コンタクトセンターのトレンド最前線|市場動向や
技術・製品を紹介

 2020.08.21  2023.11.17

企業と顧客をつなぐコンタクトセンターには、顧客満足度や自社製品のシェアを高めるという目的があります。キーポイントになるのは、市場のトレンドを把握して自社にフィットする最適なシステムを取り入れることです。本記事では、おさえておくべきコンタクトセンターのトレンドをはじめ、最新技術や具体的な製品について詳しく解説します。

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トレンド1:コンタクトセンターの市場動向

まずは、コンタクトセンターの市場動向について解説します。電話のみの対応だったコールセンターから脱却し、最新技術を取り入れて発展したコンタクトセンターの現状を把握しておきましょう。

① 市場規模の推移

2022年度のテレマーケティング・コールセンター業界の市場規模は約1兆4205億円と報告されました。これは前年度比17%増で、着実に規模が拡大していることを示しています。コンタクトセンターとは、電話のみならず、メール・チャット・SNS等複数のチャネルによって顧客体験価値の向上をめざす、いわばコールセンターの発展型システムです。市場の傾向としては、最新技術を駆使したAIを投入し、いかに効率的な業務を行うかがポイントになりつつあります。これまでは、稼働の安定性や音声の品質を重視したオンプレミス型システムが好まれる傾向にありました。しかし、コロナウィルスの影響で在宅勤務が増えたこともあり、自社内にサーバーシステムを置いて運用するオンプレミスシステム型の需要は減少傾向にあります。対して、ネット環境さえ整っていればどこからでもアクセス可能であり、コスト面でもメリットがあるクラウド型システムに注目が集まっています。コンタクトセンターのオムニチャネル化や効率アップにも効果を発揮するため、トレンドはクラウド型システムに移行し採用率も高まっています。

参照:一般社団法人日本コールセンター協会「2022年度 コールセンター企業 実態調査」

② 注目を集めるクラウド技術

コンタクトセンターシステムには、オンプレミス型システムとクラウド型システムがあります。それぞれにメリット・デメリットがありベンダー間での競争が激化していますが、コンタクトセンター市場のトレンド傾向においては、SaaS型クラウドサービスが優勢です。クラウド型システムは、ネット環境が整っていればすぐに導入可能なため、敷居が低いという点がメリットです。また、月額制や年額制での利用ができるなど、イニシャルコスト面でのメリットもあるため、特に中小企業では積極的な導入がみられます。最近では大企業においても、基幹システムと連携するコンタクトセンターで、クラウド型システムが導入される傾向が高くなっています。クラウド型システムが注目される理由はいくつかあり、以下で詳しく解説します。

理由1: 導入スピード

オンプレミス型システムは、ソフトウェアを自社のサーバーにインストールしてから自社内でシステムを構築する必要があり、サービスが提供できるまでに長くて数ヵ月要します。それに対してクラウド型システムは、システム設計等があらかじめ組み込まれているサービスと契約をして活用するため、インストールやシステム構築の必要がありません。提供業者によって差がありますが、インターネット環境が整っていれば数日で導入が完了し、サービスの提供が可能です。コンタクトセンターは休みなく稼働する必要があるため、システム導入のために長期間サービスを停止する必要がない点もクラウド型システムの強みです。

理由2: BCP対策

BCP(事業継続計画)は、緊急事態発生時の損害を最小限にとどめ、事業継続や早期復旧するための計画で、各企業に対策の実施が求められています。オンプレミス型システムの場合は、様々な制約があり、復旧にある程度の期間が必要です。さらに導入コストやランニングコストの高さも懸念材料となります。それに対してクラウド型システムは、自社のデータがクラウド上で管理されているため災害時でもダメージを受ける可能性が低く、バックアップの確実性が高くなります。サイバー攻撃や不正アクセスなどのリスク対策のため、セキュリティーシステムを自社で構築するとコストが高くなります。しかし、クラウド上でデータが管理されているクラウド型システムなら低コストで安全性を確保できます。総合的にみて運用しやすいという観点から、BCP対策としても優れています。

理由3: コスト削減

オンプレミス型システムは導入コストが高いですが、長期間の運用に関してのランニングコストは安価になる場合もあります。ただし、拠点の変更や追加があった場合にはその都度変更コストが発生するため、一概に安いとは言えません。クラウド型システムは、オンプレミス型システムに比べて導入コストが安いです。また、利用状況に応じて課金が発生する従量課金制なので、無駄なランニングコストの削減が可能であり、トータルコストもオンプレミス型より安価です。

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トレンド2:コンタクトセンターを支える技術

コンタクトセンターは、以下に挙げる様々な技術により成り立っています。

技術① コールセンターシステム

コンタクトセンターシステムの中核を担うのがCTI(Computer Telephony Integration)システムです。これは、コンピュータと電話系の装置(電話機・構内交換機・FAX・モデム等)を連携させて、顧客情報の表示や通話録音を行うシステムです。顧客管理システムとの連携により、オペレーターは顧客の情報を確認しながらの対応が可能になります。通話録音は、顧客とのトラブル回避や新人育成の際に活用できます。

技術② カスタマーサービスプラットフォーム

カスタマーサービスプラットフォームとは、SNSやリアルタイムチャットでの顧客対応・通話内容の録音の共有・通話時間の分析など、カスタマーサービスに関する様々な機能をパッケージ化したシステムです。例えば、製品故障の問い合わせ対応時に対応漏れを防ぐ機能などがあります。多くのカスタマーサービスプラットフォームは、CTIシステムとの統合が可能で、着信時に顧客情報を表示して記録が開始されます。また、カスタマーサービスプラットフォームのコンソールから電話をかけられるので、電話機を使用する必要もなくなります。ベンダーにより搭載されている機能は異なるので、導入時は比較しながら検討するのがおすすめです。

技術③ AI(人工知能)

コンタクトセンター市場では、AI(人工知能)を搭載したシステムの活用に注目が集まっています。SNSの発達に伴い、商品に対する疑問をネット上で解決したいユーザーが増えています。また、電話をかけるのに抵抗を覚える人も増え、従来のコールセンターシステムよりも、マルチチャネルな対応が可能であるコンタクトセンターシステムを選択する企業が増加中です。多様な対応が可能なAI技術には以下のような機能があります。

通話内容のテキスト化

人間の会話を高度なAIは正確に認識可能です。通話内容のテキスト化がもたらす一番のメリットは、従来オペレーターが行っていた作業が大幅に減少する点です。問い合わせの内容をテキストデータ化して記録することで、オペレーターはメモを取ったり内容を聞き返したりする手間が省けます。これにより業務効率が改善し、顧客との対話に集中できるためスムーズな対応につながり、顧客満足度の向上に役立ちます。

自動音声案内

生成AIによるボイスボットの発展により、AIが顧客の発言内容から用件を判断して適切なシステムにつなぐボイスボットの導入が増加傾向にあります。22年度のCCAJ(一般社団法人日本コールセンター協会)の調査において、AIボイスボットに対応している企業は23.5%と報告されています。ボイスボットにより問い合わせ内容のヒアリングが自動化できるので、オペレーターと対話する前に問題が解決するケースもあります。また、よくある質問に対する回答に関しては、設定済みのシナリオで自動回答することも可能です。これによって、オペレーター業務の効率化に役立ちます。顧客側にとっても、自動音声のみで問題が解決したり、電話がつながりにくいストレスから解放されたりする効果が期待できます。

参照:一般社団法人日本コールセンター協会「2022年度 コールセンター企業 実態調査」
参照:営業支援(テレマーケティング・コールセンター)業界 市場規模・動向や企業情報 | NIKKEI COMPASS - 日本経済新聞

オペレーターの補助機能

AIは、オペレーターの補助的な存在としても活躍します。顧客の対応中に適切なFAQ・説明資料・予測回答を提示して、オペレーター業務のスムーズ化を実現可能です。これにより、オペレーターのスキルが向上するだけでなく、研修時間の削減にもつながります。さらに、属人化しやすいオペレーター業務の標準化を促進するため、全オペレーターがベテランと同等レベルの対応をするためのサポートを受けられます。

トレンド3:次世代型コンタクトセンター「BellCloud+」

コンタクトセンター市場におけるトレンドはクラウド型システムにシフトしています。そこでご紹介したいのが、次世代型コンタクトセンター「BellCloud+」です。
BellCloud+には、コンタクトセンターが必要とする最新技術が搭載されており、大きな特長として以下の4点が挙げられます。

  1. 高い信頼性を実現
    スケーラブルなAWSを冗長化させることにより、システムの安定性と信頼性を確保しています。
  2. コスト削減
    初期費用軽減、従量制モデル適用、ポイント利用制度などにより優れたコストパフォーマンスで提供されます。
  3. 先進テクノロジーを採用
    多彩な機能を活用できる最新技術で、コンタクトセンター業務の効率化を促進します。
  4. 柔軟な運用対応
    ポイントを利用したサービスや、ユーザーサイドでのツール活用などにより運用の幅を広げられます。

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まとめ

コンタクトセンターシステムの導入を検討中の方に向け、コンタクトセンターシステムの市場規模やおさえておくべきトレンド情報について紹介しました。企業にとって顧客体験の強化は避けて通れません。導入・運用のトータルコストの面からも、拡張性や柔軟性の面からもクラウド型システムは価値のある投資となりそうです。

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