BPRによる抜本的な業務改革で見える未来の姿

 2024.12.27 2024.06.12

BPRとは、業務プロセス全体を可視化し、抜本的な見直しと再構築を行うことです。生産性向上のほか、作業の属人化の解消、サービス・従業員満足度の向上、意思決定の迅速化など、さまざまなメリットをもたらします。少子高齢化に伴う労働人口減少や、働き方改革・DX推進が話題となっていることから、業務を抜本的に見直す必要性が高まっていることで近年BPRが再注目されております。

この記事では、BPRの基本的な考え方や手法に加え、業務プロセスの再構築における重要なポイントついて解説します。

BPRによる抜本的な業務改革で見える未来の姿

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BPRと業務改善の違い

BPRとは、Business Process Re-engineeringの略になります。日本語で業務改革のことです。
一般的な業務改善との違いはなにか?それは、業務改善は「現行運用をベースにしてプロセスを修正していく」ボトムアップ型の改善であるのに対して、 BPRは「あるべき姿から、業務を「0」ベースで見直し、業務プロセスを再設計」しトップダウン型式であるべき姿からアプローチしていくことにあります。BPRは企業理念や経営理念といった、具現化すべき価値に基づいてあるべき姿を設定していきます。今の現行の運用、現状の課題に立脚して方法論を語るものではないことに注意が必要です。

業務改善は、業務の一部について、既存の組織体制、業務プロセスの範囲内で部分的に改善を行うことが大半となります。具体的には、社内で保有する顧客情報を効率的に共有するために、営業部門やお客さまサポートのセンターなどで使用するシステムの入れ替えや統合を検討する、などが該当します。
一方、BPRは、既存の組織体制や業務プロセスに捉われず、業務全体を根本的に見直すことを指します。具体的には、顧客満足度向上のために、全社的な組織体制やワークフローを見直す、などが該当します。

昨今BPRが注目されている背景として、業務の効率化を目指したDX推進における業務プロセスの見直しに加え、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少を見据えた生産性の向上、という課題もあります。
経済産業省の発表によると、2050年には日本の人口は1億人を下回り、生産年齢人口比率は、ピーク時の約50%にまで落ち込むことが予測されています。生産年齢人口が減少していく中、今までと同じプロセスでビジネスを展開していては、業績縮小は避けられません。
さらに、グローバル化の影響によって、今後も競争が激化していくことが予想されるため、組織構成や社内制度、業務プロセスの抜本的な改革が求められています。

人員配置の最適化を図るために「従業員をコア業務に注力させたい」という課題に対して「システムやツールの導入」によるDX推進を検討したとしても、そもそも業務プロセスに課題や見直すべき点があった場合、既存プロセスをもとにしたシステム導入では根本的な解決とはならないこともあります。
生産年齢人口の減少によって年々減少する人的リソースをシステムやツールの導入で効率化を図って補うDXの推進においてもBPRが有用な手段であり、BPRの手法に沿って従来の業務プロセスを見直すことで、抜本的な業務プロセスの改革と有効なDX推進による業務の効率化に繋がるものとなります。

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BPRがもたらすメリット

BPRは既存の組織体制や業務プロセスに捉われず、業務全体を根本的に見直すこと、トップダウン型式であるべき姿からアプローチしていくことが業務改善との大きな違いです。少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少、グローバル化に伴う競争の激化が予想される昨今の状況に対して、その影響を補うためのDX推進などに有用な手段となるのがBPRです。
では具体的にBPRによってどのようなメリットがもたらされるのでしょうか。

BPRによるメリットはいくつか挙げられますが代表的なメリットとして以下の5点が考えられます。

  1. 業務フローの可視化と最適化
  2. 業務効率化による生産性の向上
  3. コスト削減、最適化
  4. 従業員満足度の向上
  5. 業務の属人化の防止

①業務フローの可視化と最適化

BPRでは、業務プロセスを詳細に分析し、可視化する作業を行うことから始めます。このプロセスによって、組織内の業務がどのように遂行されているか、どこのステップで遅延や無駄、重複が発生しているかが明確になります。

業務フローの可視化により、業務における課題が洗い出され、効率化による作業時間やリソースの最適化が実現可能となります。さらに、業務プロセスの最適化は意思決定のスピード向上にも繋がります。情報の流れがスムーズになり、組織はより迅速かつ正確な意思決定を行うことができるようになります。

②業務効率化による生産性の向上

BPRによって既存の業務プロセスが効率的なプロセスに再設計され、無駄な手順や遅延、重複を削減できるため、従業員は今までと同じ時間内でより多くの業務を処理できるようになります。業務プロセスの最適化により、従業員の仕事がスムーズに進行し、ミス、やり直しのリスクも低減されます。

また、BPRによってデジタル技術の活用が促進され、業務の自動化に作業の削減やシームレスな情報共有によって作業効率も向上します。これにより、作業が迅速化し、意思決定プロセスもスピードアップします。BPRで組織の業務プロセスを抜本的に見直し改善することで、生産性の向上が期待できます。

③コスト削減、最適化

BPRでは、業務プロセス全体を詳細に分析することで、無駄な手順や重複している作業を特定することができます。作業にかかる時間とリソースが削減されれば、人件費などのコスト削減も実現可能です。また、業務プロセスの最適化により、現状のリソース(人員、設備、資産)を効果的に活用することでコストの最適化を図ることができます。

同じリソースでより多くの業務を処理できるようになることで、コスト削減に繋がると考えられます。さらに、適切な在庫管理や生産プロセスの改善によって、在庫の余剰コストや保管に伴うコストの削減も可能となるでしょう。

④従業員満足度の向上

業務プロセスが見直されることで、無駄な作業、重複した作業が削減できます。従業員はよりスムーズに業務を遂行でき、ストレスも軽減されることが期待できます。また、業務の効率化により、従業員は時間と労力をコア業務に集中でき、仕事へのモチベーションも向上することでしょう。

BPRによる業務効率化は残業時間の削減にもつながり、従業員のワークライフバランスを向上させることにも期待できます。仕事とプライベートの両立によって従業員の満足度が向上していくことが考えられます。

従業員の満足度の向上は、従業員の定着率、生産性、品質向上をもたらし、企業にとっても競争力の強化に繋がります。

⑤業務の属人化の防止

BPRで業務プロセスを再構築して業務改革を行うことにより、業務の属人化を防ぐこともできます。業務が属人化している状態では、担当者が不在時に業務が滞る、担当者が退職することによって業務の実施が困難になるなどのリスクがあります。

業務プロセスを可視化して再構築し、再構築されたプロセスに沿ったマニュアルなどを作成することで、全ての従業員が業務を実施できる体制を整え、属人化によるリスクに対応することができます。

抜本的な業務改革に導くBPRの手法

BPRによって業務プロセスが可視化されることで作業の無駄や重複などが把握でき、それらを解消する業務プロセスの改革を行うことで生産性の向上、コスト削減など様々なメリットがもたらされることをご理解いただけたと思います。
しかしながら、BPRには、手間とコストがかかる側面があります。まず、BPRはプロジェクト体制で行う必要があり、計画と実行には時間と労力、複数の人的リソースが必要です。プロセスの再設計、再設計における新しいシステムやツールの導入、従業員への研修などに多くの労力、それに伴うコストを投入する必要があります。さらに、業務プロセスの改革によって従業員は変化への適応を求められますので、抵抗感や不安を生じさせないための適切な対応も必要となります。従業員全体への周知による理解浸透、サポート体制の構築など、全社的な活動として取り組むことが重要です。
ここからはBPRを実現する具体的な手法について解説していきます。

BPRを実現するための手法は大きく二つのステップに分かれます。一つは業務を可視化して現状分析を行い、課題を抽出、 そして再設計に向けたプランを策定するまで、もう一つは再設計に向けたプランに基づき、業務の再設計と導入、実行を行う、となります。
これらの手順をプロジェクト体制で進めていく必要があります。

進めていくうえで重要となるのが、目的を明確にすること、なぜこれをやる必要があるのか、その目的やゴールをしっかり共通認識とすることです。さらに目的を明確にして、変革することの意義をメンバーにしっかりと落とし込むことも必要です。BPRをプロジェクト体制で実現するためにはトップが変革に向けたメッセージを発して、意識の統一、ベクトルを合わせることを怠ってはなりません。トップが強力なイニシアチブで業務改革をリードしていくことを意識しましょう。

また、業務の現状とあるべき姿のGAPから課題を抽出し、プランを策定するためには、「業務全体の可視化」が必要になります。初期のこのプロセスの成否がBPRの実現成否を左右すると言っても過言ではなく、最も時間と労力を費やす必要がある工程でもあります。
この工程においては偏った解釈をしないことが必要であり、第三者視点で俯瞰して業務プロセスを可視化するスキルとノウハウ、その可視化作業に伴う膨大な工数を捻出できるキャパシティーを確保できる、講じる手段が業務の効率化や工数削減に繋がるものであるかの仮設立案・検証を行うための実績や経験も必要となり、プロジェクト体制を構築するうえでメンバーをアサインする際にも留意が必要です。

BPRで失敗しないために

BPRの実現成否を左右する要素として「業務全体の可視化」があります。この可視化の作業においては最も時間と労力を費やす必要があり、かつ第三者視点で俯瞰して業務プロセスを可視化するスキルとノウハウ、講じる手段が業務の効率化や工数削減に繋がるものであるかの仮設立案・検証を行うための実績や経験もある人材のアサインが重要なポイントとなります。
BPRで失敗しないためにも豊富な経験と実績を有した専門のベンダーに依頼することも一つの手段です。

BPRによる「業務改革」を支援するBPRコンサルティングサービスを株式会社ベルシステム24が提供しております。株式会社ベルシステム24が提供するBPRコンサルティングサービスは1,300社以上の顧客のコンタクトセンターや営業代行、事務処理などのBPOサービスを手掛ける中で蓄積したノウハウやフレームワークを応用した、業務プロセスの変革を企画・実行するサービスです。企画だけではなく、実行まで網羅しているため、業務プロセスの可視化からプラン策定に留まらず、継続的な業務プロセスの見直しを行うことができます。

株式会社ベルシステム24が提供するBPRコンサルティングサービスは業務の細部まで徹底的に可視化し、抜本的に見直して再設計をおこなっていきます。これに独自のビジネス・業務・要員視点でのBPRフレームワークを掛け合わせることで、実現性の高い具体的な最適化プランの提案と実行が可能となっています。100名以上のBPRスキルを持つ専門コンサルタントを有し、長年アウトソーシング領域を担ってきた業務運営視点での可視化と再設計・打ち手の提案がサービスの強みでもあり、特徴となっています。

BPRで失敗しないために01

具体的なプロジェクトの進め方としてクライアントと協議を重ね、目的の明確化や進め方などの計画策定が行われます。
関わる組織の全員を対象としてプロジェクトのキックオフも行い(下図※1参照)、この取り組みの目的や必要性を全員で理解し、意識や方向性を揃えること、 また、自分たちの働き方がどのように変わるのか、どのように改善されていくのか、組織の全員にモチベーションを持って取り組んでもらえるように、組織長からのメッセージを漏れなく伝えるための支援も充実しています。
さらに専門のコンサルタントが実務の現場に入り、クライアントのニーズに合わせて、現状分析から課題抽出、 最適化プランの策定までを順番に進めていきます。 現状分析では、今ある資料やデータ類を提供することで業務のアウトラインから業務可視化が進められていきます。
加えて、実務担当者へのインタビューやモニタリングで、より精度の高い情報を収集して整理がされていきます。 また、プランの策定では課題の優先順位などを設定し、クライアントとの議論を重ねながらグランドデザインを描き、そこに到達するためのロードマップをまとめていきます。作業は委託しながらも、クライアント主体でプロジェクトを進めていくことができるのも特徴です。なお、BPOで培ったノウハウを最大限に活かして設計・構築、実行まで一気通貫で対応することが可能となっていることがコンサルティングサービスだけに留まらない優位な点です。

BPRで失敗しないために02

BPRのプロジェクト体制の構築や実行するメンバーのアサインに不安がある場合は、専門のベンダーにお任せすることで自社のBPRを失敗せずに実現させることができるでしょう。

まとめ

BPRは従来の業務プロセスの課題を抽出し、業務プロセスの課題に関わるものを再構築していくという考え方で、生産性向上やコスト削減などのメリットをもたらします。
しかしながら、実現するためには「業務全体の可視化」を怠らないことが重要であり、そのためには第三者視点で俯瞰して業務プロセスを可視化するスキルとノウハウ、講じる手段が業務の効率化や工数削減に繋がるものであるかの仮設立案・検証を行うための実績や経験もある人材のアサインが重要なポイントとなります。
BPRで失敗しないために100名以上のBPRスキルを持つ専門コンサルタントを有し、長年のアウトソーシング領域で担ってきた業務運営視点での可視化と再設計・打ち手の提案がサービスの強みとなっている株式会社ベルシステム24が提供するBPRコンサルティングサービスを活用することをおすすめします。

執筆者紹介

菊池 英明
菊池 英明

ベルシステム24入社後、通信系クライアントのオペレーション部門にてカスタマーサポート部門のマネージメントを約13年経験。
その後BPR担当部門に異動し、過去の豊富なオペレーション経験を活かし通信系をはじめとした様々なクライアントにおけるBPR業務および業務改革提案を遂行。
直近ではコールセンターだけではなく、営業部門・企画部門におけるBPR案件を数多く対応。
現在は本部内におけるBPR担当部門のマネージャーとしてプロジェクトの全体統括・管理を行っている。
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