クラウドPBX・PBXがつながらない時の対処法
障害・故障の原因切り分けから再起動、問い合わせ先まで

 

この記事でわかること
  • 症状別の原因特定方法
  • 端末・ネットワーク別の一次対応手順
  • サポートへのスムーズな連絡方法と再発防止策

「午前中まで正常に動いていた電話が、突然一切繋がらなくなった」
「通話中に相手の声がプツプツ途切れ、大切な内容が聞き取れなくなった」

会社の電話システムで障害が起きると、業務が止まるだけでなく、顧客からの信用低下に直結しかねません。専任のIT担当者がいない中小企業では、「何から手を付ければいいか」と混乱してしまうことも少なくないでしょう。一方、情報システム担当者にとっても、大規模なネットワーク環境での障害対応は、場当たり的に機器を触るだけでは復旧が遠のくばかりです。

PBX(構内交換機)やクラウドPBXのトラブルは、プロのエンジニアも実践する「原因の切り分け(どこに問題があるかを段階的に絞り込む作業)」を順序立てて行うことで、社内でも早期解決できるケースが多くあります。本記事では、専門知識がなくても試せる一次対応手順から、ネットワーク層の根本原因の特定、サポート窓口への的確な連絡方法まで、段階を追って解説します。

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クラウドPBX・PBXでよくある3大トラブル症状

現在発生しているトラブルの症状を正確に把握することが、最短で復旧するための第一歩です。症状は大きく次の3パターンに分類されます。パターンを特定することで、後続の切り分け作業が大幅に効率化されます。

症状①:一切発着信ができなくなった

電話機が完全に沈黙し、発信も着信も受け付けない状態です。ディスプレイの表示が消えていたり、ネットワークエラーの表示が出ていたりするケースも含まれます。次のセクションで説明する「障害の範囲の確認」から手順を進めてください。

症状②:発着信できる時とできない時がある

 「午前中は使えていたのに午後から繋がらない」「1回目の着信は鳴ったが2回目以降は鳴らない」といった、断続的に発生する不安定な状態です。原因の特定が難しい症状ですが、多くの場合は社内ネットワーク環境に起因しています。後述の「原因①:社内ネットワーク・ルーターの不具合」を優先的に確認してください。

症状③:音質が悪く途切れる、声が聞こえない

「通話中に音声がプツプツ途切れる」「相手の声は聞こえるが、こちらの声が届いていない(片側通話)」「強いノイズが混入する」といった、通話品質に関わるトラブルです。ネットワーク機器の設定が原因となっているケースが多いため、後述の「SIP-ALG(ルーター内蔵のSIP通信補正機能)」の項目を優先して確認してください。

【重要】まずは「障害の範囲」を確認する(原因の切り分け)

トラブル解決を最短で進めるには、闇雲に機器を操作するより先に「どの範囲で問題が起きているか」を把握することが先決です。以下の2ステップで状況を整理してください。どちらも機器を一切操作しなくてもできる確認なので、まず確実にこなしましょう。

ステップ1:何台の端末で起きているか?

発生範囲を確認することで、問題がどのレイヤー(通信の階層)にあるかを大まかに絞り込めます。

  • 1台のみで起きている場合
    その端末自体の故障やアプリの設定ミス、LANケーブルの抜けなど、問題は局所的である可能性が高いです。次のセクションの「端末別の一次対応」に進んでください。
  • 特定の部署・グループのみで起きている場合
    該当部署が共有するスイッチングハブ(複数の機器をLANで接続する分配器)の故障や、特定のWi-Fiアクセスポイントの不具合が疑われます。
  • 全台で一斉に起きている場合
    オフィス全体のルーターやONU(光回線をLANに変換する回線終端装置)の不具合、クラウドPBXベンダーのサーバー障害、またはインターネット回線自体の大規模障害の可能性が高いです。

ステップ2:どの種類の端末で起きているか?

次に、問題が起きている端末の種類を確認します。端末の種類によって確認すべき箇所が異なるため、種別の特定が具体的な対処につながります。

  • スマートフォン・タブレット
    Wi-Fiやモバイル回線の電波状況、OSの省電力設定、最近のアップデートの影響を確認します。
  • PC(ソフトフォン)
    PCのセキュリティソフトが通信をブロックしていないか、マイクのアクセス許可設定が正しいかを確認します。
  • IP電話機・ビジネスフォン主装置
    LANケーブルや電源プラグの物理的な抜けがないか、機器が熱を持っていないかを確認します。

クラウドPBX選定の手引き
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【端末別】すぐに試せる一次対応(トラブルシューティング)

1台または特定の端末だけでトラブルが起きている場合は、端末の種類に応じた以下の手順を順番に試してください。端末レベルのトラブルは、この段階で解決するケースが多くあります。

スマートフォン・タブレットの場合

クラウドPBXアプリをスマートフォンで利用中に不具合が発生した場合は、次の手順を試してください。

  1. Wi-Fiとモバイル回線(4G/5G)を切り替えてみる
    社内Wi-Fiを一度オフにして、携帯キャリアの回線(4G/5G)で発着信できるか確認します。これで改善する場合は、社内Wi-Fi環境に問題があります。
  2. 機内モードのON/OFFと端末の再起動
    機内モードを一度ONにしてからOFFに戻し、電波をつかみ直します。改善しない場合はスマートフォン本体を再起動してください。
  3. バッテリー最適化設定の確認
    Android端末に多い原因として、OSの「バッテリー最適化機能」が強くかかっている場合があります。この機能によってバックグラウンドのクラウドPBXアプリが強制終了され、着信しなくなるケースがあります。設定からアプリのバッテリー使用を「制限なし(最適化しない)」に変更してください。(※機種により設定箇所が異なります)
  4. アプリの再起動・再インストール
    アプリを完全に終了させてから再起動します。改善しない場合は、ログインIDとパスワードを手元に控えた上でアプリを一度削除し、再インストールしてください。

PC(ソフトフォン)の場合

  1. インターネット接続とマイク権限の確認
    ブラウザでWebサイトが正常に開くことをまず確認します。次に、PCの設定またはブラウザの設定で「マイクへのアクセス許可」がブロックされていないかを確認してください。
  2. アプリとPC本体の再起動
    ソフトフォンアプリを再起動し、改善しなければPC本体を再起動します。

IP電話機・SIPフォンの場合

  1. 物理的な接続の確認
    まず液晶画面が点灯しているかを確認します。電源プラグがコンセントにしっかり挿さっているか、またLANケーブルが「カチッ」と音がするまで奥まで挿し込まれているかを確認してください。定期清掃の際にLANケーブルがわずかに抜けているケースは、現場でよく見られる原因の一つです。
  2. ケーブルの交換と再起動
    LANケーブルを別のものに交換して改善するか確認します。改善しない場合は、電源アダプターまたはLANケーブルを一度抜き、1分ほど待ってから挿し直して機器を再起動してください。

それでも直らない・全台不通の場合の根本原因と対処法

端末の再起動をしても改善しない場合や、オフィス全台が一斉に繋がらない場合は、社内ネットワーク環境か通信サービス側に根本原因があります。以下の4つの原因を上から順に確認し、それぞれの対処法を試してください。情シス担当者向けの専門的な対処法も含めて紹介します。

原因①:社内ネットワーク・ルーターの不具合

クラウドPBXの障害原因として最も多いのが、社内ルーターやONUの長時間稼働によるフリーズや熱暴走です。機器を再起動することでメモリやキャッシュがクリアされ、通信が復旧するケースが多くあります。ただし、再起動の順番を誤ると機器が正常に起動しないため、以下の手順を必ず守ってください。

  1. 【切る時(外から内へ)】
    ルーター → ONUの順に電源プラグを抜きます。
  2. 【待機】
    内部の熱と残留電力を逃がすため、5分程度放置します。
  3. 【入れる時(内から外へ)】
    ONUの電源を入れ、ランプが安定するまで2〜3分待ちます。その後、ルーターの電源を入れます。

原因②:セキュリティ機器の干渉(情シス向け)

「相手の声は聞こえるが自分の声が届かない(片側通話)」など、音質に関わる症状が続く場合は、セキュリティ機器が通信を干渉している可能性があります。

オフィスのUTM(Unified Threat Management:複数のセキュリティ機能を一体化したネットワーク機器)や高機能ルーターには、「SIP-ALG」と呼ばれる機能が搭載されていることがあります。この機能は音声通信の制御信号(SIPパケット)を自動補正しようとしますが、実際にはIPアドレス情報を誤って書き換えてしまい、通信障害を引き起こすケースが多く確認されています。ルーターの管理画面からSIP-ALGを無効化し、症状が改善するかを検証してください。また、PCのファイアウォールで一時的な除外設定を行うことも有効な切り分け手段です。

原因③:クラウドPBXベンダー側のシステム障害

自社ネットワークに問題が見当たらない場合は、クラウドPBXを提供するベンダーのサーバー側で障害や緊急メンテナンスが発生している可能性があります。スマートフォンのモバイル回線を使い、ベンダーの公式サイトやサポートページ、公式SNSで障害情報のアナウンスが出ていないかを確認してください。

原因④:インターネット回線(プロバイダ)の障害

契約している光回線やプロバイダの設備側で、大規模な通信障害が起きているケースです。「NTT東日本・西日本のWeb113」や契約プロバイダの障害情報ページで状況を確認してください。この場合、ユーザー側でできることはサービスの復旧を待つことのみとなります。ベンダーに連絡する際も、この確認結果を合わせて伝えると対応がスムーズになります。

ベンダー(サポート)へ問い合わせる際のポイント

自社での一次対応で解決しない場合は、ベンダーのサポート窓口へ問い合わせることになります。その際、「電話が繋がりません」とだけ伝えるより、以下の情報をあらかじめ整理して伝えることで、サポート担当者が状況を素早く把握でき、原因究明と復旧にかかる時間を大幅に短縮できます。

  • 発生日時
    いつから発生しているか(例:本日午前10時頃から継続中)。
  • 発生範囲
    どの範囲で発生しているか(例:〇〇部署の3台のみ、全社のPCすべて)。
  • 具体的な症状
    「発信はできるが着信しない」「音声がプツプツ途切れる」「片側通話になる」など。
  • 自社で試したこと
    「端末の再起動は実施済み」「ルーターを正しい順序で再起動したが改善しなかった」「4G回線では通話できた」といった切り分け結果。

PBXのトラブルを未然に防ぐ予防策

トラブルが復旧した後は、今後同じ障害を発生させないための対策を講じることが大切です。以下の4点が、再発防止として特に効果的です。

機器周りの整理整頓と設置環境の改善

配線が複雑に絡み合う状態は、断線や誤抜けの原因になります。ルーターや主装置は熱やほこりに弱いため、風通しの良い場所に設置してください。設置場所を見直すだけで、原因不明のフリーズが解消されたケースがあります。

法定耐用年数(6年)を意識した機器の入れ替え

電話交換機(PBX)の法定耐用年数は6年と定められています。この年数を過ぎると、メーカーによる部品の供給が終了し、故障時に修理できない「保守切れ」状態になるリスクが高まります。繰り返しトラブルが発生している場合は、故障が重なる前に計画的な機器交換を検討してください。

BCP(事業継続計画)対策としてのクラウドPBX活用

落雷による停電などでオフィスが機能停止した場合、オンプレミス型のPBXでは電話業務が完全に止まります。クラウドPBXであれば、社員個人のスマートフォン(モバイル回線)を内線として使えるため、災害時や出社困難な状況でも業務を継続できます。現在オンプレミス型PBXをご利用の場合は、BCP(事業継続計画)対策の観点からも移行の検討価値があります。

サポート体制を重視したベンダー選定

クラウドPBXを選ぶ際は、月額料金の安さだけでなく「トラブル発生時にどれだけ迅速・的確に対応してもらえるか」というサポートの質を重視することを推奨します。
(※サポートの対応時間帯や対応範囲はベンダーによって大きく異なります)

まとめ

PBXやクラウドPBXで障害が発生した際は、まず「何台の、どの種類の端末で起きているか」を確認し、原因を切り分けることが復旧への最短ルートです。

1台だけの不具合であれば、端末やアプリの再起動、LANケーブルの挿し直しで解決するケースが多くあります。全台が繋がらない場合は、ONU→ルーターの正しい順序での再起動を試し、改善しない場合は整理した情報をもとにサポート窓口へ連絡してください。

現在お使いの電話交換機が古く、繰り返しトラブルが発生しているようであれば、運用負荷の軽減とBCP対策を兼ねて、クラウドPBXへの移行を選択肢として検討してみてください。

 

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