高まるCRMシステムの重要性とは?
コンタクトセンターに与える3つの価値(後編)

   

現在のビジネス環境では、企業と顧客の関係を適切に管理運用していくことが大変重要です。特にコンタクトセンターは、顧客との直接的かつ濃密な接点であり、顧客満足や企業価値に影響を与える重要な役割を担っています。顧客関係管理(CRM)システムは、それらを適切に管理運用していくための不可欠なツールであり、近年益々重要になっています。
CRMシステムの重要性は、大別すると3つの視点から整理することができます。

    • エンドユーザー視点、顧客体験(CX)価値の最大化(前編はこちら
    • サポート提供者視点、コンタクトセンター運用、オペレーションへの貢献
      (中編はこちら
    • 企業経営者視点、ビジネスあるいは事業組織への寄与

本シリーズでは、3つの視点それぞれに影響する要素を整理し、詳しく掘り下げて解説します。今回の後編では、「企業経営者視点、ビジネスあるいは事業組織への寄与 」についてまとめます。

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高まるCRMシステムの重要性とは?コンタクトセンターに与える3つの価値(後編)

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経営貢献とプロフィットセンター化

CRMシステムの導入は、長期的なコスト削減と投資利益率(ROI)を高め、コストセンターからプロフィットセンターへの進歩に貢献します。CRMシステムの影響は、業務プロセスの自動化や効率化、オペレーター作業負担の軽減、人件費抑制、重複、不効率業務の減少、リソースの最適化等々、多岐に渡ります。また、顧客へのコンタクトセンターの提供価値が高まる結果、顧客の獲得、継続、囲い込み等に直接間接的にも好循環を生み、事業収益への貢献も可能となります。CRMシステムの投資と導入、効果的な活用は、単なるコスト削減のみならず、にとどまらず、企業にとって高いROIと業績向上にも寄与します。

■顧客のライフタイムバリュー最大化と離脱防止理

CRMシステムを活用することで、顧客のライフタイムバリュー(LTV)の最大化を促すことができます。顧客を知り、理解し、それらに基づいた戦略やコミュニケーション展開は、顧客との長期的関係を構築し、クロス、アップセルにも影響を及ぼし、結果としてLTVを高めます。また、顧客の離脱を防止するための戦略や実行プランにもCRMシステムは有益です。サポートへの問い合わせ増加、コールリーズンの変化等、顧客の兆候を早期に検知し、手を打つ道標にCRMのデータは欠かせません。顧客の離脱防止、顧客リテンション率の改善は、事業の中長期的な収益安定化に寄与します。

■顧客ロイヤルティとエンゲージメント施策への成果最大化

CRMシステムは、顧客ロイヤルティを高め、エンゲージメントを強化するプログラムや施策の最大化を引き出すことができます。CRMデータをもとにした、個客に最適な施策やサービス提供、最大限に製品サービスを享受できるように取り組まれるコンテンツやプログラムの提供を可能にします。CRMシステムは、顧客ロイヤルティ、顧客教育、エンゲージメントといった様々な関係性の向上、信頼構築に役立ちます。

■顧客の声を反映した意思決定、経営戦略、イノベーションへの支援

CRMシステムの導入は、顧客の声(VOC)入手を容易にし、顧客データの分析を推進します。VOCは顧客情報のみならず、行動パターンやトレンド、評価フィードバック、顕在、潜在的ニーズを掴む重要な要素です。VOCデータはコンタクトセンターのオペレーション改善にとどまりません。製品開発、サービス改善、セールスからマーケティング戦略に至るまで利活用の幅は広く、またVOCデータに基づく的確な意思決定、経営戦略の策定におけるインプットにもなり得ます。顧客との対話を通じて得られるインサイトは、新しいビジネスチャンスの発見や競合他社との差別化を図るアイデアなどイノベーションの源泉としても活かすことができます。顧客の声をこれらに反映するアプローチは、経営陣は迅速な意思決定を促し、顧客中心の経営を実現し、自社の競争力を高め、持続的な成長を支える基盤となります。

CRMソリューションのご紹介
コンタクトセンターにおけるCRMシステムの重要性とは?

クロスファンクショナルな組織醸成

CRMシステムは、クロスファンクショナルなコラボレーション(部門横断的な連携と活動)を促進します。営業、マーケティング、サポートなど、各部門が同じ顧客情報にアクセスしデータを元にして客観的に顧客理解や洞察を深めることができるため、情報共有がスムーズに行われ、両者の関係性を良好にし、連携が強化されます。組織内において顧客を中心に据えた横断連携は、中長期的な企業の総合力を高める重要な要素です。

■マーケティング戦略の最適化

CRMシステムは、顧客データの活用とマーケティングを最適化する上でも強力な支援が可能なツールです。顧客の行動パターンや興味関心を分析することで、より効果的なマーケティングキャンペーンを展開することができます。情報過多の現在においてパーソナライズ(個々人への最適化)は重要なキーワードです。CRMデータをモニタリングし、必要に応じてマーケティング活動を調整することでプロモーションのROIを最大化も望めます。

■顧客セグメンテーションの高度化

CRMシステムは、顧客セグメンテーションを高度化するためのツールとしても活用できます。CRMシステムを通じて顧客データの詳細な分析、顧客の特性や行動パターンに基づいたセグメント、細分化を可能とします。各セグメントの高解像度化は、顧客へのパーソナライズ、ターゲティングの精密化を促し、施策実行の結果としてロイヤルティ、エンゲージメントの向上、新規既存を問わず成約や契約増加、アップクロスセルの醸成、サービスの高付加価値化など、事業全体に様々な効果を与えます。

■製品サービスへのフィードバック活用

CRMシステムの活用は、顧客フィードバックの効率的な収集と分析を促し、サービス改善や製品開発への反映を実現できます。CSアンケートや市場調査だけではなく、VOCデータも取り込むことで顧客理解の解像度を高めることができます。これらの取り組みは製品サービスの品質向上だけではなく、企業に対する顧客からの信頼性向上にも貢献します。

■顧客中心文化の醸成

CRMシステムの導入は、企業内での顧客中心の文化の醸成にも寄与します。すべての顧客データが統合され、全社的にアクセス可能になることで、社員は顧客の視点から物事を捉え、顧客のニーズや期待に応じた行動を取ることができるようになります。これにより、企業全体で顧客中心の文化が根付くことが期待されます。顧客中心の文化は、長期的な企業の成功につながります。

統合管理による事業の強靭化

CRMシステムは、そのソリューションの性質上、いわゆるお客さま情報の集約基盤、顧客データの格納庫としての機能を有します。前二項にあるようなプロフィット視点だけでなく、事業の根幹を保全する土台の役割も担うと言えます。より安全でレジリエンスな事業環境の構築にCRMシステムは寄与します。

■法令遵守とセキュリティ

CRMシステムは、顧客情報の管理に関する法令遵守を支援します。特に、データ保護規則(欧州連合のGDPRなど)に対応するための機能を備えたCRMシステムを導入することは、顧客情報の漏洩や不正アクセスを未然に防ぐ防壁になります。適切なアクセス権限の管理やデータ暗号化、監査ログの保持などのセキュリティ対策が徹底されているCRMシステムは、企業の信頼性を高めるだけでなく、法的リスクを軽減するためにも重要です。コンプライアンスを強化することで、顧客の信頼を獲得し、企業のブランド価値を向上させることができます。

■マルチロケーションの統合管理

企業は、複数のロケーションでコンタクトセンターを運営することもあります。CRMシステムは、これらの異なるロケーションを統合的に管理するための強力な手段となります。各拠点のデータを一元化し、統一されたプロセスと標準を適用することで、全体の運営効率を高めることができます。また、各拠点のパフォーマンスをモニタリングすることで、各地のオペレーションの平準化を促し、迅速な意思決定を行うことも可能です。マルチロケーションの統合管理は、昨今グローバル企業にとっても特に重要な課題であり、CRMシステムの導入により大きなメリットを得ています。

■パートナーシップの管理

CRMシステムは、企業とパートナーとの関係管理にも役立ちます。パートナーシップの履歴や契約情報、共同プロジェクトの進捗状況を一元管理することで、パートナーシップの効果を最大限に引き出すことができます。パートナーとのコミュニケーションを円滑にし、パートナーシップの管理をCRMシステムが担うことで、企業の成長を支える重要なリソースを最大限に活かすことができます。

まとめ

後編は企業経営者視点、ビジネスあるいは事業組織への寄与についてまとめました。CRMシステムはコンタクトセンターの運用システムという観点を超えて、事業戦略上においても重要なポジションになりつつもあります。顧客と企業の関係は一層多様化、マルチチャネル化し、事業環境もより複雑で、難度も高くなっていく中、CRMシステムの担う範囲や影響は今後も広くなっていくことが考えられるでしょう。


テクマトリックス株式会社では、国産CRMシステム提供ベンダーとして30年余りのCRMシステム提供実績から見えた豊富な経験を元に、WEBでも情報提供を行っています。
近年はボイスボットチャットボット、生成AIなどデジタルコミュニケーション全般にもソリューション領域を拡張し、システム提供をしていますが、CRMシステムの利活用最大化を目指す具体例やケース、情報をキャッチされたい際は、あわせてコチラもご覧いただければ幸いです。

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執筆者紹介

早見 拓也 氏
早見 拓也 氏
テクマトリックス株式会社
CRMソリューション事業部 CRMソリューション推進部マーケティング課
大手コールセンターアウトソーサーにて応対品質調査、サービス開発を経験。その後FAQソリューションベンダーにてシステム導入支援、カスタマーサクセスに従事。現在テクマトリックス株式会社にて、マーケティング課に従事。ナレッジマネジメントの伝道師として各種セミナー講師の活動も行う。
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