メールでの対応業務を効率化するポイント

 2024.12.24 2023.07.03

コンタクトセンターにおける顧客対応の窓口は、電話、チャット、メールなど多様な方法で運営されています。WEBサイトのフォームを経由した顧客からのお問い合わせも、メールで回答することが主体となります。本記事では、効率的なメール対応業務の運用、およびミスを抑制するためのルール設計など、重要なポイントについて解説します。

メール対応業務を効率化するポイント

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メール業務の運用設計ポイント

顧客対応をメールで行う場合、メールアドレスに直接顧客がメールを送る方法と、問い合わせフォームを経由する方法の2種類が考えられます。
運用の設計は、まず必要な項目をもれなく聴取できるようにすることが重要です。
また、複数の担当者で行う場合、重複対応、品質のばらつき、対応漏れが発生しないようにすることにも注意が必要です。

以下に、運用設計におけるポイントを記載しますので、これから設計する担当者の方、および実施業務の見直しの必要性がある方の参考になれば幸いです。

①必須項目の聴取について

契約状況や注文内容の確認が必要な場合や、対象製品の詳細確認が必要な場合など、顧客から聴取しなければならない事項は、問い合わせ内容によって異なり多岐に渡ります。

問い合わせフォームの場合、顧客の目的ごとの必須項目を設定しておくことで、聴取漏れは抑止が可能です。一方、メールアドレス宛に直接問い合わせの場合は、顧客側の任意の内容が記載されているため、まずは初回の返信で必要項目を伝達し、回答を促すやり取りが発生します。
任意の内容から顧客の目的を読み取り、なるべく少ない往復で必要事項を聴取していくスキルが、担当者には求められます。

②複数担当者運用の注意点

顧客からのメール問い合わせ対応は、営業時間や対応量など事情により、複数の担当者での運用を実施することになります。
一度返信をすれば完了するような簡易的な案件以外は、一人の顧客に対して複数担当者が関与する可能性があります。

また、着信順に個人判断で対応を開始すると、運用によっては一件のメールに対し、複数の返信がされてしまう可能性もあり、顧客の混乱を招いてしまいます。
複数人で実施する場合は、案件の共有や着手から完了までのプロセスの整備など、ルール設計が必要です。

③内容チェックの運用について

メール対応のプロセスでは、
1:顧客からの問い合わせ内容を確認
2:必要な事務処理を実施
3:返信メールの内容作成
4:送信し完了
の流れが一般的です。

一人の担当者のみで全てを行うと、対応誤りや誤送信をおこなってしまうリスクがあります。
そのため、3と4のプロセスの間に、対応内容や送信先が正しいかのチェックを、スーパーバイザーなどの別の担当者が行う運用が必要になります。

④品質のばらつきについて

電話対応と同様に、メール業務も生産性の管理が求められます。また、顧客ごとにあわせた内容の作成が必要な場合、個々の文章作成のスキル向上も必要な要素になります。

担当者間のスキルのばらつきを防ぎ、生産性も担保・向上していくためには、テンプレートやナレッジの整備が重要です。

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メール業務のテンプレート、ナレッジ管理について

電話対応業務においても、対応履歴を記録するためにテンプレートの用意を行いますが、メール業務では顧客へ連絡する内容がテキストのため、テンプレートの充実性が非常に重要です。
では、多種多様なテンプレートやナレッジを、どのように管理していけばいいのか。
以下にポイントをまとめます。

①カテゴリー分類を行う

顧客への返信にあたり「正しいテンプレートにすぐにたどりつけるか」が、メール業務の生産性に大きく影響します。
カテゴリーごとに分類し、フォルダ管理を行うことで、内容を確認して使用を判断する工数が削減できます。
また、対象のフォルダが検索しやすいように、インデックスをつけた管理をおこなうとよいでしょう。
対応履歴を残す運用の場合は、登録ルールとインデックスをリンクさせた仕様にすると後処理で迷うことを防げます。

②更新・新規作成のルールを決める

社内の運用ルールが変更になった場合や、サービス仕様の改定時は、テンプレートの内容を変更する必要があります。
更新のためのルールがない場合、作業漏れや更新誤りなどのミスが発生しやすくなります。あらかじめ内容チェックまで含めたルールを整備しておくとよいでしょう。

また、新しいサービスのリリース時や、一時的な需要に対応する時などは、新規でテンプレートの作成が必要になります。
作成から内容のチェック、展開までのプロセスを整備しておくことが、迅速な対応につながります。

なお、テンプレートは実際に顧客対応に使用する前に、内部で責任者が承認する運用をとることも重要です。承認のルールも決めておきましょう。

③ナレッジ共有の環境を作る

メール業務でもナレッジや内部FAQの蓄積、管理は重要です。
顧客が問い合わせをしてくる時は、不明点や不安、解決できない困ったことがおきていることが大半です。

特にメール業務は顧客とのやり取りに時間がかかり、タイムリーな解決にならない可能性もあります。
なるべく少ないやり取りで、顧客のストレスを軽減することが、満足度に影響します。
スムーズに完結させるためには、内部でうまくいった事例をナレッジとして共有することで、テンプレートの改善やサービス内容の見直しなどにつながります。

また、内部FAQを充実させることで、品質のばらつきを軽減することが出来ます。
ナレッジ共有からFAQ改善の流れを作り、常にPDCAサイクルを実践できるコンタクトセンターを目指しましょう。

メール業務のツール選定について

メールの送受信が可能なアプリケーションは多種多様にありますが、その中でも顧客からの問い合わせ対応に使用する、コンタクトセンター運用のツールにはどのような機能が必要でしょうか。

以下は、ツール選定の際に、まず検討すべき、必須の機能要件です。

  • 一元管理で送受信ともに行うことができる
  • 進捗状況が確認できる
  • 担当者の割り当てができる
  • 問い合わせのカテゴリー分類ができる
  • 問い合わせ内容を検索できる
  • テンプレート機能がある

また、以下は効率的に運用するために導入を検討したい、メール業務に適した機能です。

  • エスカレーション機能がある
  • 処理について指示や質問するコメント欄がある
  • 管理者承認の機能がある
  • 日次、月次の対応件数やカテゴリーごとの集計、ダウンロード機能がある
  • 担当者ごとの対応件数が確認できる
  • 担当者ごとの差戻し件数など、ミスの確認ができる
  • 同じ顧客のメールを紐づけ管理できる

選定時の比較ポイント

必要な機能が決まったら、導入ツールの検討に入ると思いますが、価格以外にも比較検討時に注意したいポイントが3点あります。

  1. 設計が視覚的でわかりやすいこと
  2. 管理画面の動作がしやすいこと
  3. プロダクトベンダーのサポートが手厚いこと

設計の仕方や管理画面の操作は、選定時にデモ画面での紹介や、お試し期間などを活用して実際の運用担当者が確認すべき点です。
また、サポートについては依頼事項によってはオプションの場合もありますので、事前に対応範囲を確認しておく必要があります。

サービス価格のみで導入を決定してしまうと、管理画面の仕様によっては不便さを感じたり、必要な集計結果が得られないという可能性もあります。
数社のサービス内容を、実際の運用イメージから比較するとよいでしょう。

CRMシステムの導入について

社内の他システムとの連携などが必要な業務の場合は、メールツールのみの独立した運用ではなく、ナレッジ含めて総合的に管理できるCRMシステムの導入を検討したほうがいいでしょう。

CRMシステムであれば、電話・メール・チャットなどのそれぞれの窓口ごとの運用にならず、一元的な管理が可能になります。
顧客が複数の問い合わせ方法を使用することもあり、ナレッジの共有やVOC活用などの観点からも、対応履歴の一元管理はコンタクトセンター運営の中で重要な立ち位置になっています。

顧客接点もデジタル化が加速していく中、メールのみではなくチャットでの問い合わせ対応も増えていくことでしょう。
顧客の自己解決を促すことで、コンタクトセンターの運営を効率化していくことは、ロイヤリティの高い顧客に、より親身になれるリソースを生むことでもあります。
CRMシステムの導入・リプレースを検討することも一考の価値があると考えます。

まとめ

今回、メール業務の効率化をポイントに解説をいたしました。
メール問い合わせの顧客は、インターネットを利用することが可能な環境にあります。
問い合わせ内容には、顧客向けFAQや、WEB上の導線設計の見直しなどにもつながるキーワードが含まれています。

コンタクトセンターのメール業務も、返信対応をして完了というプロセスのみではなく、リーズン分析して改善に活用する、という道筋を検討していく段階にあると言えるのではないでしょうか。
本記事が、検討と情報収集のきっかけになれば幸いです。

執筆者紹介

西川 由美
西川 由美
ベルシステム24入社後、13年間のオペレーション管理者を経験。通販、カスタマーサポート、金融システムヘルプデスク、自動車メーカーなど業界範囲は多岐に渡り、2011年には新規事業として在宅コールセンターの立ち上げを実施。業界でいち早く遠隔マネジメントの手法を確立した。ソリューション分野では、コンタクトセンター向けPBX、音声認識、自動化ソリューションなどOP経験を活かし幅広く課題や状況にあわせた提案営業を行っている。
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