例のご用意がございます。「他社の事例をもっと知りたい」という場合は、お気軽にお問い合わせください。
▼見える化エンジン資料請求フォーム
https://form.pa-consul.co.jp/cre/?enq=7yOCh7S2Eu0%3d
▼見える化エンジン新機能資料請求フォーム(生成AIインサイト)
https://form.pa-consul.co.jp/cre/Enquete/Question?enq=MLhn1t0F%2By4%3D
執筆者紹介
マーケティングソリューション本部 本部長
東海大学工学部卒業後、AI系スタートアップ企業勤務を経てプラスアルファ・コンサルティングに入社。
テキストマイニング、FAQ、CRM、タレントマネジメントの各領域における営業・マーケティングを経験すると共に、大阪支社の責任者として、全てのソリューションの多種多様なプロジェクトに携わる。
2019年 執行役員に就任。
現在は、見える化エンジン事業部の事業部長として、営業・開発・コンサルティングの組織運営から、先進企業の「顧客の声活用の仕組み構築」を目指したコンサルティングプロジェクトの提案、新技術の活用推進、新サービス企画まで、ビッグデータの見える化による、本質的なデータ活用による社会変革を目指し、日々、積極的に活動している。
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